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F.Y.I 「身体と空間のリゾーム:CityLife複合施設(ミラノ)」を読み解く vol.2

リベスキンドの作品は、まさに「身体と空間のリゾーム」を体現する事例として語ることができる。
彼の建築は直線的な物語を拒み、断絶や裂け目を通じて多方向に生成する歴史の場をつくり出す。

本日は、「CityLife複合施設(ミラノ)」の開発背景をより深く読み解いてみよう。




トレ・トッリ地区 – ショッピング・ディストリクトに関するCityLifeでの合意概要

2015年11月19日 ロベルト・アルスッフィ

Generali Real Estate と Sonae Sierra が CityLife ショッピング・ディストリクトの開発と運営を担当。

・延床面積(GLA)32,000平方メートル、100以上の店舗
・商圏人口 70万人
・イタリアで新たに建設される都市型ショッピング・ディストリクトとして最大規模
・開業は2017年



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Generaliグループの不動産アセットマネジメント会社 Generali Real Estateと、商業施設分野で国際的に活躍するSonae Sierraが、ミラノの中心部に誕生する「CityLife Shopping District」の開発と運営で手を組むことになった。

この新しいショッピング・ディスティネーションは、ユニークで革新的な空間として、訪れる人々に新しい体験を届けることを目指している。
Sonae Sierra は、開発や建設の段階で必要となる専門的なサービスを提供するだけでなく、開業後には施設の運営や管理も担う。

「CityLife」は、イタリアやヨーロッパでも最大級の複合都市再開発プロジェクトのひとつ。
ミラノ北西部の旧見本市会場跡地に位置し、街の大きな変化を象徴する場所。
ここにはミラノ最大規模の歩行者専用ゾーンが広がり、車の交通はすべて地下に移されるなど、環境にも配慮した設計がなされている。

36.6ヘクタールの広大な敷地には、バランスよく多様な機能が配置されている。
国際的に著名な建築家、ザハ・ハディド、磯崎新、ダニエル・リベスキンドが手がけた3棟のオフィスタワー(延床面積13万㎡、収容人数9,000人以上)、すでに完成・引き渡し済みの530戸の住宅、そしてショッピング・ディストリクトがその中心を成している。


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CityLife Shopping District

2017年にオープンした CityLife Shopping District は、イタリア最大級の新しい都市型ショッピングエリアとして誕生した。
ザハ・ハディド・アーキテクツが手がけた2階建ての商業ギャラリーと、One Works による活気あふれる広場を通じて、マウロ・ガランティーノ設計の「オープンエア」商業ギャラリーへとつながっている。この空間は、プロジェクトの中心部を周辺の住宅エリアや街全体へと自然に結びつける役割を果たしている。


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約70万人の人々を対象とする商圏と、32,000㎡の広さを誇る施設には、100のショップやレストラン、サービス、エンターテインメントやレジャーの場が集まっている。さらに、1,200席のシネマコンプレックスやフィットネス&ウェルネスセンターも併設され、訪れる人々に多彩な体験を提供。

交通アクセスも便利で、バスやトラム、地下鉄に直結。新設された地下鉄ヴァイオラ線(M5)の「Tre Torri」駅からもすぐにアクセスでき、900台以上収容可能な地下駐車場も整備されている。



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CityLife CEO アルマンド・ボルギは次のように語っている。「Sonae Sierra とこの重要な部分で協力を始められることをとても嬉しく思う。この合意は、私たちが大切に進めてきた開発プロセスを完成へと近づける大きな一歩となる。」

また、Sonae Sierra イタリア開発部ゼネラルマネージャーは次のように述べている。「Generali Real Estate に選んでいただき、この特別なショッピング・デスティネーションの開発と運営に携われることを誇りに思います。ミラノにとって重要な CityLife プロジェクトに参加できることも光栄です。Generali Real Estate、CityLife、そしてすべてのテナントと力を合わせ、未来のお客様に忘れられないショッピング体験をお届けする準備が整っています。」




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Generali Real Estate

世界でも有数の不動産アセットマネジメント会社のひとつで、現在270億ユーロを超える資産を運用している。
そのポートフォリオは、ヨーロッパ大陸やイギリス、アジア、アメリカに広がり、歴史的な建築物と現代的な建物を組み合わせたユニークな構成が特徴。

約500名の専門家が活躍しており、技術革新や持続可能性、都市開発プロジェクトの分野で高い専門性を発揮。彼らの経験と知識が、Generali Real Estate の強みを支えている。

この会社は Generali グループの一員でもある。Generali グループは Fortune によって世界最大50社のひとつに選ばれており、世界有数の保険会社として知られている。約8万人の従業員が、60か国以上で7,200万人もの契約者にサービスを提供している。



