DVD映画「ローマンという名の男 信念の行方」を観る

2/20(水) 昨夕は、マイルスの「異質で不気味な光彩を放つ異常空間」を体験した後、気持ちを鎮める意味で、レンタルしたDVD映画を観る。

2017年制作の米国ドラマ映画「ローマンという名の男 信念の行方」である。日本国内では劇場未公開作品となる。





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レンタル動機は、主演デンゼル・ワシントンの第90回アカデミー賞で主演男優賞にノミネートされたサスペンスドラマという一点。
作品の背景、内容については一切の予備知識はない。


デンゼル・ワシントンが約18キロ増量するなど、徹底的な役作りで主人公を熱演。有能だが見た目の冴えない人権弁護士ローマン・J・イズラエルを演じている。

実在のモデルがいるのかと思わせる役づくりで、法のもとに正義を実現するべく長年にわたって奔走してきた人権弁護士を演じる。






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ある日、一緒に法律事務所を構えるウィリアムが倒れたことをきっかけに帳簿を調べはじめた彼は、事務所の資金調達に不正があったことに気づき、信念を大きく揺さぶられる。
そんな中、敏腕弁護士ピアスからの依頼で殺人事件を担当することになったローマンは、その裁判で不正が行われていることを知る。

しかし、早急に資金を調達する必要に迫られたため、彼に苦悩している余裕はなかった。イズラエルは必死に顧客を獲得しようとしたが、慣れない営業の仕事に悪戦苦闘させられる。






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窮地に陥ったイズラエルの下にある取り引きを持ちかけてきた人物がいたが、その取り引きに応じることは職業倫理に反することであった。
しかし、取り引きに応じれば10万ドルを入手することができ、一気に事態を好転させることができるのも事実であったのだが・・・。






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監督は「ナイトクローラー」のダン・ギルロイ。共演に「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」のコリン・ファレル、「グローリー 明日への行進」のカルメン・イジョゴ。






☆☆☆GGのつぶやき
不条理な現実と人権に関わる正義を貫くことの難しさを考えさせられる映画である。
「同時矛盾的行動」を通して描かれたテーマ性は評価したい。

この作品の鑑賞後に辿り着いたのがゲノム解析ベンチャーの代表取締役女史のブログである。
その中に、フェスティンガーの「認知的不協和」について語った一節が気にかかった。

「主観と事実の認識に矛盾が出ると、事実の認識を変更してしまう」というのは、イソップ物語で、葡萄を食べられなかったキツネが、その葡萄は酸っぱかったはずだという事実認識をすることで自己防衛をするようなものだという話なのだが、それは「矛盾は存在せず、複数の主観的思考枠の視点が存在するだけ」だという。

複数の思考枠を認識するためには、左を見ながら同時に右を見ることは不可能に思えるが、「適切な距離」を置いて全体を見ることで、「世界を純粋にまっすぐに見る」ことができる。
「あらゆる思考枠の視点を持つことを純粋に受容すること」が肝要だという言葉である。この意見にあえて抗う気持ちはない。






























































# by my8686 | 2019-02-20 15:55 | たかが映画、されど映画 | Trackback | Comments(0)

マイルスの1974年ライブ音源「DARK MAGUS」を聴きながらドゥルーズの「狂気と作品」を読む

2/19(火) 雨の火曜日。自作平面バッフルスピーカ―を思いっきり鳴らしたいという欲求に囚われている。
マイミュージックのマイルスコレクションを辿るうちに、官能の襞を激しく揺さぶり始める衝動。
身体の芯にある骨幹を振動させるサウンドなくして、マイルスのエレクトリックジャズはなし、という思いが強くなってきたのである。



それはさておき、本日も引き続きマイコレクション音源から「マイルス・デイヴィス」の軌跡を辿ってみよう。


マイルス長期休養1年半前、1974年3月、NYカーネギーホールでのライブ盤「DARK MAGUS」である。




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図太いファンクリズム、大地を揺るがす強烈なリズムセクション。いままでのマイルスとは異なる「異次元世界」を感じさせる。

中山康樹の言葉を借りれば、「怖いくらいの迫力」「鬼気迫るものが、たしかにある」「異質の不気味な光彩を放つ異常空間」「この濃密な空気感がたまらない」。





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創造的で革新的なサウンドを追究してきたマイルス。当時の精神世界が映し出された迫真のライブ音源と言えよう。







