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vol.002「Gerhard Richter: 40 Years of Painting」

英中部リーズ郊外で16日午後1時前、最大野党・労働党の女性下院議員ジョー・コックス氏(41)が路上で男に銃で撃たれ、死亡した。

地元警察は、52歳の男の身柄を拘束。動機などは分かっていないが、コックス氏は23日に迫った国民投票で欧州連合(EU)への残留支持派として活動していた。英メディアが伝えた複数の住民の証言によると、男はコックス氏を大型の刃物で襲い、取り出した銃で複数回撃ったという。一部メディアは、男が国粋主義的な言葉を発したとの情報を報じた。現場にいた別の男性1人も軽傷を負った。コックス氏は16日午後、現場近くの図書館で住民と定例の面談を予定していた。

コックス氏は残留支持派として活発に運動をしており、10日付の地元紙には「移民に対する人々の懸念はもっともだが、EUを離脱する理由にはならない」と残留を呼びかける意見を寄稿していた。事件を受けて、離脱と残留の両陣営はこの日の運動を自粛すると発表。残留派、離脱派の主要人物は事件後、いずれもツイッターなどでコックス氏の容体を案じていた。残留を主張するキャメロン首相は「非常に心配している」、労働党のコービン党首は「事件にショックを受けている」と記した。
一方の離脱派である保守党のジョンソン前ロンドン市長は「ぞっとするような事件だ」とツイート。英国独立党(UKIP)のファラージ党首も「回復を祈る」と記した。

EUからの離脱を問う英国の国民投票は、離脱派と残留派の運動が過熱する中、 残留派議員に対する銃撃事件が国民投票に何らかの影響を与えるのは必至とみられる。しかし、これまでの各種世論調査では、離脱派の伸長ぶりは明らかだという。大きな争点の一つが移民問題。離脱派のジョンソン前ロンドン市長は14日、EU域内からの移民が賃金減少をもたらしていると主張。EUの「人の移動の自由」によって東欧・南欧から流入する安い労働力との競争にさらされている層へのアピールだという。

一方で、自分たちが理想とする「グローバル化」にとって、EUが障害になっていると批判する一派もある。新自由主義を奉じる富裕層や、大英帝国の栄光に郷愁を抱く高齢者に響いている。 「主権を我が手に取り戻せ」という自国中心的な主張や、グローバル化の現状に批判的で内向きな志向を強めるという点は、米大統領選で排外的な言動を繰り出す共和党のトランプ氏の支持層と重なる。


キナ臭い英国での事件。今後の動向に注目したい。





それはさておき、昨日に引き続き2002年にニューヨークMOMAで行われたゲルハルト・リヒターの大規模な回顧展について思考してみよう。


29歳で西ドイツに移るまでの戦後16年間を共産党主義の東ドイツで過ごしたリヒターの絵の中に残る世の中のもう一つの側面が観る者の現実感を揺るがせる。
彼の描くぼやけた絵の静けさに包み込まれ、彼と共に生きてきた私たちが失なったものや命の記憶のあやふやさの確認作業をするような回顧展だった。





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※人は思考するのではない。思考させられる。思考は強制の圧力によってのみ開始されるのであり、それを強制するシーニュは常に偶然の出会いの対象である。






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※思考の発生は、意識それ自身の努力によって避けることも抵抗することもできない。その意味では、あらゆる思考は強制であり、暴力であると言えなくはない。







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「私には何も言うことがない、だからそのことを言う」ーテーマを問われジョン・ケージの言葉を引用するリヒター。
ー絵画は全て抽象である、ということへの問いと認識とが、知覚を「見る」という行為へと昇華し、認識への入り口に導く。






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※〈物質に付け加わる主体性〉は、注意深い再認の失敗によって発動するのだった。積極的意志によって担われる行為でも確かに主体性は生み出されるが、それは少しも新しさをもたらすことのない第一の主体性に陥る他ない。






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※したがって、必要なのは、新しさをもたらす第二の主体性、〈物質に付け加わる主体性〉である。しかし、失敗を目指すことはできない。失敗は、目指した途端、失敗ではなくなるからである。そして、この問題点は、そのまま思考の理論にも跳ね返るだろう。







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※思考は、出会いによって強制されて初めて生まれる。したがって、思考することを目指すことはできない。出会いは目指せない、出会いは期待が失望に陥ることによってしか起こらないからである。期待どおりのものに出会えたなら、それは出会いではない。






アブストラクトとは感覚/認識/情動/記憶の行為とプロセスそのものであり、その軌跡としてのアートは見る者にプロセスを反復し、表現する者と見る者両者の記憶を覚醒させる。







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※私たちは、みずからの身体に「起こること」、みずからの心に「起こること」しか、いいかえれば他のなんらかの体がこの私たちの身体のうえに、なんらかの観念がこの私たちの観念〔私たちの心〕のうえに引き起こす結果しか、手にすることができないような境遇に置かれている。





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※写真の美学的な潜在能力 virtualité は、現実を顕わにする力にある。
  濡れた歩道のその照り返しや、とある子供のその身振り、そうしたものを外部世界の布地の中から見分ける作業は私 moi の影響を受けることがない。
レンズの非感情だけが対象から習慣や先入観を、私の知覚がそれによって対象を包み込んでいた垢をまるごと取り除き、私の注意に、ゆえに私の愛情に対象を穢れなき ままに取り戻させてくれる。





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※[写真]はある事物や存在のイメージではなく、より正確にはその痕跡なのだ。その自動的な発生 genèse automatique は、写真を他の再現の技術から根本的に区別する。写真家はレンズを介して、光の真の刻印を、つまり型取りを行う。



※:ドゥルーズ哲学原理及シネマシリーズより抜粋













☆☆☆やんジーのつぶやき
覚醒する記憶。
リヒターは、「私の絵画における中心的な問題は光である」と語る。
リヒターのアブストラクトに不思議な記憶をたどらせながらドゥルーズの言葉にも耳をかたむけてみよう。

































































by my8686 | 2016-06-17 09:35 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)