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ノーベル経済学賞に米経済学者2人「契約理論に貢献」

2016年のノーベル経済学賞は、米ハーバード大学のオリバー・ハート教授、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のベント・ホルムストロム教授に決まった。





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授賞理由は「契約理論への貢献」。社会の様々な契約やそれに伴う諸問題に関する分析が評価されたという。

ハート氏は1948年のロンドン生まれ、ホルムストロム氏は49年のフィンランド生まれ。両氏は経済学に契約理論を導入した先駆的存在として知られる。経済社会で人々の利害が異なる中で、どのようにして協力して、利得を受けるかという点について契約が大きなツールと考え、契約のあり方を分析した。





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例えば経営者と労働者の雇用契約では、どのような契約を結べば労働者に効率よく働いてくれるかといったことが問題になる。給与や労働者の勤務態度、実績など様々な要素の中で、最適な契約は何かという分析に貢献した。
同アカデミーはハート氏らの業績について「契約理論は経済学のみならず、社会全体に大きな影響を与えた。企業統治など現実世界で人々が経験する契約を巡り大きな理解につながった」としている。




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あらためて、契約理論についてみてみよう。

契約理論は、契約の当事者の間で情報が非対称的に所有されていることから生じる問題を扱うものと、情報処理能力の限界または契約履行を司る制度の不完全性によって情報が不完備となることから生じる問題を扱うものとに分けられる。
情報の非対称性からは、逆選抜やモラル・ハザードといった問題が生じる。この問題に対して契約理論では、経済主体に正のインセンティブを与えるような契約はいかにして作れるかということを扱っている。





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他方、制度の不完全性や限定合理性からは、不完備契約という問題が生じる。将来起こりうることのすべてを予見して、起こりうるすべての事態への対処を契約に書き込むことはできない。
そこから、後で生じた事態に合わせて契約の当事者が行動を変える機会主義の問題が発生する。

機会主義的行動を予想すると、特定の取引に特殊的な投資が不適切に抑制されるという問題が生じる。この問題に対して契約理論では、関係的契約を扱っている。

ただし、「契約理論」という言葉は便宜的に使われているということには注意が必要である。ゲーム理論の発展また応用で築きあげられた逆選抜やモラル・ハザード、またその発展形として作られたメカニズム・デザインや不完備契約などの総称として使われているが、個々のモデル自体は全く異なる特徴を持っているといえる。その異なるモデルをまとめるために用いられる呼称が「契約理論」となる。





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また、学者によってはシグナリングなども「契約理論」に含める場合もあり、情報の経済学、企業理論、インセンティブ理論、Theoretical I.O. などの呼び方がされることがあるという。





☆☆☆やんジーのつぶやき
徹底した契約社会ならではのアメリカらしい受賞に想えた。
しかし、がんじがらめにシバリを課せられた社会は、望まぬ息苦しさもともなう。
解き放たれたフリーな世界に、官能を解き放すことも、時には必要なのである。















































 

by my8686 | 2016-10-11 13:24 | 徒然なるままに | Trackback | Comments(0)