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1 DARK MAGUS:“Moja”and“Will” 50:12
Moja (Part 1) 12:28
Moja (Part 2) 12:40
Will (Part 3) 14:20
Will (Part 2) 10:44


2 DARK MAGUS:“Tatu”and“Nne” 50:49
Tatu (Part1) 18:47
Tatu (Part 2)(“Calypso Frelimo”) 6:29
Nne (Part 3) 15:19
Nne (Part 2) 10:11

All composition by Miles Davis

レーベル:COLUMBIA
録音:1974年3月30日、ニューヨーク、カーネギーホール(ライブ)



Miles Davis : trumpet,organ

Dave Liebman : flute-2,soprano sax-1,tenor sax

Azar Laerence : tenor sax-3

Reggie Lucas : guitar

Pete Cosey : guitar

Dominique Gaumont : guitar

Micheal Henderson : electric bass

Al Foster : drums

Mtume : percussion





このサウンドを浴びていると、ドゥルーズ哲学の「狂気と作品」器官なき身体の問題点の中の「ある言葉」が浮かんでくる。

そもそも彼ら分裂病者はいったい何に対して抗い、彼らを苛む妄想は何に起因しているのか。
アルトーにおいて「糞便性を探求することは、彼の身体のなかへ、社会や精神医学的な権力の介入によって強制されると彼がみなすこの閉塞から、暴力的に抜け出すことであった」と述べている。つまり、分裂病者は、自らの身体や性に対して、「有機的な組織化を強要する社会や権力」に抗うのである。

こうした論点は、言うまでもなく『アンチ・オイディプス』へと継続され、明示的に展開されるものである。
すなわちそこで企図されていたのは、社会集団や精神医学、精神分析といった体制的な組織化に対抗することであった。

マイルスは「反抗心、黒人、一般社会のルールに従わないクールさ、ヒップ、怒り、洗練、クリーン・・・、なんであれ、オレにはそのすべてが揃っていた。」と自己を語る言葉が印象に残る。





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☆☆☆GGのつぶやき
アルバムデザインのカッコ良さに、つい衝動買いしたアルバムである。
就職してしばらくジャズから遠ざかっていた時期に、マイルスサウンドに再会できた嬉しい思いでが甦る。
それにしても45年前のサウンドながら、いまだに官能の襞を震わせてしまう「異常性」が凄い。





















































# by my8686 | 2019-02-19 14:44 | 愛しさとせつなさのJAZZ | Trackback | Comments(0)

マイルスの「ON THE CORNER」を聴いていると「六道輪廻図」が脳内に表出してきた

2/18(月) 快晴の月曜日。早朝のラジオニュースで京都の梅の名所が満開だとアナウンスされていた。
「梅は~咲いたか~桜は~まだかいな~♪」寒暖を繰り返しつつ春が近づいてくる。



それはさておき、本日も引き続きマイコレクション音源から「マイルス・デイヴィス」の軌跡を辿ってみよう。


1972年制作アルバム「ON THE CORNER」である。




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マイルスがあえて出演者のクレジットをレコード会社に送らなかったという「曰くつき」のメンバーリストから見てみよう。

Miles Davis:tp、org

Dave Liebman:soprano sax(1)

Carlos Garnett:soprano sax(2),tenor sax(4)

Bennie Maupin:bass clarinet(2)

Cedric Lawson:synth

Lonnie Liston Smith:org

Chick Corea:elp

Herbie Hancock:elp,synth

Harold “Ivory” Williams:organ,synth

Reggie Lucas:elg

John Mclaughlin:elg(1)

David Creamer:elg(2,3,4)

Paul Buckmaster:wah-wah el-cello

Micheal Henderson:elb

Al Foster:ds

Jack Dejohnnette:ds

Billy Hart:ds

Mtume:per

Don Alias:per

Colin Walcott:electric sitar(1,3,4)

Khalil Balakrishna:electric sitar(2)

Badal Roy:tabla





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参加メンバーについては諸説あったが、中山康樹が「まちがいない」と言い切ったメンツである。

