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隈研吾設計「The Odunpazari Moderm Art Museum」を読み解く

昨晩は、後輩の送別会。40年以上共に働いてきた同じ大学の後輩である。
カープの応援グッズを送って励ます。おそらく最後のカラオケになるであろう二次会にも最後までつきあう。
久しぶりに酔い、歌い、笑った。

今日は午後からロードバイクを駆り、会社の立体Pに停めた愛車86を引き取りに行く。
陽射しの強い夏日ではあるが風が涼しく頬をなでる。

飲んだ翌日にかく汗もまたよし。


それはさておき、トルコのエスキシェヒル市に計画されている隈研吾設計の「The Odunpazari Moderm Art Museum」を見てみよう。




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ここは、クライアントでオーナーのトルコ現代美術のコレクションを展示するための美術館である。
生まれ育ったエスキシェヒルで美術館をつくり、トルコの現代美術と市に貢献することがオーナーの長年の夢であったという。

エスキシェヒルは学園都市として知られていて学生や若い世代が多い活気のある町である。



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美術館が計画されている敷地はOdunpazariというエリアの中のアーバンスケールとオスマン帝国時代に見られた伝統的な形式の木造住宅エリアの間に位置する。





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2階部分がはねだしている構造が特徴的な住宅は曲がりくねった細いでこぼこした道沿いに立ち並び、ユニークなストリートスケープを形成している。
新しい美術館は住宅の小さいスケールを反映させつつ、アーバンスケールに埋もれないような設計を試みたという。





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大きさの異なる箱を積み上げて中央に向けて高くなる構成とし、ストリートスケープの連続性が保たれている。
大きさの異なるボリュームは展示室に多様性をもたせている。
地上階の展示室はラージスケールインスタレーションやイベント、企画展に対応できるようにゆったりとした空間とし、上階はオーナーのコレクションに合わせたスケールの展示室になっている。

建物の一番高い中央にアトリウムを設け、スカイライトから自然光を各階へ取り込んでいる。





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Odunpazari という地名はトルコ語でウッドマーケットという意味があり過去に木材を売り買いしていた事から由来している。
この土地の歴史とリンクするように美術館の外壁は全面木材で構成されている。




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☆☆☆やんジーのつぶやき
その土地の歴史とリンクさせた隈研吾の発想にいつも驚かされる。
表面的に綺麗に処理されたものからは感じない蠢きのようなもの。
丸っこい棘のような心にひっかかる不思議な感覚である。





































































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by my8686 | 2017-05-20 18:19 | 挑発する建築&空間 | Trackback | Comments(0)

気になるカフェ「mother port coffee × nendo」を読み解く

東京・港区の草月会館の2階に気になるカフェがある。
開店は、2015年7月。



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気仙沼で自社焙煎のコーヒーを提供する「mother port coffee」と、 クラウドファンディングサービス「セキュリテ」を運営するミュージックセキュリティーズ、 デザインオフィス「nendo」の3社が共同で運営するカフェである。




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あらためて、nendoのコンセプトをなぞりながら細部を読み解いてみよう。


1977年に建築家・丹下健三によって設計された当時のインテリアがまだ残っていることや、赤坂御所や高橋是清翁記念公園、そしてイサムノグチが手がけた石庭への眺望が美しいことから、天井や壁面には触れず、新たな造作壁も建てることなく、床と家具のみをデザインすることにした。





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床にはnendoが手がけたフローリング「stream」を使用し、2つに分かれた空間を流れるように繋ぎ、カウンターの側面も同じフローリング材で仕上げ、さらに一体的な印象が生まれるようにカウンターや階段のフローリングの目地が全て床と揃うようにした。





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カウンターの天板には艶のある黒い人造大理石を使うことで天井のグレーペンミラー仕上げと呼応させ、竣工当時からここで使用されてきたエーロ・サーリネンの「チューリップ・チェア」は補修してマットブラック塗装を施して再利用することにした。




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また、一緒に使われていた「チューリップ・テーブル」も同じく補修され、天板には天井と同じグレーペンミラーを貼った。




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結果的に、この場所がもつ潜在的な価値を引き出すようなインテリアデザインが生まれた。





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カフェはnendoが運営母体となり、様々な人たちとの有機的なコラボレーションを行っていきたい、との思いから名前を「connel」(=様々な要素を「こねる」)とした。




