「ルネサス再建完了へ 革新機構、株2割売却 年内にも公募増資」を読み解く

半導体大手、ルネサスエレクトロニクスの経営再建が完了する。7割を出資する官民ファンド、産業革新機構が5月にも2割弱の株式を売却する。現在の株価で約3500億円分となる。

ルネサスは年内にも数千億円の公募増資に踏み切り、M&Aなど成長に向けた資金を調達する見通しだ。革新機構の出資比率は5割以下に下がり自立経営でグローバル競争に挑むという。




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あらためて、この内容を読み解いてみよう。


ルネサスは2011年の東日本大震災で主力の那珂工場(茨城県ひたちなか市)などが被災。工場のロボットや自動車に使う半導体「マイコン」の供給が滞り経営が悪化した。
革新機構は13年、ルネサスに約1400億円を出資し経営再建を主導してきた。現在も69.2%を持つ筆頭株主だ。このうち最大19.1%を5月にも、幅広い投資家を対象に売り出す。



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現在の株価で計算すると革新機構は3000億円程度の売却益を手にする見通しだ。革新機構の出資比率は5割強に下がる。革新機構以外の大株主の一部も株を売却するとみられる。

革新機構が株式売却に踏み切ったのは、ルネサスの経営が軌道に乗ったと判断したためだ。主力のマイコンは自動車の電子化や自動運転技術の広がりを背景に需要が伸びている。ルネサスは世界のマイコン市場で約2割とトップシェアを握り工場はフル稼働が続く。





■ルネサスを巡る主な動き

2010年
4月ルネサステクノロジとNECエレクトロニクスが経営統合し、ルネサスエレクトロニクスが誕生
11年 
3月東日本大震災により自動車向けマイコンの供給がストップ
12年 
9月産業革新機構とトヨタ自動車など企業連合の出資案が浮上
12年 
10月早期退職などで約7500人削減
13年 
9月産業革新機構とトヨタ自動車などが1500億円を出資
15年 
3月期設立以来初の最終黒字に
16年 
9月約3500億円で米インターシルの買収を発表




14年3月期まで最終赤字が続いたが、生産・開発拠点の集約や計1万人規模の人員削減といった合理化を進め15年3月期に最終黒字に転換。16年12月期の純利益は441億円だった。

17年2月には同業の米インターシルを32億1900万ドル(約3500億円)で買収し、世界での事業拡大に布石を打った。

ルネサスは独自の資金調達にも踏み切る。株の売り出しから早ければ半年後に、公募増資で数千億円の調達を検討している。海外でのM&Aや工場の生産能力増強などに使う見通しだ。

増資後に革新機構の出資比率は5割以下に下がる。公的支援の度合いが弱まり、ルネサスは再建から成長へと経営のかじを切る。




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09年7月に設立された革新機構の運営は、法律により15年間の期限付き。折り返し地点を過ぎたことも株売却の背景にある。今後、ルネサスの利益成長を見ながら株の出資比率をさらに下げていく可能性がある。

半導体業界ではドイツのインフィニオンテクノロジーズや米インテルなど車載用半導体を巡り競争が激化している。16年10月には米クアルコムがオランダNXPセミコンダクターズの買収を表明するなどM&Aによる寡占化も進む。ルネサスは経営の主導権を取り戻しグローバル競争に挑む。





さらに、体制構築の背景をみてみよう。


ルネサスエレクトロニクスが、ソフトウエア開発会社など200社超のパートナー企業と組み、自動運転の車体制御に必要な半導体やソフトを一括提供する体制を築いた。

経営危機を脱した同社は周辺情報を把握して走る・曲がる・止まるといった自動運転技術に再成長を託す。先端技術でリードし続けるため、同分野に参入する米インテルや米クアルコムなど「半導体の巨人」に共同体を築いて対抗する戦略だ。

「我々単体では勝ち残るのは難しい。パートナーの皆様と日本に車の頭脳を担う半導体メーカーを残したい」――。11日に都内で開かれた2年に1度の開発者向け展示会「デブコンジャパン2017」の基調講演。ルネサスの呉文精社長は協力会社に語りかけた。




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ルネサスは「R―Carコンソーシアム」と呼ぶ共同体を組織して外部の技術者とともに自動運転技術の開発を進めてきた。参加企業数は日米欧のほか中国や韓国のソフトウエアやシステム開発会社、研究機関など200社超に拡大した。国内で初披露した完全自動運転車は協力企業の技術陣とともに造り上げた。





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ルネサスが自社の強みと位置付けるのは「あらゆる環境でも安定的に駆動し続ける『信頼性』」(呉社長)。基本設計で半導体の誤作動を防ぎ、万が一不具合が生じてもすぐに車を止めて事故を起こさない機能を盛り込む。通信機能を持つ車へのサイバー攻撃も想定しセキュリティー対策でも他社に先行する。

東日本大震災での工場被災を機に経営危機に陥ったルネサスは、受注変動の激しいスマートフォンやゲーム向けの半導体から相次ぎ撤退。工場売却や人員削減を経て収益改善に努めてきた。呉社長は「高い信頼性を評価してもらえる分野に注力する」とし、産業機器に強い電源管理用の半導体の米インターシルを約3200億円で買収。車載分野だけでなく、生産設備や医療機器の分野の開拓を急ぐ。

ルネサスが主戦場と位置付ける自動運転分野では活発なM&Aが頻発している。スマートフォン用半導体で「事実上の標準(デファクトスタンダード)」を獲得したクアルコムは車載用半導体の世界最大手のオランダNXPセミコンダクターズを約5兆円で買収。CPU分野で覇権を握るインテルもイスラエル社を約2兆円で買収して自動運転技術の獲得を急ぐ。




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どんな環境下でも故障なく稼働し続ける安定性が必要な車載分野での技術蓄積はルネサスが先行する。追うインテルやクアルコムはM&Aで自動運転分野のデファクトスタンダードを狙う。ルネサスは「緩やかな連合」で“勝者総取り”の半導体業界を生き抜こうとしている。











☆☆☆やんジーのつぶやき
米インテルや米クアルコムなど「半導体の巨人」に共同体を築いて対抗する戦略に出るルネサス。
「東北でよかった」などという無責任な発言しかできない大臣に、是非ともこうしたプロジェクトX版「R―Carコンソーシアム」共同体を知ってもらいたい。





































































































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by my8686 | 2017-04-27 15:25 | 徒然なるままに | Trackback | Comments(0)

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