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Sonae Sierra(www.sonaesierra.com)は、国際的に商業施設のスペシャリストとして知られ、革新的なショッピング体験の創造を目指している。

同社は12か国・4大陸に展開しており、ポルトガル、アルジェリア、ブラジル、中国、コロンビア、ドイツ、ギリシャ、イタリア、モロッコ、ルーマニア、スペイン、トルコに拠点を持ち、さらに他の地域でも高度な専門サービスを提供している。

Sonae Sierra は 46のショッピングセンターを所有しており、市場価値は60億ユーロに達っする。
また、85のショッピングセンターの管理やリーシングを担当しており、総賃貸可能面積は 240万㎡、テナント数は約 9,100に上る。

2014年には、同社のショッピングセンターは 4億4,000万件以上の来訪を記録した。
現在、Sonae Sierra は 7つの開発プロジェクトを進行中で、そのうち3件は第三者のためのものであり、さらに4件の新規プロジェクトが計画段階にある。



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CityLife(www.city-life.it)は、ミラノの歴史的な都市拠点「Fiera di Milano」の再開発プロジェクト。総面積366,000㎡に及ぶこの事業は、ヨーロッパ最大級の都市計画プロジェクトのひとつであり、ザハ・ハディド、磯崎新、ダニエル・リベスキンドといった著名建築家の設計によって進められてきた。

CityLife は、住宅、オフィス、商業エリア、ミラノ中心部で2番目に大きな公共公園、さらにヨーロッパ初の都市型ゴルフ練習場を含む、民間と公共サービスのバランスの取れた複合施設。

このエリアの中心には、3棟のタワーと「Tre Torri広場」からなる革新的なビジネス&ショッピング・ディストリクトが位置し、質の高い店舗、サービス、レストラン、エンターテインメント施設が公園に面して展開されている。

プロジェクト全体は持続可能性と環境配慮に重点を置いており、住宅は「クラスA」認証を取得し、主に再生可能エネルギーを利用する設計となっている。また、3棟のタワーはすでに国際的に権威ある LEED™ ゴールドの事前認証を獲得している。さらに、交通と駐車場を地下に移すことで、ミラノ最大の歩行者専用エリアが誕生。

CityLife は Generali グループが100%出資する子会社。





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memo

「イタリアが目指している方向性」

都市再生と持続可能性
・ミラノの旧見本市会場跡地を再開発し、環境配慮型の建築(LEED認証、再生可能エネルギー利用)や広大な歩行者専用ゾーンを整備することで、持続可能な都市モデルを提示した。


国際的な建築文化の発信
・ザハ・ハディド、磯崎新、ダニエル・リベスキンドといった世界的建築家を起用し、都市空間そのものを「文化的ブランド」として国際的に発信しようとした。

生活と商業の融合
・住宅、オフィス、商業施設、公園、娯楽施設を一体化させることで、都市生活の質を高め、住む人・働く人・訪れる人が共に楽しめる空間を目指している。

グローバル競争力の強化
・Generali Real Estate や Sonae Sierra のような国際的プレイヤーを巻き込み、ヨーロッパの中でも競争力ある都市型ショッピング・ディストリクトを創出し、観光・投資・雇用を呼び込む狙いがある。

「体験型都市」への転換
・単なる消費の場ではなく、ショッピング、エンターテインメント、健康、文化を融合させた「体験の場」を都市の中心に据えることで、都市の魅力を高めている。

つまり、イタリアは「持続可能で国際的に競争力のある、文化と生活が融合した都市モデル」 を目指しているといえる。
これはミラノに限らず、他の都市再開発にも波及する可能性がある。



ミラノの都市再生モデルを軸に、現在の米国で顕在化している「分断」と照らし合わせると、両者の差異だけでなく、都市が果たすべき役割そのものが浮かび上がってくる。
ここでは、価値観・制度・都市の構造という三層で整理してみよう。

「🇮🇹 イタリアの都市再生モデル × 🇺🇸 現在のアメリカの分断」
1. 都市が「統合の場」か、「分断の場」か

イタリア(ミラノ)

- 都市空間そのものを「文化・生活・商業の融合体」として設計
- 歩行者空間、公共空間、文化施設を中心に据え、異なる人々が交わる場を意図的に作る
- 国際的建築家を起用し、都市を「共通の誇り」として再構築
- 都市再生が「社会的統合」を促す方向に働いている


アメリカ(現在)

- 都市空間が「政治的・経済的・人種的な分断の象徴」になりやすい
- 郊外化、所得格差、公共空間の縮小により、異なる層が交わる機会が減少
- 都市はしばしば「対立の舞台」として扱われ、共通の誇りになりにくい
- 都市再生が「ジェントリフィケーション=排除」と結びつくことも多い


