カテゴリ:ぶらぶらアート観賞( 87 )

「パンクシー映画3選」を読み解く

1/20(日) 小雨降る日曜日の朝。予定されていた自治会の清掃作業は延期となる。
完全リタイア後、久しぶりに携帯アラームをセットして7時過ぎに起きる。外気の冷たさが心地よい緊張感とともに身体を程好く刺激してくれる。



それはさておき、最近気になる「バンクシー」の動きを読み解いてみよう。


東京臨海新交通臨海線(ゆりかもめ)日の出駅近くの防潮扉に描かれた落書きがバンクシーの代表作の一つ「Umbrella rat(傘とネズミ)」に似ているという。

その真贋が気になるところだが、このネズミのアートが登場する映画「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」(2010年)には、今回見つかった絵と同じように、傘とスーツケースを手に、空を見上げるようなネズミの作品の写真が登場しており、周囲のボルトの位置も防潮扉の絵と似ているという。





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さらに日本で翻訳・出版されている作品集「Wall and Piece」にも同じようなネズミの絵が掲載されているという。写真の下には「東京 2003」と記されており周囲のボルトや地面の状況も似ているが、防潮扉の絵とは左右が反転しているという。






あらためて「バンクシー映画3選」を読み解いてみよう。





■映画『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』(2010)

監督:バンクシー
出演:ティエリー・グエッタ a.k.a. ミスター・ブレインウォッシュ、スペース・インベーダー、シェパード・フェアリー、ゼウス、バンクシーほか
上映時間:90分


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登場人物は、ビデオ撮影が趣味の男、ティエリー・グエッタ。ただの一般市民であったグエッタが様々なグラフィティ・アーティストと出会い、素顔を撮影するうちに、念願だったバンクシーとの接触が叶い、やがてバンクシーの密着取材をすることになったという。

いっぽう、アートの知識・技術がないティエリーはやがて、バンクシーによってアーティスト「ミスター・ブレインウォッシュ(MBW)」としての役割を与えられ、ついには個展を開くまでに至る。これはドキュメンタリーか? フィクションか? 予備知識なしに見るべき一作だという。







■映画『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』(2014)

監督:クリス・モーカーベル
上映時間:81分


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2013年にバンクシーが仕掛けたとある出来事が発端となったドキュメンタリー映画。

13年の10月1日、スプレー缶を手にした少年の絵がニューヨークの路上に突如出現。それから1カ月間、バンクシーはニューヨークに毎日1点ずつの作品を残し、具体的な場所を隠したまま公式サイトに投稿。その画像を見た人々はSNSを駆使し、該当作品を探し出す「バンクシー・ハント」に明け暮れた。

本作には「都市や屋外、公共の場所こそアートが存在すべき場所」「アートは市民とともにあるべき」という持論を展開するバンクシーの仕掛けにより、人々が熱狂した1カ月が収められている。

こうしてゲリラ的に作品をつくり続けるバンクシーの本当の目的はどこにあるのか? 本作からは、バンクシーの本当の「狙い」が見えてくるかもしれない一作だという。








■映画『バンクシーを盗んだ男』(2017)

監督:マルコ・プロゼルピオ
上映時間:93分


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超高額で取引されるバンクシーの作品。それらが人々に及ぼす影響力に肉迫したドキュメンタリー映画である。

発端は、紛争地区のパレスチナ・ヨルダン西岸地区のベツレヘムにあり、パレスチナとイスラエルを分断する、高さ8メートル、全長450キロを超える巨大な壁に描かれたバンクシーの《ロバと兵士》。

この絵は、パレスチナの住民たちから「差別的」と反感を買い、切り取られ、オークションにかけられることになる。本作には、バンクシーの作品がストリート・アート、法律、政治、マーケットを取り巻く諸問題を浮き彫りにしていくさまが映し出されている。









☆☆☆GGのつぶやき
超高額で取引されるバンクシーの作品。社会に対するアジテーションパフォーマンスが官能を刺激する。
「バンクシー」と名乗るアウトサイダーアート集団の仕業なのか。その正体にも興味がわく。














































































by my8686 | 2019-01-20 17:55 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)