ハービー・ハンコックが呼び戻されたのに加え、既にリターン・トゥ・フォーエヴァーを立ち上げていたチック・コリアとマハヴィシュヌ・オーケストラを立ち上げていたジョン・マクラフリンも参加し、一種のオールスター・セッション的な様相を呈している。





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誰がどのパートで演奏しているかなどということは問題ではない。これだけのメンツが入れ替わり立ち代わり、リズムがリズムを呼び起こし、メロディーなりリフなりを形作っていく。

中山康樹曰く「何本もの小さな水の流れがやがてひとつの大河になっていくような、じつに壮大なスケールを誇る音楽」なのである。

多様なリズムが輪廻転生のごとく「襞」となって折り重り、圧倒的なエネルギーの塊になって展開していく。
ソロパートという概念はなく、全体の音の震えが発生し始めるとそれを揃えるかのようにマイルスのソロが楔のごとく打ち込まれる。

ひとつひとつの音とリズムの襞は高度に精緻で、幾重にも折り重なっていく。まるで経糸と緯糸が紡ぎだされるが如くマイルスが完璧に制御していく。




徐々に音とリズムが塊となり官能の「襞」を振動させ震幅の密度をあげていく。





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仏教においては、衆生がその業の結果として輪廻転生する6種の世界のことを「六趣」または「六界」で表現するわけだが、まさにこの空間概念を思わせる。

天道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道。

このうち、天道、人間道、修羅道を三善趣(三善道)といい、畜生道、餓鬼道、地獄道を三悪趣(三悪道)という。
ただし修羅道を悪趣に含めて四悪趣(四悪道、四趣)とする場合もあるのだが、六道から修羅道を除いて五道(五悪趣、五趣)とすることもある。

「Helen Butte/Mr. Freedom X (Unedited Master)」23分18秒の混沌の饗宴では、「Black Satin」をテーマとしてセッションが始まり、さらにどす黒いビートが深い底なし沼を成していく。
リズムの暗黒にリスナーを引きずり込みつつ、暴力的なアフロ・ビートが宙を舞い、麻薬的な反復が脳内を駆け巡る。






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瞑想して聴き込んでいくと、六道輪廻図が脳内に表出する。






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全体の「怪物と骸骨」は 無常大鬼。その外周の円環は人の行い(十二因縁)を表し、次の内側円環は 六道(上半分が天道・人道・修羅道の三善趣。下半分が畜生道・餓鬼道・地獄道の三悪趣)

最も内側の円環は人(右半分が悪行により地獄道に落ちる姿、左半分は善行により天道に行く姿)を表す。中心の円は、 貪(鳥)・瞋(蛇)・癡(豚)の三毒を表出する。

混沌とするサウンドの洪水に身体を預けていると「壮大な一曲の構成要素」はどれも不可分の関係となり、すべてのパートは等価され、どのソロも音の洪水に埋もれながら、まるでこの「六道輪廻図」の世界を描いているようである。









☆☆☆GGのつぶやき
47年後の今、この音源を改めて聴いていると輪廻転生図に辿り着く。
なんとも不思議なアルバムである。













































# by my8686 | 2019-02-18 19:14 | 愛しさとせつなさのJAZZ | Trackback | Comments(0)

マイルス「Live-Evil」の意味するものを読み解く

2/17(日) 「京都マラソン2019」フルに長男がエントリーして完走したという。ネットタイム04:43:35。順位は10316人中7745位。ランネット応援ナビで応援する。追跡位置情報で走行経過とリアルタイムを見ながら、Google・mapで周辺の景観も確認できるのだから、便利な世の中になったものである。


それはさておき、本日も引き続きマイコレクション音源から「マイルス・デイヴィス」の軌跡を辿ってみよう。


1971年発売の2枚組みアルバム「Live-Evil」である。名門ジャズ・クラブ「The Cellar Door」でのライブ音源4曲とスタジオ録音4曲を、呼び出されたテオのテープ編集でブラッシュ・アップされたものである。

ライブは、1970年12月16日から19日までの4日間。約1時間の演奏を朝夕2セット、4日間で8セット行なわれ、このアルバムでは最終日19日の演奏を中心に構成されている。