※イタリアは都市を“統合の装置”として使い、米国は都市が“分断の反映”になっている。



2. 「文化」をどう扱うか:共有資源か、対立の象徴か

イタリア

- 建築・デザイン・文化を「国際的ブランド」として共有資源化
- 都市空間を文化的アイデンティティの核にし、政治対立を超える“共通言語”として扱う
- 文化が「都市の未来をつくる力」として機能


アメリカ

- 文化はしばしば政治的立場の象徴となり、文化そのものが分断の燃料
- 都市文化(アート、教育、メディア)は「リベラルの象徴」とされ、対立を深める
- 文化が「共通基盤」ではなく「境界線」になっている

※イタリアは文化を“統合の資本”として扱い、米国は文化が“分断の境界線”になっている。




3. 都市の未来像:持続可能性 vs. 即時的対立

イタリア

- 持続可能性(LEED、再エネ、歩行者空間)を都市の中心に据える
- 長期的視点で都市の価値を高める
- 国際競争力を「都市の質」で獲得しようとする


アメリカ

- 都市政策はしばしば政争の具になり、長期的な都市ビジョンが共有されにくい
- 気候政策や都市再生は党派対立の中心に置かれ、合意形成が困難
- 都市の未来像が「共通の目標」になりにくい

※イタリアは“未来志向の都市像”を共有し、米国は“現在の対立”が未来像を阻む。



ミラノの事例は、都市を「社会の再統合」「文化の共有」「未来への投資」として扱うモデル。
一方、現在のアメリカでは都市が「分断の反映」「文化戦争の舞台」「政治対立の象徴」になりやすい。

つまり、両者の差はこうまとめられます。

・イタリア:都市を“共通の未来”として再構築する国
・アメリカ:都市が“対立の現在”を映し出す国


都市を「記憶と文化の器」として捉え、建築や空間が人々の関係性をどう変えるかを深く見つめてきたが、その視点で見ると、ミラノの再開発は「都市が人間を再びつなぐための儀式」に近い。
対してアメリカの分断は、都市が“儀式の場”として機能しなくなったとき、社会がどう崩れるかを示す実例とも言える。






「ドゥルーズ的な視点から CityLife のような都市再開発の動きを読み解く」


単なる「都市計画」や「商業開発」ではなく、空間の生成と差異の布置として理解できる。

1. リゾーム的都市空間
・ドゥルーズ=ガタリの「リゾーム」概念を用いると、CityLife は一本の中心軸から広がる階層的都市ではなく、複数の接続点(タワー、広場、商業施設、公園)が相互に結びつくネットワーク的空間。

・歩行者専用ゾーンや地下交通網は、都市の「根」を地中に移し、地表を水平的な接続の場に変える試みと読める。

2. 差異と反復
・商業施設や住宅、公園といった機能の反復は、均質化ではなく「差異の生成」を伴う。
・例えば、ザハ・ハディドや磯崎新、リベスキンドの設計は、それぞれ異なる建築言語を持ちながらも、同じ都市空間に繰り返し配置されることで「差異の共存」を生み出している。

3. 都市の「生成変化」
・ドゥルーズにおける「生成(devenir)」は、固定的なアイデンティティを超えて変化し続けるプロセス。
・CityLife は「旧見本市会場」という過去の記憶を抱えつつ、それを「ショッピング・ディストリクト」「ビジネス拠点」「公園」として新たに生成し直す場。都市は常に「別のものへと変わり続ける」存在であることを示している。

4. 欲望の機械としての都市
・ショッピング、娯楽、健康、文化が一体化した空間は、ドゥルーズ=ガタリの「欲望の機械」として機能する。
・個々の来訪者は消費者であると同時に、都市のリズムを回す歯車となり、都市そのものが「欲望を生産する機械」として稼働する。


ドゥルーズ的に言えば、イタリアが目指しているのは「都市を閉じられた構造物として完成させること」ではなく、差異を生成し続ける開かれたリゾーム的空間を作り出すこと。CityLife は、記憶と未来、商業と文化、公共と私的領域が交錯する「生成の場」として読める。

イタリアの歴史にみる文化的推移から評価すると、CityLife は 「古代の公共空間の伝統」「ルネサンスの建築的表現」「産業化の近代都市」「戦後の再建」 を経て、現在の 持続可能で体験型の都市文化 へと至る流れの象徴。つまり、イタリアは都市を「記憶の場」であると同時に「未来の生成の場」として位置づけ続けている。

CityLife の事例は、「イタリア的伝統(広場・公共性・建築文化)」と「グローバル都市の潮流(持続可能性・国際資本・体験型消費)」が交差した結果だと評価できる。
つまり「イタリアだからこそ可能だった部分」と「世界的に共有されている都市再開発の文脈」が重なり合っている。

