カテゴリ:たまには気になる経済学( 57 )

「アップル・ショック」東証 年明け一時700円超安 NY株660ドル下落

1/4(金) 東京株式市場は、新年初めての取引となる「大発会」を迎えた。

日経平均株価は前日の米国株式市場の急落を受けて大きく値下がりして取引開始。下げ幅は一時770円を超えた。
米中貿易摩擦で米アップルの業績が悪化したことに端を発した「アップル・ショック」が年明けの世界の金融市場を大きく揺さぶった。




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日経平均は前年末の終値より359円64銭安い1万9655円13銭で取引スタート。前年末比で下落のスタートとなるのは2016年初以来3年ぶり。ほぼ全業種が値下がりした。外国為替市場で円高傾向となっていることから、自動車や電機など輸出関連の下げが大きく、アップル関連とされる電子・半導体関連銘柄も「売り」が目立った。

大発会でJPXの清田CEOは「年始早々、米国株式市場が波乱の幕開けになっているが年初は悪くても年末には良くなることを期待している」と語る。





日銀の黒田総裁の年初挨拶を見てみよう。

「マーケットがやや荒れ気味で原因は説明が難しいが、米国などで予想外のことがあり大きく影響していると思う。我々はマーケットの状況をみつつ、自分の判断でしっかりした政策を行っていく」と語った。





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景気の先行き不安から、東京外国為替市場では比較的安定的な資産とされる円が買われドルが売られた。
この日の午後1時時点は前年末の午後5時時点より2円06銭円高ドル安の1ドル=108円33~34銭。

東京債券市場では安定資産の国債を買う動きが強まり長期金利が低下し、長期金利の指標となる満期10年国債の利回りは一時マイナス0・050%と、16年11月以来約2年2カ月ぶりの低水準となった。






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前日3日の米ニューヨーク株式市場は、大企業で構成するダウ工業株平均の終値が前日比660・02ドル(2・83%)安い2万2686・22ドルまで下落し、下げ幅は一時707ドルに達した。

2日の取引終了後に米アップルが米中摩擦などで中国市場での販売不振に陥ったとして、18年10~12月期の売上高見通しを1割近く下方修正。米中対立が世界経済の減速につながりつつあるとの受け止めが広がったという。

日本は年間約6兆円とアップルの自社株買いに迫る規模のETF買いを続ける日銀の存在がある。しかし、世界的な景気減速、日本以外の金融緩和転換の可能性と、世界の景気敏感株と位置付けられ、円高に弱い日本株には不利な状況。4日午後3時時点のアジア市場で、一番下げているのは日本株となっているという。






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ニッセイ基礎研究所・チーフエコノミストは「世界の耐久財需要が落ちている。政策転換でいったん米株は戻ったとしても、企業業績を回復させるのは難しい。日本株は米長期金利低下による円高で苦しくなるだろう。政策対応の余地は乏しいが、まずは、日銀が強気な景気認識を変える必要があるのではないか」と指摘している。









☆☆☆GGのつぶやき
「覇権争い」である米中貿易戦争は、金融政策が転換しようと、トランプが交替しようと変わるまい。
決着がつくまで企業は投資を控えざるを得えまい。マーケットも上値が重くなること必至。
悲観的な2019年の幕開けとなったが、今は焦らず、揺れ動かず、静観して行くしかあるまい。













































































by my8686 | 2019-01-04 20:50 | たまには気になる経済学 | Trackback | Comments(0)

「日経平均終値、1010円安 トランプ政権混乱が飛び火」を読み解く

12/25(火)連休明けの東京株式市場で日経平均株価は急落し、終値は前週末より1010円45銭安い19,155円74銭。日経平均が今年1千円超の値下がりとなったのは2月以来2回目。

終値で2万円の大台を割ったのは昨年9月以来1年3カ月ぶり。東京証券取引所第1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)は72.64ポイント(4.88%)低い1415.55。出来高は17億株となった。





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24日の米ニューヨーク株式市場ではトランプ政権の混乱が市場不安につながりダウ工業株平均が約650ドルも急落。この流れで日経平均も全面安となった。





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リスク回避の動きから東京外国為替市場の円相場も1ドル=110台前半と円高ドル安となり、自動車など輸出関連銘柄が大きく売られ、中国・上海や台湾の株価指数も大幅に下落。日経平均はさらに下げ幅を広げた。

