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小さな建築 「Bamboo House」

衆参両院の「情報監視審査会」がきのう、年次報告書を衆参両院の議長に提出した。
2014年末に特定秘密保護法が施行されて以来、初めての報告書である。

朝刊を斜め読みするなかで、ある社説が棘のように官能につきささった。

防衛省や外務省など10行政機関が指定した特定秘密382件(約18万9千点)について、各省庁から聞き取りして確認した。
だが、開示された特定秘密は数点だけ。
政府が提出した管理簿の記述は「外国から提供を受けた情報」などあいまいで、指定が適正かどうか判断できる内容ではなかった。

最大の問題は、何が秘密にあたるかが秘密、その範囲が恣意的に広がりかねないという、秘密法それ自体にある。

野党側は国会への情報提供を義務づけるよう求めたが、与党側は「三権分立の観点から行政権を侵してはならない」と受け入れなかった。
ならばなぜ国会に監視機関を置いたのか。

三権分立だからこそ、行政権をもつ政府に対する、国会の監視機能が重要なのだ。
政府の外から特定秘密の運用を監視できるのは、唯一、国会の審査会だけである。
国会は強い危機意識をもち、監視機能の強化をはからねばならない。

審査会の対応で物足りなかったのは、政府の特定秘密の指定状況が適正かの判断に踏み込まず、運用改善を「意見」として求めるにとどめたことだ。
より強い「勧告」になぜ踏み込まなかったのか。

一方で、「意見」の中身には耳を傾けるべきものもある。

例えば、秘密指定が適正かどうか、首相に報告する内閣府の「独立公文書管理監」に対し、審査会にも報告するよう求めたことだ。
政府は真剣に検討してもらいたい。

安全保障法制が施行され、自衛隊の運用など安保政策をめぐる政府の裁量の幅が広がった。
そのうえ特定秘密への監視機能の弱さが放置されれば、国民の目の届かないところで、政府の恣意的な判断が際限なく広がる恐れがぬぐえない。

国会が「国民の代表として監視する」という責任を自覚し、運用改善と法改正に向けた検討を不断に重ねることが、政府に緊張感を持たせるはずだ。

形ばかりの監視で、政府の追認機関になってはならない。





さて本日も気をとりなおして、隈研吾の小さな建築「Bamboo House」をみてみよう。




■隈研吾のプレゼンテーションより

竹という素材も、私にとってのとても小さい材料です。



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木を考えてみると、枝はそのままでも小さいけれど、幹を小さくするには、切るという作業がひとつ発生します。
それに比べて、竹はそもそもが小さい部分で構成されているので、木より小さい材料なのです。




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その竹を構造材料として使ったものが、「Bamboo House(2000年)」です。




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竹を割らずに内側から特別に長いドリルを突っ込み、節だけを切ってしまい、中に鉄のアングルを挿入してコンクリートを流し込み、竹を型枠としてコンクリートを打ちました。




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私は設計の際には、必ずモックアップをつくります。
この「Bamboo House」では、竹でモックアップをつくり、どのくらいの「小ささ」が敷地に適しているかを確認しました。





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実際の現場に、さまざまな直径の竹でつくったモックアップを立てかけ、周辺環境の特有な「粒」の大きさと、私たちが新しくつくろうとしている建築の「粒」の大きさがバランスが取れているかを実際に目で見るのです。





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その結果、外壁には直径60ミリ、間仕切り壁には直径20ミリ、という竹の太さを決めていきました。





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☆☆☆やんジーのつぶやき
その昔、京都嵯峨野で感じた懐かしい思い出がよみがえる。
あの竹林を彷徨しながら官能が静かに癒されていった夏の日。
静かさと涼しさが周囲の空気を鎮めつつ滓かな夏風が頬をなでた。
盛夏にこの「Bamboo House」で微睡みたいものだ。































































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by my8686 | 2016-03-31 10:40 | 挑発する建築&空間 | Trackback | Comments(0)

小さな建築「Chidori」

昨日、安全保障関連法が施行された。
柱の一つである集団的自衛権の行使容認について複雑な思いは拭いきれない。


朝刊を斜め読みするなかで、棘のように官能につきささった言葉がある。 

中国の尖閣諸島進出や北朝鮮の弾道ミサイル問題を例にひき「集団的自衛権行使が必要」と声高に訴える輩にも神経が尖る。
自衛隊や海上保安庁の存在を失念し、日本が今にも侵略されてしまうと邪推する輩である。

日本国が重大な危機にさらされたとき、個別的自衛権のもとで反撃し、防衛しきれない事態が本当にあるのか。
集団的自衛権の行使が引き起こしかねない事態とはいったいどういう場面なのか。

さらに、安保法によって世界中で戦争する米軍を自衛隊が支援した場合、日本国が一方的に勝利し、国民の生命や財産を失うことなく終えることができるのか。
一度始めた戦争を、日本の都合だけでやめることができるのか。

「諸国民の公正と信義に信頼して」とする憲法前文は、戦争の真の姿を見通した日本人の覚悟を示す。
理想論などではない。






さて、本日は気持ちを切り替えて、隈研吾の小さな建築「Chidori」をみてみよう。



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■隈研吾のプレゼンテーションより

「Chidori(2007年)」は、2007年のミラノ・サローネでイタリアのスフォルツォルコ城の中庭につくったパビリオンです。




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展示期間一週間のパビリオンなので、材料は日本から持ってくることのできる軽くて小さいものにしたいと考えていたら、ひとつの玩具に出会いました。
それは、「千鳥」という飛騨高山に昔からある組み木のような木製の玩具で、飛騨高山の街ではビニールの袋に入って500円くらいで売っているものなのですが、これがとてもよくできている。




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切り欠きが施されている三種類の木の棒を組んでひねると、釘がなくとも固定される立体的な積み木なのです。





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このシステムを用いて、ミラノにドーム状のパピリオンをつくりました。





