カテゴリ:ぶらぶらアート観賞( 59 )

ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」を読み解く

生憎の曇り空の日曜日。今にも泣きだしそうな空模様である。
お楽しみのロードバイクランはお預けするしかなさそうである。


そんな雨の日には、イタリア・ルネッサンス期の1483年頃に描かれた古き名画、ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生:La nascita di Venere」を観賞してみよう。



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帆立の貝殻に乗って、海の泡から成人した姿で誕生した美と愛の女神ヴィーナス。





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ここでは、海から生まれたヴィーナスが貝の上に乗り、風に運ばれてギリシャの理想郷ヘスペリデスの果樹園に辿り着く場面が描かれている。





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向かって左側で抱き合っている二人の人物は、西風の神ゼフュロスとその妻である花の神フローラ。





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ゼフュロスは強い風を、フローラは温かい溜息を吹きかけてヴィーナスを岸辺へと運んでいる。





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向かって右側の岸辺でヴィーナスを迎えるのは季節の神ホーラー。





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ホーラーが身に纏っている服にはヤグルマギクの、ヴィーナスに差し出しているマントにはヒナギクの刺繍が施されている。





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愛の神ヴィーナスの甘美な姿を描いたこの作品の大きなテーマは、愛と美であると考えることができる。
ヴィーナスを運ぶゼフュロスとフローラも、情熱的な恋を実らせて結ばれた夫婦だ。





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☆☆☆GGのつぶやき
温かい風や季節の神ホーラーの服の刺繍は、美しい春のイメージを想起させてくれる。
春は誕生の季節であり、また恋の季節であるという発想は、現代の日本で生活している我々にも共通する感性であろう。









































































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by my8686 | 2017-10-15 14:36 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)

敬老の日に「怖い絵」を読み解く

敬老の日の祭日の朝。
昨夜は、台風18号の被害もなく静かに熟睡のできた夜であった。
普段閉じもしない雨戸シャッターを、台風避けに閉めたのがその要因のようだ。

完全な暗闇となった寝室も悪くはない。
そんなことを思いながら、いつものデジタル新聞を斜め読みしていて目にとまった一枚の絵。




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ロンドン・ナショナル・ギャラリーの至宝《レディ・ジェーン・グレイの処刑》の絵である。


「恐怖」に焦点を当て、絵画の時代背景や物語から絵画を読み解いていく中野京子のべストセラー本『怖い絵』の展覧会が、10月7日(土)〜12月18日(日)に上野の森美術館にて開催されるという。





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あらためて、その内容を読み解いてみよう。



1章 神話と聖書

人間に抗うことのできない超越的な力や摂理を抽出した神話や聖書の世界。
神の意志や気まぐれに翻弄される人間の悲喜劇を垣間見る。



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2章 悪魔、地獄、怪物

人間を堕落させ悪の道へと誘う悪魔。
近代にまで命脈を保ったその悪魔や地獄の世界を垣間見る。



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3章 異界と幻視

日常生活の自明性を脅かすさまざまな異界を垣間見る。




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4章 現実

人間が普遍的に恐怖する「死」の世界。
「死」にいたらしめる「老い」や「病魔」「犯罪」「戦争」。
様々な悪弊や不条理といくつもの闇を垣間見る。




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5章 崇高の風景

「崇高」の美学の背後に隠された不安や恐怖の感情を垣間見る。



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6章 歴史

繰り返される歴史の栄枯盛衰の中に人間の儚さを垣間見る。




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☆☆☆GGのつぶやき
人間の感じる「恐怖」もさまざまである。
敬老の日にあらためて「怖い絵」を読み解くも一興。
午後からは、いつものコースをロードバイクで快汗しよう。









































































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by my8686 | 2017-09-18 11:38 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)

