人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「トヨタ、米で1.1兆円投資 社長が表明 トランプ政権にらむ」を読み解く

トランプのツイッターショックで北米自動車ショーのプレゼン原稿を修正したという豊田章男社長。


あらためて、その内容をみてみよう。

トヨタ自動車の豊田章男社長は9日(現地時間)、同日に米デトロイトで開幕した北米自動車ショーの会場で記者会見し、今後5年間に米国で100億ドル(約1兆1600億円)を投資すると正式に表明した。
トランプ次期米大統領が自動車メーカーに米国での投資や雇用を拡大することを求めており、応える格好になる。




「トヨタ、米で1.1兆円投資 社長が表明 トランプ政権にらむ」を読み解く_c0352790_10314367.jpg




トヨタは米国の主力車種である主力セダン「カムリ」の全面改良車を発表し、併せて雇用や投資についても説明した。
豊田社長は米国で13万6000人を雇用していると述べ、さらに過去60年間で220億ドル投資した実績を強調した。





「トヨタ、米で1.1兆円投資 社長が表明 トランプ政権にらむ」を読み解く_c0352790_10320773.jpg




新型カムリなど新開発・設計手法 ※「TNGA」に基づく新車の立ち上げを控えており、投資は生産設備や金型の導入に充てる計画だ。
既存ラインでも生産性など競争力の強化に向けて投資するほか、テキサス州で進めている北米新本社の建設や、人工知能(AI)研究開発子会社の設備投資にも充てる。





「トヨタ、米で1.1兆円投資 社長が表明 トランプ政権にらむ」を読み解く_c0352790_10321929.jpg




同日、取材に応じた米国トヨタ自動車販売のボブ・カーター上級副社長は100億ドルの投資がトランプ氏の要請に応えたかとの質問に対して「未来への投資だ」と回答した。
焦点となっている雇用を増やすかどうかについては「具体的に決まったものはない」と述べるにとどめた。メキシコの生産計画は「変更しない」と言明した。

一部の欧米自動車メーカーはすでにメキシコでの投資計画を撤回し、米国での新たな投資を表明した。慎重にも見えるトヨタの対応の背景には生産拠点がある世界約30カ国・地域への意識がある。

「経営判断がぶれるのかどうか、世界各国がトヨタの初動をみている。短期的な批判を受けても、フェアに各国で貢献していく原理・原則を守りたい」。
トランプ氏が5日、自身のツイッターでトヨタにメキシコ新工場の建設撤回を求めて衝撃が走った後、トヨタの経営陣の1人は困惑しながらもこう答えた。

トヨタ単体(トヨタ・レクサスの合計)の2017年の世界生産は898万台程度を見込む。日本のほか、中国、タイ、インド、ブラジル、英国など海外28カ国・地域で生産拠点を構えている。
特定の政治家の意向によって、民間企業が決めた経営判断がすぐに覆されれば信頼を失い、「問題は米国とメキシコにとどまらない」(トヨタ幹部)と警戒する。




「トヨタ、米で1.1兆円投資 社長が表明 トランプ政権にらむ」を読み解く_c0352790_10323510.jpg



トヨタと米国を巡る主な出来事
1957年 米国に輸出拠点となる販売会社を設立
81年 日本メーカーが対米輸出の自主規制を導入
84年 米GMとの合弁工場が生産開始
88年 ケンタッキー工場が稼働
95年 日米自動車交渉が決着
90年代後半
~00年代 インディアナ、テキサスなど4工場で生産開始
99年 ニューヨーク株式市場に上場
2008年 世界販売でGMを抜き首位に
10年 GMとの合弁工場での生産を終了,リコール問題で豊田章男社長が米公聴会に出席
16年 AI研究のトヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)設立
17年 トランプ次期米大統領がメキシコ工場撤回要求
19年 メキシコの新工場が稼働予定



トヨタは政権の移行時期も意識する。トランプ氏が20日(現地時間)に就任するまで、米大統領はオバマ氏だ。
トヨタ内には「現政権への感謝もある。短期的な批判を受けても、正式な新政権の発足までは動かない方がいい」という考えもある。


だがトランプ氏の圧力は強い。1月に入り、すでにフォード・モーターがメキシコでの小型車向け工場の新設を撤回し、さらに米ミシガン州のフラットロック工場で電気自動車(EV)や自動運転車を製造することを表明した。
8日には欧米自動車大手のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)も米国のミシガン州とオハイオ州の工場への計10億ドルの投資と、約2千人の追加雇用を打ち出した。





