人気ブログランキング | 話題のタグを見る

隈研吾の「獺祭ストア本社蔵」を読み解く

雪の日となった土曜日休日。
出勤日ならば大渋滞となる雪だが、休みの日に書斎から眺める雪景色は、なんともおつなものである。
雪見酒とでも洒落てみたくもなる。

こんな日には、やはり日本酒の熱燗で湯豆腐かあぶったスルメがいい。
八代亜紀の舟歌など聴きながら、チビリチビリやるのも悪くない。

そんな時に合わせる酒は、山口の銘酒「獺祭磨き二割三分」なら申し分あるまい。
昨年12月12日、萩からの帰路に立ち寄った「獺祭ストア本社蔵」。


あらためて、ここで買い求めた純米吟醸酒「獺祭磨き二割三分」の味を思い出しつつ、隈研吾の設計コメントと共にみてみよう。





隈研吾の「獺祭ストア本社蔵」を読み解く_c0352790_18012326.jpg




米粒を徹底的に磨くことによって、従来の日本酒では考えられなかったような、豊穣で透明感のある味を獲得し、世界で最も愛される日本酒ひとつとなった。
山口県の山間の深い谷に立地するその獺祭の工場の脇、渓流の脇に、試飲・販売のための「家」をデザインした。





隈研吾の「獺祭ストア本社蔵」を読み解く_c0352790_18014858.jpg



隈研吾の「獺祭ストア本社蔵」を読み解く_c0352790_18021039.jpg





急勾配の寄棟の屋根の既存民家の基本構造を残し、その上に白木の貼り板を用いて、「やわらかな皮膚」をかぶせた。
羽目板の幅、隙間をランダムにすることで、生物の皮膚を想起させるやわらかさ、艶っぽさの獲得を試みた。





隈研吾の「獺祭ストア本社蔵」を読み解く_c0352790_18022597.jpg




室内でも、既存の構造体をすべて露わにした上で、それを和紙でくるみ、夢の中漂うような、白い淡い空気感を求めた。





隈研吾の「獺祭ストア本社蔵」を読み解く_c0352790_18024128.jpg



隈研吾の「獺祭ストア本社蔵」を読み解く_c0352790_18030334.jpg



隈研吾の「獺祭ストア本社蔵」を読み解く_c0352790_18032290.jpg




かつて日本酒の醸造に用いられていた袋吊りにヒントを得て、鳥取県青谷の青谷和紙の職人と共に、天井から吊るされたペンダントを製作した。




隈研吾の「獺祭ストア本社蔵」を読み解く_c0352790_18034177.jpg



さらに、獺祭の酒についてもみてみよう。


■獺祭の名前の由来
弊社の所在地である獺越の地名の由来は「川上村に古い獺がいて、子供を化かして当村まで追越してきた」ので獺越と称するようになったといわれており、この地名から一字をとって銘柄を「獺祭」と命名した。

獺祭の言葉の意味は、獺が捕らえた魚を岸に並べてまるで祭りをするようにみえるところから、詩や文をつくる時多くの参考資料等を広げちらす事をさす。





隈研吾の「獺祭ストア本社蔵」を読み解く_c0352790_18040467.jpg




■極限まで米を磨き究極の日本酒を
「磨き」とは、精米して雑味となるタンパク質などを取り除く作業のこと。
磨けば磨くほど、時間もかかり、生産コストも上がることになるが、そこから、圧倒的にすごい酒、獺祭が生まれることになった。

最後のたった2%を磨くために24時間かかるという。この7日間×24時間、都合168時間と言う精米時間は今もほとんど変わらない。

普通酒や紙パック酒の製造を廃止し、「無理せず、高品質な吟醸酒をそれなりの価格でお客様に提供する」ことを目的に、小さな蔵の強みを生かし、小規模な仕込みでないと高品質が保ちにくい大吟醸だけを醸造している。





隈研吾の「獺祭ストア本社蔵」を読み解く_c0352790_18042172.jpg



■日本酒づくりを覆した「遠心分離システム」
常識を覆したのが「獺祭」で使用されている<遠心分離システム>。

それは、一分間に約3000回転という遠心力でモロミから酒を分離させるという、日本酒業界としては画期的な遠心分離の技術を使って酒を搾る方法。
この方法によると袋吊りで搾った時と同様に無加圧の状態で酒を分離させるので、純米吟醸酒の本来の香りやふくらみが損なわれることなく、雫酒のような非常に純度の高い酒が完成するという。





隈研吾の「獺祭ストア本社蔵」を読み解く_c0352790_18044168.jpg



■インターナショナルワイン&スピリッツコンペティション金賞受賞!
獺祭二割三分、三割九分、50がロサンゼルスで行われたインターナショナルワイン&スピリッツコンペティションで金賞を受賞。
なかでも、獺祭二割三分は出品された酒のトップに輝いた。




隈研吾の「獺祭ストア本社蔵」を読み解く_c0352790_18045352.jpg






☆☆☆やんジーのつぶやき
今年の正月は、ここで買い求めた「獺祭磨き二割三分」を家族で味わった。
その華やかな上立ち香と、芳醇な味、濃密な含み香は、至極の酒といってよい。
さらに、全体を引き締める程よい酸、これらが渾然一体となりバランスの良さを見せつける。
そして、喉にすべりおりていった後の爽やかな後口の切れとそこから長く続く余韻は、祝い酒として最高の酒といってよい。

































































by my8686 | 2017-01-14 18:05 | 挑発する建築&空間 | Trackback | Comments(0)