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「MoMAコレクションの『睡蓮 (モネ)』」を読み解く

さて本日は、MoMAコレクションの「睡蓮 (モネ)」を読み解いてみよう。


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「睡蓮」は、フランスの画家のオスカー・クロード・モネが、自宅に造作した「水の庭」に根付かせた睡蓮を題材に連作した代表作のひとつである。A new MoMAにある3枚組「睡蓮」は、1914-26年制作の各幅424.8cmの大装飾画となる。

この作品の前に佇むとき、不思議な共振現象が誘発されてくる。


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旧館の平面展示では視点を移動させつつ見なければならなかったが、谷口設計の増改築空間では壁面に角度を設けることで、固定した視点からでも絵に囲まれ、絵の中に入り込むことができる。
これは日本の襖絵からの発想だろうか、壁面の一辺幅を絵画の幅にあわせて設計されている。



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モネは、19世紀末頃から、一つの部屋を『睡蓮』の巨大なキャンバスで埋めつくした「大装飾画」(Grande décoration)を制作する構想をもっていた。

すでに70歳代になっていたモネだが、1914年から1919年の間には、画面の長辺が2メートル近い『睡蓮』67点を制作し、同時期に描かれた『アイリス』3点を含めると、計70面もの大画面を制作していた。



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しかし、20世紀の美術界ではキュビスム、シュルレアリスム、抽象絵画などさまざまな動きがあり、モネは没後30年ほどは過去の巨匠として忘れられた存在だった。
このため、「大装飾画」関連の作品群もなかなか買い手がつかず、モネ邸の第三アトリエに劣悪な環境下で保管されていたという。

例外的にモネの生前に手放されたのは、日本人コレクターの松方幸次郎に1921年から1922年にかけて売却された2点である。
このうち、『睡蓮』は紆余曲折を経て、1959年、東京に開館した国立西洋美術館に収蔵・公開された。


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もう1点の『睡蓮、柳の反映』は、第二次大戦中に疎開先で大きな損傷をこうむり、長年行方不明になっていた。
この作品は2016年にルーヴル美術館に保管されていたことが判明し、所有者の松方家から国立西洋美術館に寄贈されている。


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1949年にスイスのバーゼルで開催された印象派展がきっかけとなり、1950年代に入ってからモネへの再評価が高まった。
画家アンドレ・マッソンはオランジュリーの『睡蓮』を、「印象派のシスティーナ礼拝堂」と呼んだ。



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抽象表現主義やアンフォルメル、そしてそれ以降の美術家たちに大きな影響をあたえている。
ジャクソン・ポロック、マーク・ロスコ、サム・フランシスといった作家の作品にモネの影響が見て取れる。


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現実世界の再現から離れ、絵画を主観的な視覚体験の再現として、あるいは「色彩=光」の実現の場としてとらえる20世紀後半の絵画の潮流に、モネの作品は深い影響を与えた。


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光の変化と季節の移り変わりをとらえるために、時間帯や視点を変えて何度も同じ風景を描く方法を確立させたのもモネである。


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ここにも真理へのアプローチを見て取ることができる。
真実は、われわれに真なるものを考えさせ、探究させるように強いる何かあるものとの出会いに依存している。





☆☆☆GGのつぶやき
MoMAコレクションの「睡蓮 (モネ)」を読み解きつつ、心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。




by my8686 | 2022-05-17 17:17 | ぶらぶらアート鑑賞 | Trackback