米国の刺激的なフェスティバル「バーニングマン2017」を読み解く

本拠地での胴上げは、夢と消えたマツダスタジアム。
引き分け以上で二連覇のできた広島カープだが、勝負の難しさを思い知らされた昨晩である。


台風18号が接近する今朝は、「バーニングマン 2017」の模様を読み解いてみよう。



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米国ネバダ州ブラックロック砂漠で毎年開かれている芸術と音楽のフェスティバルである。





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今年8月27日から9月4日まで行われた。
今年も砂漠に多くの芸術作品が並び、音楽をはじめとしたさまざまなイベントが開かれた。





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期間中は、約7万人が展示やイベントの参加者として砂漠に集まったという。






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今年のテーマは「Radical Ritual」。
直訳すると「根源的な儀式」。





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砂漠に期間中だけ登場する「ブラックロック・シティ」には、メーンパビリオンとして、「(他人に)寛大な態度」など、さまざまなものを祀った20の社が建てられた。





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そのほかにも、広い砂漠を展示スペースとして、大小のアート作品が立ち並び、参加者たちは自転車に乗って、目当ての展示を見に出かけた。






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壮大な祭りの終わりには、イベント名「バーニングマン=燃える男」にある通り、「The Man」の像が燃やされる。





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他の作品もすべてが片付けられ、砂漠の蜃気楼のように、姿を消す。






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世界にも類のない大規模なアートイベントといえよう。





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☆☆☆GGのつぶやき
日本では瀬戸内海に浮かぶ直島や犬島、豊島などでアートイベントがある。
しかし、ここまで大規模なものはまだしらない。
日本にも鳥取砂丘という素晴らしいロケーションの地がある。
砂丘の蜃気楼のように、姿を消す「芸術と音楽のフェスティバル」などあってよい。



















































































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by my8686 | 2017-09-17 09:17 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)

「モナ・ハトゥム展 痛みを普遍化する力」を読み解く

北朝鮮による6回目の核実験を受け、米ホワイトハウスのサンダース報道官は5日の記者会見で「全ての選択肢がテーブルの上にある」とした上で「北朝鮮との対話に焦点を当てて多くの時間を費やす時ではない」と言及。

サンダース氏は「米政府の優先事項は朝鮮半島の非核化と米国民を守ることだ」と説明。外交、経済の手段で北朝鮮に圧力を強める方針を強調した。



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さらに、中国とロシアを名指しした上で「皆がこの脅威にもっと取り組む必要がある。地球規模の脅威だ。北朝鮮に圧力をかけることに参加する必要がある」と訴えた。

北朝鮮への対応を巡っては、トランプ大統領が北朝鮮と取引をする国との貿易を停止する考えを表明するなど強硬姿勢を示している。




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そして、ロシアのプーチン大統領は、6度目の核実験を強行した北朝鮮に対し新たな制裁を科すよう求める米国の呼び掛けをいま一度拒否した。
北朝鮮への制裁強化に抵抗を示す中国と、歩調を合わせた格好になる。




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プーチン大統領は制裁を「無益で効果がない」と批判。国際社会は北朝鮮に制裁ではなく、安全保障の確約を与えるべきだと主張。 

新興5カ国(BRICS)首脳会議が開かれた中国・福建省アモイで、プーチン大統領は5日に記者団に対し、「安全を約束されたとの感触を得ない限り、北朝鮮は草を食べることになっても兵器開発をやめないだろう」と述べた。

戦争ヒステリーをあおり立てる政策が高じれば、「世界的な破滅と甚大な数」の人的被害に至りかねず、「北朝鮮の核問題では平和的、外交的解決以外に道はない」と続けた。



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もつれあう北朝鮮問題だが、地球的規模の破壊だけは避けてほしい。

緊迫した世界情勢のなか、モナ・ハトゥムの日本初の本格個展が目にとまった。
現在、広島市現代美術館で開催されている。




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あらためて、その内容をみてみよう。


世に「社会派」と呼ばれる美術家は多い。モナ・ハトゥムもその一人といっていい。
ヒロシマ賞受賞を記念する日本初の本格個展を見るとしかし、彼女はただ単に社会的な事象を扱っているのではないと分かる。造形を通じての優れた「普遍化力」に、驚かざるをえない。