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ひとつの部材は3センチ角の木の棒で、切り欠かれて残る部分は1センチくらいしかありませんから、非常に細い。
不安になるくらい細い部材ですが、組み合うことによって強くなるのですね。
構造は佐藤淳さんにお願いしたのですが、彼が絶対大丈夫だと言ってくれました。





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現地に学生を連れていき、日本から持ってきた部材を一気に組み立てました。
解体するのも簡単な、ノマド的建築です。


こういった小さなものから構成されている建築は、つくるのも元に戻すのも簡単にできます。
日本の木造建築は、そもそもそういう小さいシステムでつくられていたと、私の先生である内田祥哉先生はおっしゃっています。




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「日本の木造建築では、柱はいちおう構造として建っているが、間取りを動かしたい時には柱すらちょっとずらしちゃう。」
「それは、小さいエレメントの複合体として全体がつくられているからで、完成した後から柱を動かせるシステムなんて、世界に他にないよ」というのが、内田先生の持論です。




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☆☆☆やんジーのつぶやき
融通無碍という日本の木造建築に官能が揺れた。
そして、飛騨高山に昔から伝わる組み木の玩具にも官能が揺れ動いた。


































































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by my8686 | 2016-03-30 10:02 | 挑発する建築&空間 | Trackback | Comments(0)

「永遠平和と安保法」 元月刊「PLAYBOY」編集長・池孝晃氏のインタヴューに耳を傾けてみよう

本日29日、戦後の安全保障政策を転換する安保法が施行される。
敗戦を告げる玉音放送から70年7カ月と14日。

月刊「PLAYBOY」など雑誌編集の最前線で大衆と向き合い、18世紀ドイツの哲学者、カントの名著「永遠平和のために」の新訳本を世に送った編集者は何を見てきたのか。
今、何を語るのか。その言葉に耳を傾けてみよう。





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――9年前に企画・編集した「永遠平和のために」が今、読まれているそうですね。

カントの著作を、ドイツ文学者の池内紀さんにわかりやすい言葉で抄訳してもらい、2007年に出版しました。
以後、絶版のような状態でしたが、安保法案が話題になっていた去年6月に復刊されました。
じわじわ売れて3刷になったそうです。




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――積極的平和主義を掲げる安倍晋三首相にも、ぜひ読んでほしいですね。

じつは、お渡ししたんです。
復刊直後の7月15日、安保法案が衆院の委員会を通過した夜のことです。
池内さんと私、担当編集者の3人で、東京・赤坂のそば屋で食事をしました。
周囲には黒塗りの車がとまり、報道陣も集まっていました。店に安倍さんがいたんです。
この本は彼にこそ読んでほしいと話していたので、おかみさんを介して差し上げました。
こんな偶然って、あるんですね。




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――その安保法が施行されます。カントは何と言うでしょう。

平和への歩みは遅々としているけれども、いつか永遠の平和が実現するのを期待して歩むことが大事なんだ、とカントは言っています。
人類の歴史は戦争の歴史だからこそ戦争のない社会を、と理想を掲げたんですね。
隣り合った人々が平和に暮らしているのは、人間にとって『自然な状態』ではなく、敵意で脅かされているのが『自然な状態』である。
だからこそ、平和状態を根づかせなければならない、と。
共通の敵でもない別の国を攻撃するために軍隊を他国に貸すことがあってはならない、とも言っています。
まさに集団的自衛権のことでしょう。




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――戦後日本の安保政策の転換点になります。

この70年あまり、僕たちの国は一度も戦争をしなかった。
カントが照らした道を世界で最も忠実にたどったのは戦後の日本でしょう。
転換点を迎える今、思い浮かぶのはカントのこんな一節です。
『たまには、老哲学者の言葉に耳を傾けてはどうか』



――この本を編もうと思い立ったのはどうしてですか。

03年3月のことです。
米国のイラク爆撃の様子をテレビで見ました。
映像がすごくリアルで、それはもう驚きでした。



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――戦争と平和を論じる本が売れる、という編集者の嗅覚が働いた、ということですか。

最初に思ったのは、あの爆撃の下には普通の人々が暮らしているということです。
身がすくむ思いでした。
幼い頃、戦地で負傷した叔父が帰ってきて土間に担ぎ込まれた時、近所の人が集まって、ものすごくざわついた雰囲気だったのを覚えています。
焼夷弾から逃げて転んだ祖母は腰の骨を折って、寝たきりになった。
そんな記憶がいっぱいある。
戦争が普通の人々の生活や人生を大きく変えるということは、やはり覚えておかねばなりません。




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――そんな経験を……。

戦争というのは、体験するのとそうでないのとでは全然、違うんですね。
60年安保の時、僕は大学生でしたが、運動に参加した同世代も多かれ少なかれ、戦争を体験していました。
戦争が終わり、これからは希望を持って、それぞれの道を歩もうという時代でした。
けれども、岸信介首相は米国との同盟を強め、平和憲法を変えようと考えていました。だから安保に反対だ、と。




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しかし、70年安保の中心になったのは戦後生まれの団塊の世代です。
当時、『戦争を知らない子供たち』という曲がヒットしました。
まさに戦争を知らない若者たちの一部が、過激な暴力闘争に突入し、72年に連合赤軍のあさま山荘事件が起きます。
警察が鉄球で建物を壊す場面で、どこかのテレビ局がサイモン&ガーファンクルの『明日に架ける橋』を流していたのを覚えています。
こんな闘いの先に、どんな夢や希望があるのか、僕にはさっぱり理解できなかった。




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――その後、創刊に関わった月刊「PLAYBOY」日本版の読者は「戦争を知らない」若者たちだったのでしょう。

米国版の翻訳とオリジナルの記事で編集しました。
白人女性のヌードグラビアが話題になりましたが、藤原新也さんら当時の若手写真家によるアジアやアフリカの写真紀行、三島由紀夫に関するスクープ記事など政治や社会、文化まで硬派な記事を並べました。
エロからサルトルまで、です。