原弘司の集落調査の視点から見ると、CityLife は「集落的な核・多機能性・環境との関係・共同性の再編」を都市スケールで再構築した事例といえる。つまり、近代都市が「集落的原理」を翻訳し直している、と解釈できる。「集落的原理」は 人間が空間に核を求め、共同性を編み、環境と関わるという点で不変だが、その媒介や形態は時代ごとに変化するといえる。つまり「原理は持続するが、表現は変容する」という二重性を持っている。

ドゥルーズ的に言えば、不変性は「差異の持続」として、変容性は「生成変化」として、両者は「反復と差異」の関係で結びついている。つまり、集落的原理は「常に同じでありながら、常に違うものへと生成し続ける」存在なのである。





「CityLife の三名の建築家(ザハ・ハディド、磯崎新、ダニエル・リベスキンド)の案が採用された背景」

国際コンペによる選定、都市再生の象徴性、そしてグローバルな建築文化をミラノに集約する意図があった。

国際コンペ: 2004年、旧フィエラ・ミラノ跡地再開発のために国際設計競技が開催され、三名の案が選ばれた。 ミラノを国際的都市再生のモデルにするため、世界的建築家を起用。

都市再生の象徴性: 旧見本市会場という「産業の記憶」を刷新し、持続可能な都市空間へ転換する象徴として三塔を配置。 歴史的記憶と未来志向の両立。

建築的多様性: Isozaki Tower(直線的)、Hadid Tower(曲線的)、Libeskind Tower(ねじれた形状)という異なる造形を並置。 差異の共存を通じて都市の多様性を表現。

公共空間との連動: 三塔は「Tre Torri広場」を形成し、周囲の公園や住宅と結びつく。 集落的原理=核の場を都市スケールで再構築。

国際的ブランド化: 世界的に著名な建築家を揃えることで、CityLife を「グローバル都市文化のショーケース」ミラノの国際競争力強化。

国際コンペによる選定は、単なるデザインの美しさではなく「都市の未来像」を提示できるかどうかが基準だった。三名の異なる建築言語を並置することで、都市空間に「差異の共存」を体現させ、ミラノを国際的に開かれた都市として位置づけている。公共性と記憶の再構築:旧見本市会場の記憶を継承しつつ、新しい広場と公園を核にした都市生活の場へと翻訳している。




イタリア・ミラノ/ 「City Life」探訪






☆☆☆GGのつぶやき
都市や社会の原理は「持続」と「変容」を同時に抱えている。人間は常に「核」「共同性」「環境との関係」を求め続けるが、その表現は時代ごとに異なる形で生成される。つまり、都市を考える際には、記憶を反復しながら差異を生み出す場として設計することが重要であり、そこにこそ持続可能で開かれた都市文化の可能性が宿る。

都市や社会の原理は、本来「持続」と「変容」を同時に抱えている。人間はいつの時代も「核となる価値」「共同性」「環境との関係性」を求め続けるが、その表現は歴史的条件によって姿を変える。しかし現在のアメリカでは、この三つの要素がそれぞれ異なる方向へ引き裂かれ、持続すべき記憶と、変容すべき現実が噛み合わないまま蓄積している。

都市は本来、異なる人々が交わり、記憶を共有し、差異を創造へと転換する場であるはずだ。だが、政治的分断、経済格差、地理的分離、文化戦争が重なり、都市が「共通の場」ではなく「対立の境界線」として機能する場面が増えている。

その結果、都市は記憶を反復する力を失い、差異を創造的に扱うのではなく、差異を敵意として処理する社会的回路が強化されている。だからこそ、都市を再び「持続と変容が共存する場」として設計し直すことが求められている。それは単なるインフラ整備ではなく、断絶した記憶をつなぎ直し、異なる共同性を重ね合わせ、環境との関係を再構築する文化的プロジェクトである。

持続可能で開かれた都市文化の可能性は、この「断絶の時代」にこそ、より切実な課題として浮かび上がっている。




# by my8686 | 2026-01-14 14:14 | 気になる建築&空間 | Trackback

F.Y.I 「身体と空間のリゾーム:CityLife複合施設(ミラノ)」を読み解く vol.1

リベスキンドの作品は、まさに「身体と空間のリゾーム」を体現する事例として語ることができる。
彼の建築は直線的な物語を拒み、断絶や裂け目を通じて多方向に生成する歴史の場をつくり出す。


あらためて、「CityLife複合施設(ミラノ)」を読み解いてみよう。



CityLife複合施設(ミラノ)

旧ミラノ見本市跡地を再開発した大規模都市プロジェクトで、ダニエル・リベスキンド、ザハ・ハディド、アラップらが参加。
住宅、商業、文化施設、そして象徴的な高層タワー群を含み、都市の記憶と未来的デザインを融合させている。


