カテゴリ:たかが映画、されど映画( 29 )

「仏女優、ヌーベルバーグの象徴 ジャンヌ・モロー死去」を読み解く

フランス映画界を代表する女優ジャンヌ・モローがパリの自宅で死去した。89歳だった。AFP通信によると、代理人が31日、明らかにしたという。




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ジャンヌ・モローといえば、やはりルイ・マル監督の映画「死刑台のエレベーター」が強く記憶に残っている。
マイルス・デイビスのスリリングなクールジャズに痺れた時代でもある。




あらためて、振り返ってみよう。


1928年パリ生まれ。まだ20代半ばだったルイ・マル監督の「死刑台のエレベーター」(58年)に主演。愛人とともに夫を亡きものにしようとする社長夫人を演じた。




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この作品はマイルス・デイビスのジャズを使うなど斬新な手法が当時の観客を驚かせ、フランスの若手監督による映画改革運動“ヌーベルバーグ”の先陣を切ることになった。





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マル監督とは「恋人たち」「鬼火」「ビバ!マリア」でコンビを組む。62年、フランソワ・トリュフォー監督の「突然炎のごとく」では男性2人の間で揺れ動く女性の魅力を伸びやかに表現。知性と品格を兼ね備えたヌーベルバーグを代表する女優の一人に数えられた。







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スペイン出身のルイス・ブニュエル監督や米国のオーソン・ウェルズ監督など、海外の巨匠たちの作品にも出演。「雨のしのび逢い」では60年のカンヌ国際映画祭の最優秀女優賞を受けた。






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70年代には監督業にも進出。「ジャンヌ・モローの思春期」などを手がけた。






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「クロワッサンで朝食を」(12年)では、気難しい金持ちの老女を演じて日本でもヒットした。






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代表作はほかに「エヴァの匂い」「黒衣の花嫁」などがある。








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☆☆☆GGのつぶやき
フランスの若手監督による映画改革運動「ヌーベルバーグ」。
なんとも懐かしくも熱い言葉だ。
日本の若手映画監督にも多大な影響をあたえた「ヌーベルバーグ」。
ジャンヌ・モローの死にたいし謹んで哀悼の意を表したい。




























































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by my8686 | 2017-08-01 23:18 | たかが映画、されど映画 | Trackback | Comments(0)

DVD 映画「選挙の勝ち方教えます」を観る

日曜の早朝、借りてきたDVDを観る。夜深しができなくなってきた最近のスタイルである。


久しぶりにコメディ映画が観たくなり、サンドラ・ブロック主演の2015年製作アメリカ映画を選ぶ。
ジョージ・クルーニー・製作。『アルゴ』の製作スタッフが、ボリビア大統領選挙の裏側を描いたコメディドラマである。




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あらすじは、選挙戦略家という職業の女性ジェーン・ボディーンは、有能な仕事ぶりを発揮していたが、6年前にある選挙で敗戦選挙に敗れ半引退の身。そこに、カスティーヨという支持率の低い候補をボリビア大統領選挙で勝たせてくれという依頼が舞い込む。




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受ける気がなかったジェーンだが第1候補に憎いライバル・パットがついていると知り、仕事を受ける。






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レベルの低い戦いを繰り広げ、最終的にはカスティーヨが大統領へ。しかし選挙直後からデモが始まる。






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げらげらと腹を抱えて笑う系統の話ではない。どちらかというと「選挙事務所の裏側を暴いて揶揄して笑う」系統の話。





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劇場公開はされず、いきなりのDVD化された映画である。質は悪くはない。皮肉たっぷりの社会派コメディである。実際の選挙戦もこんな感じだろう。

もともとがドキュメンタリー映画の『Our Brand Is Crisis』だというから全くのフィクションではないらしい。けっこうリアリティのある地味ながら面白い話である。




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☆☆☆GGのつぶやき
この手の映画は面白くて好きだ。
それにしても、サンドラ・ブロックがいい演技している。
バスの窓からケツを出すシーンは、本人なのか?
GGながら気になるのである。



























































