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「GSOMIA破棄」を読み解く

韓国が日本とのGSOMIA破棄を決めたことに、米国が反発している。




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GSOMIA(General Security of Military Information Agreement)とは、軍事情報に関する包括的保全協定のことである。

この協定は、軍事技術だけではなく戦術データ、暗号情報、高度のシステム統合技術など有事のときに、共同作戦に必要とされる情報がすべて対象となる。

スパイ活動などで得られた情報も、とうぜん含まれるのである。

同盟など親しい関係にある2国や複数国間でも、スパイ情報を提供しあうばあいでも、第三国への漏洩を防ぐために結ぶ協定である。
2019年8月現在、日本はアメリカ合衆国やNATOなど7カ国と、アメリカ合衆国は60カ国以上と、韓国は33カ国とこの協定を締結している。





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今回問題となっている「日韓秘密軍事情報保護協定」とはどういうものか、あらためて読み解いてみよう。



2016年に交渉が再開され、同年11月23日にソウルの韓国国防部で署名式が行われた。

発効後、この協定により交換・共有された軍事機密は主に「北朝鮮のミサイル発射」に関する、日本側が哨戒機や偵察衛星で収集した写真資料などと韓国側が脱北者などから得た情報もいうのである。

日本側では、両国関係が悪化しても朝鮮半島の情勢を安定させるなどの目的で協定を維持する意思を見せているが、韓国側では「韓国海軍レーダー照射問題」や「キャッチオール規制」の運用見直しなど日韓関係が不安定化するごとに延長の可否が取りざたされていた。

「キャッチオール規制」とは、補完的輸出規制ともいわれ、外国為替および外国貿易法(日本法)を根拠として2002年4月に導入され、日本における安全保障貿易管理の枠組みの中で、大量破壊兵器や通常兵器の開発などに使われる可能性のある貨物の輸出や技術の提供などを行うとき、経済産業大臣への届け出とその許可を受けることが義務付けられた制度をいうのである。





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国際的な平和と安全を維持するためには、国家による大量破壊兵器などの開発・製造や通常兵器の過度な蓄積を阻止することが必要となっている。

したがって、政府がそのような用途に使われる可能性のある製品の輸出を規制することを目的として、この制度が制定されている。

この制度は、規制対象品目、客観要件やインフォーム要件に基づいて、輸出の規制となる品目、用途や需要者が定められている。
リスト規制だけでは対応できなかった製品の輸出規制を可能とされるものである。

また、対象製品は極めて広範で、リスト規制対象品ほど即座に軍事転用可能なものではないが、使い方によっては大量破壊兵器や通常兵器の開発などに利用される可能性のある製品、たとえば軽、重化学工業製品の全般である。

日本ではワッセナー・アレンジメント協定などの国際輸出管理レジームのもと経済産業省がキャッチオール規制を定めている。
この中で「大量破壊兵器キャッチオール」と「通常兵器キャッチオール」の2種類が定められている。




今回問題なのは、韓国のGSOMIA破棄が「より危険な方向」に進み出したことにある。



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破棄の決断は「理論的な根拠によるものではなく、昔からの感情的な対立によるもの」であり、「トランプ大統領の無責任な態度が拍車をかけた」結果となっている。

しかし、大統領再選のことしか頭にない愚弄トランプでは、この問題を治めるゆとりも頭もないとみる。



主要報道機関は、こぞって次のようにコメントしている。

「ワシントンは、もっと前に日韓の対立解消に向けて動くべきだったが、トランプ政権はほとんど関心を示さなかった」

「彼は、北朝鮮の専制君主である金正恩氏との会談の実績が曇らないように、最近の北朝鮮のミサイル実験によってもたらされた脅威を軽んじた」


一方、日本と韓国に対しても『本当の敵』を見るよう警告している。

「日本と韓国は、両国間の古くからの確執が両国の経済と安全を損い、本当の敵を助けることになっている愚かさを、アメリカの助けがなくても直視するべきだ」 


しかし、時はすでに遅い。匙は、投げ捨てられたとみるべきであろう。








☆☆☆GGのつぶやき
愚かな兄弟喧嘩をしている場合ではあるまい。
今「本当の敵」が誰なのかが理解できない、あるいは判断できないほどの冷静さを失うことこそが、命とりとなる。
日本とて、「美しい国」「戦後レジームからの脱却」などと綺麗ごとを言っている場合ではない。


















































by my8686 | 2019-08-24 16:56 | ヘビーな話は、謹んで | Trackback | Comments(0)