じつは、日本で若者が立ち上がる日は、もう来ないだろうと思っていました。
でも、政治的に挫折しても問題意識を持つ若者の関心に応えたかった。
権力に敗れた若い人たちに、世界へ飛び出して目を開いてほしかったのです。
75年5月21日に発売された創刊号は、45万8千部がその日の午前中に売り切れました。




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――エロと哲学。まさに雑誌という感じがします。

ところが、80年代に入ると、若い人たちは自分の半径3メートルにしか関心を向けなくなった。
政治的闘争なんて、どこにもないのですから、当然かもしれません。
ファッション誌やサブカルチャー誌が好まれ、若者は政治や社会を語ることを退屈だと考えるようになったようです。
86年、僕は46歳で書籍編集へ移り、好きだった欧州の作家の翻訳書を手がけます。
プルーストやジョイスなどです。
政治的な闘争に参加するより、本を読んでいたいというクチなので楽しかったですね。




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――しかし、と。

僕が若い人たち相手の仕事を離れて、好きなことをしている間に、戦後生まれが7割を超え、戦争体験を持つ政治家も次々に政界を去っていった。
自衛隊もイラクに派遣され、長く戦争とは無縁だった日本がそうもいかない感じになってきた。
僕は編集者として何をやっていたのか、と考えました。
子会社・綜合社での定年も見えはじめたころです。
編集者人生の最後の1冊で若い人たちに何かを残したい。
そう思った時、手に取ったのがカントの『永遠平和のために』でした。
日本の憲法がその精神を受け継いでいる、と聞いたからです。




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――自信作ですね。

難解な書ですが、平易な言葉で若い人に伝えたい。
そう考えているうちに、06年に安倍さんが首相になって、憲法改正を堂々と唱えた。
戦後生まれの政治家の言葉に、頭を殴られたような気がしました。
僕に残された時間は少なかった。
カントを早く出したい、と焦る思いでした。
刷り上がったのが07年11月、ちょうど定年退職の日です。
安倍さんは出版の2カ月前に退陣していましたが。




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――返り咲いた安倍首相は、29日に施行される安保法が平和をもたらす、と訴えます。

カントは行動派の政治家の特徴として『まず実行、そののちに正当化』『過ちとわかれば、自己責任を否定』と述べています。
また『力でもって先んじなければ、力でもって先んじられると主張する』という指摘にもハッとさせられます。
他国への侵略に絡んでの指摘なので安倍さんとは前提が違いますが、力でという発想は重なるようにも見えます。
しかも、こうした主張を受け入れる国民が少なくない。
多くの人にとって、僕が体験した戦争はもう、遠い出来事になっているのでしょう。




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――夏の参院選では、18歳が選挙権を持ちます。戦争どころか、バブル景気も知らない世代です。

18歳は、憲法改正の国民投票もできますね。
だからこそ、自分の考えを持って政治に参加してほしい。
そのために世界にはこんな考えもあるということを知ってほしい。
今の日本は、200年前、遠い欧州の哲学者が唱えた『永遠平和のために』という呼びかけに応えているか。
自身で考え続けてほしいのです。





いけたかあき 1939年生まれ。
62年集英社入社。
78~82年まで「PLAYBOY」日本版編集長。
文芸出版部取締役を経て、綜合社(当時)社長。
2007年退職。 


(2016.03.29 朝日新聞より抜粋)











☆☆☆やんジーのつぶやき
月刊「PLAYBOY」日本版の創刊号には血が騒いだ記憶がある。
ナイフで削りとられたブロンド美人の陰部に艶めかしさが漂った。
熱い昭和の良き時代だったのか。
藤原新也の写真に官能が酔い、三島の割腹事件の残り香が鼻をついた時代でもあった。
エロと哲学とJAZZに酔った若きあの時代が懐かしい。












































































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by my8686 | 2016-03-29 13:13 | ヘビーな話は、謹んで | Trackback | Comments(0)

遺跡の街、奪還 アサド政権軍

政権軍は27日、10カ月ぶりにパルミラを奪還。
シリアとイラクでのISの劣勢が鮮明になっているという。



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あらためて、その内容をみてみよう。

シリアの国営メディアは27日、アサド政権軍が同日午前、世界遺産の都市遺跡で知られる中部パルミラの全域を、過激派組織「イスラム国」(IS)から10カ月ぶりに奪還したと報じた。
シリアとイラクでのISの劣勢が鮮明になっている。




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昨年9月からロシア軍の空爆支援を得て攻勢に転じたアサド政権軍にとって、対IS戦で最大の戦果だ。
シリアの国営テレビによると、アサド大統領は同日、「パルミラ解放は重要な戦果。テロとの戦いにおけるシリア軍と同盟軍の成功を示す」と述べた。
シリア内戦をめぐっては先月27日にロシアと米国が主導する停戦が発効したが、ISは除外されている。





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パルミラは、首都ダマスカスの約230キロ北東にある内陸の要衝だ。
ISは昨年5月にアサド政権軍を撃破して制圧後、パルミラ―ホムス間に支配地域を拡大。
遺跡を象徴するベル神殿の本殿と列柱やバール・シャミン神殿を爆破した。





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アサド政権軍は今年3月下旬から空爆支援を続けるロシア軍とともに、パルミラへの攻勢を本格化。
奪還したことで、シリア中央部からイラク国境に広がる砂漠地帯を支配下に置くことができる。
ISが「首都」と称するラッカ攻略にも足がかりを得たことになる。





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シリア国営メディアによると、遺跡保存を担当する文化省文化財・博物館局のマムーン・アブドルカリム局長は「安全が確保でき次第、修復作業に取りかかりたい」と述べた。
ベル神殿とバール・シャミン神殿に専門家チームを派遣し、破損状況を確認して修復計画を検討するとしている。





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(2016.03.28朝日新聞より抜粋)









☆☆☆やんジーのつぶやき
パルミラ奪還の影には、ロシア軍による158カ所の空爆と戦闘員100人以上の殺害がある。
ここは、シリアの首都ダマスカスと東部の都市デイル・アルズールをつなぐ道路の戦略的重要拠点の奪回としてその意味は深い。







































