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ロゴはnendoのロゴから「n」を抽出し、グニャリと曲げるようにして2つの「c」にし、オリジナルマグカップは持ち手部分を手でこねて作ることで一点一点異なる形状となるようなデザインにした。





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さらに、マドラーはマグカップの中で自立するような形にしつつ、錫製にすることで使っていくにつれて徐々に形状が柔らかく変化していくようにした。





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☆☆☆やんジーのつぶやき
建築家・丹下健三によるインテリアやイサムノグチが手がけた石庭、さらにエーロ・サーリネンの「チューリップ・チェア&テーブル」とくれば、その佇まいの品位が想像できる。
デザインを志す者にとっては、まさに「聖地」である。
こんな空間でオリジナル焙煎コーヒーをいただけば、官能も鎮まることであろう。

















































































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by my8686 | 2017-05-17 11:07 | 挑発する建築&空間 | Trackback | Comments(0)

隈研吾設計「The Darling Exchange」を読み解く

隈研吾設計で2019年竣工予定のプロジェクトをみてみよう。




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シドニーのダーリンハーバーエリア開発計画地域にあるプロジェクトの一部。
図書館や幼稚園などの公共施設とマーケットなどの商業を合わせた複合施設である。




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あらためて、設計コメントを読み解いてみよう。


高層タワーマンションや商業施設の狭間のポケットのような敷地がマスタープランによって与えられた。このポケットを固いマスで埋めてしまうのではなく、スケールを抑えて隣接する広場と一体化させ、ランドスケープの一部となるような設計を試みた。




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商業と住宅ブロックに囲われた多方向から人の流れが集中する立地のため、一方向に正面性を持たない円形のボリュームとした。






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アクティブなストリートシーンとコミュニティの日常に溶け込めるように、1階のマーケットはスクエアやストリートとの連続性をつくれるオープンで透明なファサードとしている。





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中間階に図書館と幼稚園、ルーフトップに飲食と複数の異なる用途を持つアクティブな建物とは異なるソフトで自然なテクスチャーを与えられように外壁は木材を使っている。





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糸でぐるぐると巻いたようなパターンで構成された木スクリーンは室内からは蚕の中にいるような空間を、外からは鳥の巣のようなプレーフルでプリミティブな表現のデザインとしている。





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☆☆☆やんジーのつぶやき
蚕の中にいるような空間。
胎内回帰をイメージさせる穏やかな空間に官能がまた疼きそうである。
シドニーでの建築探訪リストがまたひとつふえてしまった。






































































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by my8686 | 2017-05-16 10:12 | 挑発する建築&空間 | Trackback | Comments(0)

「ブラジルの隈研吾監修木組みゲート」を読み解く

ブラジル・サンパウロの目抜き通り「パウリスタ通り」に5月6日、「ジャパン・ハウス サンパウロ」が開館した。

隈研吾建築都市設計事務所がデザイン監修を務めた。約36mに渡って建物を覆うヒノキ材のゲートが特徴。木組みのゲートは既存建物に設置したものだが、全体として自立する構造体でもあるという。



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あらためて、その内容を読み解いてみよう。


 「ジャパン・ハウス」は、外務省が日本文化を発信する海外拠点として複数整備する施設で、サンパウロがその第1弾に当たる。サンパウロ以降は、2017年度中の開館を目指して英国・ロンドン、米国・ロサンゼルスでも同様の施設整備を予定している。隈研吾建築都市設計事務所は15年夏、創設・運営を担当する電通、設計・施工を担当するブラジル戸田建設などとチームを組んで参加したコンペで、サンパウロのプロジェクトを勝ち取った。

隈研吾氏は、「日本が発信できる一番強いものが、木材だと思った。日本の木材と言ったらヒノキ。質感や香りをブラジルの人に感じてもらいたい」と力を込める。
多目的ホールやセミナールームのほか、日本の伝統工芸品を扱うショップ、和菓子などを提供するカフェ、日本食レストランなどから成る。現地の銀行が所有するビルの地上1階から3階までの一部を改修し、木組みのゲートのほか1階に外土間や坪庭、3階にテラスなどを整備した。





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木組みのゲートは主に、30mm厚のヒノキの板材約620枚を組み上げたものだ。1カ所で地面に接地し、2階レベルの外壁の一部で建物の躯体と接続している。
板材の長さは主に3600mmで、幅は165mmと150mmの2種類を使った。板材が最も深く重なる箇所は、既存建物に向かって奥行き方向に37層にも及ぶ。縦材と水平材はすべて、斜めにかん合している。