SMBC日興証券マンは「市場心理が悪化に傾き、海外勢の売りが株価を押し下げているのに対し、有力な買い手が不在の状況だ」と話す。

12月は通常、株価が上がりやすい月とされるが、ダウ工業株平均の下げ幅は今月3700ドル超、下落率は15%に迫った。12月としての月間下落率はITバブル崩壊後の2002年(6%)を超え、大恐慌の1931年(17%)に迫る歴史的な下げ相場となった。






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市場にはもともと米中通商紛争と世界経済の減速への懸念があり、高関税で原材料費が高騰しメーカーの利益を圧迫するなど、実体経済への影響も出始めている。そこにFRBの利上げペースが速すぎるとの心配や、トランプの政策運営のまずさが加わり株安に歯止めがかからない状況だという。






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「恐怖指数」とも呼ばれる米国株の変動率指数(VIX)は24日、先行き不安が高い状態とされる「20」を大きく上回り、30超まで上昇した。原油先物価格やドル相場の下落にもつながった。金融市場は当面、荒い値動きにさらされそうだという。









☆☆☆GGのつぶやき
午後から銀行印押印の件で会社へ出向き、その足でアウトレットイオンで見かけた「ダッチオーブン」を物色。
退職祝金で「STAUB」の鉄鍋を買い求める。手料理を愉しむ「ゆとり」に感謝したい。
さらにその後、トヨタGRに寄りリコール交換修理の終わった愛車86と久しぶりに対面。
大手術後の走りは相変わらずの「やんちゃ」ぶりに官能がヒリヒリと反応してくる。
さらにその足で夕刻予約しておいた「年金事務所」で基礎年金の請求申請を済ませる。


























































































by my8686 | 2018-12-25 23:25 | たまには気になる経済学 | Trackback | Comments(0)

「ゴーン容疑者ら再逮捕とフランスデモ騒動」を読み解く

昨日は午後から愛車86の冬タイヤ交換をおこなう。晴れた暖かい日なのでついでに洗車もすませる。
有給消化からすでに4週間が経過し、「休み」という特別な意識はない。静かな時間の流れを愉しむ気持ちのゆとりも出てきた。



それはさておき、12/11(火)本日は社会面を賑わせているゴーン再逮捕とフランスでのデモ騒動について読み解いてみよう。

カルロス・ゴーン容疑者が予測どうり再逮捕され、さらに20日間勾留される見通しだという。
法曹関係者の間では「国際的な理解を得られにくい」との批判がある一方で「当然の捜査手法」と理解を示す見方もある。

しかし問題なのは、日産と仏ルノーの20年近くにわたるアライアンス維持の方が、それを率いてきた人物よりも重要だという点であろう。日本とフランスの主要プレーヤーは少なくともその点で合意ができているという。




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フランス側は現実的な姿勢を示しており、ゴーン容疑者がアライアンスの要であったことを認めながらも、ルノーとフランスの産業にとっては同容疑者の個人的状況よりもアライアンスの方が重要性が高いとの立場を取っている。ただ、仏政府は19日以来勾留されているゴーン容疑者と駐日大使を面会させるなど、同容疑者への通常以上のサポートも行っており、今回の事態を巡る政治的な利害関係の大きさを物語る動きとも言える。

しかし、フランスのデモ騒動で足元に火がついたマクロン大統領としては、「レバノン系のゴーン事件」どころではないというのが、本音のようだ。

このデモ騒動は収まりそうもなく、フランス内務省は9日、国内各地で8日に行われたマクロン政権に抗議する「黄色いベスト運動」のデモに伴い全国で約2000人を拘束し、負傷者は全国で約200人にのぼるという。デモ参加者は全国で約13万6000人となり、今月1日と同じ規模。パリ市内では共和国広場周辺で8日夜まで混乱が続いたほか、南西部ボルドーや南部トゥールーズなど地方都市でも衝突が相次いだという。





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8日にはパリで路上の車などが放火され、装甲車や消防隊が急行し対応。国内各地で店舗の破壊、略奪も起きている。カスタネール内相は8日の記者会見で、暴力行為はデモに乗じた過激派らの仕業だと指摘し「全く受け入れられない」と強調。被害は1日より大きいとの指摘もある。

マクロン大統領の燃料税増税、社会保障費負担増の一方で、富裕層を優遇する政策をとっているとして、抗議行動は仏国全体にまでおよびかねない様相のようだ。





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歴史は再び繰り返されるのであろうか。フランスの二月革命など欧州各地で起きた1848年革命を想起する。


マルクスとエンゲルスが1848年に刊行した『共産党宣言』の中で、「今日まであらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である」という歴史観を述べている。その上で、近代ブルジョワ社会においては全社会がブルジョワジーとプロレタリアートに分かれていくこと、そして最終的にはプロレタリア革命によってプロレタリアートが勝利し、階級対立の歴史が終わることを予言したことを思い起こす。





