2017年プリツカー賞!「建築家3人が同時受賞」を読み解く

2017年のプリツカー賞が、スペインの建築家ラファエル・アランダ氏、カルメ・ピジェム氏、ラモン・ヴィラルタ氏に決まった。
同賞を主催するハイアット財団が3月2日に発表した。

プリツカー賞は建築界のノーベル賞ともいわれ、日本人(ユニットを含む)では、これまで丹下健三氏、槇文彦氏、安藤忠雄氏、SANAA、伊東豊雄氏、坂茂氏が選ばれてきた。

2017年のプリツカー賞を受賞した3人のスペイン人建築家。





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左から、ラファエル・アランダ氏、カルメ・ピジェム氏、ラモン・ヴィラルタ氏




3氏は1988年にスペイン・カタルーニャ地方のオロットで設計事務所「RCRアーキテクツ」を設立。
以来、共同で建築をつくり出してきた。3人の建築家が同時に受賞するのは、17年に39回目を迎えるプリツカー賞では初めて。

財団の発表によると、選考理由についてトム・プリツカー会長は次のようにコメントした。

「3氏は、共に活動することでそれぞれの領域をはるかに超えた作品を世に送り出してきた。それぞれの施設特有の環境条件とその土地の固有性を強く関連付ける彼らの作品は、3氏の手法が真に溶け合った証しだといえる」

アランダ氏は61年生まれ、ピジェム氏は62年生まれ、ヴィラルタ氏は60年生まれで同世代だ。
ともに87年、ヴァリェス建築学校(ETSAV)で建築学士を取得後、88年にスペインのオロットに共同で設計事務所を設立した。




■欧米各国で高い評価

3氏が手掛けた建築はスペインにとどまらず、欧米各国で広く評価を受けている。

2005年にカタルーニャ建築賞を受賞後、08年にフランス文化省から芸術文化勲章(シュバリエ)を受章。10年に米国建築家協会(AIA)の名誉会員、12年にイギリス王立建築家協会(RIBA)の国際フェローとなり、15年にフランス建築アカデミーゴールドメダルを受賞した。
さらに3氏は、13年にRCR BUNKA財団を設立。社会を通じて建築、景観、芸術、文化の支援に取り組み始めた。日本では10年にギャラリー・間での展示会に参加している。



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今回は、3氏が約30年にわたり、それぞれに公平な責任と役割をもって創作活動に貢献したことをたたえ、3氏の個人での同時受賞となった。スペイン出身の同賞の受賞者は、1996年のラファエル・モネーオ氏以来、2回目となる。

2017年の受賞者に選ばれたことについて、ピジェム氏は次のようにコメントを発表した。

「大変な喜びとともに、大きな責任を感じている。あらゆるプロジェクトにおいて共に活動してきた私たちが、このたび3人のプロフェッショナルとして認められ、感激している」



■鋳造所を改造した3氏のオフィス

地域に根差して活動しつつ、世界で広く活躍する――。
3氏の姿はまさにグローバリゼーションが当たり前となった現代を象徴する建築家像といえるだろう。

審査では、リサイクルされた鉄やプラスチックなどの素材を創造的かつ幅広く利用することで、普遍的な独自性を発揮している点も評価された。その例に挙げられた建築が、3氏のオフィスである「Barberí Laboratory(バルベリ・ラボラトリー)」(07年完成)だ。


20世紀初頭の鋳造所を改造してつくられた「バルべリ・ラボラトリー」は、RCRアーキテクツのオフィスとして使われている。3氏が働くのは大テーブルのある図書室。何時間も続く議論にも、うってつけの場所。




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庭の隠れた場所にあるパビリオン(展示室)。中央にある鉄製のテーブルは必要な時にせり上がり、ときには低くなって床の一部にもできる。



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財団の発表によれば、グレン・マーカット審査団長は次のように評価している。
「素材の融合によって確かな力強さと明解さを建物に与えられるということを、3氏は証明した。この3人の建築家による共同制作は、詩的なレベルに達する妥協のない建築を生み出している。過去に対して大きな敬意を払う一方、現在と未来の明確さを映し出す、時代を超越した仕事であると示している」




■欧州に広がる代表的な建築を写真で紹介

17年のプリツカー賞審査団の講評について、財団は次のように発表した。「グローバリゼーションによって、地域固有の価値観や芸術、あるいは独自の習慣が失われてしまうのではないかと懸念する人がますます多くなっている。3氏は、それらの両立が可能かもしれないということを我々に気付かせてくれた」

さらに、こう続く。「この命題の答えは『二者択一』ではなく、少なくとも建築においては両方を望めるということを、最も美しく詩的な方法によって示している。両方とはつまり、場所にしっかりと根差した我々のルーツと、未知の世界に向けて伸ばす我々の腕のことである」

3氏が手掛ける建築は、初めこそスペインのカタルーニャ地方が多かったが、いまや欧州に広がる。



「ベルロック・ワイナリー」(スペイン・ジローナ・パラモス、2007年完成)。ブドウ畑と森に囲まれた場所にあり、ランドスケープと建築が一体的に計画されている。写真はワイナリーからテイスティングルームに向かう部分。



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「ベルロック・ワイナリー」の外観。ワインセラーの上に覆いかぶさる形でブドウ畑が広がる。歩道部分には、斜めのリサイクル鋼板の屋根が続き、自然光が差し込むようにスリットを入れている。




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J.プイグコルベ氏との共作である「ペティ・コンテ幼稚園」(スペイン・ジローナ・ベサル、2010年完成)。約1000m2に80人ほどの子どもたちが入る規模だ。写真は庇の下で遊ぶ子どもたちの様子。




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「ペティ・コンテ幼稚園」の外観。一部は構造体にもなっている垂直のチューブが連なり、巨大な色鉛筆が建物を囲むようなカラフルな外観をつくり出している。



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■フランスでは13世紀の城を芸術と食の施設に

「ラ・キュイジーヌ芸術センター」(フランス・ネーグルペリス、2014年完成)。フランス南西部で13世紀に建てられた城を改修し、アートと食の分野に特化した文化施設を設計した。



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「ラ・キュイジーヌ芸術センター」のエグシビション・スペースへと続くキッチン。奥には小さなオーディトリアムが配置されている。



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G.トレグエット氏と共作したスーラージュ美術館(フランス・ロデズ、2014年完成)。写真はエントランスを含む外観。



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プリツカー賞の授賞式は5月20日に、東京都港区の迎賓館赤坂離宮で開かれる。









☆☆☆やんジーのつぶやき
建築界のノーベル賞ともいわれるプリツカー賞。
その受賞理由に毎年瞠目してしまう。
世界に目を見開き、その受賞作の探訪旅行など、してみたいものである。



























































































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by my8686 | 2017-03-21 13:34 | 挑発する建築&空間 | Trackback | Comments(0)

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