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by my8686 | 2017-07-30 23:06 | たかが映画、されど映画 | Trackback | Comments(0)

戦いではなく生き抜くための撤退だった「ダンケルクの奇跡」を読み解く

昨日に続き映画「ダンケルク」について政治学者・姜尚中氏のコメントを読み解いてみよう。




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――自分の命が危険にさらされるのを覚悟して、一般市民が兵士を助けに行ったというのも信じられない話です。

やはりその背景にはイギリスが民主主義の国だったというのがあります。どんな状況下にあってもディスカッションすることを忘れない、すなわち多事争論のある社会ということがイギリスの強みでした。





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当然、撤退することに批判もあったはず。でも、いったんみんなで決めたなら、一気呵成で突き進む。第一次世界大戦以降、戦争には国力がかかっていて、物量や戦力、兵士の肉体能力が大切といわれてきました。何より独裁者の命令に従えば、一糸乱れず鉄の規律は育まれるかもしれない。
しかし、最後に勝つのは多事争論の社会。それを「ダンケルクの戦い」が証明しています。私たちが見習うべき姿勢がここにあります。





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――兵士たちは戦場から逃げることになるのですが、それに対して抵抗感はなかったのでしょうか?


兵士の多くはイギリス国民。戦線に駆り出されている身とはいえ、底辺にはデモクラシーの精神が流れています。
ですから、たとえ戦って勝たなければという気持ちはあっても、ここではいったん退却することが大切なんだという個人の自由意志に基づき、チャーチルの決断に応えたわけです。
これが上からの命令に対して、自分の意思とは裏腹に渋々、という行動だったら、絶対に一致団結はできなかったでしょうね。





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――市民と兵士、国民が一丸となって、ダンケルクからの撤退を遂行したということで「ダンケルクの奇跡」と呼ばれているわけですか?

これはあくまで推測ですが、ドイツにとって最大の戦線は東側、すなわち対ソビエト戦というのがあり、それは後にスターリングラードの攻防戦になるわけですが、そこに戦力をすべて投入したいという思いがドイツ側にあったのではないか。
だから、ヒトラーが追撃を止めた瞬間があったんです。おそらく連合軍がこんなふうに大胆な撤退戦に出ると予想もしていなかったのでしょう。さらに地形的に、霧が発生するという気象条件も連合軍の追い風になった。





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つまり、イギリス国民が一丸となれたこと、さらに偶然が重なったことで40万人のうち約33万人の兵士の救出作戦を遂行できた。それで「ダンケルクの奇跡」と呼ばれているのだと思います。





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――英仏連合軍の中の、フランスの兵士たちがどうしたのかが気になります。

実はダンケルクというシンボリックな場所はイギリスにとっては、栄光を象徴する場所ですが、フランス側にとっては苦い負の遺産。フランス軍はイギリスの慈悲にすがり、船に乗り込みます。
だから、助かった兵士もいるのですが、撤退を援護するために犠牲になった兵士も何万といますし、結局、フランス軍の大部分は投降、見事に敗退してしまう。同じ連合軍でありながらも、ダンケルクに対する感情はあまりに違いますよね。





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☆☆☆GGのつぶやき
多事争論のある社会にこそ国の力が宿る。
民主主義から生まれた国と天皇立憲の国との大きな違いがここにある。
天皇のために死ぬことのできる民族と国のために撤退できる民族。
まさに根底にあるデモクラシーの精神価値の問題なのである。

























































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by my8686 | 2017-07-28 16:45 | たかが映画、されど映画 | Trackback | Comments(0)

映画「ダンケルク」を読み解く

第二次世界大戦初期の1940年5月、ドイツ軍によってフランスの港町ダンケルクに追い詰められた英・仏連合軍40万人の救出に挑んだ実話を、クリストファー・ノーラン監督が映画化した。

