2012年12月、カトマンズにあるシヴァ神を祭るネパール最大のヒンドゥー教寺院「パシュパティナート」を訪れた。
日曜の朝は、この時のことをもう一度回想してみよう。
ネパールを第二の故郷と言っていた知人の遺灰を日本から携え、この川に流し弔う。
シヴァが滞在したと言われるこの地。
1500年以上の昔から巡礼の地となっている。
インド大陸四大シヴァ寺院の一つ。
ヒンドゥー教が国教であるネパールでは最高の聖なる地である。
寺が面しているバグマティ川には、隣接した火葬台を複数備える火葬場がある。
バグマティ川は、ヒンズーの聖地。
インドのバラーナシを流れるガンジス河に通ずる支流にあたるため、ここのガートで荼毘に付せば母なる大河ガンガーへと戻ってゆくと考えられている。
遺灰をこの川に流すのがネパールのヒンズー教徒の願望である。
「ヒンドゥー」 の語源は、サンスクリットでインダス川を意味する sindhu が古代ペルシアで転訛したものだという。
インダス川対岸に住む人々の意味で用いられていたものがインドに逆輸入され定着したという。
バグマティ川の中では火葬が行われている脇で身体を清める者もあれば、洗濯をする女の姿も見受けられる。
位の高いものほど上流の火葬台で焼かれる。
バグマティ川に架かる橋上は、火葬の最高の見物ポイントである。
パシュパティナート寺院はヒンズー教徒以外は立ち入れない。ただし火葬場は入場料を払えば誰でも入れる。
終日立ち込めるカトマンズの霧は火葬場の煙であるとさえ言われる。
魂が天上へ帰る場所にふさわしく、すぐそばの丘に登れば7000m級のアンナプルナをはじめとするヒマラヤ山脈がはるかに聳え立つ。
☆☆☆やんジーのつぶやき
この聖地に佇むと無宗教の自分でさえヒンドゥーの教えが官能を疼きはじめる。
ヒンドゥー教が説いた解脱への三つの道。
知識(ジャニャーナ)の道、宗教的義務を遂行する行為(カルマ)の道、そして信愛(バクティ)。