例えば、黒い鉄製のベッドやついたてが置かれている。だがそれはよく見ると、巨大なおろし金だ。見ているだけで、痛みが実感できる。知的なひねりによる、いわば視覚の触感への転化。いずれも日常的な存在であり、だからこそ、心理的、生理的な痛みが社会や家庭の日常に潜むことが、広く共有される。



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ハトゥム自身は、パレスチナ人の両親のもとレバノンに生まれ、英国旅行中の20代のときに、レバノン内戦のために帰国できなくなった経歴を持つ。そうした重い経験が表現の根っこにあることは間違いない。

出品作を見ると、1980年代までは、自身と遠方に暮らす母親との距離を映像化したり、失業者問題を扱う路上パフォーマンスをしたり、「身体」を起点に、社会の矛盾や抑圧を直接訴えるような表現である。



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90年代以降の作品では、より普遍的な伝達力を備えた立体になってくる。
「立方体(9×9×9)」(2008年)もその一つ。ジャングルジムのようなグリッド状の立体は、有刺鉄線でできている。それに気づけば、ここでも痛みが伝わり、全体は身体を拘束する牢獄にも見える。



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一方、グリッドは近代の透視図法や建築空間を暗示し、表現の純粋性を求めたミニマルアートへの言及にもなっている。
痛みの表現を、日常的な存在だけでなく、文化や美術史に向けても普遍化させている。




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もう一つ、大きく貢献しているのが、造形的な「美意識」。
金属でも、ガラスでも、自身の爪や毛髪を使っても、端正にして、詩的。ヒロシマを題材にした新作でも、それは同じだ。




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会場では、身体、知性、日常や歴史、そして美意識を総動員した普遍化の力に圧倒される。





☆☆☆GGのつぶやき
プーチンの言う「世界的な破滅と甚大な数の人的被害」という言葉に思いが過る。
72年前のヒロシマの破滅状態。そしてその地獄絵図。
ヒロシマの原爆の数百倍・・・いや想像を絶する破滅に至った時、人間の力では誰にも修復することはできない。






































































































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by my8686 | 2017-09-06 16:38 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)

日曜日の午後は「Jasper Johns」を読み解いてみよう

昼前から市内の「安芸茶寮」で次男を交えランチする。
昨日は、一気に暑さが増した。梅雨空から一気に好天に変わり、2週間ぶりにロードバイクランを楽しむ。熱く噴き出す汗を風で吹き飛ばす夏特有の快感を堪能した。



さて、日曜の午後は昨日に続きポップアート「ジャスパー・ジョーンズ」の作品を観賞してみよう。

ロバート・ラウシェンバーグとともにアメリカにおけるネオダダやポップアートの先駆者とされる代表的な作家である。



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古代の絵画技法であるエンカウスティークというユニークな技法が用いられ独特のメチエが表出している。





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3年前、米ニューヨークで開催された競売大手サザビーズオークションで、代表作「Flag」が、3600万ドル(約41億6300万円)で落札されたことは記憶に新しい。





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米国旗をモチーフにした縦30センチ、橫45センチの1983年の作品である。







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予想落札価格の2000万ドル(約23億円)を大きく上回った。







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ジョーンズ作品でのこれまでの最高落札価格は2010年の2860万ドル(約33億1000万円)で、同じく旗をモチーフにした作品だった。







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☆☆☆GGのつぶやき
星条旗というアメリカのシンボルを平面的に物として淡々と描いた作品である。
アメリカの複雑な現実を「物」として平面に定着させた奥行のある作品といえよう。




























































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by my8686 | 2017-07-02 18:20 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)