しかし、イギリスでは「ダンケルクの奇跡」として語り継がれるこの撤退作戦のことを多くの日本人は知らない。





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9月9日(土)からの映画『ダンケルク』日本公開を前に、世界の運命を変えた史上最大の撤退作戦が「ダンケルクの奇跡」といわれる所以、そしてこの奇跡が我々に問いかけるものとは。




あらためて、政治学者・姜尚中氏のインタビューのさわりだけでも触れておこう。


――そもそも「ダンケルクの戦い」とは何か。

1939年、ドイツ軍がポーランドに侵攻したのを受け、イギリス、フランスが宣戦布告し、第二次世界大戦が始まりました。その後、ベネルクス三国(ベルギー、オランダ、ルクセンブルク)もドイツの支配下となり、そこからフランス北部も席巻され、西ヨーロッパをめぐり、大変な戦いになっていきました。

ドイツ軍は大砲や戦車など火力と機動力を持つ機甲部隊を駆使し、ものすごいスピードで電撃戦を展開、瞬く間に英仏連合軍40万人の兵士をフランス北部の港町ダンケルクまで追い詰めます。包囲する敵のドイツ軍は倍の80万人。英仏連合軍は絶体絶命の状況に追い込まれました。イギリスが想定していた以上にドイツの軍事力は脅威だったわけです。そこでイギリスの首相チャーチルは、40万人もの兵士に「戦う」ことを強いるのではなく、真逆の「撤退」という命令を下し、全員を救出することにしたのです。





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その司令を受け、兵士たちを救うため、ドーバー海峡に浮かぶ軍艦、民間船やはしけを含む900隻ものありとあらゆる船が緊急徴用されました。それも決して強制ではなく、今でいうボランティア精神で、刻一刻と迫る敵の攻撃におびえながらも、自主的に救出に向かった船もありました。この一連の官民一体の史上最大の撤退戦こそが「ダンケルクの戦い」です。





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――イギリスの首相が「撤退」と司令したのがすごいですね。

そうなんです。ここは臥薪嘗胆、いったん「引く」という決断をよくしたと思います。それがなぜできたのか? 私は最近、イギリスの国家政治について調べているのですが、イギリスという国は戦時下においても国会を開き、選挙もしているのです。1940年当時、チャーチルは政権をとってまだ日が浅かったのですが、いろいろな意見に耳を傾け、徹底して議論する中で「撤退」という決断を下したのです。

もし、イギリスに独裁者がいたとしたら、戦果を出すため「撤退」などという不名誉な選択はせず、迷わず攻撃させていたはず。それをイギリスはしなかった。戦時中であってもなおリベラルな民主主義が生きていたというわけです。





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――では「ダンケルクの戦い」が私たちに訴えかけるものは何でしょうか?


「勇気とは何か」ということでしょうね。
猪突猛進したり、英雄的な行為が喝采を浴び、それこそが勇気ととらえられがち。でも、そうとも言い切れない。

命の尊さを第一に考えて行動することではないかと。イギリス国民は「ダンケルクの戦い」によって、一度は一敗地にまみれましたが、結果的にそれが蘇生するため、再生のための大きなきっかけになりました。





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また、敵を傷つける多くの武器をイギリスは失いましたが、未来を担う若者たちを帰還させたことによって、歴史を変えることができました。

この実話は現代を生きる私たちにとても大切なことを再発見させてくれます。





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☆☆☆GGのつぶやき
「戦争」から教わるものは計り知れない。
極限状態で人間はどう生きるべきなのか、どう判断すればよいのか。
第二次世界大戦の最中に、この日本においてもリベラルな民主主義が生きていれば、広島、長崎への原爆投下などという負の遺産は生まれてはいなかったであろう。
平和ボケした日本人が、今もっとも真摯に考えるべきことのように思える。



























































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by my8686 | 2017-07-27 17:24 | たかが映画、されど映画 | Trackback | Comments(0)