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あの「NYフィルモア・イースト」の興奮と同じ火照りを感じたいならば、①④⑦⑧のライブ音源のみに絞って聴いても一向に差支えはない。しかし、テオの編集センスに身を任せたいのならば①から⑧まで順番に聴いてアルバム全体の編曲を味わうことは吝かではない。








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このライブ・セッションのほぼ未編集版『The Cellar Door Sessions』が後年6枚組でリリースされている。本気でマイルスと対峙する勇気と体力のある時にと思っていたが、いよいよその時がやってきたのであろうか。






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そのディープで膨大なボリュームの「実験的」音源と向き合う時間だけはたっぷりとある。筋トレで体力をつけて、今こそ向き合おう。







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SIVAD(M.Davis)15:13
LITTLE CHURCH(H.Pascoal)3:15
MEDLEY:GEMINI(M.Davis)2:57/DOUBLE IMAGE(J.Zawinul)2:57
WHAT I SAY(M.Davis)21:09
NEM UM TALVEZ(M.Davis)4:03
SELIM(M.Davis)2:12
FUNKY TONK(M.Davis)23:26
INAMORATA AND NARRATION BY CONRAD ROBERTS(M.Davis)26:29


〈1〉SIVAD
Miles Davis:trumpet
Gary Bartz:soprano / alto sax
Keith Jarrett:organ,piano
John Mclaughlin:guitar
Michael Henderson:bass guitar
Jack Dejohnnette:drums
Arito Moreira:percussion
レーベル:COLUMBIA
録音:1970年12月19日、ワシントンDC、セラー・ドア(ライブ)


〈2〉LITTLE CHURCH
Miles Davis:trumpet
Steve Grossman:soprano sax
Keith Jarrett:organ
Chick Corea:piano
Herbie Hancock:piano
John Mclaughlin:guitar
Dave Holland:bass guitar
Jack Dejohnnette:drums
Arito Moreira:percussion
Hermeto Pascoal:piano,drums,whistles,performer
録音:1970年1月4日、ニューヨーク、コロンビアスタジオ


〈3〉MEDLEY:GEMINI/DOUBLE IMAGE
Miles Davis:trumpet
Wayne Shorter:soprano sax
Chick Corea:piano
Joe Zawinul:piano
John McLaughlin:guitar
Dave Holland:bass guitar
Billy Cobham:drums
Jack Dejohnette:drums
Arito Moreira:percussion
Khalil Balakrishna:sitar
録音:1970年2月6日、ニューヨーク、コロンビアスタジオ


〈4〉WHAT I SAY
Miles Davis:trumpet
Gary Bartz:alto sax
Keith Jarrett:piano,organ
John Mclaughlin:guitar
Michael Henderson:bass guitar
Jack Dejohnette:drums
Arito Moreira:percussion
録音:1970年12月19日、ワシントンDC、セラー・ドア(ライブ)


〈5〉NEM UM TALVEZ
Miles Davis:trumpet
Steve Grossman:soprano sax
Keith Jarrett:organ
Herbie Hancock:piano
Chick Corea:piano
Ron Carter:bass guitar
Jack Dejohnette:drums
Hermeto Pascoal:vocal,drums
Arito Moreira:percussion
録音:1970年1月3日、ワシントンDC、セラー・ドア(ライブ)


〈6〉SELIM
Miles Davis:trumpet
Steve Grossman:soprano sax
Keith Jarrett:organ
Herbie Hancock:piano
Chick Corea:piano
Ron Carter:bass guitar
Jack Dejohnette:drums
Hermeto Pascoal:vocal,drums
Arito Moreira:percussion
録音:1970年1月3日、ニューヨーク、コロンビアスタジオ


〈7〉 FUNKY TONK
Miles Davis:trumpet
Gary Bartz:soprano / alto sax
Keith Jarrett:organ,piano
John Mclaughlin:guitar
Michael Henderson:bass guitar
Jack Dejohnnette:drums
Arito Moreira:percussion
録音:1970年12月19日、ワシントンDC、セラー・ドア(ライブ)


〈8〉 INAMORATA AND NARRATION BY CONRAD ROBERTS
Miles Davis:trumpet
Gary Bartz:soprano / alto sax
Keith Jarrett:organ,piano
John Mclaughlin:guitar
Michael Henderson:bass guitar
Jack Dejohnnette:drums
Arito Moreira:percussion
録音:1970年12月19日、ワシントンDC、セラー・ドア(ライブ)

