リベスキンドの作品は、まさに「身体と空間のリゾーム」を体現する事例として語ることができる。
彼の建築は直線的な物語を拒み、断絶や裂け目を通じて多方向に生成する歴史の場をつくり出す。
あらためて、「ワールド・トレード・センター跡地マスタープラン」について読み解いてみよう。
ダニエル・リベスキンドによる「ワールド・トレード・センター跡地マスタープラン(Memory Foundations)」は、9.11の惨事を記憶しつつ、ニューヨークの都市的活力を再生することを目的とした再建計画。中心に犠牲者追悼の場を据え、周囲に高層ビル群や公共空間を配置することで「記憶と再生」を両立させている。
概要
発表:2002年、ロウアー・マンハッタン開発公社(LMDC)が国際コンペを開催。2003年にリベスキンド案が採用。
名称:「Memory Foundations(記憶の基盤)」
敷地: ニューヨーク・マンハッタン南部、約16エーカー(約6.5ヘクタール)
計画の特徴
犠牲者追悼の中心性
・敷地中央に「9.11メモリアル」を配置。未建築の空間を「光と記憶の場」として残し、都市の中心に「空白」を設けることで記憶を永続化。
スパイラル構成
・周囲に5棟のオフィスビルを「上昇する螺旋」として配置。最も高い建物は高さ1,776フィート(約541m)の「ワン・ワールド・トレード・センター」。アメリカ独立年1776を象徴。
複合的機能
・世界貿易センター交通ハブ
・国立9.11博物館
・フランク・ゲーリー設計のパフォーミングアーツセンター(後に計画変更)
・公園や公共空間の整備
都市再生の意図
・記憶の場を守りつつ、歴史的ストリート・グリッドを再接続し、商業・文化・交通を融合させることでマンハッタン南部の活力を回復。
ドゥルーズ的読解
・断絶と再接続:9.11による都市の断絶を、記憶の空白と新しい都市機能の接続によって再生。
・非中心性:記憶の場を中心に据えながらも、都市機能は多方向的に展開する。
・生成的経験:記憶は固定された碑文ではなく、都市生活の中で生成され続ける。
意義
・記憶と未来の両立:過去を忘れずに未来を築くという都市哲学を体現。
・象徴性:高さ1,776フィートの塔は「自由と再生」の象徴。
・都市的リゾーム:記憶・文化・商業・交通が交錯するネットワーク的空間。
memo
「新ワールドトレードセンター」を読み解く
「ワールド・トレード・センターのデザイン・スタディに関するテキスト」を読み解く
☆☆☆GGのつぶやき
ワールド・トレード・センター跡地マスタープランは、都市の「記憶の断絶」を「生成的な再接続」へと転換する建築的・都市的実践事例。リベスキンドは建築を通じて、記憶を保存するだけでなく、未来へと開き直す場を創出した。ドゥルーズ的に読み解くと「断絶を生成的契機へと転換するリゾーム的都市空間」。それは記憶を固定化するのではなく、都市生活の中で常に生成し続ける場を創出し、未来を「閉じる」のではなく「開き直す」契機として機能している。未来を「閉じる」のではなく「開き直す」契機として機能させることで、「創造的可能性の拡張」、「記憶の再生と変容」、「多方向的な倫理の形成」、「身体的・儀礼的な更新」が期待できる。つまり未来は「完成されたもの」ではなく、断絶を含みながら常に生成され続ける場となる。