 「既存の建物の前にかすみのようなスクリーンをつくるイメージで、薄い材を組み合わせていくことを考えた。繊細さと構造性が両立するという手法は、ほかの国にはない日本らしさだ」(隈氏)






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通りに向かって板材を斜めにかん合することは構造的には不利に働くが、隈氏は「薄い材1つひとつの粒感」を表現することにこだわった。通りからの見え方に加えて、開口部越しの内部からの見え方にも配慮し、意匠と構造の双方向から板材の重なり方を丹念に探っていった。

木組みのゲートの構造設計を担当した江尻建築構造設計事務所の江尻憲泰代表は、「何万m2もの建物と同じくらい解析を繰り返した」と振り返る。




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内部から見た木組み。通りからの見え方に加えて、内部からの見通し具合も同時に検討した
検討が繰り返された理由の1つに、現地の風速の厳しさがあった。東京23区では基準風速34m/秒だが、ブラジル基準では40m/秒。現地の風速に対応するため、地面との接地部分はコンクリートスラブから鋼製板を立ち上げ、その上部に比重の高い南洋材のクマルをかん合して強度を高めた。クマル材は現地で調達した。

「意匠と構造、さらに施工を見越した検討を進めていくなかで、鉄、現地のクマル材、日本のヒノキ材という素材のグラデーションが生まれていった」(江尻代表)

木組みのゲートの足元。鉄製のアンカーボルトにクマル材をかん合し強度を持たせた。上にいくにつれヒノキ材を増やしている(資料:隈研吾建築都市設計事務所)

さらに炭素繊維ロッドの採用がプロジェクトを一気に動かした。片持ちになっている箇所などを中心に炭素繊維ロッドを架け渡し、変形を抑えている。




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意匠性と構造性を両立するデザインが決まった後、プレカットした板材をいったん日本で組み上げて最終確認した。ヒノキの板材1枚1枚に番号を振ってバラし、現地へ搬入。現地では、日本の職人が組み上げて完成させた。建て方には約2週間を要した。

隈氏は「大宰府のスターバックス(2011年竣工)もサニーヒルズ(2013年竣工)も60mm角の木組みだったが、今回は30mm厚に踏み込んだ。原理の感触もつかめた。次は、建築を丸々つくることに挑戦してみたい」と展望を語る。





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木組みのゲートをくぐった外土間の2階外壁は、ブラジル北東部で見られる「コボゴ」から着想を得たオリジナルのブロックで装飾した。隈氏は、「ブラジルの粗さを僕なりに解釈したうえで、日本の繊細さを付け加えた。日本とブラジルの技術の合作でもある」と説明する。

コボゴとは、沖縄の「花ブロック」のように日射を遮りながら風を通すブロックのことだ。オリジナルのブロックは超高強度繊維補強コンクリート製で、700mm角のユニットの端部を隣のユニットの上に重なるパターンとすることで継ぎ目を感じさせずに“面”をつくり出すよう工夫した。

内装の間仕切りや化粧天井には、エキスパンドメタルで和紙をすいたスクリーンを使用した。



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内部の建具などにも日本らしさをちりばめた。エキスパンドメタルで和紙をすき上げ、その質感を残したまま乾燥させた材料を間仕切りや化粧天井材に採用している。「陽の楽屋」(新潟県柏崎市、2000年竣工)などでコラボレーションしてきた和紙職人の小林康生氏が現地入りし、現地の職人とワークショップを開くなどして製作。

「金属が和紙をまとうことで突然、柔らかくて人に優しい質感になるのが面白いと思った」(隈氏)

ジャパン・ハウスの総合プロデューサーは日本デザインセンターの原研哉氏が担当している。
今年度中の開館を予定しているロンドンはワンダーウォールの片山正道氏、ロサンゼルスは乃村工芸社の小坂竜氏、SANDWICHの名和晃平氏がそれぞれデザインを担当する。ロサンゼルスの事業プロデュースにはJTQの谷川じゅんじ氏が参画している。





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☆☆☆やんジーのつぶやき
大宰府のスタバに代表される木組みされた集積のボリューム感とリズム感に官能が酔った記憶がある。研ぎ澄まされたコンクリート打放の無機質な壁に羨望したあの時期から、時は大きく様変わりしたようだ。



























































