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1895年にエンゲルスが死んだ後、マルクス主義政党として急速に勢力を拡大していたドイツ社会民主党において修正主義論争が起こり、エドゥアルト・ベルンシュタインは株式会社制度のためイギリスやフランスにおいて有産層はむしろ増えていることを指摘して『共産党宣言』の両極分解論を否定した。事実、西欧先進国においてはプロレタリア政党は権力を獲得できず、むしろプロレタリアートが多数を占めていないロシアや中国においては革命が起こった。





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しかし今、新自由主義的な経済政策のもと、正規雇用にありつけず安定した生活が送れない多くの人々が生み出され、経済先進国に出現した新たな貧困層をプロレタリアートになぞらえて不安定なプロレタリアート=プレカリアートと呼ぶようになり、この概念は姿を変えて今「黄色いベスト運動」となっているとも理解できる。






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☆☆☆GGのつぶやき
「共産党宣言」の中でマルクスが最後に締めくくった章句が脳裏に浮かぶ。
「共産主義者は自らの意図や信条を隠すことを軽蔑する。プロレタリアはこの革命において鉄鎖のほかに失う何ものをも持たない。彼らが獲得するものは世界である。万国の労働者、団結せよ」
































































































































by my8686 | 2018-12-11 14:56 | たまには気になる経済学 | Trackback | Comments(0)

「消費増税、15日に首相が対策指示へ 19年10月に10%」を読み解く

安倍晋三首相は15日の臨時閣議で、2019年10月の消費税率10%への引き上げを予定通り実施するため万全の対策を講じるよう指示するという。

18年度補正予算案や19年度当初予算案に増税対策費を計上し、税制面でも車や住宅などの保有・購入者の負担軽減策を検討する。



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駆け込み需要と反動減を抑え、経済への影響をできる限り和らげるというが、はたしていかほどのものになるのか、関連記事を読み解いてみよう。




政府は閣議で災害対策費を盛る18年度第1次補正予算案を決定する。首相は消費増税を予定通り実施する考えを示し、具体策の検討を求める。

対策は消費増税に合わせ、住宅や自動車などの耐久消費財の消費者負担を軽減して増税後の個人消費の落ち込みを防ぐ。




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中小小売店での商品購入時には、クレジットカードなどキャッシュレス決済を使った消費者に購入額の2%分をポイントで還元する方針だ。

消費増税で得られる税収分を幼児教育の無償化などに充て、来年10月から子育て世帯の家計負担を和らげる。

酒と外食を除く飲食料品などの税率を8%に据え置く軽減税率も導入する。





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地震や台風などの相次ぐ災害を受け、国土強靱化に向けた公共事業費も積み増す。

首相は昨年10月の衆院選で消費増税を前提に増税分の使途見直しを公約して勝利し、今年9月の日経新聞のインタビューでは「国民の理解をいただいた。必ずやり遂げなければならない」と決意を表明している。






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首相はこれまで消費増税を2度延期した経緯があるが、リーマン・ショック級の大きな打撃がない限り引き上げる方針だという。









☆☆☆GGのつぶやき
消費増税には様々な意見がある。

消費税1%で2.5兆円の増税なので、民間の所得を7.5兆円政府が吸い上げることになり、その6割すなわち4.5兆円の景気悪化効果があるという意見。
これはGDPを1%程度引き下げることになると分析している。大和総研は「消費税率の2%引き上げは、実質GDPを0.54%押し下げる」と指摘している。

また、3年後からの消費税の引き上げであれば、それまでに駆け込み需要が期待できる。消費税を10%に引き上げれば12兆5000億円ほどの税収が見込める。
その2年分程度、つまり25兆円をケインズ政策として将来の日本をよくするための投資に回す。これによって景気刺激策が期待されるという主張もある。

さらには、日本の国債累積問題の解決策は、デフレ不況からの脱却であり、消費税の増税ではないという意見もある。

景気が悪いときに消費税を上げてはならないというのは、経済政策の基本だ。増税よりも先行して取り組むべきなのが、「デフレ脱却による自然増収」である。
このまま経済成長もせず、歳出削減のための改革も先送りにすれば、底に穴のあいたバケツに税金をつぎ込むことになり、財政赤字が増大し、再び増税への道を歩まざるを得なくなるという指摘もある。