Original Recordings Produced by Teo Macero








☆☆☆GGのつぶやき
この時期のライブ音源は、やはり全身で音圧を受けながら「原音」レベルで聴きたい。
完全防音のリスニングルームへの自作欲求が新たに芽生えてつつあるのである。















































# by my8686 | 2019-02-17 18:32 | 愛しさとせつなさのJAZZ | Trackback | Comments(0)

「フィルモア・イースト」の7人のサムライを読み解く

1970年6月「NYフィルモア・イースト」に乗り込んだマイルス・デイヴィス率いる7人のサムライ達を読み解いてみよう。


マイルス・デイヴィス、スティーヴ・グロスマン、キース・ジャレット、チック・コリア、デイヴ・ホランド、ジャック・デジョネット、アイアート・モレイラの「7人のサムライ」が70年の夏「フィルモア・イースト」でくり広げた熱い、あまりにも熱い演奏を全身で浴びながら、一人ひとりのその後を見てみよう。



①マイルス・デイヴィス

1970年代に入るとマイルスはファンク色の強い、よりリズムを強調したスタイルへと発展させ、ジャズ界でブームとなりつつあったクロスオーバーとは一線を画する、ハードな音楽を展開する。マイルスのエレクトリック期とは、この時期を指すことが多い。マイルスは、次々にスタイルを変えながらスタジオ録音とライヴを積極的に行ったが、公式発表された音源は必ずしも多くはなく、後に未発表音源を収録した編集盤が多く発売されることになる。

1972年公式に発表した『オン・ザ・コーナー』は、ファンクを取り入れたことが話題となる問題作であった。しかし、クロスオーバー・ブームで、かつてのメンバーのハービー・ハンコックやチック・コリアなどがヒット作を出す一方で、こういったマイルスの音楽はセールス的には成功とはいえなかった。

1973年と1975年に来日。この頃から健康状態も悪化、75年の大阪でのライヴ録音『アガルタ』『パンゲア』を最後に、以降は長い休息期間に入る。




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②スティーヴ・グロスマン

とりわけマイルス・デイヴィスのジャズ・フュージョン・バンドでウェイン・ショーターの入れ替わりだった。その後、1971年-1973年、彼はエルヴィン・ジョーンズのバンドに在籍していた。

1970年、1981年に2度、日野皓正と、1980年11月-1981年1月に菊地雅章と、1970年にチック・コリアと、1974年にディジー・リースと、1990年にルネ・ユルトルジェ (Rene Urtreger) と、1998年にミシェル・ペトルチアーニと、2000年にジョニー・グリフィンと、録音で共演した。

1986年1月、1987年1月、2014年10月の3度に渡り来日し、東京のジャズクラブSOMEDAYで各1週間、及び全国ツアーを興行。




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③キース・ジャレット

マイルス・グループ在籍中の1971年、グループのヨーロッパ・ツアー中に当時ドイツ・ミュンヘンの新興レーベルだったECMのオーナー、マンフレート・アイヒャーと出会う。
同年録音の初のピアノ・ソロ・アルバム『フェイシング・ユー』とジャック・ディジョネットとのデュオ『ルータ・アンド・ダイチャ』を嚆矢として、現在まで30年以上に渡ってECMより作品を発表し続けることになる。

『フェイシング・ユー』ではあらかじめジャレットが作曲した曲がスタジオで演奏されており、このスタイルのピアノソロ作品としては『ステアケイス』、スタンダードを演奏した『メロディ・アット・ナイト・ウィズ・ユー』などが挙げられるが、1972年頃よりプログラムの一切無い完全即興(Total Improvisation)によるピアノ・ソロ・コンサートを行うようになる。

ECMもそれらを積極的にレコーディングし、1973年にはブレーメン・ローザンヌで実際に行われたコンサートをそのまま収録したLPレコード3枚組(CDでは2枚組)の大作『ソロ・コンサート』をリリースし、音楽界に衝撃を与えた。

