フォルクスワーゲン(VW)が米国で売ったディーゼル車に排ガス規制を不正に逃れるソフトを載せていた問題。
驚きとともに、あってはならない悪質極まる小細工に憤りを覚える。
あらためて、その内容をみてみよう。
欧州メディアなどの報道によると、ドブリント独運輸相は24日、VWが欧州でも同様の不正をしていたことを認めたと明らかにした。
ディーゼル車が多い欧州でも不正が発覚し、経営に大きな影響が出る可能性がある。
ドブリント氏はほかの自動車メーカーも調べる方針を示した。
一方、独自動車専門誌「アウトビルト」は同日、国際的な調査機関による道路での試験で、独BMWのディーゼル車の排ガスからも欧州基準を大きく上回る規制物質が検出されたと報じた。
BMWは「排ガス試験をごまかすことはない」と否定した。
欧州株式市場でBMW株は一時、前日終値より10%近く下落した。
メルセデス・ベンツなどを展開する独自動車大手ダイムラーは「不正に制限する装置は使っていない」と声明を出した。
さらに、天声人語をみてみよう。
ドイツ人は自国の製品について、「固くて丈夫で、堅牢な」と誇ることが多いという。これは小塩節著『新ドイツの心』に教えられた。
剛健で、秩序正しく、総じて真面目という印象を、ドイツの人々に持つ向きは多いのではないか。
それだけに驚きが大きい。
自動車大手のフォルクスワーゲンが、米国で排ガス規制を不正に逃れていた。
基準に適合するかどうかの試験の間だけは基準を満たす。
普通に道を走る時は基準を大きく超えて排出する。
なんとも巧妙で悪質な手口だ。
同じ事態を引き起こす可能性があるディーゼル車は世界で1100万台という。
ブランドイメージを傷つけただけでなく、米当局からの制裁金を始め、経営への打撃も甚大だろう。
環境先進国というドイツの看板も損なわれかねない。
フォルクスワーゲンは日本人にもなじみ深い。
カブトムシの愛称で呼ばれた丸っこい車体を懐かしむ方は多かろう。
一転して直線的なゴルフが1970年代に登場したのを、まぶしく眺めた。
昨年度、世界でのグループ新車販売台数でトヨタを抜いた。
年度ベースで初の首位だ。
グローバル競争は苛烈を極める。
その負の側面につい想像が及ぶのも致し方ない。
(2015.09.25朝日新聞より抜粋)
☆☆☆やんジーのつぶやき
米国の排ガス規制の基準根拠が気になる。
レクサスのブレーキ事故問題にはじまり、タカタ製エアーバック問題、次が今回のドイツ車排ガス規制問題である。
苛烈を極めるグローバル戦争の負の側面が垣間見える。