阿弥陀への誘い

1/5(土) N新聞の「アートへの誘い」を眺めていると、ふと「仏像」の姿に感性が触れた。

そういえば、ワイフがネパールで求めた沢山の阿弥陀仏のあることを思い出す。
書斎の書棚にコレクションしている仏像のひとつを取り出して静かに鑑賞してみる。



ネパールのネワール族の手による「阿弥陀仏」である。




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阿弥陀仏については各種の解説があるが、特に「ニッポニカ」の解説が気に入っている。




あらためて、その内容を読み解いてみよう。

大乗仏教における諸仏のなかでもっとも代表的な重要な仏。阿弥陀如来ともいい、略して「弥陀」ともいう。




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この仏の信仰を中心として成立したのが浄土教である。阿弥陀という名は、もとインドにおいてはアミターユスAmityus(無限の寿命をもつ者。無量寿(むりょうじゅ))とアミターバAmitbha(無限の光明をもつ者。無量光)という二つのサンスクリット語で表されていたのであるが、それが中国に伝えられて、どちらも阿弥陀と音写された。

したがって、阿弥陀は単にアミタAmita(無量の意)を音写したものではなく、この二つの原名のいずれにも相当すると考えられている。





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中国、日本では、この阿弥陀と相並んで無量寿という意訳語もよく用いられているが、これは字義どおりにはアミターユスに相当するけれども、実際にはアミターバの訳語として用いられたことも少なくないという。






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阿弥陀仏信仰を主題とする経典としては、『無量寿経』『観無量寿経』『阿弥陀経』の「浄土三部経」がある。

『無量寿経』によると、久遠の昔、世自在王仏が出現されたとき、阿弥陀仏は、法蔵比丘という菩薩であったが、無上なる悟りを得ようと発心し、生きとし生ける者を救済するための本願として四十八願をたて、五劫という途方もなく長い間修行を重ね、ついにその誓願と修行を成就して、いまから十劫というはるか以前に仏となった。






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この仏は阿弥陀仏とよばれ、ここより西方の十万億仏土を過ぎた極楽のこと。原語はスカーバティー、「楽のあるところ」の意)という世界(浄土)において、現在も教えを説いているという。

このような阿弥陀仏とその浄土については、このほかにも多くの大乗経典に関説されており、その教えはインドからアジア全域に広く流布した。
とくに中国、日本においては、念仏によって阿弥陀仏の浄土に往生して悟りを得ることを願う教えを浄土門と称し、また他力の教えともよび、仏教の一大系統を形成するに至った。






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浄土宗、浄土真宗、融通念仏宗、時宗などの諸宗派はみなこの系統に属していると言われる。









☆☆☆GGのつぶやき
ネパールのネワール族の手による「仏像」の精緻さに改めて官能が蠢く。
刀賤の理念を表した五条袈裟であろうか、下藤の紋の緻密な細工に、しばし目を奪われる。
「仏像」の精緻な文様を読み解くも、また功徳となろう。































































by my8686 | 2019-01-05 12:06 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)

安藤忠雄設計「光の美術館」+ 篠山紀信「光の情事」を読み解く

篠山紀信の「光の情事」と題した展覧会が安藤忠雄設計による「光の美術館」で開催されている。

場所は、山梨県の山中、北に八ヶ岳を眺める清春芸術村の敷地内にある。




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「光の美術館」は、人工的な照明器具はいっさいなく、灯は天井と壁のスリット状のガラス窓から入る太陽光だけという。時間や天候などによる自然光の変化に合わせて、展示スペースも刻一刻と変わっていく異質な美術館であるという。






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「写真と光はきってもきれないもの。光を、機敏に感じ取るのが写真家なんですよ」と篠山は話す。

そして、この美術館がいかに撮影場所として魅力的だったかを述べ、「空間としてはとても小さいですが、“密度”というか緊張感がある。無駄がなく、“ダレ”ている場所がない。そして、その空間に入ってくるスリットからの自然光が、情事的というか、怪しい色気のようなものを感じさせる、不思議な建物です」と語った。





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篠山の言葉を借りれば、その光と空間の“エロティックな関係”に、被写体や撮影者である篠山も交わっていく。『光の情事』というタイトルはその意味だと言う。





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今回の撮影で、篠山が意図したことは、ストロボなど人工的なライトを使わずに作品を撮ることだったという。
「レフ板で反射光を採りましたが、自然光だけ。だって安藤さんはそれを計算してこの建物を設計しているのだから」。