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概要

場所:ミラノ市中心部、旧見本市跡地(約366,000㎡)
開始:2004年に着工、2010年代に段階的完成
設計:ダニエル・リベスキンド、ザハ・ハディド、アラップなど複数の建築家が参加
構成:
・高層タワー群(PwCタワー=リベスキンド設計、Generaliタワー=ザハ設計、Allianzタワー=アラップ設計)
・住宅群(リベスキンド・レジデンス、ザハ・ハディド・レジデンス)
・商業施設(CityLifeショッピングディストリクト)
・公園・緑地(CityLife Park)


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リベスキンドの役割

・PwCタワー:流線型でねじれたフォルムを持ち、都市のスカイラインに動的な印象を与える。高さ約175m。


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・リベスキンド・レジデンス:8棟の集合住宅群。ミラノの伝統的な中庭型住宅を再解釈し、曲線的で断片的なファサードを持つ。


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・素材と環境配慮:灰色タイルや木製ブリゼ・ソレイユを用い、持続可能性を重視。屋上には太陽光パネルを設置。



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ドゥルーズ的読解

・非中心性:複数の建築家による断片的な建物群が、中心を持たない都市的ネットワークを形成。


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・断絶と再接続:旧見本市跡地という「断絶」を、新しい住宅・商業・文化空間として再接続。


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・生成的経験:来訪者や住民は、緑地・商業・住宅を横断する身体的移動を通じて都市の意味を生成。


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意義

・都市再生:旧見本市跡地を未来的な複合都市空間へと転換。


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・象徴性:タワー群はミラノの新しいランドマークとなり、都市のアイデンティティを更新。


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・持続可能性:環境配慮型デザインを導入し、都市生活の質を高める。


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memo

CityLife の「断絶を抱え込みながら差異を生成する都市的リゾーム」という視点を、いまの米国の分断に重ねると、都市空間の哲学がそのまま社会の分断構造の読み解きモデルになる。


1. 米国の分断は“断絶を埋めようとする社会”の帰結

いまの米国社会の特徴は、断絶を「消すべきもの」「修復すべきもの」として扱う傾向が強いこと。

- 価値観の断絶
- 文化的断絶
- 地域的断絶
- 経済的断絶

これらを「どちらが正しいか」で決着させようとする構造が強く働いている。

ドゥルーズ的に言えば、断絶を“差異の源泉”ではなく“敵対の境界”として扱う社会になっている。



2. CityLife 的モデルは「断絶を抱えたまま接続する」

CityLife は断絶を消さない。
むしろ断絶を抱えたまま、異なるもの同士が接続し続ける“生成の場”をつくる。


これを米国の分断に重ねると、断絶を抱えたまま接続することは、断絶を解消しようとして対立が激化する。差異が新しい意味を生めば、差異が敵対の根拠になる。身体的経験が意味を生成すれば、言説空間が意味を固定化する。多中心的・リゾーム的なるものは、二項対立的・中心争奪的になる。つまり、米国の分断は「リゾーム的接続」が欠落した状態と読み解ける。


3. 米国の分断は「意味の固定化」が生む硬直化

CityLife は「意味を固定しない」都市。
しかし米国の分断は、意味を固定し、アイデンティティを硬直させる力学が強い。

- 自分たちの価値観
- 自分たちの歴史観
- 自分たちの未来像

これらを「唯一の正しさ」として守ろうとするほど、差異は敵対へと変わる。ドゥルーズ的に言えば、生成(becoming)が止まり、同一性(identity)が肥大化した状態となる。


4. CityLife 的視点は「分断を超える方法」ではなく「分断の扱い方」を示す

CityLife は分断を解消しない。
むしろ、分断を“生成の条件”として扱う。

米国の分断にこの視点を重ねると、次のような示唆が生まれる。

- 分断を「なくす」ことを目指すのではなく
- 分断を「接続の契機」として扱う
- 異なる価値観が“共存しながら生成する場”をつくる
- 身体的・日常的な接触の回復が意味生成を促す

つまり、分断を前提にした“生成的社会デザイン”が必要になるということ。



5. 米国の分断を「都市的リゾーム」として再構成する視点

もし米国社会が CityLife 的に再構成されるなら、次のような方向性が見えてくる。

- 中心を奪い合うのではなく、多中心化する
- 価値観の差異を「生成の源泉」として扱う
- 身体的な接触・共在の場を増やす
- 言説空間ではなく“経験空間”で意味を生成する
- 記憶を固定化せず、更新し続ける社会をつくる

