中国出身で、現在はニューヨークを拠点に活動する現代美術家、蔡國強による個展『帰去来』が横浜美術館で開かれている。
かつて日本で活動していた蔡國強の“里帰り展”ともいうべき展覧会だという。
あらためて、その内容をみてみよう。
火薬を爆発させ、そこから生み出される予想だにできない火薬の美しさを作品として発表してきたことで知られる蔡國強は、1957年、中国福建省生まれ。
上海で舞台美術を学んだ後、1986年末から1995年まで日本でも活動を展開し、火薬によるアートを成熟させてきた。
以降、ニューヨークを拠点に活動をつづけ、世界を股に掛けて活躍する現代アーティストの一人として数えられる。
そんな蔡國強の7年ぶりとなる日本での個展が実現。
「行って、戻ってきた」という意味の『帰去来』と題し、開催されている。
日本との強いつながりをもつ蔡國強は本展のために市民ボランティアらの協力を得ながら6点の大型作品を滞在制作。
ひとつは縦8×横24メートルの和紙に描かれた『夜桜』で、彼にとって過去最大サイズの火薬を使った平面作品となる。
いっぽうは、カンヴァスに描かれた4点の作品からなる連作『人生四季』。
江戸時代の浮世絵師、月岡雪鼎の描いた肉筆春画にインスピレーションを得た作品で、彼が長年研さんを重ねてきた新境地でもある色付きの火薬絵画となっている。
また会場では蔡が長年にわたり構想してきた、教育的なオンラインゲーム「アートアイランド」を世界初ローンチ。
オンラインゲーム上のワークショップ内で協力することで、相互理解を図ることを目的に開発されてきた。
「ひとりの学徒の芸術上の帰郷でもあり、また当時の純粋な気持ちを取り戻し、原点にさかのぼりたいという願いを込めた」と本展への想いを語る蔡國強。
本展は、火薬を使い、圧倒的な美しさを生み出してきた蔡の世界のひとつの完成形といえるものだろう。
☆☆☆やんジーのつぶやき
爆発するエネルギーが好きだ。
漲る力強さのなかに漂うエロスが官能を刺激する。