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F.Y.I 「身体と空間のリゾーム:CityLife複合施設(ミラノ)」を読み解く vol.2

リベスキンドの作品は、まさに「身体と空間のリゾーム」を体現する事例として語ることができる。
彼の建築は直線的な物語を拒み、断絶や裂け目を通じて多方向に生成する歴史の場をつくり出す。

本日は、「CityLife複合施設(ミラノ)」の開発背景をより深く読み解いてみよう。




トレ・トッリ地区 – ショッピング・ディストリクトに関するCityLifeでの合意概要

2015年11月19日 ロベルト・アルスッフィ

Generali Real Estate と Sonae Sierra が CityLife ショッピング・ディストリクトの開発と運営を担当。

・延床面積(GLA)32,000平方メートル、100以上の店舗
・商圏人口 70万人
・イタリアで新たに建設される都市型ショッピング・ディストリクトとして最大規模
・開業は2017年



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Generaliグループの不動産アセットマネジメント会社 Generali Real Estateと、商業施設分野で国際的に活躍するSonae Sierraが、ミラノの中心部に誕生する「CityLife Shopping District」の開発と運営で手を組むことになった。

この新しいショッピング・ディスティネーションは、ユニークで革新的な空間として、訪れる人々に新しい体験を届けることを目指している。
Sonae Sierra は、開発や建設の段階で必要となる専門的なサービスを提供するだけでなく、開業後には施設の運営や管理も担う。

「CityLife」は、イタリアやヨーロッパでも最大級の複合都市再開発プロジェクトのひとつ。
ミラノ北西部の旧見本市会場跡地に位置し、街の大きな変化を象徴する場所。
ここにはミラノ最大規模の歩行者専用ゾーンが広がり、車の交通はすべて地下に移されるなど、環境にも配慮した設計がなされている。

36.6ヘクタールの広大な敷地には、バランスよく多様な機能が配置されている。
国際的に著名な建築家、ザハ・ハディド、磯崎新、ダニエル・リベスキンドが手がけた3棟のオフィスタワー(延床面積13万㎡、収容人数9,000人以上)、すでに完成・引き渡し済みの530戸の住宅、そしてショッピング・ディストリクトがその中心を成している。


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CityLife Shopping District

2017年にオープンした CityLife Shopping District は、イタリア最大級の新しい都市型ショッピングエリアとして誕生した。
ザハ・ハディド・アーキテクツが手がけた2階建ての商業ギャラリーと、One Works による活気あふれる広場を通じて、マウロ・ガランティーノ設計の「オープンエア」商業ギャラリーへとつながっている。この空間は、プロジェクトの中心部を周辺の住宅エリアや街全体へと自然に結びつける役割を果たしている。


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約70万人の人々を対象とする商圏と、32,000㎡の広さを誇る施設には、100のショップやレストラン、サービス、エンターテインメントやレジャーの場が集まっている。さらに、1,200席のシネマコンプレックスやフィットネス&ウェルネスセンターも併設され、訪れる人々に多彩な体験を提供。

交通アクセスも便利で、バスやトラム、地下鉄に直結。新設された地下鉄ヴァイオラ線(M5)の「Tre Torri」駅からもすぐにアクセスでき、900台以上収容可能な地下駐車場も整備されている。



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CityLife CEO アルマンド・ボルギは次のように語っている。「Sonae Sierra とこの重要な部分で協力を始められることをとても嬉しく思う。この合意は、私たちが大切に進めてきた開発プロセスを完成へと近づける大きな一歩となる。」

また、Sonae Sierra イタリア開発部ゼネラルマネージャーは次のように述べている。「Generali Real Estate に選んでいただき、この特別なショッピング・デスティネーションの開発と運営に携われることを誇りに思います。ミラノにとって重要な CityLife プロジェクトに参加できることも光栄です。Generali Real Estate、CityLife、そしてすべてのテナントと力を合わせ、未来のお客様に忘れられないショッピング体験をお届けする準備が整っています。」




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Generali Real Estate

世界でも有数の不動産アセットマネジメント会社のひとつで、現在270億ユーロを超える資産を運用している。
そのポートフォリオは、ヨーロッパ大陸やイギリス、アジア、アメリカに広がり、歴史的な建築物と現代的な建物を組み合わせたユニークな構成が特徴。

約500名の専門家が活躍しており、技術革新や持続可能性、都市開発プロジェクトの分野で高い専門性を発揮。彼らの経験と知識が、Generali Real Estate の強みを支えている。