これは政治的立場とは関係なく、社会構造の哲学的再設計の話になる。




☆☆☆GGのつぶやき
CityLife は、断絶を抱えたまま差異を生成し続ける都市的リゾームであり、米国の分断は、断絶を敵対として固定化する社会的構造である。この対比から、分断を「解消」ではなく「生成の条件」として扱う社会デザインという新しい視点が立ち上がる。

CityLife複合施設は、リベスキンドらによる「都市の記憶と未来の生成」を体現する場。断絶した跡地をリゾーム的に編み直し、住民や来訪者の身体的経験を通じて都市の意味を生成し続ける「哲学的都市実践」として位置づけられる。ドゥルーズ的に読み解くと「断絶を抱え込みながら差異を生成し続ける都市的リゾーム」。

それは都市の記憶を固定化するのではなく、住民や来訪者の身体的経験を通じて常に新しい意味を生成し続ける「哲学的都市実践」として機能している。



# by my8686 | 2026-01-13 13:13 | 気になる建築&空間 | Trackback

F.Y.I 「身体と空間のリゾーム:ワールド・トレード・センター跡地マスタープラン(ニューヨーク)」を読み解く

リベスキンドの作品は、まさに「身体と空間のリゾーム」を体現する事例として語ることができる。
彼の建築は直線的な物語を拒み、断絶や裂け目を通じて多方向に生成する歴史の場をつくり出す。


あらためて、「ワールド・トレード・センター跡地マスタープラン」について読み解いてみよう。


ダニエル・リベスキンドによる「ワールド・トレード・センター跡地マスタープラン(Memory Foundations)」は、9.11の惨事を記憶しつつ、ニューヨークの都市的活力を再生することを目的とした再建計画。中心に犠牲者追悼の場を据え、周囲に高層ビル群や公共空間を配置することで「記憶と再生」を両立させている。


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概要

発表:2002年、ロウアー・マンハッタン開発公社(LMDC)が国際コンペを開催。2003年にリベスキンド案が採用。
名称:「Memory Foundations(記憶の基盤)」
敷地: ニューヨーク・マンハッタン南部、約16エーカー(約6.5ヘクタール)



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計画の特徴

犠牲者追悼の中心性
・敷地中央に「9.11メモリアル」を配置。未建築の空間を「光と記憶の場」として残し、都市の中心に「空白」を設けることで記憶を永続化。


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スパイラル構成
・周囲に5棟のオフィスビルを「上昇する螺旋」として配置。最も高い建物は高さ1,776フィート(約541m)の「ワン・ワールド・トレード・センター」。アメリカ独立年1776を象徴。


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複合的機能
・世界貿易センター交通ハブ
・国立9.11博物館
・フランク・ゲーリー設計のパフォーミングアーツセンター(後に計画変更)
・公園や公共空間の整備


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都市再生の意図
・記憶の場を守りつつ、歴史的ストリート・グリッドを再接続し、商業・文化・交通を融合させることでマンハッタン南部の活力を回復。



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ドゥルーズ的読解

・断絶と再接続:9.11による都市の断絶を、記憶の空白と新しい都市機能の接続によって再生。


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・非中心性:記憶の場を中心に据えながらも、都市機能は多方向的に展開する。


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・生成的経験:記憶は固定された碑文ではなく、都市生活の中で生成され続ける。


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意義

・記憶と未来の両立:過去を忘れずに未来を築くという都市哲学を体現。


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・象徴性:高さ1,776フィートの塔は「自由と再生」の象徴。


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・都市的リゾーム:記憶・文化・商業・交通が交錯するネットワーク的空間。


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memo


「新ワールドトレードセンター」を読み解く




「ワールド・トレード・センターのデザイン・スタディに関するテキスト」を読み解く








☆☆☆GGのつぶやき
ワールド・トレード・センター跡地マスタープランは、都市の「記憶の断絶」を「生成的な再接続」へと転換する建築的・都市的実践事例。リベスキンドは建築を通じて、記憶を保存するだけでなく、未来へと開き直す場を創出した。ドゥルーズ的に読み解くと「断絶を生成的契機へと転換するリゾーム的都市空間」。それは記憶を固定化するのではなく、都市生活の中で常に生成し続ける場を創出し、未来を「閉じる」のではなく「開き直す」契機として機能している。未来を「閉じる」のではなく「開き直す」契機として機能させることで、「創造的可能性の拡張」、「記憶の再生と変容」、「多方向的な倫理の形成」、「身体的・儀礼的な更新」が期待できる。つまり未来は「完成されたもの」ではなく、断絶を含みながら常に生成され続ける場となる。



# by my8686 | 2026-01-12 12:12 | 気になる建築&空間 | Trackback

F.Y.I 「身体と空間のリゾーム:フェリックス・ヌスバウム・ハウス(オスナブリュック)」を読み解く

リベスキンドの作品は、まさに「身体と空間のリゾーム」を体現する事例として語ることができる。
彼の建築は直線的な物語を拒み、断絶や裂け目を通じて多方向に生成する歴史の場をつくり出す。