はたして、2019年10月の消費税率10%への引き上げで、経済がどのように動くのか、お手並み拝見といこう。
































































by my8686 | 2018-10-15 17:14 | たまには気になる経済学 | Trackback | Comments(0)

「景況感、足踏み鮮明 9月短観大企業製造業」を読み解く

台風24号一過、晴れ渡った青空が心地良い月曜日。

いよいよ下半期がスタートする。どの企業も上半期の反省をふまえ努力目標の調整にはいるのだが、企業の景況感は依然として足踏み状態が鮮明になっている。




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日銀が1日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の業況判断指数(DI)は前回6月調査から2ポイント悪化のプラス19だった。悪化は3期連続。

貿易戦争で輸出に懸念が出ているほか、原材料高や自然災害が逆風になり、2012年から続く景気回復の持続力への不安も出始めている。






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業況判断DIとは、景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業を差し引いた値である。大企業製造業では17年12月調査でプラス25と11年ぶりの高さを付けてから悪化が続いている。3期連続の悪化はリーマン・ショックの影響が続いた09年3月までの6期連続以来の長さだという。

QUICKが事前に集計した市場予想平均(プラス21)も下回った。

米中が追加関税を課すなど貿易戦争が深まっていることが景況感に影を落としている。生産用機械や業務用機械で業況感が3~5ポイント悪化した。将来の世界経済の減速や輸出の減少を懸念する企業も増加。自動車や化学などが先行きの業況感の悪化を見込んでいるという。






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もう一つの重荷が原料価格の上昇。原油価格が1バレル70ドル台に上昇し、石油・石炭製品は18ポイントも悪化。窯業・土石製品や繊維も11ポイントと大きく悪化するなど素材業種を中心に影響が広がっている。

大企業非製造業の業況DIもプラス22と2ポイント悪化した。悪化は8四半期ぶり。天候不順や自然災害が打撃となったほか、人手不足が一段と深まっていることも影響している。

一方で設備投資は強気の計画を維持した。大企業全産業で18年度は前年度比13.4%増を見込む。9月時点の比較では90年度以来、28年ぶりの高水準だ。日銀によると現時点では「貿易戦争の影響で設備投資を具体的に先送りしたという事例はほとんどない」という。





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短観は全国約1万社の企業を対象としたアンケート調査。中小企業を含め調査対象が幅広い。速報性も高いことから、景気の変調をいち早く映すことがある。

今回の調査期間は8月27日~9月28日で、回収基準日の9月10日に約7割の企業が回答し、台風21号や北海道地震は9月上旬にあったため「影響を踏まえていない回答も含まれる」(日銀)という。

18年度下期の想定為替レートは1ドル=107円29銭と6月調査とほぼ変わらなかった。ただ足元では113円台後半まで円安が進んでおり、為替面では今後、輸出企業の収益に追い風となる可能性もあるという。










☆☆☆GGのつぶやき
昨日DVD映画鑑賞の合間に読んだ本の中に「植物と人間」という題名が目に止まった。
自然の緑を破壊すれば人間自身の破滅につながる。植物の本来のあり方を科学的に説き、植物と人間との正常な関わりにこそ人類生存の基盤があるという。植物疎外の現代に植物生態学からの警鐘なのだが、経済界にもあてはまる部分の多いことに、改めて驚愕している。もう一度、じっくりと精読してみたいと、思った。



























































































by my8686 | 2018-10-01 15:12 | たまには気になる経済学 | Trackback | Comments(0)

「リーマン・ショックダイアリー開始」を読み解く

台風21号が到来する火曜日。今回は、近畿圏を直撃するコースにある。西部に位置するここ広島は、かすめる程度で通過してくれることを祈るのみである。

それはさておき、あのリーマンショックから10年目の今週、「リーマン・ショックダイアリー」が始まる。



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あらためて、この関連記事を読み解いてみよう。



2008年9月の米リーマン・ブラザーズの破綻を引き金とした金融危機から10年。世界を恐慌の瀬戸際まで追い込んだ危機は、どうやって始まり、広がっていったのか。各国のリーダーは未曽有の危機を前に惑い、株式や為替などマーケットは楽観と悲観の間で揺さぶられ続けた。

火種がまかれたのは2000年代の米国で起きた住宅ブームのころ。IT(情報技術)バブル崩壊後、米連邦準備理事会(FRB)のグリーンスパン議長(当時)が進めた低金利政策が住宅価格の高騰を演出した。

米金融機関は「サブプライム」と呼ばれる低所得層への住宅ローンを積み上げ、それを証券化して外部の投資家に売却するという収益モデルで巨額の利益を上げるようになった。過熱した住宅・証券化バブルの変調は、07年には「サブプライム問題」として金融システムの懸念材料と目されるようになった。




