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「重要文化財・吉祥天立像(浄瑠璃寺)」を読み解く

4/4(木) ワイフの「月一ランチ会」の送迎をする日。愛車86のメンテナンスランをかね出かける。桜も8分咲で穏やかな日和の日。花見がてら春の陽光を楽しむ。こんな日は、最近お気に入りとなった「蕎麦名店」で「ごまだれ」蕎麦を食べるのが定例となった。うまい蕎麦の味が、やっとこの歳で、わかりはじめた今日この頃なのである。



それはさておき、京都の重要文化財を読み解いてみよう。


京都府木津川市加茂町西小札場にある真言律宗の寺院「浄瑠璃寺」。前回、国宝「九体阿弥陀如来像」で読み解いた寺院である。寺名は薬師如来の居所たる東方浄土「東方浄瑠璃世界」に由来する。

ここの本堂に安置されている「厨子入木造吉祥天立像」。

像高90.0cm。檜材割矧ぎ造、彩色・截金。




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『浄瑠璃寺流記事』によれば、鎌倉時代の建暦2年(1212年)に本堂に安置されている。九体阿弥陀の中尊の向かって左に置かれた厨子内に安置され、春、秋、正月の一定期間のみ扉が開かれる秘仏である(公開は1月1日-1月15日、3月21日-5月20日、10月1日-11月30日)。

構造はヒノキ材の前後割矧ぎ、割首である。「前後割矧ぎ」とは、一木彫成像をノミで前後に割り放し、内刳を行ってから接合するものであり、「割首」とは、同様に頸部にノミを入れて頭部と体部を割り放し、内刳を行ってから接合するものをいう。







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足下にひるがえる衣の部分は別材である。像は蓮華座上に直立し、右腕は下げて与願印(掌を前方に向けて開く)とし、左腕は肘を曲げ、掌を肩の辺に上げて宝珠を捧持する。体部を白肉色とし、衣部は繧繝彩色を含む極彩色とする。

『大吉祥天女念誦法』に「身色白にして十五歳の女の如く」とある姿を表現したものだという。






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像は黒漆塗の春日厨子に安置され、この厨子の扉と後壁に描かれた仏画も鎌倉時代の絵画資料として貴重なものである。
ただし、オリジナルの扉と後壁は明治時代に流出して東京芸術大学所蔵となっており、現在の扉と後壁は1976年に取り付けた模造である。

厨子の外面は黒漆塗(正面の2枚の扉の表には竹雀図を描く)で、内面に仏画がある。正面扉の裏には梵天・帝釈天、側面扉の裏には四天王をそれぞれ描き、後壁内面は八臂弁才天立像と四眷属像を描く。





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四眷属は向かって右下が堅牢地神、左下が訶梨帝母、右上は僧慎爾耶薬叉、左上は像名不詳である。これらの諸像は吉祥天を含めいずれも『金光明最勝王経』に説かれるものであり、全体として吉祥天曼荼羅を構成するものと解される。








☆☆☆GGのつぶやき
吉祥とは繁栄・幸運を意味し幸福・美・富を顕す神とされる。
美女の代名詞としても尊敬を集め五穀豊穣でも崇拝される吉祥天である。
拝顔できる時を楽しみしておこう。










































by my8686 | 2019-04-04 15:45 | 古都京都の仏像に触れる | Trackback | Comments(0)