土曜休日の午後は、バワ建築スタディー中に気になったRed Cliffs Mirissaの対岸に見える安藤忠雄設計の別荘についてみてみよう。
広大な海辺の敷地に建つ安藤忠雄設計の大邸宅。
スリランカ南端の海に面した切り立った崖の上に建つアトリエ兼住宅。
クライアントの住宅とゲストルームと夫人のアトリエからなる。
ジグザクに蛇行するボリューム。
その間にできたすき間をグレーゾーンにしてスリランカの自然との対話の場としている。
半屋外の空間が多く設けられた風通しのよい建築である。
現地の職人と日本の職人が協力して施工することで、コンクリート打ち放しの品質をはじめとする全体の施工精度を高めている。
大型鋼クロスによって4分割された2階建ての高窓から地上階のスタジオへ光が差し込む。
階段はこの部屋の周りにラップし、一階メザニンまでつながっている。
ガラス張りのアトリエは 1階に位置し、20メートルのリビングルームからジグザグ階段を介してアクセスする。
屋外テラスは、グラウンドフロアと1階の間のステップリビングルームにある。
この屋根の上にインフィニティプールが設けられている。
家具は、坂茂の設計によるチーク材やダンボールテーブルが置かれている。
スリランカの南端Mirissa。
ここから崖が見えるこの白い砂浜には、ヤシの木や、ヤシの葉で覆われた小屋が点在する。
ここの上流の川にはワニや水ヘビが生息している。
さらに黒いサルや野生のゾウ、ヒョウなどが自由に移動している。
海岸線には伝統の漁法である仕掛けがされている。
この別荘は雄大な存在感を醸し出している。
打ち放しコンクリートで覆われたエッジ部分がこのインド洋に向かって聳え立っている。
アーティストの夫人がこの別荘の建築について安藤忠雄を指名した。
1989年に建設された光の教会の象徴的なイメージが、アーティストである夫人のインスピレーションを強く刺激したという。
この別荘では、安藤は明らかに内省傾向にあった前作からわずかに異なるアプローチをとっている。
安藤は、4つの異なるセクションをドラマチックに融合させている。
4つのゲストのためのベッドルームにはそれぞれの専用キッチンを設け海の景色を取り入れている。
別のボックスには、約20メートルの長さの細長いリビングルームを設けることで動的角度でコンクリートの二つのブロックを勘合させている。
ウィンドウは静かにロールダウンし海の煌めきを映し込む。
十字交差線によって生まれた空間は、まさに日本の「間」空間といってよい。
玄関のパティオからは広大な階段が設けられ、風通しのよいロッジにつながる。
ロッジの突き出たコーナーには、広大なインフィニティプールが設定されている。
インド洋に面したオープンロッジ。そこから拡がる360°の大パノラマの景色。
四角いコンクリートの列柱が屋上部分をささえている。
ここからバワが最後に造ったビラを遠くに見ることができる。
この家はバワにたいする一種の尊敬の念を抱いた安藤の思考が読み取れる。
右階の「間」に作成された三角形のガラス空間。
スタジオに続く下層レベルから上層レベルまでのルートに浮遊鋼橋が設けられている。
サスキアのスタジオは、光の教会で使用された構造を反転して設けられているかのようだ。
大きなスチールフレームワークをクロスさせて装備されている。
☆☆☆やんジーのつぶやき
光の教会へは2度探訪したことがある。
十字架状にスリットされた壁面から輝き漏れる光の神々しさに官能が痺れたことを思い出す。
その構造を反転させて造られた別荘の空気感にやはり官能が反応していた。