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「cool japan fund」クールジャパンプロジェクトワークスペースデザインを読み解く

1日のニューヨーク株式市場は大企業で構成するダウ工業株平均が大幅な上昇で始まった。
一時は2万1000ドルの節目を初めて突破し取引時間中の過去最高値を更新した。

トランプ米大統領が前日に、初の施政方針演説で1兆ドル(約113兆円)のインフラ投資や国防費の大幅な増額が必要だと強調。
これを受け、建設機械や軍事などの関連銘柄に買いが集中し、ダウ平均を大きく押し上げた。前日の終値(2万0812・24ドル)に比べて250ドル超値上がりする場面があった。

ダウ平均は1月25日に、史上初めて2万ドルの大台を終値で突破。
2月27日まで1987年1月以来約30年ぶりに12営業日連続で終値での過去最高値を更新。急ピッチの値上がりに、投資家の間では、相場の過熱を警戒する声も出ているという。



それはさておき本日は、経産省が牽引する官民ファンド「クールジャパンファンド」のワークスペースデザインを見てみよう。




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このファンドは日本の新しい創造力のグローバル展開において、そのビジネス支援を行う機関である。






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空間デザインは齊藤良博。
空間のコンセプトは「幽玄」。






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幽玄とは「物事が定まる前のありえない美」であり、形なき状態、例えば、羽化の瞬間/発芽・開花の瞬間/少年・少女/日の出…..の持つ綺麗さを指す。
産まれたばかりのアイディア、「幽玄」の状態を大事にする姿勢は、ファンドの主旨と合致させたもの。

「幽玄」をモチーフに、日本の伝統技術を用いた素材と、最新のデジタルテクノロジーを用いた演出とを共存させ、クールジャパンの発信拠点となる空間の構築を意図したという。





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エントランスのステンレス製の床に設置された16ヶの振動スピーカーは、音による空間デザインがなされている。
映像と照明のコントロールは連動しており、新しい空間デザインの拡張を具現化する試みで、霧のような密度ある空気に包まれる幻想的な場所を作り出すことに成功したという。





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あらためて、各部のディテールを見てみよう。



■どこからともなく流れる音に包まれるエントランスホール。
ステンレスの床に埋め込まれた16ヶの振動スピーカーによる「音」を素材に設計された「幽玄への入り口」
sound artistのevala氏による新作サウンド・インスタレーション「steppingstone」。

訪れた人を引き込んで行く日本庭園の飛び石の様な、人工でも自然でもない静けさのための音と響きによる空間。




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■絹布紙(t.c.k.w)による壁。
「絹布紙(きぬふし)」は、長野県産の絹糸100%の織物に福井県の越前紙を裏打した壁紙で、保湿性、吸湿性、通気性などの機能面でも優れている。

横糸が縦糸より太く、紬(つむぎ)が不規則に入るため、一枚一枚の面持ちが微妙に異なる。

光の角度によって絹本来の艶がもたらす豊かな表情を醸し出すのも、絹の染色から張り合わせ、仕上げ加工に到るまですべて手作業で丁寧な仕事がおこなわれているが故。今では福井県の職人家族3人が製造するのみとなっている。



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■プロジェクター演出スペース「japan creative platform」
アート/映画/アニメーション/最先端のメディア芸術のギャラリーとしての利用や、情報の発信の為のイベント/ショウにも対応を想定。

現在5組のアーティストに依るデジタルアートが展示されており、間接照明と連動する床の音響効果と併せた演出が体験可能。




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■アクリルサイン
日本のアクリル加工技術は世界からみてもとても優れていると言われる。このサインは、透明アクリルに色アクリルを張り合わせ、色のアクリルを削り出しながら、グラデーションを表現。

微妙な調整をしながらの削る作業は、まさに職人技といえる作品。既製品の素材をいかに新しい素材として生み出すか、発想力と技の集結した素材提案である。





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■役員応接室
日本庭園をモチーフにデザインされている。石=ソファー、水=テーブル、スクリーン=雲、の見立てをしているという。




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■ソファ(t.c.k.w):
特徴のある背もたれの形状をキリッと見せるために、堅めのウレタンで形状を作り、座ったときの背当たりが不快でないように柔らかなウレタンを使用。




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■デスク(t.c.k.w)
脚部の木と天板の硝子との取り合いや、腰板のSUS鏡面のディテールなど、繊細なデザイン・納まりとなっている。


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■スクリーン(t.c.k.w)
オーガンジーの生地に、オリジナルデザインの和紙パターンを圧着した素材。
和紙特有の繊維がオーガンジーの無機質な素材と合わさり、手作りの味わいを感じさせる仕上がりになっている。



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■木製チェア
木製家具の中でも椅子やテーブルは脚モノとして分類されている。
製作する職人は脚モノに特化しており、座り心地や張りの工程も踏まえた製作方法を考えることが必要とされる。

図面だけでは表しきれない、3次元の家具なので、長年の経験とデザインを理解する能力、そして機能を含めた知識を合わせた作品となっている。



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■ワークエリア
壁廻りは、日本建築のエレメントをモチーフに、庇(黒)や柱(木)で構成。
デスクは6人掛けのユニットが中心となっている。



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■会議室
行灯をモチーフにデザインされ、幽玄な場所、壁の境界をあいまいにするため、ガラスで浮いている様を表現している。



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■会議室テーブル(t.c.k.w)
様々な素材が融合しているこのデスクは、木工・金物・硝子などの職人と、絹布紙・ホログラムシートの新旧の表面仕上げ素材とのコラボレーションした家具。

多くの職人技・素材が1つの家具として成り立つこの家具は、技術を束ねるというt.c.k.wの得意な分野が発揮されている1つの作品と言える。



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■窓沿いの会議室
日本建築のエレメントをモチーフに、庇(黒)や柱(木)によって構成。


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■斜め線状のフィルムは光の入射角によって色が変わる偏光フィルム。
うつろいゆく景色もまた、幽玄の表現の一つだという。


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☆☆☆やんジーのつぶやき
うつろいゆく幽玄の世界に意識を集中させ、明日の日本の未来を創り出してもらいたい。
トランプ大統領の施政方針演説後、1月のPCEの伸びは市場予想には届かなもののISMの2月の製造業景気指数は57.7と市場予想を上回ったという。
優れた環境で生み出される「クールジャパンファンド」に大いに期待したい。


















































































by my8686 | 2017-03-02 08:53 | 挑発する建築&空間 | Trackback | Comments(0)