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リヒターと月下美人と現代詩「感幻楽」

日曜日の朝、昨年我家の玄関先に咲いた月下美人の写真をみていたらリヒターの写真論が脳裏によみがえった。


「写真は、いうまでもなく具象として現れる。しかしそれを複数枚組んでいくと、そこに色の量としての次元、そして反復による抽象化の次元が立ち現れてくる。ぼくはそのことについて、尽きない関心があるんだ」


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「絵画は、写真の登場によって部分的に役目を奪われてしまった。その結果、具象絵画は過去のものとされ、抽象絵画が進むべき道として考えられた。けれどもそれは はたしてしあわせなことだったろうか。ぼくはそうはおもわない。ぼくは、人類の全芸術史を視野におさめ、この2項対立を活性化させ、さらなる高みで融合させたいんだ」




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「ぼくは、日常/芸術という分離をのりこえ、より高い次元で、生きることそのものを芸術にしたいんだ」




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さらに、塚本邦雄の短歌が脳裏をめぐる。


暗渠の渦に花揉まれをり識らざればつねに冷えびえと鮮しモスクワ


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「感幻楽」より

こころは肉にかよふ葉月のうすら汗武者が髪結はるる頸の汗




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馬を洗はば馬のたましひ冱ゆるまで人恋はば人あやむるこころ




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言葉、青葉のごとし かたみに潸然と濡れて世界の夕暮に遇ふ




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はやき死を待たるることのさはやかに三月の芹スープにうかぶ




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壮年のなみだはみだりがはしきを酢の壜の縦ひちすぢのきず




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少年発熱して去りしかば初夏の地に昏れてゆく砂絵の麒麟






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☆☆☆やんジーのつぶやき
今年ももう少しで月下美人が咲く。
ある夜、突然咲き乱れる月下美人。
今年はどんな狂い咲きをみせてくれるのか。





















































by my8686 | 2015-07-05 08:21 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)