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by my8686 | 2017-05-10 11:45 | 挑発する建築&空間 | Trackback | Comments(0)

2017年プリツカー賞!「建築家3人が同時受賞」を読み解く

2017年のプリツカー賞が、スペインの建築家ラファエル・アランダ氏、カルメ・ピジェム氏、ラモン・ヴィラルタ氏に決まった。
同賞を主催するハイアット財団が3月2日に発表した。

プリツカー賞は建築界のノーベル賞ともいわれ、日本人(ユニットを含む)では、これまで丹下健三氏、槇文彦氏、安藤忠雄氏、SANAA、伊東豊雄氏、坂茂氏が選ばれてきた。

2017年のプリツカー賞を受賞した3人のスペイン人建築家。





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左から、ラファエル・アランダ氏、カルメ・ピジェム氏、ラモン・ヴィラルタ氏




3氏は1988年にスペイン・カタルーニャ地方のオロットで設計事務所「RCRアーキテクツ」を設立。
以来、共同で建築をつくり出してきた。3人の建築家が同時に受賞するのは、17年に39回目を迎えるプリツカー賞では初めて。

財団の発表によると、選考理由についてトム・プリツカー会長は次のようにコメントした。

「3氏は、共に活動することでそれぞれの領域をはるかに超えた作品を世に送り出してきた。それぞれの施設特有の環境条件とその土地の固有性を強く関連付ける彼らの作品は、3氏の手法が真に溶け合った証しだといえる」

アランダ氏は61年生まれ、ピジェム氏は62年生まれ、ヴィラルタ氏は60年生まれで同世代だ。
ともに87年、ヴァリェス建築学校(ETSAV)で建築学士を取得後、88年にスペインのオロットに共同で設計事務所を設立した。




■欧米各国で高い評価

3氏が手掛けた建築はスペインにとどまらず、欧米各国で広く評価を受けている。

2005年にカタルーニャ建築賞を受賞後、08年にフランス文化省から芸術文化勲章(シュバリエ)を受章。10年に米国建築家協会(AIA)の名誉会員、12年にイギリス王立建築家協会(RIBA)の国際フェローとなり、15年にフランス建築アカデミーゴールドメダルを受賞した。
さらに3氏は、13年にRCR BUNKA財団を設立。社会を通じて建築、景観、芸術、文化の支援に取り組み始めた。日本では10年にギャラリー・間での展示会に参加している。



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今回は、3氏が約30年にわたり、それぞれに公平な責任と役割をもって創作活動に貢献したことをたたえ、3氏の個人での同時受賞となった。スペイン出身の同賞の受賞者は、1996年のラファエル・モネーオ氏以来、2回目となる。

2017年の受賞者に選ばれたことについて、ピジェム氏は次のようにコメントを発表した。

「大変な喜びとともに、大きな責任を感じている。あらゆるプロジェクトにおいて共に活動してきた私たちが、このたび3人のプロフェッショナルとして認められ、感激している」



■鋳造所を改造した3氏のオフィス

地域に根差して活動しつつ、世界で広く活躍する――。
3氏の姿はまさにグローバリゼーションが当たり前となった現代を象徴する建築家像といえるだろう。

審査では、リサイクルされた鉄やプラスチックなどの素材を創造的かつ幅広く利用することで、普遍的な独自性を発揮している点も評価された。その例に挙げられた建築が、3氏のオフィスである「Barberí Laboratory(バルベリ・ラボラトリー)」(07年完成)だ。


20世紀初頭の鋳造所を改造してつくられた「バルべリ・ラボラトリー」は、RCRアーキテクツのオフィスとして使われている。3氏が働くのは大テーブルのある図書室。何時間も続く議論にも、うってつけの場所。




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庭の隠れた場所にあるパビリオン(展示室)。中央にある鉄製のテーブルは必要な時にせり上がり、ときには低くなって床の一部にもできる。



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財団の発表によれば、グレン・マーカット審査団長は次のように評価している。
「素材の融合によって確かな力強さと明解さを建物に与えられるということを、3氏は証明した。この3人の建築家による共同制作は、詩的なレベルに達する妥協のない建築を生み出している。過去に対して大きな敬意を払う一方、現在と未来の明確さを映し出す、時代を超越した仕事であると示している」