「トヨタ、米で1.1兆円投資 社長が表明 トランプ政権にらむ」を読み解く_c0352790_10325534.jpg




トランプ氏は自信を強め、米ゼネラル・モーターズ(GM)、トヨタにもメキシコでの新工場の撤回を迫る。だがトヨタのメキシコへの進出は大手自動車メーカーのうち最後発で、現状は年間生産は約10万台にとどまる。
またトヨタが19年に稼働を予定する年産20万台のメキシコ新工場はカナダとの生産再編で、米国での生産、雇用を減らすことにはつながらない。

トヨタは60年近く、米国で事業活動をしている。米国トヨタのサイトには「過去30年間で2500万台以上の車両を米国で生産」「過去20年間で北米への投資の3分の2は米国向け」「15年には16万台以上の米国生産の車を40カ国に輸出」といった実績が並ぶ。
米国での持続的な生産、雇用のビジョンを説くが、それでも新しく、分かりやすい“成果”を求めるトランプ氏が理解を示すかは不透明だ。

北米はトヨタにとって世界販売台数の3割、営業利益の4割を占める重要な地域だ。
米国では09年に発生したリコール問題を教訓に生産の急拡大は避けてきた。不自然な生産拡大は長期的には品質やコスト面で、米国工場の競争力を下げることにもつながりかねない。
世界中に影響する原理原則を守りつつ、トランプ氏とどう協調していくのか。豊田社長の発言に注目が集まった。





※トヨタの次世代プラットフォームTNGA「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー」





「トヨタ、米で1.1兆円投資 社長が表明 トランプ政権にらむ」を読み解く_c0352790_10331983.jpg




「トヨタ、米で1.1兆円投資 社長が表明 トランプ政権にらむ」を読み解く_c0352790_10335185.jpg




1.商品力の向上

クルマを骨格から変え、低フード化、低重心化を実現し、かっこいいデザイン、良好な視界確保、運動性能の向上など、お客様の感性に訴えるクルマとなるよう、次期プラットフォームを開発し、2015年に発売する新型車より順次導入する。
まずは「走る」・「曲がる」・「止まる」に関わる基本部位(プラットフォームやユニットなど)の性能をレベルアップし、「もっといいクルマ」の実現をめざす。
また、クルマの中核となるパワートレーンユニットについても、低重心・高性能なユニットを新開発し、順次搭載していく。



2.グルーピング開発による「もっといいクルマづくり」と開発効率化

TNGAの開発プロセスでは、まず中長期の商品ラインアップを確定し、それらに搭載するユニットやその配置、ドライビングポジションなどをトヨタの「アーキテクチャー」(クルマづくりの設計思想)として定める。
そして、定められた「アーキテクチャー」に基づき、複数車種の同時開発を行う「グルーピング開発」により、部品・ユニットの共用化を進め、「もっといいクルマづくり」と開発の効率化を推進する。
なお、部品・ユニットにより異なるが、TNGAの導入により、20~30%の開発効率向上をめざし、その結果として得られたリソーセスを、さらに「もっといいクルマづくり」に投入していく。




3.ものづくり改革

仕入先と調達(部品・ユニットの調達を担当する部門)・生産技術(生産技術を担当する部門)・技術(研究・開発を担当する部門)の各部門が四位一体の活動により、よりつくりやすく、よりシンプルな、部品・ユニットの構造を実現する。
これにより、シンプルでコンパクトな製造工程づくりができ、これまで以上に一つひとつの部品をつくりこみ、より高い品質を確保する。




4.グローバル標準への取り組み

従来はトヨタ専用規格に準じた部品開発であったが、今後は多数の自動車メーカーがグローバルに採用している標準部品も採用できるよう、グローバル標準規格に対応する。





5.TNGAと連動した調達戦略

調達部門では、「グルーピング開発」による部品・ユニットの共用化に対応し、複数の車種をまとめて、グローバルに、車種・地域・時間をまたいだ「まとめ発注」を実施し、さらなる競争力確保を進めていく。


上記のポイントを踏まえて開発された次世代プラットフォームTNGAは、従来のプラットフォームと比べて以下の点で進化している。

・部品の共通化を進めたことで、20%以上の開発リソースを削減
・パワートレーン全体で燃費が25%以上向上
・動力性能が15%以上向上
・ハイブリッドシステムの燃費が15%以上向上
・ボディ剛性が30%~65%向上









☆☆☆やんジーのつぶやき
新開発・設計手法「TNGA」に基づくトヨタの世界戦略車の進化には興味が湧く。
日本のクルマづくりがどこまで欧州車に近づくことができるのか、その未来に官能が疼きはじめている。





















































































by my8686 | 2017-01-10 10:10 | 徒然なるままに | Trackback | Comments(0)