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そして、改めて展示された写真を見ながら、「それでもこれほどの写真が撮れてしまうのだから、やはり“安藤忠雄には才能があるなって思ってしまいます」。

安藤の建築が作る光が篠山を触発し、篠山はその光を独自のイメージに作り変える。ふたりの光に対する豊かな感性が、ここに並ぶ写真作品に織り混ざってみえる。





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篠山紀信を知ったのは、学生時代であった1970年代初期。初期の作品群『Death Valley』『Twins』『Nude』など多く傑作に魅了されたことを思い出す。






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忘れられない記憶として、1970年(昭和45年)11月25日、三島が陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地内東部方面総監部の総監室を森田必勝ら楯の会会員4名と共に訪れ、面談中に突如、益田兼利総監を人質にして籠城。バルコニーから檄文を撒き、自衛隊の決起を促す演説をした直後に割腹自決した「事件」である。享年45歳。死に急ぎすぎたのか、生きて適える道も別にあったとも思われるのだが。





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☆☆☆GGのつぶやき
平成の時代が終わろうとしている。

三島の辞世の句を今一度詠んでみよう。

〈益荒男が たばさむ太刀の 鞘鳴りに 幾とせ耐へて 今日の初霜〉

〈散るをいとふ 世にも人にも 先駆けて 散るこそ花と 吹く小夜嵐〉




































































by my8686 | 2018-12-29 12:29 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)

ANOTHER FARMインスタレーション展示「Modified Paradise」

12/23(日)午前中は、我家に直送されていささか邪魔になっていた大型テーブルを次男の新居に転送搬入する。年末も押し迫り我家も晦日と正月準備のために大掃除する関係でとり急いだのである。



それはさておき、12/14日から28日まで東京都港区南青山にある「INTERSECT BY LEXUS - TOKYO」で開催されているインスタレーション展示「Modified Paradise」を読み解いてみよう。

読解にいたった動機は、いたって不純なのだが、このインスタレーションのメンバーであるアーティスト尾崎ヒロミ(スプツニ子!)の美貌に眼が止まったというわけである。





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あらためて、この紹介記事を読み解いてみよう。


進化するテクノロジーと生命倫理の問題は、2019年以降も議論を起こしそうで、2018年11月末には、中国でゲノム編集した受精卵から双子の赤ちゃんが誕生したというニュースがあったばかり。

そんな中、遺伝子組み換えのカイコから生まれる「光るシルク」を使い、テクノロジーや生命、人間のあり方について見つめ直そうというバイオアート作品が披露された。

アーティストの尾崎ヒロミ(スプツニ子!)とファッションデザイナーの串野真也によるアートユニット「ANOTHER FARM」が発表したインスタレーション「Modified Paradise」。





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初となるインスタレーション作品「Modified Paradise」は、家畜やペットとして品種改良されながら人間とともに暮らしてきたネコ、ニワトリ、ウサギの動物たちと、人間自身を象徴するドレスを立体作品として展示。動物の皮膚部分やドレスには、「光るシルク」を西陣織で紡いだ生地が使用されている。

光るシルクは、農業・食品産業技術総合研究機構が開発したもので、量産化が始まっている。カイコにクラゲの遺伝子を投入することによって、吐き出す糸を光らせることに成功したという。






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暗闇の中に浮かび上がる作品は、かわいらしくもあり、どこか不気味さも感じさせる。「私たちの倫理観とか美意識も密接に生命と関わっているからこそ、アートを通して考えたり、倫理観を問い直したり、可能性を探ったりするのも、すごく大事なステージに来ていると思う」と、尾崎は制作意図を語る。

ウサギの中には市販のおもちゃが内蔵されており、ドレスの足元を自由に動き回る。だが、フレームの外にはなかなか出られない。串野は「人間自体も、自分たちが全てのものをコントロールしているようで、人間が人間によって支配されているというか、実は動物たちと同じような立場にあるんじゃないかと、今回は作りました」と話す。







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尾崎は「『modify』には『書き換える』という意味があり、書き換えた先がパラダイスなのかそうでないのかはグレーのままだが、パラダイスの持つユートピア的なイメージ自体が書き換えられているのかもしれない」と、タイトルについて説明している。

「Modified Paradise」は、INTERSECTの1階で自由に鑑賞でき、光るシルクを使って美しい模様も織り込まれており、はっきりと見えるように特殊なグラス眼鏡も用意されている。