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欧米の当局者や金融機関の対策が後手に回るうちに危機は深刻化し、08年3月にはついにサブプライムに傾斜していた米大手証券ベアー・スターンズの実質破綻と救済に発展。世界に連鎖株安が広がり、円相場は12年半ぶりに1ドル=95円台へと突入した。この政府の仲介によるベアー・スターンズ救済劇は「モラルハザードにつながる過剰な介入」との非難をまねき、半年後のリーマン破綻への不介入主義という失策の遠因となった。

ベアー救済は対症療法に過ぎず、その後も米国発の金融システム不安は世界経済の重荷となり続けた。未曽有の経済危機の足音は、静かに、着実に、近づいていた。

こんな市場から得た教訓は多い。2008年当時、ニューヨークの最前線で対応にあたった三井住友銀行のチーフ・マーケット・エコノミストは「投機資金を仲介する金融部門の収益が突如増えたときは(周辺環境が良好に見えても)注意してほしい」とリスク管理における初動の大切さを説く。

リーマン・ショックをもたらした米国の低所得者向け住宅ローンについて、最初に違和感を覚えたのは07年の初めだった。サブプライムローンを担保にした「モーゲージ債」(不動産担保証券)と米国債のスプレッド(利回り格差)が急拡大したからだ。

そのころ米住宅市場の雲行きが怪しいとのうわさは既に流れていて、モーゲージ債と米国債のスプレッド急拡大はその影響だろうと考えていたが、詳細はまったくわからなかった。





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当時見積もられていたサブプライムローンの市場規模は小さく、ローンの証券化商品が世界を揺るがす事態にいたるとは到底思えなかった。米連邦準備理事会(FRB)や米政府も08年前半の時点でも事の重大さに気付いていなかったはずで、ましてや他の国では「たいした問題でない」との楽観がまん延していた。

08年3月のベアー・スターンズの経営破綻でさえ「冒険好きな一金融機関がやんちゃをしすぎた結果で、特殊な例。他には波及しない」との冷静な受け止めが多かった。だが、危機は起きた。

予想外の市場の混乱に際してエコノミストやストラテジストは無力だ。リーマン・ショックの直後、現状を何とか乗り切ろうと、ドルの資金繰りをどうするかの会議ばかりしていた。そんな無力感から得た教訓は、もっと早く、もっと的確に危機のサインを把握しなければならないという当たり前のことなのであるが・・・。

それに気づかないのが、人間の愚かさといってしまえば、それまでなのだが・・・。




■金融セクターの収益過剰は要注意

1990年代以降の金融資産はオプションやスワップなどのデリバティブ(派生商品)を通じて複雑につながっている。それが危機の芽の発見を遅らせ、混乱を大きくさせるのだが、ふだんから注意深く眺めていれば必ず見つけられる。

ある商品をどの金融機関がどんな形で組成し、どんな投資家が購入しているのか。経済指標や中央銀行の政策をもとにマクロ経済の予想をする通常のエコノミストのアプローチだけではダメなのである。リーマン・ショックの前夜、サブプライムローンの証券化商品が大量生産され、リスクヘッジ(回避)の取引が保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)に集中していたことなど、マクロ分析ではまったくわからなかった。




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危機把握のポイントの1つは金融セクターの収益率である。異常に高くなる時は実体経済とはかけ離れた規模で、過剰な投機が進んでいる可能性が疑われる。

リーマン・ショックを含めた米国の過去3回の経済危機には必ず金融部門の収益が急拡大している。1980年代は商業用不動産への過剰貸し出しによる地価高騰、2000年代の初頭には企業向け融資の急増とIT(情報技術)バブルで、その次がサブプライム関連部門の異常なにぎわいだった。いずれも大手の投資銀行は金融部門主導でかなり収益を上げていた。

羽振りの良さは投資銀行員の装いにもしばしば表れる。米国が好景気に沸いた1999年前後、大手投資銀でエコノミストをしていたダドリー・前ニューヨーク連銀総裁を訪ねると、多くの人はカジュアルな服装だった。当時の投資銀行には明らかに浮かれたムードが漂っていた。バブルの前にはこうしたささいな予兆を見逃さない注意深さが求められる。

リーマン・ショック以降、各国は金融システム規制を強めてきた。デリバティブ市場も成熟し、当事者以外は仕組みがよくわからないといった怪しげな商品は出ていない。一方で日米欧ともに大規模緩和に踏み切り、金融機関の本業で大きく収益を得られる情勢ではなくなった。