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by my8686 | 2016-03-28 14:42 | ヘビーな話は、謹んで | Trackback | Comments(0)

日曜に読む  書評『バラカ』桐野夏生〈著〉

日曜休日の朝、気になる書評が目にとまった。

原武史氏の書評『バラカ』』桐野夏生〈著〉。




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■震災の暗黒郷を描き、時代を照らし出す

あの日の震災で、福島第一原発がすべて爆発した。
東京は避難勧告地域に指定されて住民は西に逃げた。



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首都機能は大阪に移り、天皇も京都御所に移住した。
2020年のオリンピックは大阪に開催地が変更された。
震災から8年がたち、放射線量が下がってもまだ住民の半分以上が戻らず、東京の空き家では地方から来た若い日本人や外国人労働者がルームシェアしながら住んでいる。



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もちろん、これは現実の出来事ではない。
だが桐野夏生の手にかかると、架空のはずの小説が禍々しい現実感をもって読者の前に立ち現れる。
これまでもそうした作風で、あり得たかもしれない現実を鋭くあぶり出す小説を世に問うてきた著者が、ついにあの震災をテーマとする長編小説に挑んだのが本書である。





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タイトルの「バラカ」は、震災後に警戒区域で発見された一人の少女の名前を意味する。
日系ブラジル人として生まれながら、中東のドバイで人身売買により日本人夫妻の子とされたバラカは、東京で震災にあい、被曝して甲状腺がんの手術を受ける。
そして日本各地を転々とするうち、自分たちの運動のシンボルとして利用しようとする原発推進派や反原発派と次々に遭遇する。
こうしていつしか原発をめぐる生々しい政治の渦中に巻き込まれてゆく。





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興味深いのは、日本という国家自体が西日本と東日本に事実上分断されていることだ。
西日本は大阪を首都として震災前の国家を維持しているのに対して、東日本は震災であたかも別の国家のようになった。
ここには、震災後も東京一極集中が強まり、東京でオリンピックまで開かれようとしている現在の日本に対する強烈な批判が込められている。





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関係者が相次いで消えてゆくなか、バラカはさまざまな人間の欲望や権力の網をくぐり抜け、強靱に生きようとする。
エピローグでは、国家の周縁に当たる北海道の東端でようやく安住の地を見つけたバラカの姿が描かれる。




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古来、洋の東西を問わず、思想家はあるべき政治や社会の理想像を語ってきた。
だが桐野夏生は、ユートピアではなく、ディストピア(暗黒郷)を徹底して描こうとする。
一見正反対なその手法は、現実を逆照射する点で、思想家に通じるものがあると思う。





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かつては松本清張の推理小説が現実との鋭い緊張関係を保っていた。
清張が昭和という時代を照らし出す小説家だったとすれば、桐野夏生もまた平成という時代を照らし出す小説家といえる。
すぐれた小説家は同時にすぐれた思想家でもある。
小説をフィクションとしか見なそうとしない学者にこそ読んでほしい一冊である。




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評:原武史(明治学院大学教授・政治思想史)

(2016.03.27 朝日新聞より抜粋)








☆☆☆やんジーのつぶやき
INESにおいて最悪のレベル7に分類される福島第一原発事故。
炉内燃料のほぼ全量が溶解しているという恐怖。
2015年の宇宙線ミュー粒子を利用した測定検査では1号機の核燃料はほぼ全量が熔融落下していることが確認された。
また2号機での核燃料熔融落下は7割以上あり、その溶け落ちた燃料が圧力容器底部に留まっているかどうかは不明という。
こうした環境下でお祭り騒ぎの果てに、東京オリンピックがさらに開催されようとしている。
北海道の東端が本当に安住の地であるように祈りたい。



































































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by my8686 | 2016-03-27 11:19 | 気になる本 | Trackback | Comments(0)

中東安定への道 世界銀行副総裁に問う

土曜休日の夕刻、気になるインタヴュー記事をあらためて読み直してみよう。


「アラブの春」で一時は民主化への期待が高まった中東・北アフリカ地域で、混乱が続いている。
人々の生活が依然として苦しいことが背景だ。
紛争解決の土台づくりを経済面から進めるため、世界銀行が新戦略「平和と安定のための経済・社会包摂」に力を入れている。
担当の副総裁ハフェズ・ガネム氏に聞いた。




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――「アラブの春」で独裁政権が倒れ、民主化への期待が高まりました。だが実際はそうなりませんでした。

(アラブの春が本格化した)2011年の時点で我々はやや楽観的過ぎました。
アラブ世界には民主主義的な基盤や文化が弱かったのに、当時は民主主義と繁栄を非常に早く達成できると考えていたのです。
逆に今日の状況について、私たちは悲観的過ぎる、と考えています。
アラブ世界の変革は直線的ではない。
アップダウンがある。それでも変革の過程は始まり、止まることはありません。


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――あのとき、世銀が別のやり方で関与すれば、今の中東とは違うものになっていましたか。

『アラブの春』後、指導者たちは政治と宗教の問題に焦点を当てすぎ、経済への注目が不十分だったと感じています。
エジプトの若者が叫んでいたのはパン、自由、社会的公正、そして尊厳です。
自由と尊厳は政治的な要求で多くの議論がありましたが、パンと社会的公正の議論はあまりなかった。
もし、この点にもっと焦点を当てていれば、変革はより容易だったかもしれません。



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――だからこそ世銀にとっても新たな戦略が必要なのですね。

世銀やJICA(日本の国際協力機構)、ほかの援助機関が中東・北アフリカ地域で実施してきた多くの優れた案件がある半面、過去数年、全体としての成果はそれほど出ていません。
なぜか。
暴力や不安定といったものがあるからです。
内戦下のイラク、シリア、イエメンで経済開発することはできません。
チュニジアなどテロの影響を受けたところでは観光業や投資が低下する。
成長が鈍化して失業が増える。
結局、地域を発展させたいなら不安定と暴力の問題に取り組まないといけない。