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西陣織の細尾は「スパイダーシルク」に興味を示し、一般公開に先駆けて13日には、尾崎ん・串野の2人と、西陣織の老舗「細尾」常務の細尾真孝によるトークセッションが行われた。ファッションなどを通じて西陣織のブランドを世界に発信している細尾は、今回の作品にも協力しているという。

ANOTHER FARMとして2人が公式の場に出るのは初めて。ユニットを組んだ経緯や、これまでの活動を振り返った。ユニット名の由来は、「別世界での生のあり方」というニュアンスも込められており、ジョージ・オーウェルの小説『動物農場』を意識しているという。





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作品のテーマについて、串野は「江戸時代にも、菊や桜など植物の品種改良は盛んに行われていた。美意識のようなところを求めていった結果、交配が増えた」と話す。

細尾は「カイコも何千年も交配を続けて、ガになったとしても飛べない。糸をつくり出すための生き物になっている」と話す。

尾崎は「今のゲノム編集を見て『うわー、こんな時代になっちゃった』と言っているけど、家畜の歴史を考えると、人間は既にずっとやってきた」と、時代とともに変わっていく倫理観の難しさを語る。

話題はANOTHER FARMの今後の展開へと広がり、細尾は、農研機構で開発されているスパイダーシルク(クモの遺伝子を組み込んだカイコの作った糸)の強度について触れ、「ぜひ宇宙も絡めて、面白い作品やプロジェクトを提案したい」と語る。

串野は「社会に対してメッセージを伝えていくような作品を作っていきたい。今後の活動に期待していただけると幸いです」と締めくくった。








☆☆☆GGのつぶやき
遺伝子組み換えによる新たな多様性を示しはじめたアートシーン。
インスタレーションの多様性と別世界にますます興味が湧いてくる。



















































































by my8686 | 2018-12-23 23:23 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)

彫刻の小道で見つけた「イブ」を読み解く

昨日の比治山散策中に見つけた彫刻の小道。
広島現代美術館から少し下った右手の階段を上って行くと、丈高い女性の彫刻が見える。



吸い込まれるほどの美しいプロポーションの女性像である。



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作品プレートに「EVE 1986 ブロンズ 船越保武」とある。





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しばらくその彫刻と対峙する。

凛とした佇まいに観る者の心を諭すかのようである。
仏像と対峙した時に感じるあの独特の静謐感。





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そのまなざしの向こうを見る。





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作者の「船越」という苗字にふと思い当たる節がある。




インターネットで「船越保武」を検索し読み解いてみる。

戦後の彫刻界を代表する彫刻家。
子息は、今や世界中で活躍する彫刻家である舟越桂。

戦後の具象彫刻の流れを汲みながら、自身が洗礼したこともあり、キリスト教に関連する作品を数々制作している。
船越の作品は、モデルを前に制作はせず、モデルの姿を記憶に残し、理想化して表現することで、不変的な想いが形になっているという。





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消え入りそうになっても「光」をみようとする、自らの生命を造形する姿勢が投影されたかのようである。





ドローイングにもその姿勢がうかがえる。




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☆☆☆GGのつぶやき
作品「EVE」との奇跡的な出会いにより、作品「聖クララ」を知り、そしてそのまなざしの向こうに「光」を見た。









































































by my8686 | 2018-11-29 14:32 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)

ヘンリームーアの「アーチ」を読み解く

11/28水曜日。研修のあるワイフを送って市内まで出る。研修の終わる正午までの約2時間比治山公園内を散策する。

あらためてゆっくりと広島現代美術館周辺を歩く。彫刻のある小道など、新たな発見もある。

今日のメインは、ムーアの広場にあるヘンリー・ムーアの「アーチ」と題するブロンズ彫刻。
日常の風景として目になじんではいるのだが、本日はじっくりと、紅葉とともに360°眺めなおしてみる。




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紅葉も最終章に入ってきた。






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空洞の神秘





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ムーアは、1930年代から「空洞」の魅力にとりつかれたという。
アーチ中央に立ち、空を見上げる。





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貫通した穴と有機的な曲線が不思議な存在感で話しかけてくる。

当初は、オルメカ文明やトルテカ文明、マヤ文明などの石像、とりわけ1925年にパリで見た、チチェン・イッツアから出土したチャック・モールの石膏模型から大きな影響を受けたという。
最初の「横たわる像」は体の横でひじを付いて曲げた腕が空洞をかたち作るものだった。