■欧州に広がる代表的な建築を写真で紹介

17年のプリツカー賞審査団の講評について、財団は次のように発表した。「グローバリゼーションによって、地域固有の価値観や芸術、あるいは独自の習慣が失われてしまうのではないかと懸念する人がますます多くなっている。3氏は、それらの両立が可能かもしれないということを我々に気付かせてくれた」

さらに、こう続く。「この命題の答えは『二者択一』ではなく、少なくとも建築においては両方を望めるということを、最も美しく詩的な方法によって示している。両方とはつまり、場所にしっかりと根差した我々のルーツと、未知の世界に向けて伸ばす我々の腕のことである」

3氏が手掛ける建築は、初めこそスペインのカタルーニャ地方が多かったが、いまや欧州に広がる。



「ベルロック・ワイナリー」(スペイン・ジローナ・パラモス、2007年完成)。ブドウ畑と森に囲まれた場所にあり、ランドスケープと建築が一体的に計画されている。写真はワイナリーからテイスティングルームに向かう部分。



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「ベルロック・ワイナリー」の外観。ワインセラーの上に覆いかぶさる形でブドウ畑が広がる。歩道部分には、斜めのリサイクル鋼板の屋根が続き、自然光が差し込むようにスリットを入れている。




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J.プイグコルベ氏との共作である「ペティ・コンテ幼稚園」(スペイン・ジローナ・ベサル、2010年完成)。約1000m2に80人ほどの子どもたちが入る規模だ。写真は庇の下で遊ぶ子どもたちの様子。




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「ペティ・コンテ幼稚園」の外観。一部は構造体にもなっている垂直のチューブが連なり、巨大な色鉛筆が建物を囲むようなカラフルな外観をつくり出している。



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■フランスでは13世紀の城を芸術と食の施設に

「ラ・キュイジーヌ芸術センター」(フランス・ネーグルペリス、2014年完成)。フランス南西部で13世紀に建てられた城を改修し、アートと食の分野に特化した文化施設を設計した。



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「ラ・キュイジーヌ芸術センター」のエグシビション・スペースへと続くキッチン。奥には小さなオーディトリアムが配置されている。



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G.トレグエット氏と共作したスーラージュ美術館(フランス・ロデズ、2014年完成)。写真はエントランスを含む外観。



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プリツカー賞の授賞式は5月20日に、東京都港区の迎賓館赤坂離宮で開かれる。









☆☆☆やんジーのつぶやき
建築界のノーベル賞ともいわれるプリツカー賞。
その受賞理由に毎年瞠目してしまう。
世界に目を見開き、その受賞作の探訪旅行など、してみたいものである。



























































































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by my8686 | 2017-03-21 13:34 | 挑発する建築&空間 | Trackback | Comments(0)

究極の隈研吾マンション「豊島区庁舎と一体のBrillia Tower池袋」を読み解く

2015年に竣工された究極の隈研吾マンションと呼ばれる「Brillia Tower池袋」を見てみよう。





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このマンションは、公募の結果「としまエコミューゼタウン」と名付けられた。
南池袋二丁目A地区再開発組合、東京建物、首都圏不燃建築公社の3社が、隈研吾デザイン監修による豊島区庁舎と一体開発した超高層免震マンションである。






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物件は、東京メトロ有楽町線東池袋駅から徒歩1分、またはJR池袋駅から徒歩8分、豊島区南池袋二丁目に位置する49階建て全432戸(非分譲110戸)の規模。
専有面積は31.25~161.26㎡、予定価格は3,000万台~2億円、坪平均単価は約330万円。

東京建物(事業比率50%)と首都圏不燃建築公社(同50%)が参加組合員としてマンションを分譲する。
設計・監理は日本設計。外観・一部共用部のデザインは隈研吾建築都市設計事務所。施工は大成建設。平成27年2月下旬に竣工された。






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建物全体を「としまエコミューゼタウン」としたのは、地球環境に配慮した建物となっていることを効果的にアピールするため「エコ・ミューゼ」という言葉をキーワードとした。
また、憩いの場として人々が自由に気軽に集う場、ひとつの街となるよう「タウン」という言葉に希望をこめたとしている。1階から10階までは区の庁舎と商業施設が入居する。

建物の特徴は、東池袋駅と直結され、「官庁施設の総合耐震計画基準」で3分類中もっとも高い性能をもつ「Ⅰ分類」を満たし、災害時の防災拠点となるほか、停電時の非常用発電による72時間作動なども行う。
都のマンション環境性能表示制度で満点の「星3つ」を取得している。

