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「ふふ 奈良」を読み解く

隈研吾の最新作「ふふ 奈良」を読み解く。

場所は、奈良公園の公的利用で近隣住民と裁判沙汰でもめていた場所である。
新コロナ騒動中の今、来月6/5に奈良公園内に初めてリゾートタイプのホテル「ふふ 奈良」がオープンする。



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熱海や河口湖で「ふふシリーズ」を手掛けるカトープレジャーグループによる、古都奈良での新たな“スモールラグジュアリーリゾート”である。


行政側が無理やり押し切ったかたちだが、あらためて、内容を読み解いてみよう。



地上2階建て、建物に古都奈良の景観を継承する大和張りや奈良格子、連子格子のほか、吉野杉をふんだんに使用することで奈良の魅力を発信するという。



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設計意図としては、「深い杜と調和するヒューマンスケールな甍や吉野杉の大和張りがつくる陰影、 野趣あふれる新旧の庭園など、 奈良の歴史風土に根差した数々の設えが現代の『庭屋一如』を体現している」と隈は語る。

敷地内には歴史的文化財に指定されていた名勝奈良公園の庭園を復元。
ランドスケープアーキテクトの宮城俊作が既存樹を活かしてデザイン。



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客室は、5タイプ、全30室。
各部屋の面積は70平方メートル以上で、2室限定のVIPルームは120平方メートルの広さを確保。




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リビングでは縁側の過ごし方を再現するため、掘り込み床を採用。段差部分は、ソファや布団、座卓など様々な使い方ができるという。

全室に客室露天風呂を設置。
奈良が薬の発祥の地と言われていることから、薬草を使用した湯を提供する。




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施設内には、懐石料理をするレストランや「シスレー(SISLEY)」監修のラグジュアリースパなども併設されているようだ。




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memo

■ふふ 奈良
開業日:
2020年6月5日(金)

所在地:
奈良県奈良市高畑町1184-1

電話番号:
0557-52-6606

客室数:
30室(内、VIPルーム2室)

部屋タイプ:
5タイプ

付帯施設:
レストラン、SPA、BAR、スーベニール

宿泊料金:
※1泊2食1名/税サ込・入湯税別

平日月~木曜/3万8500円、土曜/4万9500円(最下位等級客室)
平日月~木曜/9万9000円、土曜/11万円  (ラグジュアリープレミアムスイート)






■開発の背景

敷地は奈良公園・鷺池の南に位置しており、かつては大阪の山口財閥当主・山口吉郎兵衛ら山口家の南都別邸だった。
今回は同氏の茶室も敷地内に復元され、庭園は奈良県が管理運営を行うことで、新たな観光スポットになることを目指している。

奈良県が県立都市公園「奈良公園」(奈良市)の高畑町裁判所跡地に、富裕層を狙って誘致した高級宿泊施設「ふふ奈良」を巡って、辰野勇氏ら近隣住民が県を相手取り、県の宿泊施設設置許可取り消しを求めた訴訟の判決言い渡しが24日、奈良地裁であった。島岡大雅裁判長は請求を棄却。

島岡裁判長は、提訴した近隣住民の原告適格について、「災害時に避難場所として公園を利用する可能性が高いと認められる者は、施設の設置で生命、身体に侵害を受ける恐れがある」とし、設置許可の取り消しを求めることに関し、法律上の利益を有する者と認めた。しかし、原告側が請求の根拠とした都市公園法違反は主張はできないとした。

県は、同地で宿泊事業を行う民間業者をプロポーザル方式で公募。
不動産会社のヒューリック(東京都中央区)を優先交渉権者として決定し、2019年2月、同社の宿泊施設設置申請を許可。

都市公園法施行令は宿泊施設について、「特に必要があると認められる場合のほかこれを設けてはならない」と制限。
実務上の指針となる国交省公園緑地・景観課監修の「都市公園法解説」は、例外が認められるのは、市街地から遠く、周辺に宿泊施設がないなど、公園を利用しにくい場合などに限られるとしている。奈良公園内や周辺にはすでに複数の宿泊施設がある。