後の「横たわる像」では、凹凸のある表面のある量塊を探求するかのように、胴体に直接穴があけられた抽象的な形態になっていく。






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ムーアの初期の作品は模型を作らず直接作品を彫るダイレクト・カーヴィングに焦点を置いており、ムーアが木や石の塊を何度も彫る事で彫刻の形が次第にできあがってくるものだったという。





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ムーアは語る。


石にあけられた最初の穴は、啓示である

穴は前後を結びつけ、たちまち石に三次元を与える

穴は堅いマッスと同じように、それ自身形態的意味をもつ

石に穴があけられ、穴が意図され考え抜かれた形であるならば、空洞彫刻が可能になる

空洞の神秘・・・・山腹や絶壁にあるほら穴の神秘的魅力。








☆☆☆GGのつぶやき
広島の日常の風景をもう一度じっくりと見直し読み解いてみたいと思った。
次回は、やはり「広島平和公園」を読み解きたい。
























































































by my8686 | 2018-11-28 18:16 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)

ブッシュウィックのウォールアートが放つもの

NY在住の日本アーティストのNYレポートをしばらく眺めていた。

現在、文化庁が派遣する新進芸術家海外研修員としてNYで暮らしているという。
現代美術家としての目線で今のNYの魅力を紹介していくという主旨の連載記事である。

ブルックリンの北に位置し、現在NYでもっともアーティストが住んでいる街と言われているエリアである。




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トラウトマン・ストリートと呼ばれる地区。

Bushwick collectiveという文字。





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ブッシュウィック・コレクティブは、地元の工場に勤めていたキュレーターが始めたアートプロジェクトだという。
彼の実母が亡くなった2011年、時代の流れと共に変わりゆくこの街に思い出を残そうという意図で始めたという。

街のミュージアム化を目指して、工場や倉庫など街の空きスペースや店舗に絵を描かせて欲しいと許可を取って回り、世界各国のアーティストに絵を描いてほしいと声をかけたという。その心意気に賛同したグラフィティ・アーティストたちが、自分のサインとは別に、「Bushwick collective」の署名を絵に入れているのだという。

全体的にグラフィティ特有の勢いは抑制され、リラックスしてじっくりと描き込まれた絵が多い。

こういう背景があるからなのか、いろいろな色を使ったにぎやかな絵は、インスタ映えする観光スポットとしてクローズアップされていく。

そしていつの間にか、ソーホーやチェルシー、ウィリアムズ・バーグ、ダンボといった街と同様に富裕層が住み着き、アーティストたちの居場所がなくなる。

ストリート・グラフィティには、ある種の勢いや武骨さ、自己主張の強さ、生々しさがあるのだが、ここにはそれらが欠落しており、何かものたりないとも語る。

そんなレポートを読みながら、ふと自分の中でイメージが拡散し官能が大きく揺り動かされ始めていた。



ラッパーのビギーを眺めていると、ふとエリック・ドリフィーを連想していた。

「艶」と「腰の強さ」。その両方を兼ね備えたドルフィーのフリー・ジャズがあの時代の野生を誘発したことを思い出していた。





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さらに、ビート・ジェネレーションを代表する詩人の一人、アレン・ギンズバーグの詩集が脳裏をよぎった。


集団でガスで殺され射殺される
自由 マリファナポットは許されない
自由 幻覚症状まで飲み続け
LSDはやらない主義





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煙を吸い過ぎ肺癌になる
自由 下半身裸の踊り子を揺する
自由はペヨーテ禁止の
自由で『吠える』を放映禁止





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第2次世界大戦終結10年後の1955年10月、急速な経済成長を遂げるアメリカで、若き詩人ギンズバーグがスクエアな背広を脱ぎ捨て、『HOWL(邦題:吠える)』を発表した。

この詩はビートニクのバイブルとなり、刊行まもなく発売禁止(わいせつ罪)の憂き目にあいながらも、アメリカの若者の絶大な支持を得て、ヒッピームーブメントにつながる大転換を起こした。



その冒頭の詩を詠んでみよう。

“I saw the best minds of my generation destroyed by madness,”
「僕は見た、狂気によって破壊された同世代の最良の精神たちを」




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「この詩文が震災後1年間、私の頭のなかで鳴りやまなかったんです」と写真家・堀清英は言う。