「ブランデッドムービー(BM)が国際映画祭で表彰」を読み解く

企業が自社のブランドイメージを高めようと、PR色を控え、ストーリー性を重視して制作する短編動画「ブランデッドムービー(BM)」が注目され、インターネットの動画サイトを舞台に、ベテラン監督ばかりでなく、デビューをめざす若手監督が腕を磨く場にもなっているという。



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あらためて、その内容を読み解いてみよう。


まばゆい照明に照らされたサッカースタジアム。キーパーをかわしてシュートを放った瞬間、映像はゴールに歓喜する世界各地のファンの表情に。クリスティアーノ・ロナウドら人気サッカー選手のプレーとその人生の一場面、試合展開に一喜一憂する人々の表情が巧みに切り替わる。3分間の映像の最後に、スポーツ用品メーカー・ナイキのロゴが表示された。




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同社が2010年、サッカー・ワールドカップ南アフリカ大会に合わせて制作した動画広告「Write the Future」。米アカデミー賞やカンヌ映画祭で監督賞を受賞したアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督が手がけ、配信開始から2日間で1200万回以上再生された。





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同作は先月7日、都内と横浜で開かれたアジア最大級の国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」でも、世界で最も話題となったBMの一例として紹介された。同映画祭では昨年から、宣伝目的で制作された短編映像の中から、オリジナリティーやストーリー性などの七つの基準を満たした国内外の作品を上映。「Branded Shorts」部門を設けて優秀作を選び、表彰している。





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俳優で同映画祭代表の別所哲也は「ネットによる映像配信の普及で、企業が映像でより深いメッセージを発信するようになった」と説明。監督デビューをめざす若手の作品が世界中から寄せられるといい、「商品ではなくメッセージを伝えるBMなら、クリエーターとしての才能が発揮できる。評価の場を作ることで広告業界と映像業界の懸け橋になれば」と語る。



■商業映画に進出の若手も

IT大手サイバーエージェントが運営する「オンラインビデオ総研」によると、15年に535億円だったネット上の動画広告費は、22年に2918億円に達すると推計。企業のイメージアップのほか、観光客誘致や人事採用などでも活用され、同総研の酒井英典所長は「かつてテレビCMの補完的な役割だった動画広告の需要は、今後ますます高くなる」と分析する。

食品メーカー「ネスレ日本」(神戸市)は03年から、国内でいち早くBM制作に乗り出した。高岡浩三社長は「15~30秒程度のテレビCMはまだ知名度のない商品の宣伝には効果があるが、『ネスカフェ』などのロングセラー商品ではあまり効果がみられない」とする。「あの時に味わったコーヒーの味、というような、人生の忘れられない場面で我々のブランドが深く関わりたかった」と話す。





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これまで岩井俊二監督や本広克行監督などを起用して、35作品以上のBMを制作。観客層を世界に広げようと、13年にはユーチューブ上に公式チャンネル「ネスレシアター」を開設した。自社作品のほか世界の短編映画の秀作も集め、累計視聴数はすでに3千万回を突破。今年2月には、ネスカフェをテーマに岩井監督が韓国で撮った「チャンオクの手紙」(全4話・計66分)を配信した。日本語、英語、中国語の字幕もつけて、現在までに100万回以上再生された。





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BMで経験を積み、劇映画に進出する若手もでてきた。長澤まさみ主演で来年公開予定の「嘘を愛する女」の中江和仁監督(36)。資生堂などのテレビCMやBMで高く評価され、商業映画での監督デビューを果たす。




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今月28日公開の青春映画「君の膵臓をたべたい」の月川翔監督(34)も、ルイ・ヴィトンやネスレなどのBMを手がけてきた。「君の~」の原作は若者に人気の恋愛小説。「原作をクライアントの『商品』ととらえ、メッセージをいかに引き出せるかを考えた」と話す。「BMはコンセプトさえ合えば自分で脚本を書けることもあり、自由度が高い。学んだことは映画制作にもいかせる」と語る。




