ディオールTシャツ「We should all be feminists」を読み解く

ナイジェリア出身の女性作家チママンダ・ンゴズィ・アディーチェの「We should all be feminists」と題したスピーチをクリスチャン・ディオールがTシャツにあしらい注目を集め、スピーチは日本でも書籍化された。

「フェミニスト」という言葉に抱かれがちなイメージをしなやかに切り崩すメッセージは、新たなフェミニズムの源流になるのだろうか。




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あらためて、その内容を読み解いてみよう。


■解放感、従来イメージ崩す
スピーチは「男も女もみんなフェミニストでなきゃ」(河出書房新社)として先月出版され、東京・下北沢の本屋B&Bで20日、訳者のくぼた氏と作家・星野智幸氏の対談があった。

星野さんはこの本を「ユーモアと読んだ時の解放感に満たされる」と評し、くぼたさんは「アディーチェの魅力は排他的じゃないこと。(意見が)ぶつかった人を排除しない」と話した。
アディーチェは自身を男嫌いではなく、自分のためにハイヒールをはく「ハッピーなアフリカ的フェミニスト」と表現する。個人的体験を交えながら、自身のフェミニストの定義は、性別を問わずジェンダー問題を認識し「改善しなきゃね」と思う人だと伝える。



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高校教諭の浅野泰弘氏は、フェミニズムについて「構えるものじゃなくて、普通に誰もが関わっていくことだと感じた」。対談を企画した寺島店長は「ジェンダーの問題に気付いていなかった人で、この本を読んで『あっ!』と思う人がいっぱいいるはず。そういう人が声を出せるようになったら」と話す。





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紀伊国屋書店新宿本店の梅崎実奈氏は店のツイッターで「とにかく読んでくれと走り叫んで回りたい」とつぶやいた。「アディーチェはフェミニストという言葉にハッピー・フェミニストという言葉を重ね、手あかのついた言葉を言葉によって変えた」と梅崎さんは言う。



■性差超えるファッション界
ファッション界では今、ジェンダーレスの表現が急速に広がっている。昨秋発表されたクリスチャン・ディオールの2017年春夏コレクションでは、アディーチェのスピーチのタイトルが胸に描かれたTシャツが登場、会場に衝撃が走った。伝統と格式を重んじる仏老舗ブランドがそのような社会的メッセージを発信するのは異例だからだ。

先月来日したディオールで初の女性デザイナー、マリア・グラツィア・キウリは「ブランドのフェミニンな特徴を継承するためには、新しいフェミニズムについて考える必要があった。ファッションという道具を使って、女も男も一緒に議論する場を作る責任を感じている」と語った。





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世界でフェミニズムを訴えるデモ「ウィメンズマーチ」などでセレブらがこのTシャツを着て話題に。「女性は今、自然な自己表現のために服を着たいと願っている」とキウリ。

17年秋冬では、伊ヴェルサーチのデザイナーが自ら「平等」などの言葉入りの服を着て登場。英バーバリーの昨秋のショーでは、両性具有者が主人公のバージニア・ウルフの小説「オーランドー」がモチーフだった。婦人服と紳士服の新作を同じショーで発表するブランドも増えている。フェミニズムが向かうべき相手は、ジェンダーの垣根の向こう側の男性ではなく、垣根そのものだということのようだという。




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■新たな道、指し示す
河野真太郎・一橋大大学院准教授(英文学)の話では、アディーチェは反対や断罪といったイメージを与えられがちな「フェミニズム」をしなやかに切り崩し、ジェンダーの公正を願う全ての人々が参加できるやわらかな意味にしている。

男性中心的な体制を変えることなく、その中で女性の権利や地位を言い訳的に認めるようないわば簡易的なフェミニズムは慎重に否定しながら、女性性と商業化を頭からは否定しない新たなフェミニズムの道を指し示している。




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またアディーチェはファッションがジェンダー化の強力な装置であり続けてきたことも指摘する一方、自らの装いやメディア露出によって、「装う」ことは女性自身のためのものだという自信と解放感を与えてきた。それゆえ、ファッションがジェンダーの制度を切り崩す最前線にもなり得ることを示唆してもいる。





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☆☆☆やんジーのつぶやき
新たなフェミニズムの道。
それが人類の夜明けにつながる道なのであろうか。
マリア・グラツィアのメゾンのヘリテージを辿る旅では、1951年にクリスチャン・ディオールが発表した“オーバル”ラインのインスピレーション源となった「ラスコーの壁画」まで遡った。
もし仮に、今の中東の紛争の源にまで辿る旅に出ることが可能ならば、そこから世界を修復する力をファッションは持つことができるだろうか。





































































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by my8686 | 2017-05-24 14:46 | デザインに何ができるか | Trackback | Comments(0)