原告住民は裁判で、高級宿泊施設が施行令の同規定などに違反すると指摘。
高級宿泊施設の設置は、一般公衆の自由な利用という都市公園の目的に反すると主張。

これに対し、島岡裁判長は同規定について、都市公園の自由利用の原則に照らし、行政庁に対し慎重な判断を求めたもので、災害時の住民の法律上の利益を保護する趣旨で設けられたものではないとして、同規定違反を理由に設置許可取り消しを主張することはできないとした。

弁護団は判決後、記者会見し、判決について「裁判所が都市公園に関し、近隣住民に原告適格を認めた例はとても少ない。原告は公園の近所の人ばかり。ここに逃げる可能性が高い。良い判断」と評価したものの、原告適格を限定し、主張できる範囲を制限したことに対しては「理解できない」と批判。

近隣住民からの猛批判を受けるなか、この高級旅館の宿泊料金は、大人2人で1泊するのに最低でも7万7000円、週末の土曜は最低でも約10万円が必要だという。

宿泊施設は公園施設として設けられるが、利用できる人は限られる。一般公衆の自由な利用に供するという、都市公園法が定める都市公園本来の使命との隔たりは、より明確になった。
観光振興の名の下、誰にでも開かれた場所であるべき公園の目的はかすむ。

そうしたごたごたの末、奈良県が県立都市公園「奈良公園」の高畑町裁判所跡地に、高級宿泊施設の誘致と併せて整備している日本庭園が5月24日に開園するという。
県は、一般公開する同庭園こそが同跡地保存管理・活用事業の「主役」と強調し、利用者が限られる高級宿泊施設への「都市公園の目的に反する」との批判に反論している。

県が先月10日の県議会2月定例会建設委員会で示した資料によると、庭園の名称は「瑜伽山(ゆうがやま)園地(旧山口氏南都別邸庭園)」。
入園料は無料とし、開園時間は午前9時~午後10時。

同跡地活用事業では、同市高畑町の広さ1万3000平方メートルの県有地の南半分に、富裕層を狙った高級宿泊施設を誘致、北半分に庭園を整備する。
北半分の一角には、宿泊施設の運営者と同じ民間事業者が運営する交流・飲食施設も設けられる。

庭園は、明治から大正にかけて同所に別邸を構えていた大阪の財閥、山口家の日本庭園の遺構を生かして、復元整備する。
浮見堂で知られる鷺池に隣接している。同時に建設が進む宿泊施設「ふふ奈良」と交流・飲食施設は6月5日の開業予定。

県は宿泊施設と交流・飲食施設について、「庭園の復元を主役に、その両脇に景観に調和した建物をつくる」と、2017年7月の地元説明会で説明。
高級宿泊施設が都市公園の自由な利用を妨げるものではないということを強調しているという。




■カトープレジャーグループ

レジャー事業開発、飲食店、ホテル等を営む大阪市の企業。
大阪府、東京都にうどん店「つるとんたん」などを展開。
さらに2019年には広島流お好み焼きのみっちゃん新橋店をTriplets が展開。

代表者:
代表取締役 兼 CEO 加藤友康

資本金:
1億7,150万円

売上高:
221億円(2010年3月期)

従業員数:
3300名(グループ全体)

主要子会社:
株式会社ケー・エキスプレス
大阪屋形船株式会社
株式会社 KPG HOTEL & RESORT


事業例:ラグジュアリー旅館
箱根 翠松園(神奈川県箱根町)
熱海 ふふ(静岡県熱海市)
ATAMI 海峯楼(静岡県熱海市)
ATAMI せかいえ(静岡県熱海市)
ふふ河口湖(山梨県富士河口湖町)





☆☆☆GGのつぶやき
予約件数は、昨年12月の予約受付を開始してから40日間で、同社が運営するホテル「熱海 ふふ」「ふふ 河口湖」の予約開始時と比べて200%を上回ったという。
現段階では、開業予定の6月5日に、はたして新コロナ感染がどういう状況下にあるのか分からない。
コロナ感染終息した暁には、この施設に医療関係者のご苦労を労うための「無料ご招待」位のおもてなしを、政府はするべきであろう。





by my8686 | 2020-05-09 18:52 | 気になる建築&空間 | Trackback | Comments(0)