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――問題の根源に触れていこうということですね。

その通りです。
では、平和と安定に寄与するために我々に何ができるのか。
世銀は経済を扱う機関で、政治や治安面について実現するための権限も知識もありません。
我々がやるべきことはまず経済、社会的な根本原因に取り組むための戦略をつくることだという結論に至ったのです。



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――具体的には。

若者たちが社会から疎外されていると感じれば、それは暴力の原因になりうる。
上エジプト(南部)やチュニジア西部など、境遇に恵まれていないと感じる地域が至るところにある。
イラクやシリアで「イスラム国」(IS)が勢いづくのはこれらの国でスンニ派のコミュニティー(共同体)が軽視されていることの反映だという議論があります。
新戦略の核心は、平和と安定に世銀が貢献しよう、そのためには経済的、社会的要因を見極め、それを様々なパートナー(連携相手)とともに取り組んでいく必要がある、ということなのです。



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――内戦下のイラクやシリアなどでは国家のない状態の地域も多く、パートナーとなる「受け入れ国」が見当たりません。どうやって人々に届けるのですか。

脆弱な状況、あるいは紛争に対処しながら、そうした状況の中で開発する。
21世紀において、この分野で働く我々全員にとっての重要な課題です。
例えば我々がイラクで実施した最後の案件はISから解放された地域の復興案件でした。
北部にあり、我々の職員が現地に行って監督することは、不可能です。
代わりに国連機関や非政府組織(NGO)などに実施を手伝ってもらいました。



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――パートナーは「国」だけではないのですね。ISの支配地域にも支援が必要な人がいます。そうした人々も受益できますか。

それは難しい。
我々自身もしくは、信頼できる人道支援組織が行けるところでないと実施できません。
贈与でも融資でも資金の使い道をしっかりと監督する責任があります。
我々が経済的、社会的な開発を支援することで、(ほかの中東地域の)若者がISに行きたいと思えないようにしたい。
我々が活動できるのはトルコ、レバノン、ヨルダンなど国外に出た500万人近い難民を支援することです。
こうした国々と協力し、支援しています。



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――新戦略は、国連難民高等弁務官だった緒方貞子さんが提唱する「人間の安全保障」の考え方が反映されたものともいえますね。

その通りです。今回の来日時に緒方さんに会い、新戦略について説明しました。
強調したいのは、今日の世界は経済的、人道的、文化的な関係で相互に結びついているという点です。
いかなる国にとっても、どこかで起きたことについて全く無関係だなどということはありえない。
遅かれ早かれ我々全員に影響する。
だからこそ人災であれ、天災であれ、力を合わせて協力し、人道的な問題に対処する必要があります。



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――人道支援の場合、投入した資金を回収するのは難しい面もあると思います。支援は利息付きの融資(ローン)ですか。

所得水準や返済能力などを見て、独自のルールで決めます。
例えば、イエメンでは内戦前から貧困度に照らして贈与(グラント)のみ実施してきました。
ヨルダンは中所得国で返済能力があるため、融資を実施していますが、難民を受け入れることで追加的な負担が生じている。
ほかの支援国・機関との間で、(供与条件が緩和された)譲許的融資をどう実施するか協議しています。

今日では、人道支援と開発との区別があいまいになっています。
難民に短期的に人道支援をするにせよ、3~4年もそこにとどまれば、学校や病院などを建設して開発する必要が出てくる。
水道や道路も必要です。



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――中東地域の安定は世界全体にとっても重要です。

中東が不安定になれば、原油価格に影響し、世界経済にも影響する。
テロが起きれば欧州、日本、米国にも影響を及ぼします。
つまり、中東の平和と安定は『地球規模の公共財』と呼ぶべきものなのです。


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――日本政府の役割や世銀との連携についてどう考えますか。

日本は中東・北アフリカ地域で独自の役割を果たせると思います。
石油エネルギーの8割以上をこの地域から輸入しており、地域の安定が重要です。
日本はこの地域で植民地主義や歴史的なかかわりがなく、中立的な存在として受け止められています。
アラブの人々は日本が過去60年の間に成長を成し遂げたことに大いなる敬意を持っています。
だからこそ、日本の言動について人々は極めて真剣に受け止め、耳を傾けるのです。


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Hafez Ghanem
1957年、エジプト生まれ。
83年に入行し、15年から現職。
米ブルッキングス研究所シニアフェロー。




■取材を終えて

内戦などで国家機能を失った地域が中東に広がるなか、パートナー(連携相手)を「国」から国際機関やNGOに広げ、人道支援と開発を並行して進める世銀の新戦略は経済、社会面から「テロ対策」に取り組む意欲的なアプローチだ。
融資と引き換えに「財政引き締め」を途上国に突きつけ、いわば「憎まれ役」を演じてきた世銀のこれまでの姿から見ると、副総裁の発言はまるで人道支援団体のようだ。
だが、それは理想主義から来るものではない。
援助の現場を踏まえ、不安定と暴力をなくさない限り経済発展はありえないと言い切る副総裁の発言は、むしろ現実主義に基づくものだろう。

新戦略を進める上で副総裁は、日本を「重要なパートナー」とみる。
中東で軍事力を行使したことのない日本だからこそ果たせる役割は何か。
軍事面での「貢献」論議に陥りがちな今こそ、日本の強みを生かした経済的、社会的な支援のあり方について議論を深める時だ。

(2016.03.26朝日新聞より抜粋)









☆☆☆やんジーのつぶやき
あの敗戦から日本が過去60年の間にここまで成長してきたその軌跡に世界が瞠目している。
その復興に命を賭けて日本国とその国民の平和を願った天皇の存在は大きい。
新戦略を進める上で日本を「重要なパートナー」とみる世銀副総裁。
中東で軍事力を行使したことのない日本だからこそ果たせる役割とは何か。
経済支援だけで済む話ではない。



































































































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by my8686 | 2016-03-26 19:09 | ヘビーな話は、謹んで | Trackback | Comments(0)

