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新国立、やっと一歩 開かれた議論よかった/本質論ないままの決定

市民たちの「異議申し立て」から始まった新国立競技場の計画見直し。
22日、新たな計画に採用されたのは大成建設と隈研吾氏の提案「A案」だった。
5年後の東京五輪・パラリンピックに向けて、メイン会場の建設が再び動き始める。



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あらためて、詳細をみてみよう。

「どちらも素晴らしい案だった。開かれた形での議論ができてよかった」。
旧計画の白紙撤回のきっかけをつくった東京都の舛添要一知事(67)はこの日の定例記者会見で、計画見直しから建設計画の決定までの政府の対応を評価した。

旧計画が進められていた5月以降、整備費の負担割合をめぐり、下村博文・文部科学相(当時)の対応を批判。
総工費が大幅にふくれあがることも明らかになり、計画見直しを求める声が強まった。

旧計画を「建設不可能」と指摘してきた建築エコノミストの森山高至さん(50)も「見直しの過程で公共建築物がどんな流れでできるのか、国民の間で可視化された意義は大きい」と話した。
妥当な建築費や望ましいデザインとは何か、社会的な議論が深まったとみる。
「広く建築を理解してもらうきっかけになった」

計画の見直しを求めて勉強会を重ねてきた市民団体「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」共同代表の大橋智子さんは「5年後の五輪の理念を考え、新国立競技場にどう反映するか、本質的な議論がされないままの決定で残念」と言う。
新競技場の建設に伴い、都営霞ケ丘アパートの住民が立ち退きを迫られている。
「問題は山積。計画の変更がないかどうかも含め、これからも勉強会を開いて声をあげていきたい」



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旧計画の見直しが決まった際、「元々あのスタジアムは嫌だった。生ガキみたいだ」と発言した大会組織委員会会長の森喜朗元首相(78)。
「強く要望してきた完成時期の前倒しが反映されており、関係者のご尽力に感謝申し上げる」との談話を出した。


■外苑再開発に期待も

新競技場の整備にあわせて神宮外苑では2020年大会の後、老朽化が進む神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えて建て直す。
両施設の間にはテニスコートなどの施設を新設することも検討されている。

東京メトロ外苑前駅周辺の約100店でつくる青山外苑前商店街振興組合の坂本力理事長(56)は、「外苑前の街はスポーツとともに歩んできた。たくさんの観客を迎えるための街づくりを全力で進め、東京五輪を迎えたい」と話した。

旧国立競技場で約1500試合を観戦したサッカージャーナリスト、後藤健生さん(63)は「旧国立はエリートスポーツの中心地でありながら、市民にも身近な存在だった」と言う。

小学生の時、旧国立の芝生でラグビーを習った。
「高額な総工費や維持費で使用料が上がり、市民に手が届かないような場所にはしてほしくない。大会後にどう使っていくか、知恵を出し合ってほしい」

再開発地区で競技場とともに取り壊された日本青年館。
館内にあった結婚相談所元所長の板本洋子さん(67)は約千組のカップル誕生を見守った。
戦時中は学徒出陣の壮行会があった。
戦後、青年館が全国から集う若者たちが議論する場になった。
「神宮の森の木々はそれぞれの時代の若者をずっと見続けてきた。新競技場のコンセプトは『木と緑のスタジアム』。若い才能が芽吹き、育っていく場所になってほしい」




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■隈さん「時代映す象徴に」

建築家の隈研吾さん(61)は日本スポーツ振興センター(JSC)の記者会見に出席し、「神宮外苑で緑のネットワークの要を作りたい。高さも抑えた」と話した。
旧計画の白紙撤回で「建築界への信頼が問われている」と感じたという。
「建築家とゼネコンがいいところを出し合って信頼回復につなげたい。
限られたコストでも建築デザインの力でここまでできると示したかった」と明かした。




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隈さんが実践してきたのが「負ける建築」。
勝ち誇るように主張するより、木や石を使って周囲に溶け込むことを目指す。




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朝日新聞社の個別取材には「木の質感を味わえる方法を探ってきた経験が生きた。人が包み込まれる、木造スタジアムにいる感覚になると思う」
「国立スタジアムとは、時代を反映した新しい象徴になるべきだ。
勝つ建築から負ける建築へ。転換の時代を映したものができたと思います」と答えた。




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■旧案に似ている ザハ・ハディド氏

旧計画でデザインを担当したザハ・ハディド氏が談話を出した。主な内容は次の通り。



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「新競技場のデザイン担当に選ばれ光栄に思っていたが、計画は撤回された。しかし、これは総工費やデザイン案が問題だったのではない。なぜなら本日発表された案は、私たちが2年間かけて作り上げた工費削減案やデザイン案の細部と似ていることが証明されたからだ。もし、私たちの案を実施していれば、工事遅れによるコスト増や工期の遅れは避けられただろう」



■敗れた新国立B案の伊東氏が指摘

敗れたB案の建築家、伊東豊雄氏が都内の事務所で会見。
A案が、見直し前のデザインを手掛けた英国の女性建築家ザハ・ハディド氏に近いことを指摘し「訴えられるかもしれないですよ」と話した。

伊東氏はA案について「表層部分は違うが、(骨格を)はぐと中身はザハさんの案とかなり近い。訴えられるかもしれないですよ」と懸念を表明。
国産木材を多用する骨格を取り除くと、客席の構造などが物議を醸したザハ案とそっくりだと指摘した。

自身はザハ案との決別を明確に意図して、建築の構造から相違を意識してきたという。
デザインやコンセプトなどではA案と同等もしくは上回る評価を得た。
ただ、審査の最重要ポイントとされた「工期短縮」で大きく点数をあけられた。
「事前着工ができれば確実に19年11月に間に合う、できなくても何とか完成させたい、と誠意を込めたつもりが、工期に間に合わない可能性があると受け取られてしまった」と悔やんだ。




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「ある程度A案ありきだった部分もあるのかも」と恨み節も出た。
両案が提示された直後、森会長が報道陣の質問に、B案支持を表明。
この発言を受け、世論までもがA案シンパとなり、「反発も大きかったみたいですね」とため息をついた。
「割と直感的な意見で、あの立場の方が言うのはまずいな、と内心思っていました」と、森発言が選考に与えた影響の大きさを悔やんだ。









☆☆☆やんジーのつぶやき
今年は東京オリンピックがらみの不祥事が際立った年でもあった。
デザイン界も建築界もある意味信頼が揺らいだ年といえよう。
信頼回復に向けて立ち挑む使命感こそ大事なことはない。
しかしザハ案に酷似したA案にふたたび佐野騒動めいた問題が発生しないことを願う。

























































by my8686 | 2015-12-23 10:10 | 徒然なるままに | Trackback | Comments(0)