「原始に帰り、人間として再出発すること。自然の摂理に則った考え、行動、に立ち返るべきだ」とも思ったという。






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ギンズバーグの詩は、人間性の原点への回帰をうながしているのだろう。

『HOWL』を読み直し、自分なりに写真でできることを考え始めたという。





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そうして浮かび上がったのは、「敗戦国」「放射能」「コミュニケーション」「政策」「メディアコントロール」といったアイディアだったという。

『HOWL 』の第2章には「Moloch」(モーラック:旧約聖書に登場する、子供の生贄と引き換えに利益を守る異教の神)が出てくる。
ギンズバーグは機械文明、権力的な国家をこの魔神にたとえていたが、これは今の日本にも当てはまるのであろう。





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ちなみにギンズバーグは『Plutonian Ode』という原発反対の詩も書いており、1980年代に日本の原発施設を訪れている。










☆☆☆GGのつぶやき
NYのウォールアートからギンズバーグの『Plutonian Ode』にまで思考が及ぶとは思ってもいなかった。
退職後、何と対峙するべきなのか。
新たに見えてくるものを探し求める「旅」がこれから始まろうとしている。
















































































by my8686 | 2018-11-19 14:57 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)

「横尾忠則 在庫一掃大放出展」を読み解く

横尾忠則現代美術館で、「横尾忠則 在庫一掃大放出展」が開催されているという。




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学生時代、グラフィックデザイン界のスーパースターであった横尾忠則を知る世代としては、大いに気になる展覧会タイトルである。






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はたして、何があったのか、関連記事を読み解いてみよう。



今では、現代アートを語るうえでは欠かせない美術家・横尾忠則である。

故郷の兵庫県西脇市に近く、20代の頃に住んでいた神戸市内にある横尾忠則現代美術館で、「横尾忠則 在庫一掃大放出展」が開催されている(12月24日まで)。

当初は別の展覧会が計画されていたが延期になり、別の企画を考えることになり、開催まで半年足らずというタイミングだったので、ほかの美術館の作品を借りるのは時間的に難しく、ならば、所蔵品でやろうという流れのようである。

さらに初めての試みとして、あえてテーマを設けず、『横尾忠則現代美術館で展示されたことがない』ことだけを条件とした作品を『在庫一掃大放出』と銘打って披露することにしたという。

そして企画を横尾自信に打診したところ『この企画なら、あの絵がなきゃだめだよ』と言われたのが、《終末的聖画安売》だという。





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所蔵品でやろうという企画なのに、いきなり言われたのが所蔵品でもないし、所在がわからなくなっていた作品だったという。

偶然、本展の企画を出す直前に、《終末的聖画安売》はあるオークションに出品されていたため、落札者にコンタクトをとり、貸し出してくれることになったという。


持ち主は、横尾の大ファンで、快く貸し出しを許可してくれたという。そのことを横尾に報告すると、すぐに『じゃあポスターはこれにしよう』ということになり、本展のメインビジュアルにもなったという。

この作品によって企画の目鼻がつき、展覧会全体が引き締まった。抽出した“SALE”の文字をエントランスの装飾にも使っている、象徴的な一作となったという。

本作と展覧会、両方に通じるコンセプトはSALE=大安売り。






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日本における大安売りの起源は、江戸時代の京都にさかのぼる。八坂神社の境外末社である冠者殿社の祭礼日には、たくさんの商人が訪れ、日頃の商売上の駆け引きでついてしまった嘘などの罪について、神に許しを乞うためだという。

その参拝に加えて、社会還元として行ったのが「誓文払い」と称した大安売りであった。奇しくも横尾忠則は、グラフィックデザイナーだった19歳のとき、地元・西脇市の商店街で行われた誓文払いのポスターを手がけている。

「誓文払いというものは、神様への信仰と、非常に俗っぽい市民の生活が接続している。展覧会にこういうタイトルをつけたのは偶然だが、『大安売り』は、横尾の作品におけるボキャブラリーみたいなものと切っても切り離せないぐらい密接なものなのかもしれないという。

横尾忠則の思想がふんだんに詰まっているこの本作。実物を目の前に、唯一無二の作品世界に浸ってみるのも一興。








☆☆☆GGのつぶやき
横尾の最新作を雑誌で見るたびに鳥肌を立てていたことを思い出す。
横尾調の土俗的GDが巷に溢れかえっていた1970年代。
スクリーンに映る高倉健の「死んで貰います。」に大喝采を送っていたあの時代が、今では懐かしい。

























































































by my8686 | 2018-10-18 14:30 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)

