雪の土曜休日となる。想像したほどの豪雪にはいたらず。雪見酒と洒落たくなるほどの穏やかな雪景色である。
そんな休日の午後は、クロムハーツをながめつつ好きな現代詩でも詠んでみよう。
汚れっちまった悲しみに 今日も小雪の降りかかる
汚れっちまった悲しみに 今日も風さえ吹きすぎる
中原中也ー「汚れっちまった悲しみに…」 より抜粋
人間の仕事!これが、おれのいる奈落の底を時おり照らし出す爆発だ。
「なにひとつ、空しくはない。科学へ進め!前進!」と近代の伝道者が叫ぶ、つまり世間みんなだ。
ああ!いそげ、も少しいそげ、夜を超えた向こうには、未来の、永遠の報いがある。おれたちはあれを取り逃がしてしまうのか?
ーアルチュール・ランボー「地獄の季節/閃光」 より
星のまれな夜、異様な服装をしてとほくに海の見える山の背をあるき、
目を光らして「ツアラトストラはかく云へり」と叫びたい。
稲垣足穂ー「僕はこんなことが好き 赤い服とムービィを愛するあなたに」 より
夜のガラスをひらき
いちまいの緑のハンカチィフのなかに
消えてしまう
お前
のタンブラァ
青いキャバレェでは
リキュゥルの星
が睡い眼をして誘いにくる
北園克衛ー「カバンの中の月夜」 より
集団でガスで殺され射殺される
自由 マリファナポットは許されない
自由 幻覚症状まで飲み続け
LSDはやらない主義
煙を吸い過ぎ肺癌になる
自由 下半身裸の踊り子を揺する
自由はペヨーテ禁止の
自由で『吠える』を放映禁止
アレン・ギンズバーグー「工業化の波 キャピトル調で」より
それは食卓のうえの季節のフルーツです
パイプと祖父の愛した昔の蓄音機
貝殻にとじこめられた人魚たちは
みんな化石になりました
メロンの香りする若い従妹たちよ
あなたたちは愛するか
彼女たちの優雅な挨拶のような死を
黒田維理ー「昔の蓄音機」 より抜粋
天から貰ったこの命 咲いて散るのが我人生
たとえこの華散ろうとも 一生一度の青春を 地獄で咲かせて天で散る
自分で選んだ道だから 命尽きても悔いは無し
我ら華麗な暴走天使
都築響一「夜露死苦現代詩」より
☆☆☆やんジーのつぶやき
鈍く光るシルバーの艶やかさにいつしか官能が溶融していく。
蕩けいく暇にまた雪が降り積もる。