上空に寒気が入り込んだ影響で、関東や東北、北海道では19日朝、多くの地点でこの秋一番の寒さとなった。
前線の北上も重なり広い範囲で雨模様となる。「秋の長雨」は20日夕ごろにいったん緩むも、衆院選投票日の22日には台風が日本列島に近づくとみられ、影響が懸念されている。
それはさておき今日は、クリエイティブディレクター佐藤可士和の新しいワークを読み解いてみよう。
サロン向けヘアケア製品の製造・販売を展開してきた「モルトベーネ」が行ったブランディングプロジェクトでの社名の変更や新CIの設計をはじめとするトータルディレクションである。
「人生に、新しい美の体験を。」を新たなミッションステートメントに据え、複数存在したグループ会社を統合して「beauty experience」ブランドに統一した。
ヘアケアメーカー「モルトベーネ」の創業40周年を機に、CI刷新を依頼された本プロジェクトでは、経営者のヴィジョンをヒアリングした上で、「人生に、新しい美の体験を。」というミッションステートメントを導き出し、それをダイレクトに伝える社名に変更することを提案している。
さらに、漢字の「美」をモチーフとしたシンボルマークもステートメントをアイコン化したものであり、企業のシンボルマークではあまり使われることがない紫をコーポレートカラーに据えることで、同社のユニークネスも表現している。
新社屋移転に伴い、社員研修やプレス向け発表会などを行うことを目的に設置されたビューティースタジオの空間デザインもまた、一貫したブランディング戦略に基づいている。
新しい美の体験を発信する拠点と位置づけた空間には、シンボルマークをモチーフにしたグラフィックをあしらった布を天井から吊り下げるとともに、シンボルマークから派生した佐藤自身の手によるペインティング作品を設置。
企業の方向性を指し示すミッションステートメントを、社名、シンボルマーク、空間、アートワーク、各種コミュニケーションツールに象徴的に展開することで、新たな企業ブランディングのあり方を提案している。
白と紫を基調としたスタイリシュなスタジオは、あらゆる機能を設備し、美容師の技術や感性を発信できる場であるだけでなく、空間そのものでコーポレートアイデンティティ(CI)を象徴。
1.多機能性を実現
2.beauty experienceのCIをアートに表現
3.美容師と地域の人々に貢献
studio
天井に設置されたオブジェはロゴをモチーフにしたもの。
オブジェ、ロゴ、アートの3つの要素が関連してデザインされた象徴的な空間となっている。
entrance
エントランスすぐの壁面にはロゴとディスプレイ棚を配置。
ロゴは漢字の「美」をデザイン化したシンボルマークとなっている。
art
カウンターの後ろには、クリエイティブディレクターの佐藤可士和による直筆アートが展示されている。
studio
撮影やイベント演出に対応できる照明機能や音響機能を完備。
美容室の新たなビジネス創造をサポートする空間となっている。
art
正面に圧倒的な存在感を放つアート。beauty experienceのロゴの源となっている漢字の「美」を表現。
照明機能によって全体をバランス良く輝かせ、どの角度からでも光を感じる事ができる、計算された設計となっている。
☆☆☆GGのつぶやき
佐藤可士和の一貫したブランディング戦略に基づく提案プロジェクトである。
漢字の「美」と紫がキーデザインとなったシンプルながらインパクトのある空間に仕上がっている。