土曜休日は「Robert Milton Ernest Rauschenberg」を読み解いてみよう

ジョン・ケージに大きな影響を受けたとされるポップアーティスト。
ジャスパー・ジョーンズとともにアメリカでネオダダの代表的作家として活躍したロバート・ラウシェンバーグ。




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学生時代、彼の「コンバイン・ペインティング」に官能が疼いたことを思い出す。

抽象表現主義風の激しいタッチで塗られたキャンヴァスにケネディ大統領やアポロ宇宙船などのイメージを貼り付けた一連の作品群である。




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今風に解釈すれば、トランプ大統領や核ミサイルがコラージュされたことだろう。





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彼の言葉に・・・


「芸術作品をつくることではなく、芸術と生活の橋渡しをすることだ」






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「芸術も生活も作ることはできない。われわれは、その間の、定義しようのない空隙で仕事をしなければならない」






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彼の一連の作品を見ていると、約5年前に探訪したカトマンズのパシュパティナートを思い出していた。






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聖河バグマティのほとりにある寺院の丘で出会った観光客目当てのヒンドゥー教行者たち。






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川岸でながめた火葬場の火が今も残像として官能を震わせる。











☆☆☆GGのつぶやき
死を静かに受け入れ火葬される時を待つ人々。
死を予感した人々が自らこの地にある宿泊施設に入るという。
日本人はいつから無駄な延命治療と知りながら薬漬けの日々を悶々と続ける国民になってしまったのか。
行き過ぎた医療保険制度が見直される時でもあろう。
潔さがこの国の美徳であった日は、過去の遺産となってしまったのだろうか。









































































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by my8686 | 2017-07-01 11:25 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)

世界最高の写真家集団マグナム・フォト創立70周年 パリ・マグナム写真展

京都文化博物館で7月から「世界最高の写真家集団マグナム・フォト創立70周年 パリ・マグナム写真展」が開催される。
本展は、2014年12月から翌年4月までパリ市庁舎で開催され、大きな反響を呼んだ展覧会の海外巡回展として企画された。





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1947年、ロバート・キャパ、アンリ・カルティエ=ブレッソン、ジョージ・ロジャー、デビッド・シーモアによって「写真家自身によってその権利と自由を守り、主張すること」を目的として写真家集団・マグナムは結成された。




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以後、マグナムは20世紀写真史に大きな足跡を残す多くの写真家を輩出し、世界最高の写真家集団として今も常に地球規模で新しい写真表現を発信し続けている。





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マグナム・フォト設立70周年にあたり、60万点に及ぶ所属写真家の作品の中から、パリをテーマにした作品約130点あまりを選び展観するもの。
芸術の都・パリは多くの歴史的事件の舞台でもあり、かつ、写真術発明以来、常に「写真の首都」でもあった。





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20世紀の激動を最前線で見つめ続け、現代においても現在進行形の歴史をとらえ続けるマグナムの写真家たちが提示する豊穣なイメージは、都市とそこに生きる人々の歴史にとどまらず、写真表現の豊かさをも我々に提示してくれる。

それと同時に、世界を発見する驚きに満ちた写真家たちの視線を追体験させてくれる良い機会となろう。



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<出品作家/30名>
ロバート・キャパ、アンリ・カルティエ=ブレッソン、デビッド・シーモア、フィリップ・ハルスマン、ハーバート・リスト、エリオット・アーウィット、バート・グリン、エリック・レッシング、インゲ・モラス、マルク・リプー、ウェイン・ミラー、ルネ・ブリ、ブルース・デビッドソン、ニコラ・ティコミロフ、セルジオ・ラレイン、ブルーノ・バルベイ、レオナード・フリード、ジョセフ・クーデルカ、リチャード・カルバー、ギィ・ル=ケレック、レイモン・ドゥパルドン、マルティーヌ・フランク、アバス、ジャン・ゴーミー、ハリー・グリエール、パトリック・ザックマン、マーティン・パー、ゲオルギィ・ピンカソフ、アレックス・マヨーリ、クリストファー・アンダーソン