ストリートアート「バンクシーの赤い風船に手を伸ばす少女」を読み解く

2018年10月7日、サザビーズオークションに出品されたバンクシーの「赤い風船に手を伸ばす少女」が約1億5千万円で落札された直後に額縁に仕掛けられたシュレッダーが作動して作品がズタズタに切られる事件が発生し、バンクシー本人のインスタグラムで成功の喜びと共に仕掛けを仕込む様子が動画で公開され、この出来事以来バンクシーの名前が日本でも一挙に知れ渡った。

常識を逸したサザビーズオークションの不合理性にたいする抗議だという。




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バンクシーは、イギリスのロンドンを中心に活動する覆面芸術家である。社会風刺的グラフィティアート、ストリートアートを世界各地にゲリラ的に描くという手法を取る。バンクシー本人は自分のプロフィールを隠そうとしており、本名をはじめとして不明な点が多いとされる。




あらためて、バンクシーのゲリラアートを読み解いてみよう。


フランス北部カレー(Calais)にある「ジャングル(Jungle)」と呼ばれる移民キャンプでこのほど、世界的に著名な英国の覆面ストリートアーティスト、バンクシーが移民たちの窮状を訴える三部作を描いた。


そのうちの一つが、米アップルの共同創業者、故スティーブ・ジョブズをモデルにした作品である。





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同作品で故ジョブズ氏は、初期のアップルコンピューターの端末と、身の回りの物を入れたごみ袋を持っている。同氏の実父は、シリアから米国に渡った移民だった。

「私たちは、移民は国の資源を消耗させるものと考えがちだが、スティーブ・ジョブズはシリア人移民の息子だった」と、バンクシーは珍しく公式声明を発表。

「アップルは毎年70億ドル(約8460億円)の税金を支払っている、世界で最も利益を上げている会社だ。そして、同社が存在するのは、ホムス(Homs、シリア中部)出身の若い男性を(米国)社会が受け入れたからだ」と付け加えたという。

その論法でいえば、トランプ大統領は裕福な家庭の第四子としてニューヨークに生まれてはいるが、父のフレッド・トランプは、1885年にドイツのラインラント=プファルツ州カルシュタットからアメリカに移民したドイツ人フレデリック・トランプの子である。





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少年期のトランプは、クイーンズ区ジャマイカ・エステートのミッドランド・パークハイウェイ沿いで暮らし、13歳までは父が運営委員を務めるフォレスト・ヒルズ地区の学校に通っていたが、素行不良のためニューヨーク・ミリタリー・アカデミー(陸軍幼年学校の1つ)に転入させられている。






さらに、もう一人のストリートアーティストの作品を見てみよう。


フランス人アーティスト「JR」である。他のストリートアーティストとの大きな違いは、ペインティングやスプレーではなく写真というメディアを使う点である。

これまでパリなどの都市に限らず、アフリカ、インド、パレスチナ、イスラエル、ブラジルなど貧しい地域や戦争などで情勢が不安定な地域、東日本大震災後の日本にも足を運んで作品を残している。ニュースだけでは伝わらない、そこに住む人々の本当のストーリーや想いをJRは発信し続けている。

「Face2Face」と言われるこのプロジェクトは、イスラエルにはパレスチナ人のポートレートを、パレスチナにはイスラエル人のポートレイトを貼り付けて行き、そこに存在するのは職種も同じで顔の見分けもつかず、ただ国籍だけが違う人々であることを訴えている。





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JRは両国民に、そして世界に向け「自分たちの中にある偏見をとり除けば、不可能はなく、想像よりもはるか遠くに行ける。」というポジティブなメッセージを投げかけている。

自己流に解釈するならば、さしずめ日本の今の安倍一強政権に対しては次のようなメッセ―ジを発するであろう。


愚かな首相に都合の悪い人物は強権発動で口を封じる言論弾圧。こうした「反安倍狩り」の被害者が霞が関には掃いて捨てるほどいる。

2013年に内閣法制局長官の首を、安倍の意向通り集団的自衛権の「行使容認」積極派の外務官僚にすげ替え、常軌を逸した人事権の乱用で、官邸の逆鱗に触れた高級官僚の報復人事が繰り返されたのである。