トランプ氏対テロ過激化「核使用が最後の手段」

ベルギーの同時テロを受け、米大統領選の共和党指名候補争いでトップを走る不動産王ドナルド・トランプ氏がテロ対策をめぐる発言を過激化させているという。



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トランプ氏は23日、米通信社ブルームバーグのインタビューでイスラム過激派組織「イスラム国」への対応について、
「あえてはっきり言えば、核兵器が最後の手段だ。私はどんな可能性も除外しない」と主張。





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テロ容疑者への「水責めを行う」とした22日よりも発言をさらにエスカレートさせた。

これに対し、民主党の指名候補争いで優位に立つヒラリー・クリントン前国務長官はカリフォルニア州での講演で、トランプ氏の発言について「深刻な誤りだ。イスラム教徒をすべて悪者扱いするような扇情的な論法は役に立たない」と批判した。





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さらに、北朝鮮の核問題については-

2016年1月7日、中国メディア・環球網によると、北朝鮮が水爆実験を行ったと発表したことを受け、その責任を中国に押し付ける発言をしたという。




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6日付の米CNNによると、トランプ氏はインタビューに応じ、
「北朝鮮の核実験が引き起こした一連の問題は、中国が表に出て解決すべきだ。中国の援助なしには、北朝鮮人は食事すら満足に取れないのだから」と主張。





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その上で、「中国が動かないなら、米国は貿易で中国につらい目を味わわせるべきだ。輸入関税の引き上げでも貿易中断でもいい。中国は2分もあれば崩壊するだろう」などと語ったという。





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☆☆☆やんジーのつぶやき
共産主義の防波堤として、活用の道がある北朝鮮をいいように利用してきた中国に大きな責任があるといいたいのだろう。
トランプの発言が正しいかどうかは別問題として、自由貿易社会とつきあい、良いとこどりをしてきたのは事実。
米国が歪んだ強行策を盾にして世界秩序に中国を無理やり従わせるという蛮行だけは避けるべきだろう。









































































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by my8686 | 2016-03-25 11:23 | ヘビーな話は、謹んで | Trackback | Comments(0)

ベルギーテロの衝撃

ベルギー連続テロが、欧州に衝撃を広げている。
空港や地下鉄という市民が行き来する場所への襲撃。
自由を重んずる欧州の気風が、「治安」優先にシフトする転機となる可能性もあるという。


このテロ事件を受け、2名の気になるコメントが目についた。
あらためて、その内容をみてみよう。



■欧州全体で「亀裂」克服を
ユアン・レマンヌ(ルーベンカトリック大学名誉教授)

ブリュッセルのモランベークはふだん、陽気で活気ある地区です。
今回の連続テロの直前、昨年のパリ同時多発テロの実行犯でこの地区に住んでいたサラ・アブデスラム容疑者(26)が逮捕されました。
平静を取り戻せるという期待が高まっていた矢先のテロに住民は意気消沈しています。

ベルギー人は、ローマやベルリンでテロが再発し得ると思っていたように、ブリュッセルで起こることを覚悟してはいました。
ただし、これほど早く起こるとは想定していなかったのです。
モランベークの住民は周囲の人々がイスラム教徒をテロリストと同一視するのではないかと、絶望さえ感じています。

今回のテロを受け、フランスのバルス首相らは「戦争」という言葉で、犯行に関与したとみられる過激派組織「イスラム国」(IS)を非難しました。
ただし「戦争」という言葉はISの本質を見誤らせるのではないでしょうか。




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連続テロがアブデスラム容疑者の逮捕への報復だとすると、ISは「自分たちがやられたら徹底してやり返す」というマフィア組織と同じ手法で反応をしたわけです。
彼らは国家ではなく、マフィア組織と見なすべきなのです。

今回のテロは、欧州を崩壊させようという明確な意図に基づいた犯行です。
ISのような組織は、欧州で生まれ育ち、不満を抱える若者を洗脳して育てる段階から、テロを実行する段階へと移行しているのだと考えられます。

ベルギーの治安対策にも不備がありました。
パリのテロなど近隣で問題が多発しているのに、モランベークには3年以上、腰を据えて働く警官が配置されていません。
また、住民の多数派が北アフリカ系なのに、北アフリカ系の警官はほとんどいません。




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ISは、欧州連合(EU)という超国家の枠組みと、それぞれの加盟国の一員である一般の人たちとの亀裂を狙って攻撃を仕掛けています。
テロはそれぞれの固有の問題ではなく、欧州全体の問題として受け止め、対応を考えなければなりません。

テロが起きると、各国の政治家はすぐに選挙への影響を考え、ポピュリズムに走りたがります。
移民を排除すればテロが減ると思いたがる一部の有権者に受ける政策に偏るのです。





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しかし、今こそ取り組むべきは、欧州規模での安全を確保するシステムの構築です。
あらゆる機関で情報共有を進めるようただちに動き始めなければなりません。

そして、ポピュリズムの台頭を抑えるには、EUの政治家がモランベークのような地区に自ら足を運び、そこに生活する人々と対話を深める必要があります。
EUと住民との亀裂は、政治の側から乗り越えないといけません。


Johan Leman
専門は文化人類学、移民政策。
モランベーク地区で社会統合を後押しするNGO代表を務める。






■「分散型」力強めるIS
 レベッカ・ジマーマン(米ランド研究所政策アナリスト)

今回のテロが、欧州連合(EU)本部があるブリュッセルの国際空港を標的にしたということは、欧州の玄関口、欧州全体への攻撃という意味を持ちます。
ベルギーは歴史的に外に開かれた国で各国から人が集まります。
国境の検問などの態勢は、英国のように厳しくはありません。
半面、ブリュッセルはロンドンなどと比べ、テロの対象になりやすかったと言えます。

今回のテロは、まったく予想外だったわけではありません。
犯行の4日前、昨年11月のパリ同時多発テロの実行犯の一人とされるアブデスラム容疑者が逮捕されました。
ベルギー当局は、テロのリスクが高まったとして警告を出していました。





