今朝のイラン情勢は、米・イスラエルによる大規模攻撃が4日目に入り、イランが広域で報復を続ける全面衝突状態にある。米・イスラエルはテヘランの政府施設や象徴的拠点を空爆し、最高指導者ハメネイ師の死亡を含む死者は700人超に達したと報じられる 。イランはこれに対し、ホルムズ海峡の閉鎖を宣言し、イスラエルや米国同盟国へミサイル・ドローン攻撃を拡大。サウジやレバノン、湾岸諸国でも爆発や迎撃が相次ぎ、地域全体が戦域化している。
米国は「作戦は数週間続く」とし、ドイツなど同盟国も支援に動くなど、国際的な軍事関与が強まっている 。一方、イラン側は米空母への巡航ミサイル攻撃を主張し、ヒズボラもイスラエルへの攻撃を再開するなど、代理勢力を含む多層的な衝突が進行中 。
全体として、軍事衝突は拡大傾向で、短期収束の兆しは見えない。ホルムズ海峡の緊張はエネルギー市場と国際物流に深刻な影響を及ぼしつつあり、世界経済への波及が避けられない情勢となっている。
それはさておき、本日は「野生アセンブリ都市」としてのムンバイ(インド)を読み解いてみよう。
インドは今回のイラン情勢でエネルギー・貿易・金融・人的ネットワークの四方向から同時に圧力を受ける脆弱な構造が露呈した。原油の85%超を輸入に依存し、その多くがホルムズ海峡を通過するため、海峡危機は原油高・ルピー安・財政負担増を直ちに招く。さらに、湾岸地域の不安定化は、ドバイやアブダビに集中する約900万人のインド人労働者と送金に影響し、外貨収支や家計を揺さぶる。航空・物流網の混乱も貿易や金融取引を遅延させ、ムンバイを中心とする経済中枢が揺らぐ状況となっている。
ムンバイ(インド)
リゾーム的特徴
- スラム(特にダラヴィ)が巨大な経済ネットワークとして機能
- 公式/非公式の境界が曖昧で、都市の生産性が水平的に分散
- 多様な交通・市場・宗教空間が“接続の連鎖”を生む
※都市の生命力そのものがリゾーム的
※ムンバイは、スラムを含む多層の経済圏が公式・非公式を横断して結びつくことで、都市全体が水平的に生産性を発揮するリゾーム的構造をもつ。多様な交通、宗教空間、市場が連鎖的に接続し、中心と周縁の区別を溶かしながら生命体のように拡張し続ける都市である。
最もリゾーム的な場所:Dharavi 13th Compound
13th Compound, located next to the 60th street
※ムンバイは公式と非公式の境界が溶け合う都市で、特にダラヴィは巨大なスラムでありながら高度に組織化された経済ネットワークとして機能する。多様な交通、宗教空間、市場が複層的に結びつき、水平的でリゾーム的な都市生産性を生み出している。
ムンバイは、ダラヴィをはじめとするスラムが巨大な生産ネットワークとして機能し、公式/非公式の境界が溶解することで、都市全体が水平的に連結するリゾーム的空間を形成している。多様な交通・市場・宗教空間が異質な点を次々と接続し、中心を持たない生成変化の力が都市の生命力として脈動している。
ムンバイ出身の文化人類学者にアルジュン・アパドゥライがいる。
彼は、グローバル化を「エスケイプ(scapes)」という多層的な流動の束として捉えた思想で知られる。
都市のスラム、移民、メディア、宗教実践を中心なき生成の場として分析し、公式/非公式を横断する都市の創造性を強調する。その視点はドゥルーズ=ガタリのリゾーム概念と深く響き合い、ムンバイを流動的ネットワークとして理解する理論的基盤を与えている。
アパドゥライが示す文化的流動性は、都市を固定的な構造ではなく、多方向に伸びるリゾームとして捉える視点と響き合う。人・情報・資本・技術が交差し続ける都市は、中心や階層ではなく、無数の接続点から生成される場となる。都市の想像力はこの流動性の中で更新され、住民の行為や移動が新たな結節点を生み出し続ける。
アパドゥライは、グローバル化を複数の流動的なスケイプが交差する過程として捉え、都市を固定的な構造ではなく、絶えず生成し続ける結節点として描いた。ムンバイ研究では、スラム住民の水平的なネットワークや日常的実践が、国家や市場の枠組みを超えて都市空間を編み直す様子を示し、都市が中心からではなく、周縁の連結と断片の再配置によって形づくられることを明らかにする。
これは、根を持たず横へ広がるリゾーム的都市像と響き合い、都市を不確実性・想像力・資本・移動が交錯する動的な場として理解する視点を提供する。ムンバイはまさに、無数の接続が都市を更新し続けるリゾーム的生成の典型例となる。
memo
「アルジュン・アパドゥライ」Arjun Appadurai(1949年、ムンバイ生まれ)
インドの多層的な都市環境を背景に育ち、後にアメリカへ移住してシカゴ大学で博士号を取得した。
こうした越境的な履歴が、彼の「文化の流動性」への関心を形づくった。
『Modernity at Large』で提示したエスノスケイプやメディアスケイプの概念は、世界を複数の移動が交差する場として捉える革新的枠組みとなり、グローバル化研究を刷新した。
また、ムンバイのスラムを対象とした研究では、周縁の住民ネットワークが都市空間を水平的に編み直す過程を描き、都市をリゾーム的に生成する場として理解する視点を提示した。
彼の理論と実証研究は、文化人類学・都市研究・ポストコロニアル研究にまたがる影響力を持ち続けている。
☆☆☆GGのつぶやき
ムンバイは、スラムや市場、宗教空間が偶発的に連結し続けることで中心をもたない生成を実現する都市である。公式/非公式の境界は溶解し、曖昧さそのものが新たな接続を生む力となる。アパドゥライのスケイプ論は、この多方向的な流動を文化的運動の束として捉え、住民の移動や資本の循環が都市を絶えず変形させるリゾーム的生成として位置づける。