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☆☆☆GGのつぶやき
1960年代に衝撃を受けた資生堂のCM群。
CMディレクター杉山登志の存在を知った学生時代。
そのヨーロッパ的物語性に官能が酔った時代でもあった。
そして、37歳で首吊り自殺した杉山登志の遺書が棘のように胸を貫いた。
『リッチでないのにリッチな世界など分かりません。
ハッピーでないのにハッピーな世界など描けません。
夢がないのに 夢を売ることなどは……とても……嘘をついてもばれるものです』


















































































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by my8686 | 2017-07-20 16:16 | たかが映画、されど映画 | Trackback | Comments(0)

映画「ダブルフェイス 秘めた女」

毎週金曜日は、シニア割でDVDをレンタルする。シニア割旧作1枚半額+旧作1枚無料サービス期間の最終日。

久しぶりにフランス映画を選んだ。2009年製作のサスペンスドラマ「ダブルフェイス 秘めた女」。



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お目当ては、モニカ・ベルッチである。“イタリアの宝石”と称される美人女優。



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ソフィー・マルソーとの競演サスペンスドラマ。


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幼少時の交通事故が原因で8歳より前の記憶がない女性作家ジャンヌ。



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夫や子どもたちに囲まれて幸せに暮らしていたが、ある日、自分の周囲に違和感を覚えはじめる。



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やがて家族が突然別人に見えたり、さらに自分自身の姿までもが見知らぬ女性に変貌するようになり……。




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次第に心身の異常を伴うようになった彼女には、家族の顔が別人に見え始める。



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そしてついに、ジャンヌ自身の顔が見たこともない女性に変貌していた…。



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監督・脚本は「8人の女たち」の脚本を手がけたマリナ・ド・バン。









☆☆☆やんジーのつぶやき
心身の異常性をサスペンスタッチで繊細に映像化した作品である。
学生時代によく観たヨーロッパ映画の残像が脳裏をよぎった。





















































































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by my8686 | 2017-06-25 14:14 | たかが映画、されど映画 | Trackback | Comments(0)

映画「メッセ―ジ」を読み解く

エイミー・アダムス主演『ブレードランナー 2049』の監督も務める奇才ドゥニ・ヴィルヌーヴがメガホンをとる『メッセージ』。

巨大な“謎の飛行体”が話題となっている。その内部に初潜入するシーンの本編映像が解禁となった。



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あらためて、その内容を読み解いてみよう。



突如、世界12都市に降り立った巨大な球体型飛行体。




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米軍に雇われた言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は、謎の知的生命体と意志の疎通をはかるため、“彼ら”が人類に<何>を伝えようとしているのかを物理学者イアン(ジェレミー・レナー)らとともに探っていくが――。

“映像化不可能”といわれた傑作SF短編小説を、ヴィルヌーヴ監督が独創的な映像美と世界観で表現した本作。


巨大飛行体から受け取った美しくも哀しいメッセージと、“娘を亡くした母”ルイーズの切なすぎる決断に、すでに公開された世界各国で称賛が続出。



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今回解禁となったのは、そんな“世界絶賛の感動作”とは信じ難いようなビジュアルの飛行体に、ルイーズたちが初潜入する瞬間の本編映像。

冒頭は“彼ら”との対面におびえるルイーズの不安な表情が映し出され、飛行体にゆっくりと近づく様子からは静かな緊張感が伝わってくる。

そして、ついに“飛行体の内部”へ進んでいくのだが、驚きなのはその潜入の仕方。工事現場で見かけるようなリフトに乗り込み、奇妙な四角いトンネルに向かって上昇していくのだ。飛行体の内部に入ると、その先からは重力がなくなり、人は“側面”に立ちながら天に向かって歩き出すことに。異彩を放つ飛行体の存在感と、摩訶不思議な現象には思わず圧倒されてしまう。