あらためて、「フェリックス・ヌスバウム・ハウス」について読み解いてみよう。


フェリックス・ヌスバウム・ハウス(Felix-Nussbaum-Haus) / 1998年完成、設計:ダニエル・リベスキンド


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ホロコーストで命を落とした画家フェリックス・ヌスバウムの作品を収蔵する美術館であり、建築そのものが「記憶の断絶と再接続」を体現する構造を持っている。



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概要

場所:ドイツ・ニーダーザクセン州オスナブリュック旧市街近く
設計:ダニエル・リベスキンド(Studio Libeskind)
竣工:1998年(2011年に拡張)
収蔵:フェリックス・ヌスバウムの作品200点以上、世界最大のコレクション


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フェリックス・ヌスバウム(Felix Nussbaum, 1904–1944)

ナチスの迫害下で生き、アウシュヴィッツで命を奪われたユダヤ系ドイツ人画家であり、その作品は「退廃芸術」とされながらも、ホロコーストの記憶を伝える重要な証言となっている。



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生涯と背景

出生:1904年12月11日、ドイツ・オスナブリュックのユダヤ系商人の家庭に生まれる。
教育:ハンブルク美術学校を経てベルリン芸術大学で学び、1929年に卒業。ゴッホの影響を受けつつも、ルソーやデ・キリコに関心を移していった。
活動:1929年にベルリンで初の個展を開催。1932年にはVilla Massimo賞を受賞し、ローマで奨学金生活を送る。

亡命と迫害
・ヌスバウムはナチス政権下で「退廃芸術家」とされ、ユダヤ人としても迫害を受けた。
・1930年代後半からベルギーなどで亡命生活を送り、潜伏しながら制作を続けた。
・代表作の一つ《ユダヤ人証明書を持った自画像》(1943)は、ダビデの星を縫い付けたコートとユダヤ人証明書を掲げる姿を描き、アイデンティティと絶望を凝視する強烈な作品である。



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死と作品の運命
・1944年、妻フェリカ・プラテックとともに逮捕され、アウシュヴィッツで殺害された。
・彼は「私が消えても、絵だけは人々に見せてほしい」と言い残したと伝えられる。
・戦後、117点の作品が奇跡的に残され、故郷オスナブリュックのフェリックス=ヌスバウム=ハウスに収蔵されている。


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芸術的意義
・ヌスバウムの作品は、シュールレアリスム的要素と表現主義的な緊張感を併せ持ち、亡命生活や迫害の恐怖を象徴的に描いた。
・彼の絵画は単なる美術作品ではなく、ホロコーストの「視覚的証言」として位置づけられている。
・特に自画像群は、自己と歴史の交錯を示す「記憶の肖像」として評価される。

フェリックス・ヌスバウムは、芸術を通じてユダヤ人迫害の現実を描き出した画家であり、その作品は「退廃芸術」として抹殺されかけながらも、戦後に再発見され、今ではホロコースト記憶の象徴的遺産となっている。



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建築コンセプト

「博物館=記憶の装置」
・リベスキンドはこの建物を「出口のない博物館」と呼び、単なる展示容器ではなく、建築自体がヌスバウムの人生と記憶を語る装置とした。



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断片化された構造
・建物は三つの異なるボリュームから成り、それぞれがヌスバウムの人生の異なる時期(前期、亡命期、迫害期)を象徴し、彼の人生の重要な場所の方向へと伸びている。


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空間体験
・狭い通路、突然の行き止まり、予測不能な交差点、閉塞感のある空間が来館者に「不安」と「迷い」を体験させる。
・これらはヌスバウムが亡命や収容所で味わった孤立感や断絶を身体的に再現する。


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ドゥルーズ的読解

リゾーム的空間
・中心を持たず、断絶と再接続を繰り返す構造は「リゾーム的空間」として理解できる。来館者は直線的な物語ではなく、断片的な経路を身体的に移動しながら意味を生成する。


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記憶の生成
・建築は「過去を保存する容器」ではなく、「記憶を生成し続ける場」。訪問者は空間を移動することで、ヌスバウムの記憶を自ら編み直す。


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意義

芸術と記憶の融合:建築そのものが作品の一部となり、展示と空間が不可分。


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社会的メッセージ:差別や迫害の記憶を体験的に伝える場として、現代社会に警鐘を鳴らす。


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建築史的価値:リベスキンド初期の代表作であり、後のベルリン・ユダヤ博物館へとつながる重要な試み。



