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ゴーン逮捕を横目にアレン・ギンズバーグ詩 「吠える」を読み解く

東京地検特捜部が日産自動車と仏ルノー、三菱自動車の会長を兼務するカルロス・ゴーン容疑者と、代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕した。

ことの真相はこれから解明されようが、日産がゴーンを刺したことだけは明白であろう。ではなぜ今なのか。

日産自動車と仏ルノーの経営統合というメガトン級の話が徐々に進んでいたことは知られている。ルノーが主導するもので、この再編が実現すれば、日産は「仏自動車大手」となる。

「仏政府vsゴーン・日産」から「仏政府・ゴーンvs日産」という構図の変化をうかがわせる動きはすでに表面化していた。

そして今回のゴーン逮捕劇で明らかになったのが、日産が「仏政府・ゴーン連合」を対立軸とみなして行動をとったということであろう。3社の経営統合問題が騒ぎとなった2018年初めの経済産業省幹部の言葉として、「どんな手を使ってでも阻止する」と語ったという。

経営統合に反発する日産・三菱自と「仏自動車大手NISSAN」誕生に警戒を強めた経産省が手を握り、ゴーンの追い落としを画策したとしか思えまい。






それはさておき、昨日から気になった「ビート・ジェネレーション」を代表する伝説の詩人アレン・ギンズバーグの詩 「吠える」の一節を読み解いてみよう。





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僕は見た,狂気によって破壊された僕の世代の最良の精神たちを,飢え,苛ら立ち,裸で夜明けの黒人街を腹立たしい一服の薬(ヤク)を求めて,のろのろと歩いてゆくのを夜の機械の,星々のダイナモとの,古代からの神聖な関係を憧れてしきりに求めている天使の頭をしたヒップスターたち





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ある者らは,金もなく,ぼろぼろのシャツを着て,うつろな眼でタバコをふかし,寝もせずに,湯も出ないアパートの超自然的な暗闇で,都会の上を漂いジャズを瞑想していた

ある者らは,高架鉄道の下で,神に捧げる脳みそをあばいた,そして,貧民アパートの屋根の上でよろめいているモハメッド的な天使たちが照らし出されるのを見た







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ある者らは,戦時給費学生にまじって,アーカンソウとブレイク風の悲劇の幻想がちらついている晴れやかなつめたい目つきをして大学を卒業していった

ある者らは,骸骨の窓に関するワイセツな詩に熱狂し,それを発表したために大学を追い出された







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ある者らは,髭もそらず下着姿で,紙くず籠の中のドルを燃やしながら,壁越しに聞こえて来る恐怖の声におびえていた

ある者らは,ビート髭を生やし,禁制のマリュワナたばこにいかれ,ラレドを通ってニューヨークへ帰り逮捕された






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ある者らは,安ペンキのホテルで火を喰ったり,天国横丁でテレピン油を飲み,夜毎肉体に危害や苦行を強いていた

夢,麻薬,わき起こる恐怖,アルコール,そして陰茎と,果てしない底抜け騒ぎなどによって

はるかに,カナダやパタースンを憧れている心の中で,時間の不動の世界を照らし,雲と稲妻が震えている比類なき盲目の街路






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ホールに立ちこめているペヨーテの臭い,うら庭,緑の木,墓地,夜明け,屋根の上のワインの酔い,店の前でマリュワナ常習者(ヘッド)が人の車を乗りわしている街々,明減してるネオン,信号機,太陽,そして月,そしてブルックリンの荒れ狂っている冬の黄昏の木の震え,ごみ缶のわめき,そして精神のやさしい王者の光よ














☆☆☆GGのつぶやき
村上春樹がアレン・ギンズバーグの詩を翻訳し、文芸誌「新潮」2016-6月号に掲載された。
この時は、「これは文学的な事件だ」と大きな話題になったことは記憶に新しい。

そもそも「ビート・ジェネレーション」とは1950年代からの約10年間、アメリカのみならず、世界的なアンダーグラウンド文化に多大な影響を与えた文学運動をいう。

その代表的三人が、詩集『吠える』のアレン・ギンズバーグ、小説『オン・ザ・ロード』のジャック・ケルアック、小説『裸のランチ』のウィリアム・バロウズである。

彼らの作品のみならず、同性愛やドラッグを謳歌したライフスタイルは、当時のヒッピー世代から熱狂的な支持を受けた。

近年では、ギンズバーグの学生時代を描いた映画『キル・ユア・ダーリン』(2013年)がある。主演は『ハリー・ポッター』シリーズのダニエル・ラドクリフがギンズバーグ役を好演したことでも知られている。

ボブ・ディラン、ジョン・レノン、ジョニー・デップなど、ギンズバーグの信奉者は多い。

その村上春樹の訳した詩3篇のなかのひとつ「『吠える』への脚注」はギンズバーグの代表作「吠える」の姉妹編ともいえる有名作である。
「聖なるかな!」のフレーズがまるで音楽のビートのように幾度もリフレインされる名詩を村上春樹はどう解釈し翻訳するかに注目が集まっていた。

あらためて、詩集『吠える』、小説『オン・ザ・ロード』と『裸のランチ』、映画『キル・ユア・ダーリン』は回想してみたい。




























































by my8686 | 2018-11-20 12:59 | 徒然なるままに | Trackback | Comments(0)