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このシーンは、実際にセットを制作して撮影されていたという。
監督は、「ルイーズたち人類が“彼ら”と接触するためのツールは、現実社会にある技術を使わせたかったんだ」と語り、観客たちに共感を呼ぶ工夫があると明かしている。

そんな監督のこだわりに、ジェレミー・レナーは「僕らはリフトに乗り、約10mも昇って巨大なトンネルに入っていった。こんなリアルな環境があったからこそ、その不思議な体験を肌で感じられたんだ」と明かし、役者たちの演技にも影響を与えてくれたと語る。




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さらに、主演のエイミーは「この映画で起こったことは、もしかすると私たちの世界で明日、起こることかもしれない。世界がどう反応するのかを描いているのよ」と語り、非現実的な題材でありながらリアリティが追求されていることに言及した。

こうしてルイーズたちは飛行体の中へ入っていき、先に待ち受ける“彼ら”との初対面を果たす。そして、“彼ら”と対話を繰り返すことで、ルイーズは“美しくも哀しいメッセージ”の真相にたどり着く。




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監督は、「“彼ら”は心を開いているルイーズに言語を解読する鍵を垣間見せ、彼女は間違いを何度も重ねながらその言語に迫っていく。実はその間違いの1つからドラマが生まれるんだ」とも語り、ラストに繋がるキーワードも明かしている。

飛行体の内部で待ち受ける驚きの展開は、まさにこの映像から始まっていく。









☆☆☆やんジーのつぶやき
少年時代に観た映画「猿の惑星」の衝撃的ラストシーンが今も残像として残る。
優れたSF映画は、欠かさず観て行きたいものである。



























































































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by my8686 | 2017-05-13 16:15 | たかが映画、されど映画 | Trackback | Comments(0)

映画「ムーンライト」のバリー・ジェンキンス監督インタビューを読み解く

黒人の少年が貧困や同性愛に揺れ動きながら成長していく姿を描いた映画「ムーンライト」で、今年の米アカデミー賞作品賞を受賞したバリー・ジェンキンス監督が新聞社のインタビューに応じた。

排外主義的な政策を打ち出すトランプ政権下の米国の行方や、芸術家と政治との関係などについて聞いた。




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あらためて、その内容について読み解いてみよう。



――リダ州マイアミの貧しい地域での日常生活を、淡々と描いた意図は何だったのでしょうか。


「あの地域で育つとはどういうことか、本当の生活を描きたかった。日常生活に大事件はほとんど起きない。ただ、心の中では崖から転がり落ちるように感じる経験は誰しもある。人の心の奥底にいつも渦巻いている感情の変化を、見る人がたどれるような物語を作りたいと思った」



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 ――昨年、アカデミー賞は白人ばかりがノミネートされて批判を浴びましたが、受賞との関係を感じますか。


「批判の反動として受賞したとは思っていない。批判は、映画業界や作品の多様性のなさに対するものでもあった。将来、偏見なしに作品を作ったり、見たりすることができる日が来れば、素晴らしいことだ」




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 ――トランプ政権下で米国は排外的になり、人種や宗教の多様性が失われるとの懸念もあります。これをどう感じますか。

 
「もし、『大統領=米国』なら、そう言えるだろう。しかし、就任式の後に起きた女性たちのデモなど様々な抗議活動を見れば、多様性が損なわれることに反発する米国の人々の意思は非常に強いものであることが分かる。大統領はたった一人の人間でしかないが、米国は約3億人が暮らす国だ。人々の意思が最後は勝つと思っている」




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 ――今のような時代に、映画の役割はどのようなものだと考えますか。


「真実を伝えること。私にとっての真実が絶対的なものだとは言えないが、自分が見たり感じたりすることに対して正直であるようにするだけだ。この映画を見たある男の子がツイッターで『両親とこの映画を見に行き、自分がゲイであることを伝えた』と書いていた。自分に正直であることで、多くの人に訴えかける作品がで

きる。真実を伝え続けることしかない」




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 ――俳優や監督らが映画界から政治的な発言をすることをどう思いますか。