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会  期:
2017(平成29)年7月1日(土)~ 9月18日(月・祝) 69日間

会  場:
京都文化博物館 4階展示室









☆☆☆やんジーのつぶやき
アンリ・カルティエ=ブレッソンは、学生時代に共感した写真家のひとりである。
ロバート・キャパも写真を通して戦争の生々しい臨場感に官能が震えたことを思い出す。
インスタグラムなどお手軽に映像として切り取られ消費されてしまう今。
そんな今だからこそ、写真家集団・マグナムの足跡を真摯に辿ってみたいと思った。








































































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by my8686 | 2017-05-22 16:15 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)

「伊藤若冲展」/相国寺承天閣美術館

いよいよGWに突入する。あいにく今日と明日は暦どうりの出勤となる。

今年のGWは、ワイフのリクエストで家のレイアウト変更に時間をさかれそうな気配濃厚。
大物の移動だけは早々と済ませ、ロードバイクで一汗流しつつスーパー銭湯三昧にあけくれるも一興か。

それはさておき、京都にある相国寺承天閣美術館で「伊藤若冲展」が開催されているという。




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あらためて、その内容をみてみよう。

生誕300年の去年、東京では長い行列ができた若冲。
信心深い彼は京都・相国寺の大典和尚と親しく交わり、禅の教えを乞うた。そのため、相国寺には若冲作品が多く残る。




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開催中の「伊藤若冲展」後期展示は酉年にちなんで若冲が特に愛した鶏を始め、鶴や鴨、叭々鳥などさまざまな鳥の豊かな表情を描いた作品を展示。
中でも初公開の《鸚鵡牡丹図》《岩上鷹図》が注目だという。




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鳥の他にも薄墨の間に白い線が浮き出る「筋目描き」が美しい《牡丹図 南海賛》などが初公開される。





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床の間など若冲の空間が見られる常設の重文《鹿苑寺大書院旧障壁画》も忘れずに見たい。





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さらに、若冲と相国寺との関係性を読み解いてみよう。



若冲の手になる鹿苑寺大書院襖絵全五十面のうち「葡萄小禽図」と「月夜芭蕉図」が、製作当時と同じ、床の間貼り付けの状態で常設展示されている。
この相国寺という寺なくしては、伊藤若冲という絵師の活躍はなかったと言われる。

鹿苑寺大書院襖絵は、若冲の知人であった相国寺僧・梅荘顕常が、鹿苑寺第七世住持入寺の記念として、当時四十四歳の若冲に書かせたもの。
ただこのときの若冲は、生家の家督を捨ててわずか四年目。画家としての公的なキャリアが皆無の男に、これほど大部の襖絵を依頼するのだから、梅荘顕常が若冲に寄せる信頼が、如何に大きかったかが知れる。

そして実際に承天閣美術館で「葡萄小禽図」と「月夜芭蕉図」の前に立ったとき、我々は梅荘顕常の慧眼とそれに全力で応じた若冲の筆力に、感嘆せずにはいられない。
自由奔放にしなう葡萄の蔓は、息を呑むほど美しい弧を描き、巨大な月は我々の前に澄み切った夜気を突如、現出させる。




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この作品を若冲の水墨画の最高傑作と考えることに異論はない。
さらに水墨画のみならず、若冲の彩色画の最高傑作たる「動植綵絵」三十幅もが、完成後、相国寺に奉献された事実を考え合わせると、この寺が如何に若冲の画業と不可分の存在であるかを、改めて考えずにはいられぬ。

明治期の廃仏毀釈の際、相国寺は「動植綵絵」を皇室に献上するのと引き換えに一万円を下賜され、それによって現在の寺地を守った。いわば相国寺なくしては若冲ありえず、若冲なくしては相国寺はありえない。
現在、我々が目にする相国寺の威容と鹿苑寺大書院襖絵は、両者の深い紐帯のシンボルとも言える存在といえよう。





