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「東レ、品質責任者自ら改ざん 判明から1年超公表せず」を読み解く

神戸製鋼所や三菱マテリアルで発覚した検査データの改ざん問題が、経団連会長の出身企業である東レにも飛び火した。

しかも消費者への公表は、不正が分かってから1年以上経ってから。日本経済を支えてきたものづくり企業の信頼が大きく揺らいでいる。




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東レ子会社の東レハイブリッドコード(THC)では、タイヤの形状を保持するための補強材「タイヤコード」を製造している。主に、ポリエステル、ナイロン、アラミド、レーヨンなどを使用し、タイヤコードの剛性を高める基材である。

クルマ好きならば誰でもが理解していることだが、タイヤとは、車の操縦安定性と乗り心地という相反する2つの条件が要求される。その要求に合わせたタイヤコードの開発・生産・販売という重要な業務である。

さらに、タイヤコードの重要特性であるゴムとの接着に優れた接着剤を多数保有し、撚糸・製織・接着加工が一貫生産できるのも、日本ではこのTHCのみである。



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このTHCで「データ改ざん」という不正書き換えが1年以上も横行していたとは、驚愕せざるをえない。



あらためて、この内容を読み解いてみよう。


「煩雑な作業をしたくない、段取りを省きたいという動機があった」
「契約に対する認識の甘さ」

データを改ざんしていた東レ子会社の東レハイブリッドコード(THC)の鈴木信博社長は28日の記者会見で、改ざんの背景に、現場責任者が品質を軽視していたことを挙げた。



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THCは出荷前に行う品質検査で、契約内容にあっているかを確かめるため、1製品あたり約10項目の検査を行っている。検査データは「検査成績書」に記され、品質保証室長が最終的に承認するが、2008年以降の室長は2代にわたり改ざんを行った。検査データの管理システムを操作する権限を悪用した。

日々の製造作業では、品質が基準に満たない製品が全体の1~2割ほど発生する。本来なら品質を再測定し、契約内容と多少異なっていても顧客の了承を得られれば「トクサイ(特別採用)」という手法で出荷できる。しかし2人はこうした作業を省いた。

神鋼の不正では、「品質より納期」の風土が背景にあったと指摘された。THCの鈴木社長は、同様に納期の圧力が不正を招いた可能性を示唆している。

東レで発覚した不正は、同社相談役でもある経団連・榊原定征会長が、同社の社長、会長在任中に行われていた。




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榊原会長は、神鋼のデータ改ざん問題などについて「メイド・イン・ジャパンへの信認を毀損しかねない」と繰り返し発言。

27日の定例の会見でも、三菱マテリアルのデータ改ざんに、「日本の製造業に対する信頼に影響を及ぼしかねない深刻な事態だ」と言及したばかりだった。榊原会長は28日、東レの不正について無言を貫いた。

次々と発覚する不正。企業不祥事に詳しい郷原信郎弁護士は、素材メーカーの製品の一部では品質がばらつくことがあり、「他の企業でもデータの書き換えは起こりうる」と話す。

愛知県西尾市のTHCでは28日、同社幹部が従業員に問題を説明した。ある女性従業員は「複雑な気持ちだが、とにかく今は信頼を取り戻すためにできることをやらないといけない」と話した。

このままでは、日本の様々な製造現場で、決められたルールを逸脱する不正行為がはびこっているという印象を世界に与えかねない。製造業全体で、うみやカビをいち早く一掃する覚悟が求められている。





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神戸製鋼所、三菱マテリアル、東レで共通するのは、出荷前の検査データを改ざんしていたことだ。顧客に営業など他の現場が約束していた品質を製造現場でごまかしていたのだ。

「安全性には問題はない」という意識からだろうか。日本の製造現場は生産性の改善とともに、「過剰品質」といわれるまで、製品の品質向上に取り組んできた。
ルールを守る意識の低さは、「品質神話」を生んだ製造現場の過信といわれても仕方がない。

円高不況で苦しんだ素材産業は多角化やグローバル化で復活し、自動車産業を支えてきた。

日産自動車やスバルと合わせ、日本経済を引っ張る産業で不正が発覚したのは「メイド・イン・ジャパン」の競争力にかかわる。




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最も深刻なのは不正が長年放置され、認識された後も長期間公表しない例が目立つことだ。多くの製造現場は品質を守るため真面目に取り組んでいる。長年のうみを出し切れない企業の危機感の薄さが、日本のものづくり全体の信頼を損なっていることを忘れてはならない。




改めて、東レハイブリッドコード株式会社 代表取締役社長 鈴木信博氏の社長挨拶を読んでみよう。



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東レハイブリッドコード株式会社は、1961年12月東洋タイヤコード株式会社として設立、1971年8月に東レ(株)100%出資の国内関係会社となり、その間今日までタイヤコード事業、産業用コード事業、カーペット用パイル糸事業をコア事業とし順調に拡大を進め、現在では自動車用途を中心とした東レグループの産業資材用繊維高次加工の最重要拠点に成長してまいりました。

そして2014年4月1日、国内外のお客様へ向けて東レグループにおける当社の位置付けを明確にするとともに、一層のお客様との共同取り組みを充実させていくことを目的に、東レハイブリッドコード株式会社への社名変更を行いました。

「ハイブリッドコード」には、事業内容の拡大によりコード事業全般が当社のコア事業となっていることと、さらには当社が保有する特殊な複数の要素技術、あるいは当社が扱うさまざまな繊維の「複合・混成」から革新的な先端コード材料を生み出すとの企業コンセプトを表現しています。

このコンセプトのもと、私たちは将来に亘りたゆまぬ技術革新の追求に徹底的に取り組み、価値ある新製品開発・新事業開拓の推進に努め、社会に貢献していきたいと考えます。

2015年4月より、タイに販売拠点を持ち、お客様のグローバル調達(同一品質製品の国内外一括購買)、および生産拠点BCP(国内外多拠点生産)に対応すべく、アジア・インド地域のグローバル生産販売体制をスタートさせました。

2016年6月6日タイ、バンコクに製造販売新会社(Toray Hybrid Cord (Thailand) Co., Ltd.)を設立し、2017年10月より自社生産事業を立ち上げます。

これによりグローバルサプライヤーとして、アジアを中心とした自動車関連需要を取り込み成長拡大を目指します。

そして、成長を続けるための原動力は人材育成であります。熱意あふれるひたむきな人を育てることにより、ものづくり企業としての基盤を強くし、難題にも果敢に挑戦する企業文化を培っていくとともに、一層の技術の深化を図ります。







☆☆☆GGのつぶやき
鈴木社長挨拶の言葉どうり、熱意あふれるひたむきな人を育て、ものづくり企業としての基盤を強くし、難題にも果敢に挑戦する企業文化を培っていってもらいたい。
日本の古き清き精神性が変容しつつある今、愚直なまでの真摯さを、今一度意識して生きて行きたい。














































































by my8686 | 2017-11-29 14:26 | 徒然なるままに | Trackback | Comments(0)