この会社は Generali グループの一員でもある。Generali グループは Fortune によって世界最大50社のひとつに選ばれており、世界有数の保険会社として知られている。約8万人の従業員が、60か国以上で7,200万人もの契約者にサービスを提供している。



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Sonae Sierra(www.sonaesierra.com)は、国際的に商業施設のスペシャリストとして知られ、革新的なショッピング体験の創造を目指している。

同社は12か国・4大陸に展開しており、ポルトガル、アルジェリア、ブラジル、中国、コロンビア、ドイツ、ギリシャ、イタリア、モロッコ、ルーマニア、スペイン、トルコに拠点を持ち、さらに他の地域でも高度な専門サービスを提供している。

Sonae Sierra は 46のショッピングセンターを所有しており、市場価値は60億ユーロに達っする。
また、85のショッピングセンターの管理やリーシングを担当しており、総賃貸可能面積は 240万㎡、テナント数は約 9,100に上る。

2014年には、同社のショッピングセンターは 4億4,000万件以上の来訪を記録した。
現在、Sonae Sierra は 7つの開発プロジェクトを進行中で、そのうち3件は第三者のためのものであり、さらに4件の新規プロジェクトが計画段階にある。



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CityLife(www.city-life.it)は、ミラノの歴史的な都市拠点「Fiera di Milano」の再開発プロジェクト。総面積366,000㎡に及ぶこの事業は、ヨーロッパ最大級の都市計画プロジェクトのひとつであり、ザハ・ハディド、磯崎新、ダニエル・リベスキンドといった著名建築家の設計によって進められてきた。

CityLife は、住宅、オフィス、商業エリア、ミラノ中心部で2番目に大きな公共公園、さらにヨーロッパ初の都市型ゴルフ練習場を含む、民間と公共サービスのバランスの取れた複合施設。

このエリアの中心には、3棟のタワーと「Tre Torri広場」からなる革新的なビジネス&ショッピング・ディストリクトが位置し、質の高い店舗、サービス、レストラン、エンターテインメント施設が公園に面して展開されている。

プロジェクト全体は持続可能性と環境配慮に重点を置いており、住宅は「クラスA」認証を取得し、主に再生可能エネルギーを利用する設計となっている。また、3棟のタワーはすでに国際的に権威ある LEED™ ゴールドの事前認証を獲得している。さらに、交通と駐車場を地下に移すことで、ミラノ最大の歩行者専用エリアが誕生。

CityLife は Generali グループが100%出資する子会社。





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memo

「イタリアが目指している方向性」

都市再生と持続可能性
・ミラノの旧見本市会場跡地を再開発し、環境配慮型の建築(LEED認証、再生可能エネルギー利用)や広大な歩行者専用ゾーンを整備することで、持続可能な都市モデルを提示した。


国際的な建築文化の発信
・ザハ・ハディド、磯崎新、ダニエル・リベスキンドといった世界的建築家を起用し、都市空間そのものを「文化的ブランド」として国際的に発信しようとした。

生活と商業の融合
・住宅、オフィス、商業施設、公園、娯楽施設を一体化させることで、都市生活の質を高め、住む人・働く人・訪れる人が共に楽しめる空間を目指している。

グローバル競争力の強化
・Generali Real Estate や Sonae Sierra のような国際的プレイヤーを巻き込み、ヨーロッパの中でも競争力ある都市型ショッピング・ディストリクトを創出し、観光・投資・雇用を呼び込む狙いがある。

「体験型都市」への転換
・単なる消費の場ではなく、ショッピング、エンターテインメント、健康、文化を融合させた「体験の場」を都市の中心に据えることで、都市の魅力を高めている。

つまり、イタリアは「持続可能で国際的に競争力のある、文化と生活が融合した都市モデル」 を目指しているといえる。
これはミラノに限らず、他の都市再開発にも波及する可能性がある。



ミラノの都市再生モデルを軸に、現在の米国で顕在化している「分断」と照らし合わせると、両者の差異だけでなく、都市が果たすべき役割そのものが浮かび上がってくる。
ここでは、価値観・制度・都市の構造という三層で整理してみよう。

「🇮🇹 イタリアの都市再生モデル × 🇺🇸 現在のアメリカの分断」
1. 都市が「統合の場」か、「分断の場」か

イタリア(ミラノ)

- 都市空間そのものを「文化・生活・商業の融合体」として設計
- 歩行者空間、公共空間、文化施設を中心に据え、異なる人々が交わる場を意図的に作る
- 国際的建築家を起用し、都市を「共通の誇り」として再構築
- 都市再生が「社会的統合」を促す方向に働いている


アメリカ(現在)