DATA
京都市上京区今出川通烏丸東入ル
Tel. 075-241-0423
~5月21日 
10:00~17:00 会期中無休
一般¥800
www.shokoku-ji.jp









☆☆☆やんジーのつぶやき
長男の大阪転勤にともない関西方面へのドライブも増えてこよう。
大阪~京都へは、またじっくりと探訪してみたいものである。



























































































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by my8686 | 2017-05-01 17:24 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)

「グラナダ 魂の画譜 戸嶋靖昌 孤高のリアリズム」に触れる

予報どうり雨の日曜日となった。映画から帰宅後、先週気になった画家の戸嶋靖昌を特集していたTV番組のことを思い起こしていた。

スペイン・グラナダで生涯、独自のリアリズムを追求した知られざる日本人画家、戸嶋靖昌。





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清貧な生活の中で人間の魂を描き続けた戸嶋芸術に迫った放送である。






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その絵画には人間の魂を強く感じさせる圧倒的な存在感がある。





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戸嶋は40歳の時、スペインに渡る。





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プラド美術館のベラスケスの芸術に出会い、人間の生命感あふれる絵画はいかにすれば描けるのかを探求。





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グラナダの人々との交流の中から、魂の気迫に満ちた作品を生み出した。






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圧巻の戸嶋芸術の魅力に迫る。








☆☆☆やんジーのつぶやき
映画「スノーデン」を観終わったあと、無性に戸嶋靖昌の絵画が観たくなった。
なんら因果関係はない。なにか魂を揺さぶる気迫に触れたくなったのだろうか。
後日、このことを読み解いてみたいと思った。

































































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by my8686 | 2017-02-05 18:56 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)

北斎の肉筆画「鶏竹図」発見を読み解く

12月30日。午後から大掃除をする。
あらかたワイフが年末から数日をさいて掃除をすすめてくれていたおかげで数か所ですむ。

電気炬燵本体の分解掃除をすませ、包丁を砥ぐ。
そのあとは、台所壁面に固定した扇風機の配線処理。さらに、スチームクリーナーを使って風呂の洗浄。

こうした掃除は、やりだすと切りがないのであるが、夕刻までしっかりと作業に没頭する。


さて、ひといき入れて新聞に目をうつすと、葛飾北斎の肉筆画「鶏竹図」が見つかったという記事が気にかかる。





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あらためて、その内容をみてみよう。

来年のえとでもある鶏が描かれており、東京の美術商が11月末、デンマークでの競売で落札した。
鹿鳴館を設計した英国人建築家ジョサイア・コンドルの旧蔵品とされ、日本では存在がほとんど知られていなかった。





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竹を背景に石灯籠の上に止まる2羽の鶏を、縦110センチ、横51センチの絹本に写実的に描いた掛け軸。
左下に「歩月老人 北斎」の落款と印がある。





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専門家は、「落款、印、画風、どれも北斎作と疑う余地はない」という。
40代の作品とみる。

「鶏と竹を描いた北斎の肉筆画は初めて見た。竹の葉の色の変化などは浮世絵にはないもので、中国系の(花鳥画を得意とする)南蘋派の描写を消化した写生画といえる。」



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「新鮮な作風で、まさに鳥の飛躍のごとく上向きに脂の乗っている時期。できは非常によく、貴重な発見だ」と評価する。





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コンドルは明治期に来日。設計活動のほか、辰野金吾ら日本人建築家を育てた。






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☆☆☆やんジーのつぶやき
鳥の飛躍のごとく上向きに来年も挑戦していきたいものである。
生きることの実感をより濃いものにする官能的な「カルチャー」、上質な「ソサエティ」をもとめて。






























































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by my8686 | 2016-12-30 18:00 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)