DVD映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」を観る

昨日夕刻からレンタルしたDVD映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」を観る。

レンタル動機は、スピルバーグ監督作品とメリル・ストリープ主演作という二つ。ストーリーと背景については、一切の予備知識はない。


2017年製作の米国映画。原題は「The Post」である。



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スピルバーグ監督がなぜこの時期にこの映画を製作したのであろうか。そして、邦題があえて『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』となっているのか。

映画を見終わって話の内容が朧気ながらつかめる。

「ペンタゴン・ペーパーズ」とは、ベトナム戦争を分析・記録したアメリカ国防総省の最高機密文書の通称なのだが、その中身について知る日本人は少ない。
米国政府があえて「最高機密文書」とした理由についても深くは理解できていない。日本ではあえて詳しく報道されなかったと記憶している。また当時のジャーナリズムも表立って騒ぎ立てなかった事件である。




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あらためて、「ペンタゴン・ペーパーズ」について読み解いてみよう。



「ペンタゴン・ペーパーズ」 とは、当時の国際安全保障問題担当国防次官補が後の国務省軍政局長に命じて作成提出された、「ベトナム戦争とトンキン湾事件」に関する非公開の政府報告書である。

正式名称は "History of U.S. Decision-Making Process on Viet Nam Policy, 1945-1968" 「ベトナムにおける政策決定の歴史、1945年-1968年」である。


ベトナム戦争からの撤退を公約して大統領に選出されたリチャード・ニクソン政権下の1971年に作成されたこの報告書は、47巻構成(資料を含め約100万語)で、フランクリン・ルーズベルト大統領時代つまりフランス植民地時代にはじまり、フランスの撤退以降にベトナム戦争を拡大させたジョン・F・ケネディとリンドン・B・ジョンソンの両大統領政権下のアメリカ合衆国のインドシナへの政策と「トンキン湾事件」などの当時の政府による秘密工作が網羅されている。




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報告書の材料の多くは、バンディ国務次官補(前国防次官補)のファイルから出ていると言われており、ホワイトハウスの動き、つまり歴代大統領の動きはあまり盛り込まれていない。

報告書は「アメリカは不十分な手段(インドシナ半島への兵力の逐次投入)を用いて、過大な目的(共産主義のインドシナ半島全体への拡散の防止)を追求した」と結論づけているが、あくまで目的をどう追求するべきなのかどうかについては述べられていない。

特に、東側諸国や発展途上国がいうところの「アメリカの帝国主義的野心」は、少なくとも官僚レベルでは存在せず、純粋に東南アジアにおける共産主義のドミノ理論への恐怖を防ごうとした様に読みとれる。アメリカ政府は終始北ベトナム政府の共産主義的性格にのみに心を奪われ、長年フランスの植民地支配にあえいだベトナム人が持つ民族自決主義的および反植民地主義的性格を無視している様である。

また「アメリカ合衆国連邦政府は、当初「20万人規模の軍隊が必要」とされた分析を議会並びに国民に隠し、さらにケネディとジョンソンの両大統領と政府高官は、お互いの異なった思惑から、ベトナム戦争に泥沼に引きずり込まれるように介入していった過程が明らかにされている。

特に、アメリカ軍約50万人を上限とする政治的限界(予備役招集が越えられない壁だった)と、ベトナム戦争勝利への見通しがないことが明らかになった。この文書からアメリカ国民による政府に対する「信頼性のギャップ」が深まったとされる。




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映画は、この最高機密文書の存在を暴露したワシントン・ポストの2人のジャーナリストの実話を映画化した社会派ドラマである。

しかし、現在の日本において報道の自由がどこまで守られているのか、この映画を観ることで違った視点が生まれてくる。

「森友文書」などの公文書が政府の都合で都合良く書き換えられてしまう今の日本国の危うさが理解できるであろう。

そしてもう一つ重要なことは、権力との戦い方の手本を学べる映画であるということである。




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この映画の最後に「自由で抑制のないプレス(=新聞)のみが、政府の欺瞞を効率的に暴露することができる」と最高裁の判事が述べた場面をどう解釈するのか。

この一点の意味が深く理解できれば、この映画を観た「価値」はある。




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そして、自分がグラハム夫人と同じ新聞社の社主だったら、あるいはブラッドリー編集長だったらどうするのか、自分自身に問うてみることで、よりこの映画の「価値」は高まるであろう。








☆☆☆GGのつぶやき
いゃー映画って、本当に素晴らしいですね!!





































































by my8686 | 2019-01-12 15:19 | たかが映画、されど映画 | Trackback | Comments(0)

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