☆☆☆GGのつぶやき
足元で利上げが進む米国はまだしも、日本やユーロ圏では低金利環境が長引いている。今後、投資家や金融機関がしびれを切らし、未知の世界で過剰なリスクをとる可能性は否定できないという見方もある。今こそ市場に常に向き合うマーケットエコノミストの真価が問われる局面といえよう。









































































by my8686 | 2018-09-04 11:33 | たまには気になる経済学 | Trackback | Comments(0)

「JAL、想定超すAI効果 新システムで一転増益」を読み解く

原油高が重荷となっている日本航空の業績が増益に転じている? 約50年の長きにわたって使い続けた旅客システムに別れを告げ、AIシステムに移行したところ、その効果は想定以上だという。

国際線はほぼ満席、客単価が上昇。ただでさえ出張や観光で需要は旺盛で、使うほどに精度があがるAIが、JALを増益路線にいざなおうとしているという。




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あらためて、この内容を読み解いてみよう。


 「出張に行く座席がとれない。どうすればいいの?」。最近、JAL社内ではこうした会話が頻繁に交わされている。国際線の有償座席利用率は80%を超え、マイレージプログラムなどを利用した無償の乗客も勘案するとほとんど空席はない。空席が少なければ航空券を安売りする必要がなくなる。実質的に値上げしたのと同じで、収益改善の効果は大きい。

好調を支えるのが昨年11月に刷新した旅客システム。世界の航空業界で高いシェアを持つアマデウス製のシステム「アルテア」を導入した。何度も改修を重ね、どうにか使ってきた自社システムと置き換えたところ、その効果は絶大だった。




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2018年4~6月期の決算をみると、国際線の輸送能力は前年同期に比べ7%増強しているが、座席の利用数はそれを上回る9%の増加となった。

燃油サーチャージの増加などの要因を除いた実質ベースで単価は2%上昇。実は、ビジネスクラスの数を減らしエコノミークラスを増やしているという。それでも単価が上昇したのは「新システムの効果が大きい」という。

航空会社の収益を左右するのは予約状況などに応じてチケットの価格設定を変えるレベニューマネジメント。

旧システムでは社員の長年の経験に頼る面が大きかったが、新しいシステムでは、その役割をAIが担う。過去のチケットの売れ具合などをもとに需要を予測し最適な価格を算出する仕組みで、まさにAIが得意とする分野だ。需要を読み間違えて収入をロスすることが減ったという。

システムの投資額は800億円で、5年償却のため、年間160億円の減価償却費が発生する。しかし、データを蓄積すればするほど需要予測の精度が上がるのがAIの強みだ。収益の押し上げ効果は時間の経過とともに大きくなる。




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JALは2020年3月期から新システムによる売り上げの伸びが減価償却費を上回り始めると想定していたが、今期からプラスになる可能性もでてきた。

19年3月期の連結営業利益は前期比4%減の1670億円を見込んでいるが、斉藤典和専務執行役員は「増益になるよう努めたい」と自信ものぞかせる。

株価の重荷になっているのは業績同様に原油高。航空機燃料に使うケロシンの平均相場(シンガポール市場)が1バレル=80ドル台(18年3月期は69ドル台)で高止まりしており、なかなか株価反転のきっかけがつかめないでいる。

JPモルガン証券アナリストは「原油価格の上昇による業績悪化は織り込まれつつある」と指摘。AIによる収益押し上げが悪材料を吸収できるなら株価上昇の契機になる可能性がある。




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JALの植木会長は新システムの導入時に「竹やりがマシンガンに変わった」との感想を漏らしたという。旺盛な需要を効率的に売り上げに結びつけるAIが、JAL飛躍の原動力になるかもしれない。











☆☆☆GGのつぶやき
竹槍からマシンガンへとは、わかりやすい。
人間の脳のたよりなさが昨今取沙汰されるが、このAIの精度向上には瞠目してしまう。
人間の情報処理能力を超えるAIの進化に畏敬の念さえ覚えてしまうのである。



























































by my8686 | 2018-08-31 15:57 | たまには気になる経済学 | Trackback | Comments(0)

「山口産の日本酒、11年連続出荷増 海外8割伸びる」を読み解く

山口県酒造組合がまとめた2017酒造年度(17年7月~18年6月)の日本酒出荷量は8116キロリットルで前年度比11.1%増と、11年連続で増加したという。

県内出荷は14%減と振るわなかったが、県外と海外が大きく伸びた。全国的には日本酒の消費は伸び悩んでいるが、山口は中小規模の蔵が独自のブランドを売り込み、人気を集めている。




