ポスト・ミレニアル世代が創る「チルなホテル」を読み解く

土曜休日の朝は、「チル」なるキーワードが棘のように脳裏に引っかかってしまった。
予約したデンタルクリニックを済ませ、銀行と図書館を早々と切り上げて帰宅し、その記事を読み解いている。


東大に在学しながら5つのホテルを経営・プロデュースする才女・・と言ってよいだろう。




c0352790_16094300.jpg



10歳からホテルを創ってみたいと思っていたという。
スタートからの「志」の違いをここらからも窺うことができる。




2015年に19歳で株式会社L&Gグローバルビジネスを設立し、『petit-hotel #MELON富良野』オープン後、アートギャラリーを併設した『HOTEL SHE,KYOTO(2016年)』、客室にレコードプレーヤーを置き、タイルをつかったレトロな外観にリノベーションした『HOTEL SHE,OSAKA(2017年)』、「快適過ぎてダメになる」と称されるyogiboのクッションを全室に置いた『THE RYOKAN TOKYO YUGAWARA(2018年)』、直近では廃業寸前の旅館をリノベーションした『ホテルクモイ層雲峡(2018年)』のプロデュースを手掛けている。






c0352790_16130808.jpg






あらためて、その内容を見てみよう。


どのホテルも、独自のテーマやコンセプトを持たせている点が人気を呼び、平均稼働率は約90%。訪日外国人客の割合も高く、HOTEL SHE,OSAKAで40%、富良野で95%に達する。広告を出していないにもかかわらず、宿泊客のSNSや口コミで認知度が高まっている。



『ジャケ買いされる空間』『onsen2.0』『#shelovesyou』など5つのホテルは独特のコピーが世界観を生み出す。






c0352790_16133522.jpg





たとえば『THE RYOKAN TOKYO YUGAWARA』の場合、湯河原という名前だけは知っているけれど、固定されたイメージは持っていない人がほとんど。彼女は、最初に街の空気感を言語化し、そこに街の歴史も取り込んで、「湯河原とはこんな街だ」と思い切って決め、そこからホテルという空間に落としていく手法。






c0352790_16135461.jpg





その結果、出てきたキャッチコピーが『湯河原チルアウト』。

湯河原あたりは箱根・熱海・伊豆と有名な温泉地が多いが、湯河原は際立った特徴がなかった。そこで現地でリサーチすると、“不倫旅行”と“文豪”というキーワードが出てきたという。





c0352790_16152348.jpg




現地での聞き込みで、湯河原は不倫で泊まる宿が多い。なぜかというと、離れのある宿が多く部屋にこもる旅行にぴったりで、街には繁華街が少ないので、知り合いにばったり会う可能性も低い。ただ、「不倫旅行」という言葉はキャッチーだが、コンプライアンス的には使えないので、自分たちだけのキーワードにしたという。

もう一つのキーワードが「文豪」。夏目漱石・谷崎潤一郎・芥川龍之介など多くの文豪が湯河原で執筆をしていた。都会の喧騒を離れてゆっくり静かに自分に向き合う、アッパーではなくダウナーな街の印象。遊ぶ街のイメージがある隣の熱海と比較して、“ハレとケ”、“新婚旅行と不倫旅行”のような街のイメージがつくられ、『湯ごもり』という言葉が出てき、これをキーワードにしたとき、街に何もないことの説明ができるようになった。


SNSはコミュニケーションツールとして使う。
Instagramは、ホテルに泊まってくれたお客さまの投稿をリポストすることで好感度・ロイヤリティーが高まっている実感がある。

Twitterは、ホテルでお世話になっている方とのコミュニケーションに使っているという。できるだけ“公式アカウントっぽさ”を薄めて、お世話になっている人たちとのやり取りを活性化させることで認知度アップを期待している。

Twitterネイティブ世代なので、どんなコンセプトで、どんなワーディングだとバズる、というのが体感でわかっているという。





c0352790_16172550.jpg





Twitterに何気なくOTAの手数料の高さをつぶやいたら、Twitter上で手数料の妥当性や予約サイトをつくることの是非について議論が生まれたという。
これで予約サイトに一定数のニーズがあることが可視化され、自社で開発することになった。

Twitterはマーケティング会社に依頼するよりもはるかに安く、ダイレクトにユーザーの声が拾え、優秀なマーケティングツールだという。






☆☆☆GGのつぶやき
「チル」(chill)には、ゆったりする、だらだらする、遊びに行くという意味があるという。
イメージを、徹底的に言語化していくことで、語感が良いことや記憶に残るワーディングを大切にするという。
建築家たちがコンセプトから造形言語に落としていく過程に似ている。
ポスト・ミレニアル世代の彼女の感性にこれからも眼が離せまい。













































































[PR]

by my8686 | 2018-06-23 16:17 | 挑発する建築&空間 | Trackback | Comments(0)

トラックバックURL : https://my8686.exblog.jp/tb/29593374
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。