このスタイルでの実況録音盤の第2作である『ザ・ケルン・コンサート』はジャズのレコード・CDとして最も高い売上を記録したヒット作の一つで、ジャレットの名を広く知らしめた。以後、現在に至るまで世界各地でピアノ・ソロ・コンサートを行い、折に触れて実況録音作品をリリースしており、ジャレットの一つのライフワークとも言える。

70年代においては、ピアノ・ソロでの活動と並行して2つのバンドを率いた。1971年には以前から活動していたチャーリー・ヘイデン、ポール・モチアンとのトリオにサックスのデューイ・レッドマンを加えた通称「アメリカン・カルテット」を結成。カルテットの音楽には、オーネット・コールマンとの共演歴があったレッドマン、ヘイデンによるフリージャズの要素や、ゲストとしてパーカッショニストのギレルメ・フランコやアイアート・モレイラらがしばしばバンドに参加したことからエキゾチックな民族音楽の要素も見られた。

初期にはアトランティックや、コロムビア、中後期にはインパルス、ECMといったレーベルに作品を残している。ジャレットは1974年にこのカルテットを率いて初来日を果たしている。

もう一つのバンドである通称「ヨーロピアン・カルテット」はパレ・ダニエルソン、ヨン・クリステンセン、そしてジャレットと並びECMを代表するミュージシャンであるヤン・ガルバレクという3人の北欧出身ミュージシャンを擁するカルテットで、ECMに5つの作品を残した。

スタイルとしてはアメリカン・カルテットに似ていたものの、こちらはヨーロッパの民謡に影響を受けた音楽を展開。このカルテットも1979年に来日しており、これはヤン・ガルバレクの初来日でもあった。




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④チック・コリア

1968年後半からハービー・ハンコックに替わりマイルス・デイヴィスのグループに加入。『イン・ア・サイレント・ウェイ』、『ビッチェズ・ブリュー』などのアルバムに参加する。

この頃からマイルスの指示でエレクトリック・ピアノ(フェンダー・ローズ)を弾くようになる。当初この楽器を嫌っていたチックだが、1970年代にはチックのサウンドに欠かせない楽器となっていく。

同じ時期チックはアバンギャルドなアプローチを見せるようになっており、マイルス・グループでもライブで聴かれるチックのソロは、かなりフリーの要素が強い。1970年、マイルス・グループを脱退した後、ベースのデイヴ・ホランド、ドラムのバリー・アルトシュルとグループ「Circle」を結成。後にサックスのアンソニー・ブラクストンを加えフリー・ジャズ寄りの演奏を展開する。

1971年に、ベーシストのスタンリー・クラークらとクロス・オーバー/ジャズのバンド、リターン・トゥ・フォーエヴァー(Return To Forever)を立ち上げ、ECMレコードからアルバム『リターン・トゥ・フォーエヴァー』を1972年に発表。

カモメのジャケットで有名なこのアルバムは70年代ジャズ・フュージョン最大級のヒット作となる。革新的な音楽性と卓越した演奏技術に裏打ちされたこのバンドは数々の作品を生み出し、トップアーティストとしての地位を確立する。

中でも『ライト・アズ・ア・フェザー』に収録されている"Spain"は現在でも他の演奏家にプレイされ続ける、ジャズの、また彼自身の代表曲である。当初、フローラ・プリムやアイアート・モレイラなどブラジル系のメンバーが中心であったためラテン色の強いグループであったが、彼らの脱退後1973年にはギタリストのビル・コナーズが、1974年にはビルに替わってアル・ディ・メオラが加入し、よりロック色の濃い方向性になった。

1978年にリターン・トゥ・フォーエヴァーを解散したチックは、『フレンズ』、『スリー・カルテッツ』などエレクトリックにもストレート・アヘッドなジャズにも、時にはクラシックに挑戦したりと多彩な活動を続ける。

1985年には、デイブ・ウェックル、ジョン・パティトゥッチといった若いメンバーと「エレクトリック・バンド」を結成。圧倒的なテクニックと楽曲で話題を集める。1989年には同じメンバーで「アコースティック・バンド」と名前を変え、スタンダードを中心としたアルバム『スタンダーズ・アンド・モア』を発表した。





