1/6(日) かつて建築家の宮脇檀が「中世を味わう快楽」と題して、中世は一人ひとりの人間が神と美を信じながらたくましく生き、その成果品としての建築に感嘆してきた時代であると、「ネパール・カトマンドウの都市ガイド」の序文に記していたことを思い出す。
そして、ネパールについて、かつての都市文化が見事に今日の生活と共存して残り、素足に現代風の服をまとった人たちが煉瓦づくりの中世の街をすり抜け、昔とほとんど変わらぬ生活をしている。その異様な舞台性、劇場性は現代しか知らない私たちを魅惑し、幻惑させる。それを味わいたくて、またカトマンドゥをさまよい歩いてしまった。これなくして死ねるかという実感である、と記している。
2012年11月末にネパールを旅してすでに約7年の時間が経とうとしている。思い出すたびに、あのカトマンドゥの喧噪と共に幻惑させられた記憶が甦ってくる。
旅の記念にとワイフが買い求めた「ヴィシュヌ神の化身」の彫刻を今日も眺めてみる。
ヴィシュヌ神は、世界維持の神、慈愛の神、鳥神ガルーダに乗り、10大化身と呼ばれる多数の分身を有する。
叙事詩『マハーバーラタ』の英雄、民間に人気のある神「クリシュナ」であろうか。
ヴィシュヌ神の神妃、富と幸運の女神であり北伝仏教で吉祥天と呼ばれる「ラクシュミー」であろうか。
あるいは、シヴァ神の神妃、ヒマラヤ神の娘、穏やかで心優しい「パールヴァティー」なのであろうか。
☆☆☆GGのつぶやき
文化の垂直構造をなすネパール。
あの喧噪の中で魅了された日々の記憶がまた甦ってくる。
しばらくは、あの時の残像を読み解いてみよう。