米国を代表する男性誌「プレイボーイ」がヌード写真の掲載を来年からやめると発表した。
ヌードがインターネットで簡単に見られる時代。
日本の雑誌はどうするのか。
土曜休日の夕刻、あらためてその内容をみてみよう。
■電子版で先行、閲覧者増える
「プレイボーイでは、ヌードはもう古い」
10月中旬、米ニューヨーク・タイムズ紙が1面でプレイボーイの「脱ヌード」を報じると、他の新聞やテレビも次々に大きく扱った。
一つの時代が終わった象徴として注目された。
1953年、マリリン・モンローのヌード写真を掲載したプレイボーイの創刊は、米社会の変革を示す出来事だった。
写真が高品質で製本も高級だったことがそれまでの雑誌とは大きく違い、大ヒットした。
ジャーナリストのデビッド・ハルバースタム氏は著作で「セックスが隠れて求める暗いものではなく、楽しむものだという考えを広めた」と指摘した。
しかし、インターネットが現れ、過激な写真や動画が簡単に見られる時代に突入する。
プレイボーイが一足先にウェブサイトを「職場で閲覧しても安全」な内容にすると、見る人の数が増えたという。
うさぎをあしらったプレイボーイのロゴの認知度は世界屈指との調査もあり、「脱ヌード」はブランドを守る経営判断とも言えそうだ。
■日本の週刊誌「旧来を踏襲」
一方の日本。
ネット上にヌードがあふれるのは同じだが、週刊現代(講談社)や週刊ポスト(小学館)など、一部の週刊誌は、ほぼ毎週ヌード写真を掲載している。
週刊現代の元編集長で「ヘア・ヌード」という言葉を作ったとされる元木昌彦さんは、この2誌のヌードを「大いなるマンネリ」と指摘する。
戦後創刊した男性向けの週刊誌の多くは、政治や経済からヌードまで1冊数百円であらゆる分野を楽しめる「幕の内弁当」スタイルが特徴で、いまも「旧来のスタイルを引きずっている」という。
元木さんが編集長だった90年代は、ヌードが「売り」になった時代。
大物女優が脱ぎ、「ヘア」が写った写真を週刊誌が掲載し始め、「ヌードもニュースになった」という。
特に現代とポストはヘアヌード掲載で部数を伸ばしたとされる。
そんなヘアヌードブームは去り、週刊誌は部数減少傾向が続く。
ポストと現代は「50代以上が読者層の大半」といい、最近は「死ぬまでSEX」といった狙いを定めた特集も目立つ。
元木さんは「部数を落とさないための消極的なヌード掲載。それが現状でしょう」と話す。
■芸術との区別、変化に期待も
ヌード写真の近現代をテーマにした写真展を開いたことがある東京都写真美術館の笠原美智子・事業企画課長は、プレイボーイの「脱ヌード」について「男性の性的な幻想を満たすヌード写真を掲載してきたが、雑誌にそんなヌードを求めない読者が増えたということ」と指摘する。
一方、欧米では芸術としてのヌード写真は「全く別物」として捉えられていて、美術館は展示会を頻繁に開催するという。
「日本でヌードは、芸術とそれ以外が一緒くたに見られる傾向がある。そんな現状が変わる機会になれば」と、笠原さんは願っている。
(2015.10.30 朝日新聞より抜粋)
☆☆☆やんジーのつぶやき
米プレイボーイ誌には、官能をドキドキ滾らせたものだ。
売りの「外人ヌード」をやめてしまうのは、一抹の寂しさがある。
しかし、時代の趨勢とはいえ、往年のファンのひとりとしては、ネットで簡単に見られるヌードを凌駕する「プレイボーイ」流のヌードを目指してほしかった。