土曜休日の朝、日経平均株価の想定以上の上昇幅に驚愕しつつ、想定外の原油安に揺れ惑うロシアの動揺ぶりに98年危機の再来かと瞠目。
まずは心落ちつけて今日もオノマトペ建築をみてみよう。
オノマトペ「さらさら」。
東日本にある「Water/Cherry」。
太平洋を見下ろす崖の上に立つ、分離型のヴィラ。
Water/Cherry
設計 隈研吾建築都市設計事務所
施工 大成建設 中村外二工務店
所在地 東日本
分離(多嶋海)スタイルを採用することで、それぞれの棟に、茶室のようなヒューマンスケールと暖かさとを与えることができた。
外壁にも室内にも「ヤマト貼り」と呼ばれる板を互い違いに貼る、日本の伝統のディテールを多用して、ディテールにおいても「小ささ」を追求した。
“水桜の家”は、自然のままの敷地環境の中に、折り重なる動きの複雑な繊細さを映し出している。
4cm幅の杉材を使用したファサードは、京都の桂離宮を同じディテールで建造された。
切妻屋根の各住宅棟は、水の流れを象徴するかのような幾つかの外廊廊下によって繋がっている。
非常に細い金属フレームで出来た柱と渡り廊下は、その繊細な構造により、家そのものが海に浮いているような錯覚をもたらす。
さらに、隈研吾の設計コンセプトをみてみよう。
■粒子が浮遊する状態をつくる
大きなボリュームを、どのようにして砕くかに関心がある。
たとえば台東区の浅草文化観光センターでは、高さ40mの塔を8つの「木造平屋」へと分解した。
アオーレ長岡では、35.000㎡の建築の「外観」を消去して、地元の材料でつくられた180㎝×90㎝パネルが、内臓的空間の中を飛散する状態をつくった。
この太平洋を見下ろす崖の上にも、粒子が浮遊する状態をつくろうと考えた。
軒を低くすることで、ボリュームを小さく感じさせ、さらに徹底した分棟スタイルを取ってボリュームを分解し、しかも建築を構成するエレメントを可能な限り小さく粒子化しようとした結果、世間から「数寄屋風」に似たところがあると言われるかもしれないが、当方はそもそも「数寄屋風」などには何の関心もない。
庭のCherry(サクラ)の木の花びらが、その粒子のモデルとなったので、プロジェクトの名称をそう名付けた。
具体的には、屋根は800mの幅のアルミ板でつくられた粒子の集合体とした。
屋根を、のぺっとした重たいボリュームとせずに、パリパリとしたクリスピーな粒子の集合体とする手法は既に根津美術館の2.600m幅の鉄板で試みているが、今回はそれを徹底させた。
外壁は40㎜幅のスギの「棒」の乾いた集合体とし、特に最初に突き当たる妻面は、棒をデコボコに並べて陰影をつけることで、粒子の浮遊性を高めた。
桂離宮の妻側でも、同じ処理が施されている。
インテリアでは250㎜幅の木製の板を、魚のウロコのように、デコボコに配慮した。
通称、大和貼りと呼ばれるディテールで、重たく大きな物質を粒子の集合体へと転換するための伝統的ディテールである。
個人住宅でも、長岡や浅草のような公共建築でも、粒子の浮遊した状態によって、身体と環境とを再接続させる可能性に挑んだ。
☆☆☆やんジーのつぶやき
大きなボリュームを、どのようにして砕くか。
庭のCherry(サクラ)の木の花びらが、その粒子のモデルとなったという。
「さらさら」と粒子が浮遊するとき官能が反応しはじめる。
こんな住空間で思いっきりJAZZ三昧に耽りたいと思った。