また、隈氏が外観デザインやメインエントランス、メインラウンジなどを担当しているのも大きな特徴の一つである。





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区本庁舎ゾーンは台形状で、シースルーのソーラーガラス、透明ガラス、太陽光パネル、壁面緑化、木目調ルーバーを配し、10階から1階まで階段で降りられるようにするとともに、屋上庭園、エコミューゼを設置して、ジグザク上にせせらぎが流れるように工夫されている。

せせらぎにはめだかやカエルが生息できるように検討されたという。



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住宅ゾーンには太陽光パネル、シースルーソーラーガラス、透明ガラス、カラーガラスを配し、全体として大樹に見立てた建物になっているという。






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建物のプレゼンテーション時には隈氏と六鹿氏が出席。

隈氏は「新宿や渋谷とも競争できるまとまりのある面白い街になる。全体を大きな樹のようにした。10階から階段で下に下りられるような工夫は世界的にも珍しいし、水も流す。街と緑と庁舎が一体となった新しいモデルをつくった」と語った。

六鹿氏は「安心・安全の取り組みやユニバーサルデザインにも力を入れた」と話した。





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問題の価格だが、坪単価は約330万円。これをどう評価するかだが、隈氏がデザイン監修したことで坪10~15万円の価値はある。
隈氏が手がけた首都圏のマンションでは、三井不動産レジデンシャルの「原宿」と「神楽坂」があるのみだ。この2つのマンションも素晴らしいが、今回は規模がけた違いである。
10階から1階まで下りられる階段を設け、豊島区の生態系を体験できるせせらぎも設けることなどは隈氏しかできない。

住宅ゾーンも全体に丸みを帯び、4隅は垂直ではなく、11階から16階部分は末広がりになっている。

隈氏は「垂直だったらビルみたいではないか」と話したように、これもまた隈のこだわりといえよう。
建物全体を樹木のようにしっかり大地に根を張り、空に向かってのびやかに伸びる樹そのものだ。

共用部のデザインにもいかにも隈好みである格子がたくさん用いられている。
間違いなくこれだけで価値がある。究極の隈研吾マンションといえよう。



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もう一つはやはり区庁舎との一体開発である点で、これだけでも坪単価に換算したら10万円の価値はある。屋上庭園、壁面緑化、せせらぎの管理にどれほどのコストがかかるか分からないが、市民が憩える空間ができるのは確かだ。この二つを合わせると坪330万円も納得できよう。東京建物の記念碑的マンションといえる。







☆☆☆やんジーのつぶやき
隈研吾ブランド祭りと言ってもよかろう。
M2の失敗から東京を追われようにして地方に出た隈研吾。
失われた10年後、都に返り咲き創り出した「究極の隈研吾マンション」である。
隈の建築には、官能を躍らせるオノマトペ風が心地よく吹いている。
また、東京建築探訪メニューがひとつふえてしまった。

























































































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by my8686 | 2017-03-16 08:42 | 挑発する建築&空間 | Trackback | Comments(0)

隈研吾設計監修「浜田醤油生産工場」を読み解く

熊本震災からすでに1年が経つ。
この熊本地震で一部損壊した醤油醸造蔵を改修し、同敷地内に建築家隈研吾の設計監修による生産工場を竣工した醤油メーカーがある。




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あらためて、その内容を見てみよう。




浜田醤油株式会社(所在地:熊本県熊本市)は、国際総合卸Li & Fung Limited(本社:香港)の一員となり、九州醤油の日本国外販売を開始した。




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2016年3月にLi & Fung Limitedと資本提携し、同年末から中国へ向け醤油約30トンほか欧州などに出荷を開始。
2017年は、強味である業務用のほか、一般小売商品の日本国外販売を促進する。





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■中国・欧州で販売を開始
展開にあたり、醤油マイスター・浜田浩成(創業家)が原料と醸造過程にこだわったプレミアム醤油を新開発。
一滴ごとに広がる美しい色と芳醇で力強い香り、味を生み出した。

浜田醤油のグローバル・フラッグシップブランド「第七代」として、完全受注生産の「540日熟成古法醸造醤油」(特製桐箱入り)と「古法醤油」「日本九州醤油」「日本極上醤油」三種(瓶入り)を、2017年よりまず中国・欧州で販売を開始する。





