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原子番号113の快挙

理化学研究所のチームが合成した新元素が昨年末、113番元素として認められた。
アジアで初めて命名権を得る快挙。
対する米ロのチームを抑える決め手になったのは、9年間に及ぶ地道な実験で確実な証拠をつかんだことだったという。




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あらためて、その内容をみてみよう。


現在知られている元素は118個。
番号が大きいものほど重く、壊れやすいものがある。

93番のネプツニウム以降は自然界で確認されることはほとんどなく、人工合成される。
元素が何番まであるかは、化学や物理学で長く続くテーマの一つだ。





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理研グループディレクターで九州大教授の森田浩介さんらのチームは、亜鉛(原子番号30)の原子核を加速し、ビスマス(同83)の原子核にぶつけて核融合させる手法で、113番元素の合成を目指した。





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壁は大きく二つあった。
一つは、ぶつけるときの最適な条件。
もう一つは、うまく検出することだ。

スピードが速すぎれば原子核が壊れてしまうし、遅すぎても反応しない。
既知の元素をつくる実験などで調整を続け、光速の10%が最適と割り出した。




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うまく衝突しても、必ず新元素ができるわけではない。
衝突を試みた回数は垓(垓は1兆の1億倍)単位。
それでも、9年間でできたのは三つだけだ。

これをとらえたのが、森田さんが開発した検出器「GARIS」。
実験で飛び交う様々な粒子を電磁石でより分ける。
狙った元素を効率よく検出できるよう構造を工夫した。





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合成された新元素は平均0・002秒でアルファ線を出して崩壊する。
その後も次々に壊れ、別の元素に変身していく。
この過程を、崩壊の性質がよく知られた元素までたどれたことが命名権獲得につながった。





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命名権を与える国際純正・応用化学連合(IUPAC)認定委員の山崎敏光・東京大名誉教授は「これまでに知られている原子核との関係を明確にできたのが勝因だ。日本側は数は少なくても着実なものをつくった」と話す。

対する米ロ側は、数を積み重ね、状況証拠から証明する方法をとった。
より重いアメリシウム(原子番号95)などにカルシウム(同20)をぶつけ、115番元素や117番元素をまず合成。
その崩壊過程で113番元素を見つける。




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米ロが使った反応は「熱い核融合反応」と呼ばれ、元素をたくさん作れるが、途中で核分裂を起こしやすい特徴がある。
理研の「冷たい核融合反応」に比べ、既知の元素までたどりにくいのが難点だ。

ただ、同時に米ロチームに命名権が決まった115番、117番、118番元素は、この手法で認定された。
理研の手法は、重い元素になると合成効率が悪く不利になる。
このままでは119番以降の発見は難しい。





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将来的には長い寿命を持つ元素を発見することも科学的なテーマだ。
113番元素のように1秒を大きく下回って壊れてしまうのでなく、寿命が1日から数年に及ぶものがあると理論的に予言されている。
「安定の島」と呼ばれ、原子核物理学における最大の難問の一つと言われている。

森田さんは「国際的な協力を視野に入れ、効率的にやることを検討したい」と話している。



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(2016.01.07朝日新聞より抜粋)








☆☆☆やんジーのつぶやき
長い寿命を持つ元素をすでに発見し活用している地球外生命の存在もきにかかる。
原子核物理学における最大の難問もいつかは遠い昔の笑い話になっているのだろうか。






































































by my8686 | 2016-01-08 10:08 | 徒然なるままに | Trackback | Comments(0)