「何か感じることがあるのなら声を上げるべきだ。芸術とは本質的に政治的なもの。芸術家が純粋に芸術家だけであることはあり得ない。我々はその前に一人の人間であり、他の多くの人々と同じように、この世の中で暮らしていかなければならないわけだから」





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☆☆☆やんジーのつぶやき
「たかが映画、されど映画」である。
映画が先生だった青春時代、登場人物たちの生き様を通して学んだことは多い。
時代に抗うことしか知らなかった学生時代。
希望を削がれ、落胆や挫折や絶望しか感じられなかった苦い過去。
そんな時にそっと寄り添って励ましてくれたのも「映画」であった。









































































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by my8686 | 2017-04-03 11:39 | たかが映画、されど映画 | Trackback | Comments(0)

「映画監督鈴木清順死去」を読み解く

「けんかえれじい」「ツィゴイネルワイゼン」など個性的な美学に貫かれた作品で知られる映画監督の鈴木清順氏が13日午後7時32分、慢性閉塞性肺疾患のため、東京都内の病院で死去した。享年93歳。




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謹んで哀悼の意を表し、鈴木清順監督の足跡を読み解いてみよう。


東京生まれ。学徒出陣で応召。復員後の48年、旧制弘前高校を卒業し、松竹に入社。54年、製作を再開した日活に移籍する。
赤木圭一郎や和田浩治、宍戸錠ら人気男優を起用した娯楽アクション映画の中で、大胆な色遣いや斬新なアングルなどの映像美を見せた。





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「けんかえれじい」(66年)では、高橋英樹を主演にケンカに明け暮れる旧制中学生の青春を、痛快かつユーモラスに描いた。





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翌年の「殺しの烙印」を巡り、当時の社長から「わけが分からない」と言われ、日活との契約が解除される。
これに反対する映画人が「鈴木清順問題共闘会議」を設立し、裁判に発展。77年の「悲愁物語」まで映画が撮れない時期が続いた。





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1968年、シネクラブが企画していた「鈴木清順作品三十七本連続上映会」へのフィルム貸出を日活が拒否したことに端を発し、鈴木は日活から解雇された。両者の争いとなり、川喜多和子などが「鈴木清順問題共闘会議」を結成して鈴木を支援し、1971年12月に和解した。





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1980年(昭和55年)には内田百間の「サラサーテの盤」を原作とした「ツィゴイネルワイゼン」を完成させ、新方式のテント興行で上映した。
十年間の鬱屈を全て晴らすように、一切妥協しないという創作態度で挑んだこの作品は、キネマ旬報ベストワン(これが初のベストテン入賞でもある)、芸術選奨文部大臣賞、日本アカデミー賞最優秀賞作品賞及び監督賞を獲得。

ベルリン国際映画祭に出品されるや、国外の映画関係者に激賞され、ベルリン国際映画祭審査員特別賞を受賞する快挙を成し遂げ、国内外で高く評価された。またこの受賞を機に清順が世界的に知られるきっかけとなった。






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続く翌年の「陽炎座」もキネマ旬報ベストテン3位に入賞するが、以降、作品発表間隔が大きく開くようになり、この両年に大きく盛り上がった再評価ブームは維持できなかった。






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1984年(昭和59年)、「カポネ大いに泣く」で一般劇場映画に復帰。
また、1985年(昭和60年)に公開されたルパンシリーズの劇場映画第3作『ルパン三世 バビロンの黄金伝説』では監督を務めた。






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1986年(昭和61年)「鈴木清順全映画」が刊行され、今まで清順を知らなかった人にまで話題を呼ぶ。
1990年(平成2年)「夢二」で「ツィゴイネルワイゼン」「陽炎座」と続く大正三部作が完成。





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その後、しばらく監督業から遠ざかるが、2001年(平成13年)に10年ぶりに再びメガホンを取った「ピストルオペラ」はヴェネツィア国際映画祭で「偉大なる巨匠に捧げるオマージュの盾」を受賞し、清順の作品が特別上映されるなど話題を呼んだ。