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⑤デイヴ・ホランド

1968年にマイルス・デイヴィスに誘われ彼のバンドに参加し、『イン・ア・サイレント・ウェイ』や『ビッチェズ・ブリュー』のアルバムに参加。

1970年にはアンソニー・ブラクストンとチック・コリア、バリー・アルトシェルと「サークル」を結成。
1970年代初期にはスタン・ゲッツやセロニアス・モンク、サム・リヴァースとも共演。
1975年にはジョン・アバークロンビーとジャック・ディジョネットとゲイトウェイを組んでいる。

日本人ミュージシャンとの関わりは、1986年の富樫雅彦(per)の音楽生活30周年記念コンサートで、ドン・チェリー、スティーヴ・レイシーと共演しており、アルバム「BURA-BURA」として発売されている。

2006年、第48回グラミー賞において最優秀ラージ・ジャズ・アンサンブル・アルバムを受賞した。




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⑥ジャック・デジョネット

1968年にトニー・ウィリアムスの後任としてマイルス・デイヴィスのグループに選ばれる。

レコーディング作品『ビッチェズ・ブリュー』や『オン・ザ・コーナー』などの歴史的名盤に参加、いわゆるエレクトリック・マイルス・サウンドの構築者としてだけではなく白人ヒッピーの聴衆の前でもフィルモアやイギリスのワイト島のフェスティヴァルに参加して演奏の録音をのこしている。

幼い頃からピアノも学んでおり、鍵盤ハーモニカを演奏した1968年のリリース作品『Jack Dejohnette Complex』ではロイ・ヘインズ、1974年発表のアルバム『ジャッキーボード』では、ドラムをジョージ大塚に任せ、ジャックはピアノとを担当している。パット・メセニー曰く「マッコイ・タイナーのようなスタイル」。また、余技としてベース演奏もこなし、かなりの腕前である。

マイルス・ディヴィス・グループを抜けた1970年代前半にはECMレコードにてデイヴ・ホランドと共にチック・コリアのレコーディングに参加、自己のグループではギタリストのジョン・アバークロンビーと組み、ディレクションズ、ニュー・ディレクションズの2つのグループで活動し、レスター・ボウイ、ディヴィッド・マレイらとのスペシャル・エディション、ジョン・サーマンやまたゲイリー・ピーコックと共にキース・ジャレットとのスタンダーズ・トリオの活動の録音作品等を残している。

ハービー・ハンコック、マイケル・ブレッカー、ジョン・スコフィールドら、ジャズ界のトップ・アーティスト達の活動を支えるファースト・コール・ドラマーとして活躍した。

2000年代中頃から、プライベート・レーベルGolden Beamsを運営し、自身の作品をリリースしている。
2009年、『Peace Time』が第51回グラミー賞において最優秀ニューエイジ・アルバム賞を受賞。
2012年、ユナイテッド・ステイツ・アーティスツ(英語版)のフェローに選出された。





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⑦アイアート・モレイラ

ブラジルのパーカッショニスト。

15歳でプロのミュージシャンとして活動を開始し、1964年にクァルテート・ノヴォへ参加しアルバム『Quarteto Novo』を発表。渡米後、マイルス・デイヴィスの『ビッチェズ・ブリュー』へ参加したのち、ウェイン・ショーター『スーパー・ノヴァ』、ウェザー・リポート『ウェザー・リポート』等、フュージョンの名作にも参加。

1972年にチック・コリアのユニット、リターン・トゥ・フォーエヴァーのメンバーとしてアルバム『リターン・トゥ・フォーエヴァー』を発表し評価された。 また、同年発売のポール・サイモンのアルバム『ポール・サイモン』に参加。

以後、妻であるフローラ・プリムとのユニット、フォース・ワールドとして活動している。




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☆☆☆GGのつぶやき
マイルスの足跡を辿ることでジャズの名プレーヤー達との「新たな出会い」が始まる。
マイルスとの出会いからおよそ50年経つ今もなお、我が琴線に触れ、官能の襞をゆすぶり続ける。
定年後の今、自分の人生に寄り添い、時に熱く、時に激しく、時にクールに、官能を鎮めてくれる「ジャズの帝王」に完敗、そして乾杯!!



















































# by my8686 | 2019-02-16 15:37 | 愛しさとせつなさのJAZZ | Trackback | Comments(0)