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事件の全容を語るにはまだ早すぎますが、当局が警戒を強める空港や地下鉄で計画的に爆発を引き起こすことができたのは、専門的なテロのネットワークが介在していたからでしょう。
アブデスラム容疑者が拘束されたことへの報復、あるいは、当局がネットワークを閉鎖しようとする前に攻撃に踏み切ったのかもしれません。
自爆テロがあった空港では、AK47が押収されました。
もしテロリストたちに十分な時間があれば、銃乱射も起こり、被害が拡大していた可能性があります。




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パリの連続テロと同様、今回も過激派組織「イスラム国」(IS)本体の指揮による統率されたものではなかったと思います。
2001年の米同時多発テロは、アルカイダ中枢が計画し、命令に従って実行された中央集権的なテロでした。
一方、ISがシリアやイラクの外で起こしているテロは、独立した地域ネットワークによる分散型で、協力にもいくつかのレベルがあります。
ネットにアクセスでき、銃があれば参加できる。昨年末の米カリフォルニア州での事件もそうでしたが、ISに心酔した犯人による分散型テロが広まっています。





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私は、アフガニスタンや西アフリカの反政府運動やテロ活動を研究してきました。
アルカイダは、極端に中央集権的な組織作りに走り、地域ごとのフランチャイズをほとんど認めませんでした。
ISは系統的であることと分散型であることを融合させ、その間のちょうど良い状態である、「スイート・スポット」(最適な場所)を見つけ、勢力を強めているように見えます。





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今回のようなテロは、今後も起こるでしょう。
欧州各国は、対テロ能力を早急に高める必要があります。
ただ、それには時間がかかります。
フランスは、情報収集にあたる人員の確保に苦労しています。
ベルギーも同じ問題に直面するでしょう。また、同時多発テロ後の米国のように、安全保障と市民の権利のバランスをどう取るのか、欧州でも論争が起きるでしょう。




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(2016.3.24 朝日新聞より抜粋)









☆☆☆やんジーのつぶやき
専門的なテロネットワークがどこまで拡大しているのか。
ダーイシュの拠点ではシリア軍とロシア軍の空爆も激化しているという。
擦れあうイスラム情勢に根本的解決はあるのか。













































































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by my8686 | 2016-03-24 11:08 | ヘビーな話は、謹んで | Trackback | Comments(0)

ベルギー連続テロ、34人死亡 空港・地下鉄駅で爆発 IS系メディア、犯行声明

ベルギーの首都ブリュッセルの空港で22日午前8時ごろ、2度の爆発があった。
さらに約1時間後、ブリュッセル市内にある欧州連合(EU)本部近くの地下鉄駅構内でも爆発が起きた。
地元メディアの報道などによると、この連続テロによって空港で14人、地下鉄で20人が死亡した。
合わせて180人以上が負傷しており、死者数はさらに増える恐れがあるという。
過激派組織「イスラム国」(IS)系のメディアは22日、事実上の犯行声明を伝えた。





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こすれあう欧州情勢。
あらためて、その内容をみてみよう。


IS系メディアは「ISの戦士が爆発ベルトや装置を使い、空港と地下鉄の爆破を遂行した」と伝え、爆発前には「戦士が発砲を開始」した、とも伝えた。
ベルギーについて「対ISの有志連合に参加している」と敵視する理由を伝えた。

地元メディアなどによると、空港で爆発が起きたのは出発ロビーで、保安検査区域の外側。天井や窓ガラスが広範囲で吹き飛んだ。
2度の爆発はチェックインカウンター近くであった。

ベルギーのミシェル首相は、空港の爆発が自爆テロだったと述べた。
また現地メディアは目撃者の話として、銃声とアラビア語の叫び声が聞こえた後に爆発が起きた、と伝えた。
現場からは自爆ベルトが見つかり、近くにカラシニコフ銃があったという。




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ベルギー公共放送RTBFによると、容疑者とされる3人が映った空港の監視カメラの映像を当局が公開した。
黒い服の男2人が自爆テロを起こし、白い服の男が逃走したという。
RTBFは、検察当局が、容疑者を3人と確認したと報じた。

また地下鉄駅での爆発は、EU本部や日本大使館に近い官庁街のマルベーク駅で起きた。
BBCなどによると、爆発が起きたのは車両内とみられる。





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連続テロの後、政府は国内全土でテロ警戒レベルを最高に引き上げた。
ベルギーのレインデルス外相は地元テレビで、犯行に関係した人物がなお逃亡中の恐れがあると述べた。
同国軍はブリュッセルに追加の部隊を派遣した。

ブリュッセル空港は、航空便の発着がすべてキャンセルされ、利用客は施設外へ避難させられた。
同市内では地下鉄や路面電車、バスが全面運休となった。
EU職員らは外出を控えるよう指示された。





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隣国フランスとの間の国際特急や、英国と欧州本土を結ぶ高速鉄道ユーロスターのロンドン―ブリュッセル便も運行を停止した。

ブリュッセルでは18日、昨年11月のパリ同時多発テロ実行犯メンバーとして指名手配中だったベルギー出身のサラ・アブデスラム容疑者(26)が拘束されており、報復テロの可能性がある。
当局はアブデスラム容疑者の逮捕後、同容疑者が新たなテロを計画していた疑いがあるとの見方を示し、警戒を強めていた。





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■武器、闇市場の存在指摘

今回のテロは、過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出した昨年11月のパリ同時多発テロの実行犯の一人とされ、指名手配中だったサラ・アブデスラム容疑者(26)をベルギー捜査当局が今月18日に拘束した直後に起きた。

同容疑者が潜んでいたのは、出身地であり、当初からイスラム過激派グループの温床とみられてきた、ブリュッセル西部にある若者の失業者や移民が多い地区だった。
同容疑者の拘束・逮捕後、ベルギー捜査当局は立ち寄り先などの捜索で大量の武器を発見していたが、それでも逃亡を続けた関係者や、当局が把握しきれない過激派のネットワークが存在していた可能性をうかがわせる。