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memo

「Felix Nussbaum House / Museum of Cultural History」探訪の前に



「Felix Nussbaum House / Museum of Cultural History」探訪



「Felix Nussbaum House / Museum of Cultural History」を読み解くⅠ



「Felix Nussbaum House / Museum of Cultural History」を読み解くⅡ




☆GGのつぶやき
フェリックス・ヌスバウム・ハウスは、芸術家の記憶を保存するだけでなく、来館者に「断絶と再接続」を身体的に体験させることで、記憶を生成し続ける場として機能する建築。ドゥルーズ的に言えば「リゾーム的空間=記憶生成の場」。それは芸術家の記憶を保存するのではなく、来館者の身体的移動を通じて断絶と再接続を繰り返し、記憶を生成し続ける。つまり、建築そのものが「哲学的マシン」として機能している。



# by my8686 | 2026-01-11 11:11 | 気になる建築&空間 | Trackback

F.Y.I 「身体と空間のリゾーム:デンバー美術館増築」を読み解く

リベスキンドの作品は、まさに「身体と空間のリゾーム」を体現する事例として語ることができる。
彼の建築は直線的な物語を拒み、断絶や裂け目を通じて多方向に生成する歴史の場をつくり出す。


あらためて、代表的な事例としての「デンバー美術館増築」を読み解いてみよう。


・デンバー美術館増築 (2006)
不規則な角度と鋭い形態が、身体のバランス感覚を揺さぶり、空間を単なる展示の容器ではなく「生成的な場」として提示している。
デンバー美術館増築(2006年完成、設計:ダニエル・リベスキンド)は、鋭角的で断片化された形態を持ち、来館者に方向感覚の揺らぎと多方向的な移動を体験させる。
その構造は、ドゥルーズ=ガタリの「リゾーム的空間」と強く呼応し、芸術体験を直線的な物語ではなく断片的・生成的なネットワークとして提示する。


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1. 建築コンセプト

・リベスキンドは「断片化された地形」をモチーフに、鋭角的な形態と傾斜した壁面を設計。
・増築部分は「ハミルトン・ビルディング」と呼ばれ、既存の美術館に対して非対称的・非中心的に接続されている。
・建物全体が「都市の地層」や「山岳の断片」を想起させる構造で、秩序的な美術館建築の枠を超えている。


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2. リゾーム的空間との対応

非中心性
・美術館増築は「中心的ホール」や「統一的軸線」を持たず、複数の展示空間が鋭角的に交錯する。これはリゾーム的空間の「中心を持たないネットワーク」と一致する。


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断絶と接続の同時性
・傾斜した壁や鋭角的な通路は、来館者の移動を断絶させつつ、別の方向へ接続させる。これはリゾーム的空間の「切断と再接続」の構造を体現する。


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多方向性と迷路性
・内部は意図的に方向感覚を失わせる設計で、訪問者は「迷う」経験をする。リゾーム的空間の「どこからでも接続可能で方向が固定されない」性質を反映している。


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生成的経験
・展示空間は「作品を並べる箱」ではなく、来館者の身体的移動によって意味が生成される場。これはリゾーム的空間が「固定的意味」ではなく「生成的経験」を重視する点と重なる。


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デンバー美術館増築は、芸術を「直線的な展示の物語」としてではなく、断片化された空間のネットワーク=リゾーム的空間として提示する。来館者は鋭角的な通路や傾斜した壁を移動しながら、芸術体験を断絶と接続の連続として身体的に経験することになる。



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memo

「デンヴァー美術館増築計画」を読み解く







☆☆☆GGのつぶやき
デンバー美術館増築は、ドゥルーズ的に言えば「リゾーム的空間=生成の場」として機能している。それは展示を直線的に並べるのではなく、断片化された空間のネットワークを通じて、来館者の身体的移動から意味を生成させる。つまり、建築そのものが「哲学的実践」として、芸術体験をリゾーム的に開いている。さらに、芸術体験を「リゾーム的空間」として提示するだけでなく、世代間の記憶継承のあり方を象徴している。断絶と再接続、多方向性、身体的生成という構造は、都市や家族の記憶がどのように伝わり、変容し、再生されるかを示している。

現在のウクライナ問題は、直線的な「勝敗」や「終結」ではなく、断絶と再接続を繰り返すリゾーム的な構造として捉えるべきである。これは都市や家族の記憶継承と同様に、戦争が「生成の場」として未来の秩序を模索する過程であることを示している。

近未来は「直線的な進歩」ではなく、「リゾーム的な生成の場」として捉えるべきだろう。断絶と再接続、多方向性、身体的生成という構造を通じて、都市・家族・国際社会の記憶が変容し、再生される。つまり未来は「閉じる」ものではなく「開き直す」ものとして、私たちの身体的・儀礼的な実践の中で生成され続けるのである。



# by my8686 | 2026-01-10 10:10 | 気になる建築&空間 | Trackback