7日、東京株式市場で日経平均株価は389円も上昇し、終値は2万2937円60銭と、バブル崩壊後の高値を更新した。
株価の上昇が続いている。約26年ぶりの水準だという。
先行き不安が遠のき、好調な企業業績を受けた買いが入る。この勢いはどこまで続くのか。
あらためて、この内容を読み解いてみよう。
■外国人投資家が買い
株価上昇を後押しするのは、売買高の過半を占める外国人投資家だ。
9月上旬以降、北朝鮮の挑発行動は目立たなくなり、10月の衆院選で自民が勝利。先行きの不安要素がひとまずなくなり、安倍政権が金融緩和で株価を押し上げることが明確になった。
日本株は円相場の影響を受けやすいが、最近は1ドル=113~114円程度で安定している。米国では年末の利上げ観測が強まり、日米の金利差が広がれば円安ドル高になりやすい。10月には史上初の16連騰を記録した。日本株を投資先に組み入れる海外の投資家も本格的に買いに入ったとみられている。
株価はバブル崩壊後いったん上がった時点(1996年6月26日、2万2666円80銭)を超え、92年1月9日(2万3113円64銭)以来、25年10カ月ぶりの高値水準となった。
市場では2万3000円超えも近いとの声が広がり、「日経平均2万4000円も見えてくる」(大和証券グループ本社・中田社長)
「中長期的に2万5000円を目指す展開になる」(野村ホールディングス永井グループ最高経営責任者)との見方も出る。
だが個人投資家の動きは鈍い。
極東証券の菊池広之会長は「株高でも個人は冷静だ。今回は売りから入り、海外勢が買っている。バブルの時はその逆だった」という。安値で売れなかった株を売るきっかけにする個人が多く、それを外国人が買っている構図だ。
松井証券の松井道夫社長も個人の売買が少ないと言い、「こんな状態は今までにない。『活況』だとはとても言えない」と話す。
独立系投信のファンドマネジャーは「実感がまったくない。漠然とした不安すら感じる」と話す。
「何かのきっかけで2千~3千円下げるのは早いのでは」との声もある。
■海外と比べて「割安」
約26年ぶりの高値となった株価だが、「(バブル崩壊後の)『失われた20年』をようやく取り戻したに過ぎない」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券マン)。
過去20年余りの主要国の株価は数倍に上がっている。96年時点と比べて、米ダウ工業株平均は4倍、英国の株価指数は2倍、中国・上海の株価指数は4倍だ。
日本株は割安でさらに上がる余地があるのか。市場では、企業の一株当たりの純利益を株価で割った「株価収益率(PER)」をみて、割安とする見方がある。
PERが高いと株価は割高で、低いと割安とされる。日経平均のPERは15倍程度で、約20年前の50倍超より低い。
約20年前はバブル崩壊後に企業業績が悪化する過程にあった。「バブル経済の余韻が残っていた90年代の方が、株価も今以上に過熱感が残っていた」。
東京市場では日本銀行が株価指数連動の上場投資信託(ETF)を買い、株価を押し上げる「官製相場」の様相も強い。
株価が実態以上に上がっているのか、好調な企業業績に見合った上昇なのか。
北朝鮮情勢やトランプ米政権の不安定さなどの不安を抱えたまま、当面は上昇基調との見方が市場では多い。
☆☆☆GGのつぶやき
まさに、薄氷を踏む思いとはこのことであろう。
いつ暴落するか、いつまで続くのか。
この高騰に踊らされ、一財産を失う個人投資家も出てこよう。
欲をかかぬことである。