- 都市空間が「政治的・経済的・人種的な分断の象徴」になりやすい
- 郊外化、所得格差、公共空間の縮小により、異なる層が交わる機会が減少
- 都市はしばしば「対立の舞台」として扱われ、共通の誇りになりにくい
- 都市再生が「ジェントリフィケーション=排除」と結びつくことも多い


※イタリアは都市を“統合の装置”として使い、米国は都市が“分断の反映”になっている。



2. 「文化」をどう扱うか:共有資源か、対立の象徴か

イタリア

- 建築・デザイン・文化を「国際的ブランド」として共有資源化
- 都市空間を文化的アイデンティティの核にし、政治対立を超える“共通言語”として扱う
- 文化が「都市の未来をつくる力」として機能


アメリカ

- 文化はしばしば政治的立場の象徴となり、文化そのものが分断の燃料
- 都市文化(アート、教育、メディア)は「リベラルの象徴」とされ、対立を深める
- 文化が「共通基盤」ではなく「境界線」になっている

※イタリアは文化を“統合の資本”として扱い、米国は文化が“分断の境界線”になっている。




3. 都市の未来像:持続可能性 vs. 即時的対立

イタリア

- 持続可能性(LEED、再エネ、歩行者空間)を都市の中心に据える
- 長期的視点で都市の価値を高める
- 国際競争力を「都市の質」で獲得しようとする


アメリカ

- 都市政策はしばしば政争の具になり、長期的な都市ビジョンが共有されにくい
- 気候政策や都市再生は党派対立の中心に置かれ、合意形成が困難
- 都市の未来像が「共通の目標」になりにくい

※イタリアは“未来志向の都市像”を共有し、米国は“現在の対立”が未来像を阻む。



ミラノの事例は、都市を「社会の再統合」「文化の共有」「未来への投資」として扱うモデル。
一方、現在のアメリカでは都市が「分断の反映」「文化戦争の舞台」「政治対立の象徴」になりやすい。

つまり、両者の差はこうまとめられます。

・イタリア:都市を“共通の未来”として再構築する国
・アメリカ:都市が“対立の現在”を映し出す国


都市を「記憶と文化の器」として捉え、建築や空間が人々の関係性をどう変えるかを深く見つめてきたが、その視点で見ると、ミラノの再開発は「都市が人間を再びつなぐための儀式」に近い。
対してアメリカの分断は、都市が“儀式の場”として機能しなくなったとき、社会がどう崩れるかを示す実例とも言える。






「ドゥルーズ的な視点から CityLife のような都市再開発の動きを読み解く」


単なる「都市計画」や「商業開発」ではなく、空間の生成と差異の布置として理解できる。

1. リゾーム的都市空間
・ドゥルーズ=ガタリの「リゾーム」概念を用いると、CityLife は一本の中心軸から広がる階層的都市ではなく、複数の接続点(タワー、広場、商業施設、公園)が相互に結びつくネットワーク的空間。

・歩行者専用ゾーンや地下交通網は、都市の「根」を地中に移し、地表を水平的な接続の場に変える試みと読める。

2. 差異と反復
・商業施設や住宅、公園といった機能の反復は、均質化ではなく「差異の生成」を伴う。
・例えば、ザハ・ハディドや磯崎新、リベスキンドの設計は、それぞれ異なる建築言語を持ちながらも、同じ都市空間に繰り返し配置されることで「差異の共存」を生み出している。

3. 都市の「生成変化」
・ドゥルーズにおける「生成(devenir)」は、固定的なアイデンティティを超えて変化し続けるプロセス。
・CityLife は「旧見本市会場」という過去の記憶を抱えつつ、それを「ショッピング・ディストリクト」「ビジネス拠点」「公園」として新たに生成し直す場。都市は常に「別のものへと変わり続ける」存在であることを示している。

4. 欲望の機械としての都市
・ショッピング、娯楽、健康、文化が一体化した空間は、ドゥルーズ=ガタリの「欲望の機械」として機能する。
・個々の来訪者は消費者であると同時に、都市のリズムを回す歯車となり、都市そのものが「欲望を生産する機械」として稼働する。


ドゥルーズ的に言えば、イタリアが目指しているのは「都市を閉じられた構造物として完成させること」ではなく、差異を生成し続ける開かれたリゾーム的空間を作り出すこと。CityLife は、記憶と未来、商業と文化、公共と私的領域が交錯する「生成の場」として読める。

