ニュース雑誌「タイム」などを手がける米出版大手タイムは26日、米メディア大手のメレディスに約28億ドル(約3100億円)で身売りすると発表した。
政治や経済、文化にわたる質の高いジャーナリズムを売りにしてきたが、読者がデジタル媒体に移るにつれて業績が悪化。買収額は負債の引き受けを含めた総額で、買収報道が出る直前のタイムの株価に46%上乗せし、来年3月までに手続きを終えるという。両社の2016年の売上高は合計48億ドル(約5300億円)。
タイムは「フォーチュン」や「ピープル」などの著名雑誌も発行し、世界で約60ブランドを展開する米出版界の老舗である。14年にタイム・ワーナーから分離独立し、新興ネットメディアの攻勢に押され、減収基調だったという。
「タイム」と言えば、その年で最も活躍した人物を決定する「パーソン・オブ・ザ・イヤー」が印象的だ。
あらためて、その内容を読み解いてみよう。
1983年1月3日にコンピュータが「マシーン・オブ・ザ・イヤー」と認められた。
1989年には“危険にさらされた地球”が「プラネット・オブ・ザ・イヤー」と名づけられた。
1999年にはアルバート・アインシュタインが「パーソン・オブ・ザ・センチュリー」に選ばれた。
時折、嫌疑のかかった独裁者や主戦論者が選ばれるため論争となるが、良かれ悪かれ、その年のニュースで最も話題をさらった人物が選ばれている。
それが必ずしも名誉または報酬であるとは限らなず、過去にアドルフ・ヒトラーとヨシフ・スターリンのような人物も「マン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれている。
フィリピンで民主主義を回復させ、スピーチをアメリカの連邦議会に印象付けたコラソン・アキノも「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた。
2006年のパーソンは「You(あなた)」が選ばれたが、概念が創造的であると考える人がいた一方、その年の実在の人物を望んだ人もいたという。またベネズエラのウゴ・チャベス大統領であると述べた人もいる。
2009年はバラク・オバマが選ばれ、次点はサラ・ペイリンであった。
☆☆☆GGのつぶやき
「タイム」の表紙を飾った日本人としては、ソニー創業者の盛田昭夫氏が印象深い。
タイムの表紙デザインを興味深く見分してきた我々世代にとっては、今回の身売り劇を複雑な思いで受け止めている。米出版界にもいよいよ世代交代の波が押し寄せてきたのだろうか。