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ほかにも、ブリュッセルのユダヤ博物館では2014年5月、発砲があり、イスラエル人の観光客ら4人が死亡。
過激な思想に傾倒するアルジェリア系フランス人の青年が逮捕された。
17人が死亡した昨年1月の仏週刊新聞シャルリー・エブドの襲撃事件では、東欧やアフリカからベルギーに流れ込んだ武器が使われたとされる。





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ベルギー国内にイスラム過激派が多いことや、武器の闇市場の存在があるとの見方が背景として指摘されている。
また、EUの大半の加盟国間では、移動の自由を認める「シェンゲン協定」で国境審査が廃止されてきたため、犯行グループの越境も難しくない。

一方、警察の取り締まりには課題がある。
ベルギーは連邦制の多言語国家で、連邦政府だけでなく、フランス語圏の南部ワロン地域、オランダ語圏の北部フランデレン地域、ブリュッセル首都圏のそれぞれが別の政府を持ち、その下に置かれた警察間に縦割りの壁があると長年指摘されている。




■厳戒下の空港、防げず 五輪控えた日本にも課題

ベルギーも含めて欧州各国の空港などでは昨年暮れから厳戒態勢がとられていた中、再度の大規模テロを防げなかったことに、関係者は衝撃を隠せない。
5月の主要7カ国(G7)首脳会議や、2020年の東京五輪が控える日本にとってもひとごとではない。





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警察庁は22日、全国の都道府県警に空港などの重要施設の警戒警備を改めて指示。
地下街やテーマパークといった誰でも立ち入れる「ソフトターゲット」で不審者・不審物を発見した際の通報・連絡態勢の徹底も求めた。

今回の連続テロは、空港のセキュリティー区画手前や地下鉄といったソフトターゲットを狙っており、パリ同時多発テロとの類似点が目立つ。

しかし、空港で検問を二重に設ければ人の出入りは著しく滞る。
地下鉄に乗車する人全員の身体検査をするのも現実的ではない。

成田空港では昨年3月に空港を訪れる利用者を検問で止めることをやめ、車両ナンバーを記録できる監視カメラの配置などハイテク機器の活用に切り替えた。
鉄道駅やターミナルには、目や鼻の特徴などから通行人の顔を認証する機能のあるカメラを設置し、不審者の動きも監視している。





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ただ、多数の人が集まる場所はどこでも標的になりうるだけに、機械式の警備システムだけで対処するのは難しい。
それだけに、テロ組織の動きを事前に察知するような当局の情報活動は不可欠だ。
だが、今回の連続テロではその面でも後手に回った。

AFP通信によると、フランスのカズヌーブ内相は、治安部隊1600人を地下鉄駅などに新たに配置することを明らかにした。

(2016.03.23朝日新聞より抜粋)









☆☆☆やんジーのつぶやき
パリに続いて、欧州の中心部それも心臓部が狙われた。
過激化するテロ事件にこすれあう欧州情勢。
日本国内のソフトターゲットもひとごとではなくなってきた。








































































































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by my8686 | 2016-03-23 09:47 | ヘビーな話は、謹んで | Trackback | Comments(0)

小さな建築「ちょっ蔵広場」

オバマ米大統領が20日午後、現職の米大統領として88年ぶりにキューバの首都ハバナに到着した。
21日午前には、ラウル・カストロ国家評議会議長との会談に入った。
昨年7月に54年ぶりに国交回復した両国の新たな関係を切り開く「歴史的な訪問」と位置づける。

現職米大統領のキューバ訪問は、1928年にハバナでの国際会議に参加したクーリッジ氏以来。
両国はキューバ革命後の61年に国交を断絶、翌62年には米国とソ連が核戦争の瀬戸際に立つ「キューバ危機」に至った。
しかしオバマ政権は融和路線を採り、2014年12月に国交正常化交渉入りを発表している。


さて連休明けの火曜日、本日からまたしばらく隈研吾の小さな建築をみていこう。


大谷石をテーマにした「ちょっ蔵広場(2006年)」。




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■隈研吾のプレゼンテーションより

大谷石という石もまたおもしろい素材で、ライトが来日した際にこの大谷石と出会い、非常に気に入って、旧「帝国ホテル(1923年)」に使います。





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大谷石は汚れやすい石ですから、周りの人間はこんな高級ホテルに汚い石を使うなんて、と反対していましたが、ライトは聞かずに大谷石を使いました。
またタイルには、溝の入っているスクラッチタイルを使っています。
ライトは、石やタイルでも、穴がたくさん空いていて柔らかい、小さなスケールを感じさせる素材を好んで使ったのですね。





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東京大学の本郷キャンパスの建物に使われているタイルもスクラッチタイルです。





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これらの建物は、だいたい関東大震災後4〜5年の間にすべてが建てられました。
設計されたのは内田祥三(1885〜1972年)先生で、そのスクラッチタイルを使った理由がとてもしゃれています。





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当時戦災直後で、タイルの工場がのきなみやられてしまい、そんな中タイル張りの建物を建てるには、戦火を免れた小さな工場からタイルを集めてこなければならなくなったことです。
こうなると、どうしてもタイルの色が全体として揃わないので、そこに小さな溝を入れてやると、いろいろな色が混ざっているのが施工不良には見えず、ちゃんとしたハーモニーを持ったデザインとして見えたと言うのです。





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「ちょっ蔵広場」では、ライトの好んだ大谷石を、ライトよりさらに小さく使おうと考えました。
この小ささを実現したのは、鉄板と石との組み合わせです。





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少し専門的にお話しますと、鉄板をテンション材として、石をコンプレッション材として使用し、ひとつひとつ積み上げてつくりました。
石と鉄というそれぞれの部材の、長所や特質を最大限に生かして、この形が生まれたのです。





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☆☆☆やんジーのつぶやき
日本では汚い石として評価されなかった大谷石。
小さなスケールを感じさせる素材としてライトが好んで使ったという。
視点をかえることで当時誰も実現しえなかった新たな感性を生み出した。
創造とはそうしたものの積み重ねによるものに違いない。









































































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by my8686 | 2016-03-22 10:11 | 挑発する建築&空間 | Trackback | Comments(0)