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「ゴーン流経営、ほころび 日米向け増産が裏目 無資格検査」を読み解く

倒産寸前だった日産自動車をV字回復させた実績をテコに、業績の数字を追い続けてきた「ゴーン流」の経営。

そのひずみが生産現場にたまり、無資格検査問題として噴き出した。きっかけは、世界首位を目前にした米国と日本市場での攻勢だったという。



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あらためて、この内容を読み解いてみよう。


「工場を将来どうするかは、品質向上とコスト削減にどれだけ真剣に取り組んでいるかによる」。

2016年10月24日。日産社長だったカルロス・ゴーン氏は、小型車「ノート」のハイブリッド車(HV)の生産を機に追浜工場(神奈川県横須賀市)を訪れ、そう強調した。

仏ルノーも含めた工場間でコスト削減を競わせ、安い工場でつくるのがゴーン流。追浜も主力車種をタイに移され、閑散とした時期が続いた。




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潮目が変わったのが15年末のノートの移管決定だ。
日産経営陣は、SUVの人気で伸びる米新車市場での勝ち残りをかけ、米国向けの増産を決定。

16年、日産九州(福岡県苅田町)でSUV「ローグ」の生産を始め、日産車体九州(同)でSUV「アルマーダ」の増産に入った。日産九州のノートは追浜に移し、国内各工場から日産車体九州へ応援の人手を出すよう求めた。





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ノートには「打倒トヨタ」の戦略も込めていた。

日産はトヨタ自動車が強いHVで引き離され、国内販売では5位が定着。HVを追加したノートで巻き返しを図り、増産を進めた。

こうした戦略は当たったかに見えた。ノートは16年11月、月間の国内販売で日産車として約30年ぶりに首位に立つ。燃費不正問題を機に傘下に収めた三菱自動車を加え、日産三菱・ルノー連合は17年上半期の世界販売でも頂点に立った。





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■効率優先、現場に負担

しかし、日産が国土交通省に提出する最終報告書で明らかにしたのは、本社が数字を頼りに決めた効率最優先の生産計画が、現場に負担を強いていた実態だ。

日産は増産に向け16年6月、期間従業員も正規の「完成検査員」に任命できるよう規定を改めた。追浜工場などでは多数の期間従業員を雇ったが、それでも間に合わず、完成検査員の不足が常態化していった。





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期間従業員を完成検査員にするには相当の期間、つきっきりの指導が必要で、先輩格の従業員に負担がかかる。

栃木工場(栃木県上三川町)では、団塊世代の退職でベテランが少なくなっていたこともあり、このころから完成検査員になる試験でのカンニング行為が横行し始めた。

工場では、無資格検査について「現場限りの話にすればいい」(日産九州)などと内輪で判断し、同じ工場の管理層すら把握していなかった。

17年4月から社長に就いた西川広人氏や、会長として留任したゴーン氏ら経営陣は第三者調査に対し、いずれも「知らなかった」と説明。




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それでも、「現場が本社からあらゆる意味で遠く離れていた」(第三者報告)組織を生んだ経営陣の責任は重い。拡大路線は、17年からの米国市場の減速で勢いが落ちた。売り上げの割にもうけが増えない局面ともなっている。

無資格検査問題で国内販売も大きく落ち込む。V字回復の「神話」を支えとしてきたゴーン流経営は転機を迎えつつある。






☆☆☆GGのつぶやき
成果主義の顛末が透けて見えてくる。
右肩上がりの業績結果が最優先される企業体質には、必ず落とし穴が待ち受けている。
製造現場を熟知した経営者ならば、こうした変化に極端に敏感に反応する。
現場を四六時中嗅ぎまわっていると、動物的勘が研ぎ澄まされていくのである。
ゴーンには、数字しか頭になかったとしか思えない。
名車を生み出してきた「ニッサン」を潰してしまうのも、このゴーン流経営であろう。
また、ひとつ日本の誇りである宝が消えていくのは、辛い。






































































































by my8686 | 2017-11-17 11:23 | ヘビーな話は、謹んで | Trackback | Comments(0)