先々週の日曜日に、妻の還暦祝いに宮島の対岸にある宮浜温泉に泊まる。宿に選んだのは「庭園の宿 石亭」。
指定した部屋は、母屋にある「芭蕉」。宮島瀬戸を一望できる大変眺めのよい部屋。
少年であった夏休みには、この瀬戸の海に浮かぶ牡蠣筏でよく遊んだものだ。
潮の香りを嗅ぐと、この郷里の海を思い出す。
温泉につかったあとは、さっそく夕食をいただく。
まずは先付にビールをあわせる。
夏らしい美味のオンパレードに舌鼓をうつ。
食後訪れたのは、吸吐文庫と呼ばれるライブラリー。庭の奥にひっそりと隠れるようにある居心地のよい場所。
書庫に囲まれた隠れ家的スペースがなんともいい雰囲気である。
本好きの友の下宿に迷い込んだような感覚である。
背表紙をなにげなく眺めているだけでも楽しい。
手垢のついた本や雑誌は、どうやらここの主人の趣味らしいが、好みが自分と似ていることに少し興奮する。
場所をかえて、ラウンジ下にある床下サロンを訪れる。
池に隣接した眺めのいい場所に、椅子のコレクションとお気に入りの本に囲まれた隠れ家というよりサロン的場所。シングルウィスキーやワインも用意されている居心地の良い場所である。
やはりこんな夜は、コルトレーンが聴きたくなる。
無造作にならべられた本の背表紙を目で追うと、ますますここの主人の趣味とあうから嬉しくなってくる。
床下サロンでほろ酔いの身体をコレクションチェアーにあずけつつ夜が更けてゆく。
早朝の瀬戸の海。のぼりはじめた太陽をながめつつ朝風呂につかってくる。
ラウンジにあるCDコレクション。JAZZからクラシックまでなかなかいい趣味のコレクションである。
CDを収めた漆塗りの盆がまた粋な佇まいをかもしだしている。
早朝の冷たいジュースのサービス。もちろん自由に飲んでもよいのがうれしい。
そして、遅めの朝食を部屋でいただく。
久しぶりの和食のオンパレードに満腹中枢も感激しっぱなしである。
10時30分のチェックアウトまでのんびりと瀬戸の海を眺めてみる。
さらに、昨晩感激した隠れ家をもう一度訪ねてみる。
朝日に照らされたサロンのチェアコレクションたち。なかなかの審美眼である。
庭に出て「石亭」の全景を眺める。
建設当時の図面が飾られている。なかなか興味ぶかい。
ラウンジから離れに向かう中廊下の佇まいも風流である。
この日は、ここから宮島の大鳥居カヤックツアーへと向かった。
石亭のご厚意で宮島にある本店裏の駐車場を借りる。これもうれしいサービスである。
☆☆☆やんジーのつぶやき
近場にありながらも行く機会のなかった「石亭」。
うわさ話には聴いてはいたものの、これほどまでに居心地の良い趣味の良い宿とは、知らなかった。
常宿にするには懐具合と相談しなければならないが、なにかの記念日にはぜひまた泊まりたい宿のひとつとなった。