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Karlheinz Stockhausen

歴史的な議論の始まりである。
新たな安全保障関連法案が、きのうの衆院本会議で審議入りした。

この審議が持つ意味は極めて重い。
ただ慎重に議論を尽くせばいいというものではない。

一連の法案がこのまま成立すれば、安倍政権が昨年から試みてきた安全保障政策の大転換が、首相が米国議会で約束した通りひとまず「成就」する。
安倍氏が2006年に初めて首相に就いて以来唱えてきた「戦後レジームからの脱却」の骨格ができ上がる。

首相は今回の法制を進める理由について、「わが国を取り巻く安全保障環境がいっそう厳しくなり、国民にとってリスクが高まっているからだ。切れ目のない法制で抑止力が高まれば、日本が攻撃を受けるリスクは下がる」と強調した。

それが首相の言う「森を見る」ことならば、9条を改正して必要な法整備を進めたいと説くのが法治国家の首相のとるべき道だったのではないか。
その順序は完全に逆転している。

そのために安全保障環境の変化にどう対応すべきかという議論がかえって妨げられているのは本末転倒である。

この倒錯を正せるのは国会での言論であり、世論である。
(2015.05.27 朝日新聞 社説より抜粋)


倒錯した首相の率いるこの日本に未来はあるのか。
国民のための正しい志を求めたい。



それはさておき、気になるドイツの現代音楽家をみてみよう。

その名は、カールハインツ・シュトックハウゼン。
(Karlheinz Stockhausen, 1928年8月22日 - 2007年12月5日 )

典型的なセリエリズムに基づく「点の音楽」から「群の音楽」、「モメント形式」、そしてメロディー的な要素とセリエリズムの統合を図った「フォルメル技法」へと作曲技法を発展させていった。
また、世界で最初の電子音楽を作曲し、生演奏を電気的に変調させるライヴ・エレクトロニクス作品も手掛けた。
不確定性や多義性を伴った形式を試行していた時期もある。




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あらためて、略歴をみてみよう。


1952年にはフランスに移り、パリ国立高等音楽院に入学、オリヴィエ・メシアンの分析クラス、ダリウス・ミヨーの作曲クラスで学んだ。
「群の音楽」や「モメント形式」などの新しい概念を次々と考案し、また、世界で初めての電子音楽を作曲。
「少年の歌」や「グルッペン」、「コンタクテ」、「モメンテ」などの代表作を作曲して、第二次世界大戦後の前衛音楽の時代において、フランスのピエール・ブーレーズ、イタリアのルイジ・ノーノらと共にミュージック・セリエルの主導的な役割を担った。





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60年代後半以降は確定的な記譜法を離れ、自身の過去作品を出発点としてそれを次々と変容してゆく「プロツェッシオーン」や短波ラジオが受信した音形を変容してゆく「クルツヴェレン」などを作曲。
更には、演奏の方向性がテキストの形で提示された「直観音楽」を提唱する。アロイス・コンタルスキーやヨハネス・フリッチェらの演奏家とアンサンブルを結成し、これらの音楽を演奏した。

70年代には「フォルメル技法」を掲げて再び確定的な記譜法に回帰。
1977年から2003年まで、7つのオペラから構成される長大な連作「光(LICHT)」の創作に携わり、最終作である「日曜日」の第3場面「光‐絵」が、2005年の自身の28年ぶりの来日の際に東京の夏音楽祭にて演奏された。




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2004年以降は、一日の24時間を音楽で表現する24の連作「クラング」を作曲していたが、あと一歩で全曲の完成は叶わなかった。

1961年にケルン郊外の村、キュルテン(ドイツ語版、英語版)に土地を購入し、自身の要望どおりの家を4年ほどかけて建て、以後はその家で過ごした。
また、「シュトックハウゼン出版社」を設立し、自作のCDや楽譜などを体系的に出版する。






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1998年からは毎年キュルテンで「シュトックハウゼン講習会」を開催、後進の指導に熱心に取り組んだ。

2007年にキュルテンの自宅にて、12月5日に亡くなった。




さらに、第五期といわれる2004年~2007年の活動をみてみよう。


第五期(2004-2007)
「光」を2003年に完成させたシュトックハウゼンは、2004年から2008年の没年まで、1日の24時間を音楽化しようとする24作品からなる連作「クラング - 1日の24時間」(2004-07)の作曲に専念した。
1970年代以来のフォルメル技法に代わり、2オクターヴの24音からなるセリーがこの連作の基礎となっている。





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オペラ劇場で演奏されることを前提として作曲された「光」に対して、「クラング」はそのような制約を一切設けずに作曲されているため、基本的に演劇的な演出はなされていない。
ただし、1人の打楽器奏者と少女のための4時間目「天国への扉」(2005)では、例外的に演劇性が採り入れられている。
この作品は特製のドアを打楽器奏者が叩き続ける作品である。




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このほか、2人のハープ奏者のための2時間目「喜び」(2005)や24のピアノ音楽集である3時間目「自然な演奏時間(自然の持続時間と訳されることがあるが、ドイツ語でDAUERは総演奏時間のことを指す)」(2005/06)作品。
それまでのシュトックハウゼンの作風からはかなり離れた伝統的で室内楽風な編成のものが含まれている。






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オルガン(またはシンセサイザー)とソプラノ独唱、テノール独唱のための1時間目「昇天」(2004/05)。
30分以上にわたるほとんど全ての部分で、鍵盤楽器奏者は左手と右手が全く異なるテンポでの演奏を求められた。
8チャンネルの電子音楽、13時間目「宇宙の脈動」(2006/07)は、24の電子音のパルスがテンポと空間移動の変化を複雑に繰り返しながら積み重なっていく。





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この連作はフルートと電子音楽のための21時間目「楽園」(2007)まで完成されたが、作曲者の逝去により全曲の完成は叶わなかった。
このほか、「ティアクライス」のオーケストラ版も、作曲者の死により「蟹座」と「獅子座」のオーケストレーションが未完に終わった。






☆☆☆やんジーのつぶやき
漆黒の暗闇の中で大音響で聴くべき現代音楽である。
これほどまでに過激にイメージを掻き立てる音楽を他に知らない。
時には解脱の境地を探りながらこの音宇宙を漂ってみよう。


































































by my8686 | 2015-05-27 08:06 | 現代音楽もいいもんだ | Trackback | Comments(0)