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■こだわり
1. 古式製法仕込み
「540日熟成古法醸造」は専用杉樽で540日間発酵・熟成させる製法で醸造。
「古法」は醤油マイスター浜田浩成が厳選したもろみの搾りたてを合わせて仕込み、180日間寝かせてさらにコク深い味わいを引き出す。
いずれも、気温が低い冬に仕込み始め、酵母の力で自然に発酵・熟成させる寒仕込みでつくっている。

2. 幅広い料理に合う味
「古法」は香り・味・色ともにバランスがとれた濃い口の本醸造醤油で、地域・和洋中問わず使えるのが特徴。
「日本九州」は甘いやわらかな味わいで仕上げた九州伝統の醤油、「日本極上」は肉や根菜に合う力強い甘味の醤油である。

3. 熊本産醤油
熊本の地で磨かれた水で仕込み、菌を大切にかもして、自社蔵で製造した安心・安全な醤油を出荷している。





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■隈研吾氏の設計監修による生産工場を竣工
販売網の拡大に伴い、熊本地震で一部損壊した醤油醸造蔵を改修し、同敷地内に建築家隈研吾氏の設計監修による生産工場を竣工した。




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新工場では、手作り醤油の質をさらに高めるべく、希少な醤油木樽を全10基に増設し生産ラインをさらに強化。増加している海外からの来訪対応や地元振興寄与として、醤油搾りや利き醤油、試食、物販など国内外の方々が楽しめる体験型観光拠点としての場も設ける。

醤油の新たな価値創造に向け、浜田醤油は熊本から世界の調理シーンへ挑む。




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☆☆☆やんジーのつぶやき
刺身や豆腐といった繊細な食材を肴にする時、醤油の存在は大きい。
その旨味を引き出すも殺すも、醤油次第なのは言うまでもない。
長期の海外旅行から帰国して、まず最初に食べたいのが、なんといっても山葵醤油で食べる刺身である。
熊本の旅の途中で立ち寄りたい場所が、またひとつ増えたようだ。




































































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by my8686 | 2017-03-15 11:33 | 挑発する建築&空間 | Trackback | Comments(0)

隈研吾「九谷焼創作工房の基本設計概要発表」を読み解く

隈研吾による「九谷焼創作工房」の基本設計概要が先月発表された。


あらためて、その内容をみてみよう。




小松市若杉町に整備される「九谷焼創作工房」(仮称)。
県九谷窯元工業協同組合の製土所を見学や陶芸体験ができるように一新し、2019年春の完成を予定する。




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製土所は近くで産出される九谷焼原料「花坂陶石」を細かく砕き、粘土にする工場。




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基本設計では、2700平方メートルの敷地に木造平屋630平方メートルのL字形建物を設け、体験工房、工場、販売・展示空間などを配置する。
憩いの場になる外土間には廃陶器をあしらい、建物と一体化。屋根は植物のセダムの緑で覆って勾配を持たせ大地につながるような外観にする。






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隈氏は「土を作る工程がとても人間臭い。その生々しさが見えて体験もできる陶芸ミュージアムは少ないのでは。長い間に地域で成長し、多様性を持つようになった九谷焼の施設にやりがいを感じる」と話した。






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事業費は1億1千万円を見込む。
隈氏の設計で炭素繊維を使った施設を2015年に建設した小松精練(能美市)が、「企業版ふるさと納税」制度による小松市の事業提案に応じ、その寄付金を充てるという。






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体験工房は、同市若杉町にある九谷焼の製土所を建て替える形で建設する。地元産のスギを利用した木造平屋で、総床面積は六百三十平方メートル。
九谷焼の粘土を造る工場や陶芸体験コーナー、九谷焼の工房や販売、展示所を併設し、伝統的な製土技術の継承と産業観光施設として九谷焼の魅力の再発信を目指す。





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白山の眺望が楽しめる広場を中心に、各機能をL字形に配置。広場を日本の伝統的家屋にある外土間に見立て、利用者の憩いの場としての役割も想定する。


隈氏は、設計前に視察した鉄製の棒を上下させて陶石を砕く現在の製土所を「製造プロセスが人間くさくて面白かった」と表現。

「つくっている生々しいプロセスが見えて体験もできる。このような参加型のミュージアムは他にない。設計していてやりがいのある作業だった」と振り返った。






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会見に同席した和田慎司市長は、完成イメージの模型を前に「想像の域を超えた設計。一言でいえばグレート」と絶賛した。