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あらためて、この内容を読み解いてみよう。


17年度出荷は県内が1674キロリットル、県外が5376キロリットル(前年度比12%増)、海外が1066キロリットル(同79%増)だった。

酒造組合に所属する24の蔵が連携して、酒米の調達や販路拡大、PR活動を積極的に進めている成果が出ている。




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海外出荷は米中韓を中心に純米吟醸など特定名称酒の引き合いが強く、10年前の15倍近くに増えた。

「獺祭」の旭酒造(岩国市)をはじめ、「東洋美人」の澄川酒造場(萩市)、山縣本店(周南市)などが輸出を強化している。




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今月亡くなったフランス料理家のジョエル・ロブション氏と「獺祭」の蔵元・旭酒造がコラボしたパリの共同店舗「ダッサイ・ジョエル・ロブション」なども今後期待したい。





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日本品質こそ、これからの世界戦略に欠かせない「キーワード」となろう。











☆☆☆GGのつぶやき
「獺祭」は、特別な記念日や正月の祝酒に嗜んでいる。そのフルーティで透明感のある喉越しに恐怖さえ覚える。旨すぎてつい飲み過ぎてしまうのだが、不思議と悪酔いしない。
年齢を重ねるとともに「安酒」が身体に合わなくなってきた。
残された時の貴重さをかみしめつつ、「酒」を愉しみたいと、あらためて思うのである。




































































by my8686 | 2018-08-30 10:06 | たまには気になる経済学 | Trackback | Comments(0)

「日本の製造業、為替の壁破る」を読み解く

早朝のサッカーW杯大会で日本は、セネガルと対戦し、2―2で引き分けた。
通算1勝1分けでセネガルと並ぶ勝ち点4となり、2大会ぶりの決勝トーナメント進出は、28日にある1次リーグ最終戦の結果次第となり、ハンパじゃ~ない試合結果に日本列島が湧いている。




それはさておき、月曜週明けは、為替の壁をようやく乗り越えた日本の製造業について読み解いてみよう。


日本の製造業が為替への耐久力を強めているという。かつては円高になると輸出に大きな影響が出たが、日銀の分析ではついに「感応度」がゼロになった。後押しするのは輸出財の高付加価値化。つまり、価格によらず売れ続ける製品へのシフトだという。

為替の壁をようやく乗り越えた日本の製造業だが、今また、さらに大きな別の課題も浮上してきている。




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特徴的なのは為替の変動にかかわらず輸出の増加傾向が変わらない点だ。

それは日銀が分析を続けている「輸出の為替感応度」に表れている。感応度は、円相場の変動が全体の輸出にどう影響しているかを示す。00年代半ばはドルに対して10%円高になると、輸出は3%程度減っていた。だが10年前後から急低下した後、16年は0.2~0.4%の間で推移。17年は0~マイナス0.1%になった。つまり「円高・円安と輸出の増減がほぼ無関係」(日銀調査統計局)の状態だという。





効いているのは、まず「生産の現地化と国際的な通貨管理」。

これまでの円高局面を経て、各社はアジアなどで現地生産の拡大や生産委託を進めた。決済も海外通貨建てを増やし、財務省によるとドル建て輸出の比率は17年上半期で51%。ユーロや人民元の取引も増えている。

実際、ホンダは対ドルで1円の円高による連結営業利益への影響が140億円と5年で30億円ほど縮小。ソニーは1円円高が進むと逆に営業利益が35億円増えるという。





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さらに、ここに来て感応度ゼロを後押ししているのが、輸出品の中身が「価格に関係なく売れる製品」に移っていることだ。

経済財政白書などに使われる「高付加価値化指数」というデータがある。財務省が算出する「輸出価格」を、日銀の「輸出物価」で割ったもの。前者は単純な一単位あたりの輸出額を示し、後者は輸出品の質や中身で調整を加えている。この指数が右肩上がりで上昇し、付加価値の高い輸出比率が高まっている。

かつては円安が進めば海外で値下げし、シェア拡大を急ぐのが常道だったが、最近は価格を据え置いて利幅を確保することが多い。価格競争力が高まっており、逆に円高の局面でも輸出量を減らさなくて済む。これが高付加価値化が為替の影響回避に効く理由だと分析する。




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内閣府によると、高付加価値財の輸出は電気計測機器、原動機、自動車といった日本を代表する産業で特に高まる。

例えば半導体製造装置。半導体は韓国や台湾が世界を席巻するが、その品質を支えるのは薄膜加工や真空搬送などの作業を担当する装置だ。大手の東京エレクトロンなどが輸出を拡大している。