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実際、将来の有望株が飛ばされたり、次官候補が更迭された省庁は、総務省、外務省、農水省、宮内庁など枚挙にいとまがない。

政権の覚えがめでたい官僚だけが重用され、官邸に逆らった人物には粛清の嵐。5年に及ぶ強圧手法が官僚に恐怖心を植えつけ、モラルや誇りを失わせ、ゴマスリ、嘘つき、忖度まみれの“ヒラメ官僚”がのさばる惨状を招いている。





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その結果、日本の官僚機構は音を立てて崩れ果て、加計学園問題を「首相案件」とする文書が発見されても、なお「記憶にない」と言い張る柳瀬唯夫元首相秘書官らのシラ切りコメント。ないはずの日報が次々見つかる防衛省・自衛隊の隠蔽体質。ついには財務官僚が歴史を冒涜する公文書改ざんの大罪に手を染め、さらには現役次官がセクハラ騒動で辞任……。もはや落ちるところまで落ちた腐敗ぶりなのである。

改ざんを上から押しつけられて自殺した近畿財務局の男性職員は、「常識が壊された」と口にしたという。









☆☆☆GGのつぶやき
戦後70年以上かけて築き上げてきた民主主義の「常識」は、イカれた首相が権力を握ったたった5年間で元の木阿弥。
この国の中枢は完全にぶっ壊れて焼け野原が広がっているとしかいいようがあるまい。























































by my8686 | 2018-10-14 15:01 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)

西洋名画「ゲントの祭壇画」を読み解く

豪雨明けの日曜の朝は、昨日図書館で借り出した「一個人・特別編集」の「西洋名画を読み解く」を眺めている。

目に止まったのが「ゲントの祭壇画」である。




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フランドルの中心的都市、ゲント市のサン・バヴォン大聖堂所蔵のヴァン・アイク兄弟制作の通称「ゲントの祭壇画」。
一見複雑な構成の多翼祭壇画だが、基本は単純な観音式左右開閉型の三連祭壇画である。





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開いた時は、およそ3.4m×4.6m。
内側の彩色油彩画群は輝くばかりの明澄で精緻な筆致と描写で、その後のフランドル絵画に影響を与えた傑作とされる。






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上段中央 C:デエシス L:天后としてのマリア R:洗礼者ヨハネ






祭壇画を閉じた状態の最下壇下枠にラテン語で次のように銘文が書かれている。

「誰よりも偉大なる画家フ―ベルト・ヴァン・アイクがこの作品を始め、技において第二の画家たる弟のヤンが、ヨドクス・ヴェイトの需に応じてこの至難な仕事を完成競り。なされしことを照覧あれこの詩により5月6日(1432)に招かむ」

ゲントの祭壇画は、ヴァン・アイク兄弟の兄フ―ベルトが当時ゲント市の参事会員であったヴェイトから発注を受け、制作中兄の死によって弟のヤンが仕上げたものとされる。当時のキリスト教の教会堂は、規模によるが主祭壇といくつかの副祭壇(聖堂)に分かれており、各々の副祭壇は出資者が個別に利用管理できるようになっていた。





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上段両翼 L:カインとアベルの犠牲 R:カインのアベル殺し
下段   L:アダムと合唱の天使   R:奏楽の天使とイブ









ゲントの祭壇画は、完成当時はゲント市聖ヨハネ聖堂(1559年聖バヴォン大聖堂と改称)の中のヴェイト聖堂に設置されたものである。

開閉式祭壇画は、平日は閉じられて、グリザイユ(単彩~2色彩画)の地味な扉絵になっているが、ミサの行われる日曜、キリスト教の祭典、祭壇画のテーマになっている聖人の記念日などに開かれ、中側の輝くばかりに美しい色彩の世界が礼拝者に披露されるという。






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キリストの騎士









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正しき裁き人










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「子羊の礼拝」預言者、族長、使徒、教会の代表者 中央下は生命の泉が描かれている。













☆☆☆GGのつぶやき
徹底したリアリズムに圧倒される。当時のキリスト教に対する畏怖と信仰の想いが伝わってくる。
デエシスについては、時を変えて読み解いてみよう。
















































































by my8686 | 2018-07-08 11:37 | ぶらぶらアート観賞 | Trackback | Comments(0)