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「ワールド・トレード・センターのデザイン・スタディに関するテキスト」を読み解く

感性のおもむくまま官能の共振現象をもとめて「シミュレーションの旅」を続けよう。

昨日は、「新ワールドトレードセンター」の現実の姿を垣間見た。

シルバースタインの登場で新たなリベスキンド+チャイルズ折衷案へと変更を余儀なくされ、さらに警察当局や米国本土安全保障省から要らぬ茶々が入り、設計変更がくり返された。
ダニエル・リベスキンドとしては、内心忸怩たる思いがあっただろう。

本日は、あらためて「記憶の礎」と題したリベスキンドの初期デザイン・スタディに関するテキストを読み解いてみよう。



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記憶の礎  


私は十代のころに移民として船でニューヨークに着いた。
私の前に来た何百万人もの人がそうであったように、最初に目にしたものは自由の女神とマンハッタンの目もくらむようなスカイラインだった。
その光景、あるいはそれが意味するところを決して忘れることはない。

これこそが今回のプロジェクトなのである。



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私がこのプロジェクトに着手したとき、ニューヨークの人々は、ワールド・トレード・センター跡地を空地のまま残すか、完全に埋めてしまってその上に建設を行うかの二つに分裂していた。
私はこの二つに分かれた解決不可能のように思える意見について何日も考えをめぐらせた。

この場所で起こった人々の悲惨な死を認める一方で、希望を持った未来に向かうことは、重ね合わされることのできない二つの瞬間のように思えた。
私はこうした一見矛盾するように思える視点を、予想もしなかったような形で一つにまとめる解決策を見出そうとした。

そこで、実際に目の当たりにし、そこに立ち、人々が周囲を歩くのを目にし、その力を感じ、その声を聞くために現地に赴いた。



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私がそこで耳にし、感じ、目にしたのは次のようなことである。

大きなスラリー壁は、攻撃で破壊されずに残った最もドラマティックな要素であり、ハドソン川をせき止める目的で基礎の上に建設されたものとして驚異的な工学技術を示している。
この壁は想像を絶する破壊の外傷に耐え、合衆国憲法そのものと同様、雄弁に民主主義の永続性と個人の命の価値を強く主張しながら立っている。



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この地には静かで瞑想的、かつ崇高な空間を創りながらも、足を踏み入れることができるようにしなければならない。

グランド・ゼロのメモリアルの場には、スラリー壁からまるで思慮深い行列のようにゆっくりと30フィートほど下りていく必要がある。
メモリアルの場は新しく復興したこの地区のエネルギーに満ちた活動から離れ保護されている。



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しかしながら、この礎は悲劇のストーリーであるだけでなく、生命の側面も表している。
以前と同じようにパス・トレインは、過去と未来を接続しながら今もこの地を横切っている。

もちろんグランド・ゼロの中央部には博物館も必要だ。この事件に関する記憶の、そして希望の博物館だ。

博物館はグランド・ゼロへの入口の一つとなる。常に開いていて、回想や瞑想のためのスペース、そしてメモリアルそのもののためのスペースへと私たちをいざなうのである。このメモリアルは国際コンペの結果で決まることになっている。



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亡くなった人々はヒーローとなった。失われた命をしのぶため、私は2つの大きな公共スペースを作った。
パーク・オブ・ヒーローズ(英雄たちの庭)とウェッジ・オブ・ライト(光のくさび)である。



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毎年9月11日、一機目の飛行機が衝突した午前8時46分から2つ目のタワーが崩壊した午前10時28分までの間、利他的行為と勇気を永遠にたたえながら、影を作ることなく太陽は輝く。

私たちはみなこの地を訪れ、400万人を超す人々が周囲を歩き、建てられた囲いから中を覗いて、果てしない悲しみを理解しようとした。



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そこで私は2つの傾斜路を設計した。


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1つは大きなスラリー壁に沿ってリバティ・ストリートとウエスト・ストリートから通じているもの。



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もう1つはグリニッジから滝の背後を抜け、この地の南端に通じている。


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その時誰もがグランド・ゼロのメモリアルだけでなく生命の復活を目にすることができる。


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パス・トレインにつながるコンコース、地下鉄への接続部分、ホテル、舞台芸術センター、オフィスタワー、地下のモール、路面店、レストラン、カフェなどを集積した新しいロウアー・マンハッタン駅の見事な建造物が作られることにより、ニューヨークに対する肯定は集中的に生き生きとしたものとして示される。


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庭園つきのアンテナタワーである高さ1776フィートにそびえる尖塔は再び空に帰っていく。



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なぜ庭園なのか。
それは庭園が常に生命を約束してくれるからである。


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自由と美の優位性を重ねて主張するように、魂の高みをこの都市に復活させるように、危機に直面した私たちの活力と、悲劇の後遺症のただ中での私たちの楽観主義を訴える象徴を作ろうと、1776フィートのその摩天楼は元あった建造物よりもさらに高くそびえ立つだろう。

まさしく生命の勝利である。

2003年2月
ニューヨークにて
ダニエル・リベスキンド


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最終案は、シルバースタインの商業価値優先によりモニュメント性の強いリベスキンド案は否定され、SOMのデイヴィッド・チャイルズを参加させて設計に大幅な変更が加えられた。
しかしこれに対しても、警察当局や米国本土安全保障省などから、保安上の設計変更が求められ、さらに港湾公社やこれを管轄するニューヨーク・ニュージャージー両州議会などの意向が加わり、設計変更が繰り返され、フリーダム・タワーも自由の女神のデザインは取り入れられることはなかった。



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☆☆☆GGのつぶやき
リベスキンドの純粋なる意志は賦活化されることはなかった。
貨幣経済のなかで起きたドタバタ劇。
「デザイン・スタディに関するテキスト」を読み解きつつ、心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。






by my8686 | 2023-06-27 17:17 | 気になる建築&空間 | Comments(0)