☆☆☆やんジーのつぶやき
白山の眺望を楽しみながらの陶芸三昧。
隈研吾建築探訪の旅の中で、また楽しみがひとつ増えそうである。
































































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by my8686 | 2017-03-14 08:54 | 挑発する建築&空間 | Trackback | Comments(0)

阳澄湖旅游集散中心

中国、蘇州で2017年竣工予定の隈研吾設計の「観光センター&船の駅」をみてみよう。




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中国、蘇州
2017年竣工予定
観光センター、船の駅
7759.34㎡






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上海蟹の産地として名高い中国・蘇州の陽澄湖に建つ、観光センター兼船の駅。






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湖に向かって八の字に開いた2つの三角屋根の下に、明るい内部空間や外部テラスが広がっている。






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屋根面には細長いアルミアングルをオーバーラップさせて、現代的な素材を用いながら、茅葺き屋根が持つ柔らかい質感を目指したという。






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秋の蟹のシーズンには多くの人々が訪れる観光エリアであり、蘇州の魅力を発信する新たな顔となることが期待されている。





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☆☆☆やんジーのつぶやき
発展凄まじい中国・蘇州の観光センターである。
中国・蘇州には、それほどの魅力を感じないが、世界建築行脚の旅の途中で、一度訪れてみるのも一興である。




































































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by my8686 | 2017-03-10 09:04 | 挑発する建築&空間 | Trackback | Comments(0)

「大分県竹田市城下町交流拠点施設」設計者選定プロポーザル最優秀者選定を読み解く

「大分県竹田市城下町交流拠点施設」設計者選定プロポーザルに最優秀者として隈研吾建築都市設計事務所が選定されたという。
まさに、隈研吾ブランド祭りである。




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あらためて、その内容をみてみよう。


竹田市は、中心市街地である旧城下町エリアに計画中の『城下町交流拠点施設』の設計者選定のプロポーザルを実施した。
施設としては、「(仮称)竹田市コミュニティセンター」と「(仮称)竹田城下町・岡城跡歴史文化交流センター」の2施設からなる。




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その実施にあたり、第1次審査と第2次審査からなる2段階審査方式を採用するとともに、学識経験者と市民代表で構成する「城下町交流拠点施設設計者選定プロポーザル審査委員会」を設置した。





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2月 13 日(月)の第1次審査(書類審査)では、9の参加者から設計提案書が提出され、この中から第2次審査に進むものとして6者を選定。
そして、2月 27 日(月)の第2次審査において、公開によるプレゼンテーション及びヒアリングを実施した上で、最優秀者を決定した。





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本プロポーザルの要点は、規模も機能も性格も異なる、しかし近接する2つの施設を、同じ設計者に託すという点にあった。
建築物としての機能・性能を個別に確保した上で、まちづくりという文脈のなかでいかにして連動させられるかが、城下町再生の戦術上の眼目であり、そのためのアイデアの具体性と実現性が、審査の大きな焦点になった。





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株式会社隈研吾建築都市設計事務所の案は、上の要点を的確に理解した上で、旧城下町の空間特性を丁寧に読み込んだ提案となっていた。



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それぞれの建物の機能・性能・意匠、2つの建物の在り方を統合するわかりやすいコンセプト、展示デザインの方向の具体性、実施設計に向けて案を柔軟に展開していこうとする姿勢など、総合的にみて非常にバランスよく城下町のまちづくりの課題と要望に応えている点が高く評価された。





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特に、「歴史のマワリミチ」、「音楽のマワリミチ」など、周辺の文脈に応じた各建物の空間提案は、魅力と説得力に富むものだという。






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ただ、敷地北側の水琴館通り及び敷地東側の隣家に対する歴史文化交流センターのボリューム(高さ含む)が圧迫感を生むのではないか、という懸念が、審査委員全員から表明された。
今後の設計プロセスの中で解決してもらいたい点として、つけ加えられたという。





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☆☆☆やんジーのつぶやき
大分県竹田市城下町は、まだ訪れてはいない。
この計画が完成した暁には、ぜひとも愛車86を駆り訪れてみたい。






































































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by my8686 | 2017-03-09 09:33 | 挑発する建築&空間 | Trackback | Comments(0)