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Stained glass of Gerhard Richter

「ギリシャ・ショック」がまた世界の金融市場を駆け巡った。
29日は日本だけでなく上海や欧米でも株価が大きく下落。
為替相場はユーロ安が進んだ。
市場では大きく相場が崩れるとの見方は少ないが、ギリシャの国民投票が予定される7月5日までは不安定な値動きが続きそうだという。


それはさておき、ゲルハルト・リヒターデザインによるケルン大聖堂の窓をみてみよう。

2007年8月26日より大聖堂の南の窓が公開されている。


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第二次世界大戦中の爆撃によって大聖堂の南の窓が破壊されると、一旦はWilhelm Teuwen氏がデザインした窓が取り付けられたが、この窓は透過する光の眩しさのため機能不十分だと考えられた。
ケルン大聖堂中央建築協会総会は新しいデザインに20世紀のカトリック殉教者の具象的な肖像を希望し、この仕事に2001年に最初に着手したリヒターは国家社会主義の犠牲者の処刑シーンを映した古い写真に基づく2つの小さなデザインを考案した。

しかしリヒターはこの非常に残酷なシーンはモチーフとして不適切であり他の歴史的なモチーフは時代にそぐわないと考えはじめた。
新たに考案されたリヒターのデザインは中世の数学的意匠による抽象的な模様と彼自身の用いた幾何学的な構成とを結合するものであった。



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新たな窓はそれぞれが9.6平方センチメートルの色のついた正方形のガラス11500枚から成り、複雑な直角の格子模様を生み出している。
またリヒターが選んだ72色は、大聖堂の中世のガラスにも使われており、新しい窓を教会の内装の配色に調和させると思われた。



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ステンドグラスの各部分を分けるのに伝統的に用いられた鉛の桟は2mmあまりの黒のシリコーンに置き換えられている。
色の配置はMike Karstens氏の開発したコンピューターの乱数発生プログラムによりランダムに決定された。
この配置はランダムでありながら最大限の無秩序を生み出すために慎重に組織されている。
それゆえ壮大かつ豊富な色の印象を与えるが、同時に厳格に直角な格子模様がカラフルな混沌に高度な調和を添えている。
この色配置の法則は1966年から1974年に製作されたリヒターの商業カラーチャートに基づいた初期のパネル絵にさかのぼる。



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彼のデザインはとくにケルンの聖職者たちの間で論争の主題となった。
反対派の中では彼のデザインはしばしば過度に現代的、抽象的であり、ゆえに大聖堂には合わないと考えれ、具象的で物語的な描写が推奨された。



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しかし伝統的にはステンドグラス窓が必ずしも具象的なシンボルを描写をする必要はなかった。

ケルン大聖堂は19世紀20世紀に製作された窓のほかに、1260年から1562年に製作された43のステンドグラス窓を有している。
これらは計4100枚のガラスから成り、そのうち1500枚が具象的なモチーフを表現しているが、残りのガラスは程度の差こそあるが装飾的なものであり、植物をモチーフにしたものや抽象的で幾何学的なパターンを用いているものがある。



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また注目すべきは、内陣の南と北の3つの採光用窓である。
これらの頂点近くにはリヒターのデザインに類似した小さな四角からなる格子模様の丸窓があしらわれているのが見られる。
これらは1300年くらいに製作されたものであるが、この点にリヒターは気づいてなかったという。




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リヒターのデザインした窓について、2006年にケルン大聖堂主席司祭であるNorbert Feldhoff氏は「生命を吹き込み、活気付け、瞑想を促進し、わたしたちに宗教を受容する空気を作る」と述べている。




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☆☆☆やんジーのつぶやき
混沌と厳格。
リヒターが選んだ72色に興味が湧く。
生命を吹き込み、活気付け、瞑想を促進し、宗教を受容させる空間に官能を委ねてみよう。































































by my8686 | 2015-06-30 11:48 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)