この間1997年に47年間連れ添った妻と死別。
2004年ごろ、48歳年下の女性と再婚。

2005年(平成17年)には構想20年の大作「オペレッタ狸御殿」を監督、カンヌ国際映画祭で栄誉上映特別招待作品として招待された。





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また山羊ひげの洒脱な風貌で、俳優としても「ムー一族」「美少女仮面ポワトリン」「みちしるべ」「ひまわり」などのテレビドラマや、「ヒポクラテスたち」「不夜城」などの映画にも出演している。

2006年(平成18年)に第24回川喜多賞受賞。










☆☆☆やんジーのつぶやき
今思えば不思議だが、ヨーロッパ映画に夢中になっていた学生時代には、あえて避けてきた感のある鈴木清順作品。
その悍ましさと芝居じみた演技が、今では懐かしい清順流映画の記憶となった。
大正三部作「夢二」「ツィゴイネルワイゼン」「陽炎座」は、あらためて見直してみたいと思った。























































































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by my8686 | 2017-02-23 14:24 | たかが映画、されど映画 | Trackback | Comments(0)

映画「スノーデン」の論評を読み解いてみよう

土曜休日の朝。快晴の空に太陽がまぶしい。今日は、晴れ間のあるあいだの午後一からXバイクランを楽しもう。
雨の予報の明日は、映画「スノーデン」を観に行く予定にしている。


ということで、映画ジャーナリスト林瑞絵女史の気になる映画評論を読み解いてみよう。



2013年、29歳の元米政府機関職員エドワード・スノーデンは、国の諜報活動を全世界に向け暴露。情報漏洩の罪で今も亡命中の身の上だ。




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「プラトーン」「JFK」で知られる米国の巨匠オリバー・ストーン監督は、ロシアに潜伏中の本人に9度にわたり面会に成功。生の情報を糧に、渦中にいる青年の伝記映画を撮り上げた。





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スノーデン(ジョセフ・ゴードン・レヴィット)は、ひとり大国に立ち向かう勇ましき反逆者のイメージとはほど遠い。
恋人との関係に一喜一憂する、シャイで色白なメガネ男子だ。





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情報機関で働く愛国者の彼が目にするのは、クリックひとつで人権を蹂躙できる監視システム。
対象は一般市民や、日本を含む同盟国まで及ぶ。沸き立つ祖国への不信感。彼は自己流のラジカルな方法で、もう一度世界を信じる道を選ぶ。





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機密データの持ち出しと受け渡しから亡命に向けた脱出に至るまで、サスペンスフルな展開の数々に息を呑む。
堂に入ったハリウッド仕込みの演出だが、ヨーロッパ映画の顔も持つ異色作。





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米大手スタジオは軒並み協力を拒否。出資の大半はドイツとフランスで、撮影地はほぼミュンヘン。
監視社会と全体主義が地続きである恐怖を、ナチスの台頭で十分味わわされた国が積極的に協力しているのは偶然ではないだろう。





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世界はテロ対策を免罪符に監視強化を推し進める。だがそれは我々が本当に望む未来へと導くものなのか。

本作は人間ドラマと政治スリラーを融合させた娯楽作として間口を広げながら、全ての現代人が立ち止まって考えるべき深刻な問題の本質を直視させる。





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偉大な反骨の監督だから企画を実現させられたが、この絶妙なバランスの演出は貴重だ。映画として今見られることの自由と幸運を噛み締め鑑賞したい。





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☆☆☆やんジーのつぶやき
生の情報を糧に撮り上げたドキュメントタッチの映画。
オリバー・ストーン監督の敏腕さが際立つ。
明日は、ぜひともじっくりと堪能したい。










































































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by my8686 | 2017-02-04 10:50 | たかが映画、されど映画 | Trackback | Comments(0)