イタリアの歴史にみる文化的推移から評価すると、CityLife は 「古代の公共空間の伝統」「ルネサンスの建築的表現」「産業化の近代都市」「戦後の再建」 を経て、現在の 持続可能で体験型の都市文化 へと至る流れの象徴。つまり、イタリアは都市を「記憶の場」であると同時に「未来の生成の場」として位置づけ続けている。

CityLife の事例は、「イタリア的伝統(広場・公共性・建築文化)」と「グローバル都市の潮流(持続可能性・国際資本・体験型消費)」が交差した結果だと評価できる。
つまり「イタリアだからこそ可能だった部分」と「世界的に共有されている都市再開発の文脈」が重なり合っている。

原弘司の集落調査の視点から見ると、CityLife は「集落的な核・多機能性・環境との関係・共同性の再編」を都市スケールで再構築した事例といえる。つまり、近代都市が「集落的原理」を翻訳し直している、と解釈できる。「集落的原理」は 人間が空間に核を求め、共同性を編み、環境と関わるという点で不変だが、その媒介や形態は時代ごとに変化するといえる。つまり「原理は持続するが、表現は変容する」という二重性を持っている。

ドゥルーズ的に言えば、不変性は「差異の持続」として、変容性は「生成変化」として、両者は「反復と差異」の関係で結びついている。つまり、集落的原理は「常に同じでありながら、常に違うものへと生成し続ける」存在なのである。





「CityLife の三名の建築家(ザハ・ハディド、磯崎新、ダニエル・リベスキンド)の案が採用された背景」

国際コンペによる選定、都市再生の象徴性、そしてグローバルな建築文化をミラノに集約する意図があった。

国際コンペ: 2004年、旧フィエラ・ミラノ跡地再開発のために国際設計競技が開催され、三名の案が選ばれた。 ミラノを国際的都市再生のモデルにするため、世界的建築家を起用。

都市再生の象徴性: 旧見本市会場という「産業の記憶」を刷新し、持続可能な都市空間へ転換する象徴として三塔を配置。 歴史的記憶と未来志向の両立。

建築的多様性: Isozaki Tower(直線的)、Hadid Tower(曲線的)、Libeskind Tower(ねじれた形状)という異なる造形を並置。 差異の共存を通じて都市の多様性を表現。

公共空間との連動: 三塔は「Tre Torri広場」を形成し、周囲の公園や住宅と結びつく。 集落的原理=核の場を都市スケールで再構築。

国際的ブランド化: 世界的に著名な建築家を揃えることで、CityLife を「グローバル都市文化のショーケース」ミラノの国際競争力強化。

国際コンペによる選定は、単なるデザインの美しさではなく「都市の未来像」を提示できるかどうかが基準だった。三名の異なる建築言語を並置することで、都市空間に「差異の共存」を体現させ、ミラノを国際的に開かれた都市として位置づけている。公共性と記憶の再構築:旧見本市会場の記憶を継承しつつ、新しい広場と公園を核にした都市生活の場へと翻訳している。




イタリア・ミラノ/ 「City Life」探訪






☆☆☆GGのつぶやき
都市や社会の原理は「持続」と「変容」を同時に抱えている。人間は常に「核」「共同性」「環境との関係」を求め続けるが、その表現は時代ごとに異なる形で生成される。つまり、都市を考える際には、記憶を反復しながら差異を生み出す場として設計することが重要であり、そこにこそ持続可能で開かれた都市文化の可能性が宿る。

都市や社会の原理は、本来「持続」と「変容」を同時に抱えている。人間はいつの時代も「核となる価値」「共同性」「環境との関係性」を求め続けるが、その表現は歴史的条件によって姿を変える。しかし現在のアメリカでは、この三つの要素がそれぞれ異なる方向へ引き裂かれ、持続すべき記憶と、変容すべき現実が噛み合わないまま蓄積している。

都市は本来、異なる人々が交わり、記憶を共有し、差異を創造へと転換する場であるはずだ。だが、政治的分断、経済格差、地理的分離、文化戦争が重なり、都市が「共通の場」ではなく「対立の境界線」として機能する場面が増えている。

その結果、都市は記憶を反復する力を失い、差異を創造的に扱うのではなく、差異を敵意として処理する社会的回路が強化されている。だからこそ、都市を再び「持続と変容が共存する場」として設計し直すことが求められている。それは単なるインフラ整備ではなく、断絶した記憶をつなぎ直し、異なる共同性を重ね合わせ、環境との関係を再構築する文化的プロジェクトである。

持続可能で開かれた都市文化の可能性は、この「断絶の時代」にこそ、より切実な課題として浮かび上がっている。




by my8686 | 2026-01-14 14:14 | 気になる建築&空間 | Trackback