原動機では航空機部品が伸びる。航空機の大手は米ボーイングや欧州エアバスなどの欧米勢だが、エンジン部品は日本勢が強い。川崎重工業は「円安局面でも値下げは必要でない」という。

自動車の輸出も小型車から多目的スポーツ車(SUV)などへとシフトする。
みずほ総合研究所のチーフエコノミストは「今後も輸出を伸ばすためには、他国の追随を許さない技術競争力を保てるかが重要になる」と指摘する。





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日本企業は85年のプラザ合意後の円高以後、長く抱えてきた為替の壁をようやく乗り越えたようだ。だが新たな難問も浮上している。米トランプ政権の通商政策に端を発した貿易摩擦である。

米国の関税が中国のITや半導体事業に影響を及ぼせば、製造装置や部品を出荷する日本にも響く恐れがある。トランプ政権が検討している自動車への関税は25%。実現するなら、影響度は為替の変動よりはるかに大きい。

貿易摩擦では、それぞれの国で競争力が高い製品が狙い撃ちにされがちだ。自動車以外にも、電子部品や工作機械などが狙われれば日本の痛手は大きいという。








☆☆☆GGのつぶやき
大和総研では「世界でサプライチェーンの再構築を迫られるなど影響は広範囲に及ぶ」と指摘している。
輸出企業にとっては、気の抜けない状況は当分変わらないであろう。
特に、世界的なサプライチェーン再構築の動きには注意がいる。






















































































by my8686 | 2018-06-25 11:18 | たまには気になる経済学 | Trackback | Comments(0)

「トヨタ新興国戦略に変化? 本命はダイハツかスズキか」を読み解く


米国に対するブーイングが鳴り響き始めた。
そんな中、トヨタ自動車が進める新興国戦略のパートナーで、完全子会社のダイハツ工業と、新たな提携先のスズキの位置づけが注目されている。


両社はともに軽自動車が得意で「安くて小さなクルマ」でしのぎを削るライバル同志。トヨタは、互いの得意市場の違いも生かしながら、両社を使い分けていくとみられている。



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あらためて、その内容を読み解いてみよう。


トヨタは長年の出資先だったダイハツを2016年に完全子会社化。新興国向け小型車開発を担う組織を両社でつくるなど、ダイハツと力を合わせて新興国を攻める姿勢を示してきた。

その一例が、ダイハツがインドネシアでつくる7人乗りSUV「テリオス」の新興国向け輸出である。ダイハツによると元の車両の販売価格は160万~200万円ほど。
トヨタは4月から、OEM供給を受けた車の輸出を始め、値頃感を出し、東南アジアや中東などを含む80~90カ国で販売する。




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人口が減る国内軽市場が主力のダイハツは、高いシェアを持つインドネシア、マレーシア以外の海外市場への拡販が課題。ダイハツの17年度の世界生産は149万台、うち国内は92万台。トヨタ向けをテコに、25年度にはダイハツ開発車の生産を250万台まで引き上げる目標。

一方、トヨタは25日、国内でダイハツと激しく競り合うスズキとの協業拡大を発表。スズキがシェア首位のインド向けに開発した車をトヨタの工場で生産し、インドやアフリカで売る。インドは昨年、新車販売でドイツを抜き世界4位になった有力市場。アフリカもトヨタが重視している。




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スズキの17年度の世界生産は333万台(国内生産は97万台)で、世界での存在感はダイハツをしのぐ。トヨタは現地で人気を集める良品廉価な車づくりのノウハウを吸収し、新興国戦略を進めたい考えだという。




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調査会社フォーインのアジア調査部長は「ダイハツは東南アジアに強いが、世界で見ればスズキとはブランド力に差がある。トヨタは攻める地域によって両社を使い分ける狙いだ」と指摘する。
トヨタ自らは自動運転など次世代技術に人材や資金を注ぐとみる。







☆☆☆GGのつぶやき
ネパールに旅した時、街中の小型タクシーがフロントガラストップに「SUZUKI」の大きなロゴマークを誇らしげに貼っていた光景を思い出す。
通訳のコーディネーターに、我々は「トヨタ」と「スズキ」のクルマ2台を所有しており、これは日本では平均的なことだと話すと、驚愕していたことを思い出す。
インド、アフリカへの有力市場攻めがどう展開して行くのか、大いに注目していこう。





















































































by my8686 | 2018-06-04 13:49 | たまには気になる経済学 | Trackback | Comments(0)